角田光代のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
2016年第4回新井賞受賞
明確なDVでもなく、何某かのハラスメントに分類されるか否か、危うい境界上の嫌悪感
それを濃厚に繊細に浮き彫りにしていく
誰しも陥る可能性のある家庭や子育ての感情の闇
主人公は幼稚園入園前、イヤイヤ期真っ盛りの娘を育てる専業主婦
彼女の元に刑事裁判補充裁判員の通知が届く
担当する裁判は乳幼児虐待事件
殺人犯となる女性の境遇や結婚生活を 義両親、実母、友人、夫らの証言から探り出していく
事件の背景にある家族らとのかかわりに 主人公の女性は自分自身の抱える結婚生活や育児のストレスや違和感を重ねていく
重ねながら自身の家庭環境の中にある悪意のない支配や傲慢な言動に思い当たる
多くの方がこの小説が描く 言葉にしにくい嫌悪感に思い至るだろうと思う
私なんか、こうして小説になるくらいだから、私だけでなかったのね!って、安堵感さえある
そして、おそらくはこの違和感嫌悪感は、話し合っても無くならない
お互いの気持ちがわかり合えない部分だから
人生諦めも肝心
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Posted by ブクログ
ネタバレ角田さんの本って、情景描写と心理描写が凄く上手くて映像のようにリアルに思い浮かべることができてマジで解像度が高いと思うんだけど、この作品は自分と重なる部分も多くて解像度が高すぎて、心理的負担が大きくて休み休みにしか読めなかった…。実家と折り合いが悪いとことか夫の実家は『まっとう』であることとかそっくりそのまま私かよとなってしまい…。
この夫婦間の会話のちょっとしたニュアンスの違いとか、夫と義母の関係の濃密さとか。上手く人に伝えられる気は全くしない『なんか嫌』をなんでこんなにリアルに伝えられるんだろう!本当にすごいと思う。
そして絶賛イヤイヤ期の文香の憎らしいこと…。いずれ自分も通る道だ、こんなことでイライラしていたら子育てなんかできるはずがない…と思ってもやっぱりげんなりするしイライラしてしまった。嘘泣きっぽいところとか特になー。自分にも女児だったころがあるから分かるけど、自我を持つ5歳くらいからは確実に計算で嘘泣きとかしてるからな。その時余裕を持って見守れるかイライラしてしまうかは、やっぱり自分の心の余裕と周りの環境次第な気がする…。男の子育児とはまた違った女の子育児の恐ろしさよ。修行を積もう。
母乳信仰ってまだあるのかしら。義母がそうだったら嫌だな〜とは思いつつ(出来れば完ミがいい)、周りの声とか気にせず、子供の成長がたとえゆっくりでもどんと構えられる親にならなきゃな…と思いました。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ大きな出来事や、衝撃的な内容が含まれている訳ではないのに、飽きが来ずスラスラと読めてしまった
テーマとして、女性、恋愛、仕事、生活、バブル
が挙げられる。
主人公はバブル時代とバブル崩壊を生きる20代女性
20代特有の、少し心配になるような価値観や考え方とか、20代を経験した女性なら共感できる点が多いなと思った
主人公の恋人である仙太郎は、若くしてクリエイティブな仕事で成功を収め、結婚に際して、現実的な仕事をすると言うリアリティーさがあった
20代前半の、仕事である程度の成功を収めた仙太郎の言動がどんどん業界にかぶれていく感じとか、痛さを感じた。
女としての幸せと、仕事での成功を同時に掴む女なんて居るのかね?と言う疑問が生まれた -
Posted by ブクログ
角田さんご本人がおっしゃっているように、私も彼女をテレビで拝見している限り、おっとりした方だと思っていた。それが何とも、せっかちエピソードが満載で面白い。特に秋刀魚を選ぶ親子の話。そしてイライラを抑える薬「イララック」なるものがある事も初めて知った。
「20代で使ったお金がその人の一部を作る」という言葉が響いた。自分は20代の時に何にお金をかけてきたのか。映画が好きな人、洋服が好きな人、食べることが好きな人…人それぞれにお金をかける所が違うけれど、それがその人を作り上げていくなら決して無駄ではないと思う。「ゆたかであるというのは、お金がいくらある、ということでは決してない」と著者は言っている。
最初にこの本が書かれたのが約20年前らしいので、ガラケーが出てきたり、タバコの値段が今の半分以下だったり時代を感じさせる部分もあるが、若い人に知ってもらいたい事もたくさん書いてあると思う。 -
Posted by ブクログ
源氏物語を読んだことがあるという人は原文を読んだのだろうか?まだ読んだことがなくよく知らないので、この角田光代さん訳の本を読んでみた。
テレビで、小学生と、芦田愛菜が、源氏物語について語っていたので、自分が知らないのが気になったのだ。今、紫式部の大河ドラマを見ているからというのもある。
然しこの光君は、よくもまあ、色々なところにいる女について聞きつけては興味を持ち通うものだなあと思う。常に探している、想い人をたくさん作っている。
そして女性も見た目や仕草の魅力と、歌を読んでやり取りできる賢さ、センスもないといけなかったのだなあ。身分もだが。
昔は身分の高い男性はこうだったのかと思う。とにかく、この角田光代さん訳のは読みやすい本でした。
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Posted by ブクログ
複数人の女性の、恋愛にまつわる短編小説。
「好きってなに」ってテーマに対して、好きとか欲望とかが自分の中で明確にできなくて、分からなくなることが、昔の自分もあった気がする。好きなんてきっと最初から言語化できない、それでいいんじゃないかと思う。
一番印象に残ったのは、「誕生日休暇」。
なんでこうなったんだ、もしあの時ああしていたら、まだあの人と一緒にいたのか?この人に出会えなかったのか?そんなことを時折思うことがある。
今の自分のいる場所、一緒にいる人が、すごい奇跡の連続で、ここにあるということを実感する。そして、私たちはそれぞれの行き先に向かって、時に離ればなれになることもある、また一緒に乗り合わせることもある。でもそれでいい。無理して引き留めなくても、無理して居座ろうとしなくても、会うべき人とはまた会えるし、いくべき場所にはまた行ける。そんな凧のような自由で柔軟な生き方をこれからもしていきたいなと感じた。そういう生き方が、私は好きだから。
○特に好きなフレーズ
・だから、あたしのココロは星とかハートとか木とか、そこにあてはめるものが何ひとつ見つからなくていつまでも空洞のまんまだ。
・変わらずにいることに価値なんかこれっぽっちもない。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ思いがけず面白そうな本見つけた!
「脚をルの字に折って」って、今まで本読んできて初めて見つけた表現!確かにあの座り方名前ないよね
「分からない」と言う主人公を見て、前まで読んでたのが登場人物みなえらく察しの良すぎるミステリーだったこともあって、理解力の低い人を主人公にして話を書くのはなぜだろうと思った
作者の頭のレベルと主人公の頭のレベルを同じにしなかったら、分からない人の視点に立って書くのってめっちゃ難しいんじゃないのか
主人公の性格によって事象は同じでも感じ方は全然変わってくるし、無数の主人公のお話があると思ったら、作者たちはどうやって主人公を決めてるんだろう〜って頭おかしくなりそう
こんなお話描きたい、だけじゃなくてどの視点で話を進めるかって問題まで出てくるのか…大変すぎる
彼女の振る舞い見て君はこうだからこうした方がいいよってアドバイスくれたり、就活しないのに痺れ切らして会社紹介してくれたりって積極的に優しくて彼女にちゃんと興味を持ってるいい彼氏じゃんって思ったけど、別の言い方すればこうすべきって自分の考えを他人にも求めて干渉してくる男であり、彼女にこうあってほしいって理想があったり見返りを求めている男ってことでもあるんだなと思った
この人がいい人かどうかって、著者が意図的にどちらか(主人公の味方か否か)に描こうとしてても、たとえ小説の中であっても私が図ろうとしない方がいいなって思った
津村記久子さんのあとがきより「仙太郎が何を考えているのかについては〜、一見肯定的であったり、鷹揚であったり、正論であったりしながら、その下に触れたら切れる紙を忍ばせるような未必の故意がある。」
未必の故意!!まじでやっかいよな
「終盤での仙太郎の振る舞いには、毒気を抜かれると同時に、その場限りで言葉を発する人の空恐ろしさを感じる。」
難しい話だった
自分の人生生きてるのえらいなあ