あらすじ
ロシアで国境の居丈高な巨人職人に怒鳴られながら激しい尿意に耐え、キューバでは命そのもののように人々にしみこんだ音楽とリズムに驚く。五感と思考をフル活動させ、世界中を歩き回る旅を、臨場感たっぷりに描く。
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Posted by ブクログ
これまで30カ国以上を訪れて、その度に色々なことを考えた日々を言葉にする、文字にする、答え合わせするような本。そう、そうなの。と何度も共感した。
・全て自分なりに考え、答えを出しーその答えを実践していく(ベトナム)
・うつくしさもやさしさも、おだやかさも品のよさも、それほど奥ゆかしいのである(ミャンマー)
・値段というものは、その国を知る手っ取り早い近道(キューバ)
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数ある旅行記の中でもレベチの素晴らしさ。
おっちょこちょい全開でハプニングてんこ盛りに書かれていても、そういうエッセイにありがちなやかましい感じが全くないのが好き。
その場で感じたことやその土地の魅力、美しい光景を巧みに文章にして読者に伝える。何でこんなことできるんだろう...(プロだからなんですけど)
私も自分の旅をこんな風に記録できたらな〜と心の底から羨ましいです。
また読みたいから、タンスの肥やしにします。
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行ったことない国ばかりで、「そうそう!」と共感できることはなかったけど、どの話もとても面白かった。自分もそこに旅行をしてるような気分になり、とても楽しめた。著者の角田さんの観点から見て感じる外国がすごく興味深かった。角田さんの本を他にも読んでみたい。
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自分も1人で海外に行くけど、こんなに旅のエピソードを面白く書けるのはさすが作家だなあと。
あとがきにあったように、同じ本を読んでも同じところを旅しても、感じるものは人によって全く違いますね。
ロシアのところでおトイレにいけないところは一緒にハラハラしてしまった。
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旅のお供に、と読み始めた。
角田光代さんの小説って、全体を通して、ずん、と重い印象がある。だから、角田さんフィルターを通して見る旅も、そういう、ずん、としたものが出てるんじゃないかと思っていた。
しかし。角田さんが、こーんなにおおっぴらでおもしろいだなんて!時折り、繊細だと感じるところもあり、小説の雰囲気と重ねて、うむうむと自分を納得させながら読んでいたが、でも、わたしの中の角田さんの印象は全く変わってしまった。もちろん、良い方へ。
なんといっても、旅のスタイルに憧れる。移動手段にしても、現地の人との交流にしても、食事にしても、その土地に混じり込んでいる。野生的というか。わたしも、こういうのがしたいのだ。観光≒傍観みたいなのじゃなくて、まあそれも良いのは良いが、わたしも、そこに混じりたい。
それにしても、(年代は違えど)同じ国に行って、同じ景色を見て同じ空気を吸っていても、感じることは人それぞれなんだなあと、当たり前のことを改めて思った。そういう発見も、おもしろかった。
例えばサンクトペテルブルク。
歴史的な聖堂や宮殿が多く残り、街全体もメルヘンチック。“芸術”的なものが身近に在るのもすてき。人々も小綺麗な服を着て、紳士淑女といった感じだが、温かみがある。ーと、わたしは感じた。
でも、角田さんはこう表現していた。
“帝政時代の亡霊たちが、昼日中だろうが午前中だろうが、町のいたるところを徘徊している。過去の存在感はこの町において、現実に生きているでかい人々より奇妙なくらい確固としている。”
ぼ、亡霊、、!うーん、言われてみればなるほどと思わなくもないが。でもやっぱり、大きく違うよね。
角田さんも文中で触れていたが、本の中に描かれている場所を訪れるのって、旅がより味わい深くなって、とっても素敵な体験だと、わたしも思う。主人公や筆者と、思いが交われば幸せだし、交わらなければその違いが興味深い。
でも、サンクトペテルブルクに関しては、行く前に読んでいたら、亡霊の先入観によって、メルヘンだなんてとても思わなかったかもしれない。それもまた一興か。
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初めて角田さんの本を読んだ。自分のことを小心者といっているが、それにしても一人で世界各地を飛びまわっていることに驚きです。心に響く事もあり、夢中で読むことができました。
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私をエッセイデビューさせた作品!
コロナ禍に入って、ずっと(なぜか)億劫であったエッセイに手を伸ばしてみた。
どこにも行けず、何も出来ず、常に気が溜まっている感じに飽き飽きし、追体験できるものを探していた。
そこでなんとなく手に取ったこの作品。
特に選んだ理由はない。なんとなく、角田光代への信頼感だけ。
まさにあたりだった!
読めば一瞬でその土地に行くのは当たり前に、何より凄いことに、匂いがするのだ。音がするのだ。知らない土地の知らない人の騒々しさがするのだ。
エッセイ自体新鮮だったせいか一瞬で心奪われた。
何よりいいのが、特に解決しないこと。
意欲的に動くのも自分のため、なにか引っかかることがあっても自分中心。
そこがよかった。それが一人旅の醍醐味だから。
それと同時に感じてしまったのは、自分の凡人さ。こんなに面白い旅、できないなあ。
まさに感性の差を感じた。
元気になれる!
自称ダウナー系の旅人、角田光代さん。旅をしないと死んでしまうんじゃないか(笑) というくらい、小説を書くより旅行が好きなイメージです。ダウナー系といいつつ、旅先で友だちを作ったり、美味しいものを食べたり、楽しくやってるんじゃないですか(笑) ヤバい状況でもユーモア溢れる文章が、読んでて思わず笑ってしまうのです。
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角田光代さん。
浅香光代とごっちゃになっていて、なんとなく作品に触れていなかったのですが、先日読んだ作品が面白かったので興味が湧きました。いろいろ見ていたら、彼女の旅の本もおすすめとのことで本書を読んでみました。
バックパッカーでいろんな国を旅していた角田さん。その土地の人たちとコミュニケーションをとり、ゆらゆらと滞在している姿、すごいなぁ。私ももっと若い学生の時だったら...同じように旅する勇気が持てただろうか?人見知りも克服できたかなあ。
印象に残ったのは、マレーシアに行った時に釣りにさそわれて、朝から出動したのに延々と飲み会が続き、結局釣りをしたのが深夜。そしてそのまま釣った魚をBBQするパーティに...
「釣りはしないの?」と聞く著者に連れ合いは「え、だって昼飯くうんじゃん」「魚は新鮮なうちに食べなきゃ!」
旅をして文化圏が違う人たちと出会う意味。自分の狭い世界から他の世界を体験してショックを受けることにあるのかも。
来年台湾に一人で行かなければならず、びびっていたのですが背中を押されてゆっくり滞在してみようかなと思ったり。「台湾の未来は明るい!」って本書にも書いてあったし。
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海外への旅に対するハードルが下がりました。
英語がばっちり話せなきゃいけない、地図が読めなきゃいけない、目的を果たさなきゃいけない。
そんな◯◯しなきゃな思考が全然なくても、旅は楽しめるんだと教えてもらえました。
今行きたい!な気持ちを大切に、その時がきたら角田さんのように躊躇せず飛び込みたいです。
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何を成していようが、いまいが、私たちは日常を生きるごくありきたりなひとりである。おそらくこの国に染み渡ったその大前提こそ、完璧な理想が生み出した、もっとも美しい何かなのではないかと、光をふりまいて踊る国民的ダンサーを見て、私は思ったのだった
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『対岸の彼女』で繊細な女性の心情を描いていた作家さんというイメージがあったから、彼女のワイルドさは少しだけ意外だった。割とマニアックなところにも行くし、タバコを吸ったり、旅先で誰かと仲良くなることを当然だと思っていたり。人とのコミュニケーションに恐怖すら抱くぼくにとってはちょっとありえない。でも一方で、彼女はぼくと同じように小心者でもあるようだ(そう自分でも言っている)。つまりぼくから見れば、自ら望んで大海に投げ出されながら、浅瀬の海で助けを求めてさまよっている―失礼ながらそんな印象を受けた。でも、そのギャップがこのエッセイの面白さなような気がする。
この本でも書かれているように、旅好きのたいていの人が、独自の旅スタイルを持っている。そしてそれは誰か別の人と一緒に旅に出るとより明確になるらしく、たとえばスペインに旅行に行った友人に対してはそのアクティブさに驚いてみたりする。でも彼女は彼女なりの流儀を保ちつつ(というかそれしか保つことができず)自分の旅を続けていく。
旅のエッセイをもし自分が書くとしたら、時系列に行き先を並べて、順にそれを説明し、その感想を述べて、みたいな形式になってしまうように思う。でもこのエッセイ、それぞれ行き先も、おそらく行った時の年齢も様々だが、それぞれに通底するテーマ(というと大げさだが)があって、その切り口と旅が重なって、過去の自分の旅をしっかり自分のものとして消化している。ただ旅をして、刹那的に楽しみ、後は楽しかったという感想が残る―そんな感じでは決してない。
あとがきに、旅というのは一回きりで、それを書くことで二度とできない旅をもう一度することができる、と書かれていた。確かに、20代の頃にぼく何度も訪れた香港の、そのそれぞれにはぼくのそのときの心情があり、同じ目的地といえどもその旅をそっくりそのまま再現することはもうできず、その旅を書くことで自分の中で自分なりに消化することができていれば、今直接役に立ったわけではないだろうけど、少なくとも読み返して楽しかっただろうなとは思う。
恋人か文学賞の受賞か、どちらかを祈ろうとスリランカの寺院を訪れたけど、結局心の中を空っぽいにして祈ったこと、それからハワイで自ら缶詰して原稿を書きつつ、現地の日系人たちが日本の習慣を繰り返していたことや、日本好きな豪人が日本人女性の言葉を本気にして日本に来てしまったこととか、退屈な街にパブはたくさんあって、そんな街のバスで夕日を見て泣いたこととか。
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著者はイメージよりかなりワイルドな旅をされているんだなと思った。
自分も旅した気分になれる。(しかも自分が絶対しないような旅)
そして世界には自分と全然違う人たちがいるのだなと、当たり前だけど改めて感じた。
(ただ旅についてくるモロッコ人、日本人が異常に好きなオーストラリア人、一日中食事してくっちゃべるマレーシア人など)
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自分自身が、1人で旅行するのが好きだしそういう時間も取れてるし、わざわざ人の一人旅エッセイとかあんま興味ない…とか思ってたけど、さすが作家であり、ただの趣味が本となって世に出てるだけあって、面白かった。
すごく共感したのは、年齢によって、その旅スタイルも「面白い」の感じ方も変わるってとこ。
学生バックパッカーとの、どーでもいい恋バナ系モドキと狭い机での飲み食いが、彼らにとっては最高な時間であり、彼女にとってはどうしようもなくつまらなかった、ってくだり。
若い時に面白くてドキドキすることや経験することと、40になって経験することって、ほんと違うんだよなーー。
あと、彼女が旅してた時代が、90年代くらいまでがメインで、ひと世代昔なのも懐かしくてよかった。
昔はGoogleマップもwifiもなかったし、チラリと出てた中国の「見るだけデパート」の話も懐かしかった。
80年代の、東陣営が倒れる前の中国って、ほんとそんな感じだった。
まだ小学校低学年だったけど、社会主義がまだ残ってた時代の光景は異様だったし、あれを見れていたのはよかったなぁと、ほんと思う。
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旅のエッセイが読みたいなぁと開いた本。
筆者はいつまでも旅に慣れないと言っていたが、素人からすれば立派な旅人。
メジャーな観光地しか旅行に行かない自分からしたら目をパチパチするようなエッセイでした。
面白かったです。
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このエッセイを読み始めて、最初に読んだ『カップリング・ノー・チューニング』を思い出しました。確か1997年出版されて直ぐにバリに旅行する時に選んで持って行った1冊でした。最近の彼女はどんな旅をしているのかとっても気になります。
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マレーシアの「かくも長き一日」。ひとつのことをするのに12時間以上待ってもいい。ゆっくりやっていい。なんでもありだよ。
ふらふらとのんびり旅したい。
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この作家がこんなに旅をしていたことを初めて知った。著書をたくさん読んでいるわけでもないけれど、ところどころに惹かれる文章が。文章家はすごいです。
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海外を旅することは自分は殆ど経験がない。
そんな自分が読んでハラハラしたり、感動したり、旅した気分になれる本だった。
ちょっとクスッとしてしまうところもあったり、読んでいて飽きなかった。
1番印象に残ったのはベトナム。
グッとくるものがあった。
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「旅先で、その場所が書かれたもの、その場所で書かれたものを読む、というのはなかなか幸福な体験だと思っている。」
早くコロナが治まって、自由に旅行できる日々が戻ってくることを祈ってます
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はじめは、なんだか旅のスタイルや価値観が私とは少し合わないなと思いながら読んでいた。
イタリアのスリは過剰に警戒するのに、知らない人が売ってるクスリはいいんだ‥など違和感を覚える部分もあった。
「根拠のない恐怖もしくは不安に取り憑かれ、どうしても行きたいと思うところへいかない、どうしても見たいと思うものを見ない、というのは、私にとって何か、いきていくことの細部を一個ずつあきらめていくことに通じている。」
著者が、何度旅に出ても慣れないし、怖いと感じるのに、それでも旅をやめない理由をこのように語っているのを読み、腑に落ちた。
あまり下調べもせず、安全とはいえない場所へも一人で出かけていくのは、恐怖よりも好奇心が勝っているからなのだろう。
自分とは価値観が異なる部分も含めて、やはりいろんな人の旅行記を読むのは面白いと改めて感じた一冊だった。
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わたしは海外にまだ行ったことがなく、いつか行ってみたいと思っていたのですが、こんなに想像を絶する場所だとは思いませんでした。
日本の常識などまるで通用しない、何が起こるか分からないびっくり箱のような世界。それが海外ひとり旅なんですね…おそらく。
特に印象に残ったのは、友達と3人で麻薬をキメすぎた話でした。
わたしはこれまでも、そしてこれからも麻薬をキメることはないと思いますが、もし自分が麻薬をキメたらベッドシーツのシワが何に見えるのか気になりました。
犬の死骸か、ハムスターの集団か、はたまた…
でも、知らないで一生を終えても別にいいかなと思いました(^^;)
あと、中国がこれほど酷い国だとは思いませんでした。
屋台では、注文がうまく伝わらないとお店の人に怒られたり、ときには無視されたり。
がんばって伝えて買い物しても、釣りを投げられたり。ありがとうも笑顔もない。
さらに驚くことに、トイレにはドアがなく、前の人の尻を眺めながら、また後ろの人に尻をさらしながら用を足すそうですΣ(゚д゚lll)
わたしは政治経済の事についてはよく分かりませんが、今トランプさんが中国に関税をかけまくっているのは、以前中国に旅行に行った際に何か失礼な事をされたのではないかと頭をよぎりました。
ギョーザが食べたくても無視されたり、釣りを投げられたり、トイレで前の人に盛大におならをされたり。
……なんだかトランプさんが可哀想に思えてくるから不思議です(あくまで妄想の話です(^^;
Posted by ブクログ
旅と言うより冒険!という感じ。ライフラインは整っていない、言葉も通じない、虫だらけもへっちゃら、そんな辺境のような所での体験を楽しみに旅に出続ける作者は逞しいの一言。こんなにも憧れない、真似出来ない旅のエッセイはある意味衝撃かも。旅の楽しみ方はホント人それぞれだと思った。
Posted by ブクログ
大好きな角田 光代さんのエッセイ。1冊丸々海外旅行を綴っていて、旅行記ほど堅苦しくなく空いた時間を使って、角田さんと一緒に擬似体験旅行が堪能出来ます❗
ロシアやタイでの体験は、イメージ通りという感じでしたが、個人的には中国での体験が予想外で、中国に対する印象が大分変わりました。
好きはエピソードは、オーストラリアの日本人女が好きなカールさんを綴った『コノミ』、ラオスで旅スタイル改変?『旅と年齢』、イタリアの解剖博物館見学『過剰博物館』、台湾は平和?『明るい未来』、Yちゃんとの二人旅『アッパーとダウナーの旅』ですが、最後のキューバ旅行を綴った『いのちの光』は秀抜でした♫
Posted by ブクログ
角田光代さんは欧米などの人気観光地よりも、比較的マイナーな国々を個人で行かれることが多いんですね。印象に残ったのはタイについての記述。「私が旅に取り憑かれたのは1991年のタイ旅行がきっかけだった。人が異様に親切だった。目が合えば笑いかけてくれ、財布を落とせばこちらを捜し出して届けてくれ‥‥」 確かに、その地を好きになるかどうかは地元の人達がどうだったかに左右されそうです。