角田光代のレビュー一覧

  • 源氏物語 5

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    女三の宮の登場によって、一番愛されてはいても、よるべない立場なのだと自覚してしまった紫の上の動揺が不憫だった。
    親もなく、幼い頃から光源氏にグルーミングされてひたすら光源氏の理想の女性として生きざるを得なかったのに、正妻は別の人になり、自分は結局何者でもないんだ、なんなんだこれは?と足元が崩れるような感覚に陥った紫の上の心情がこれでもかと描かれていて、居た堪れなくなる。

    そして女三の宮も不幸な女性だ。玉鬘の強さ、聡明さのあとで対極にいるような、少々発達的な何かをお持ちのような女性として登場する。
    幾度も出てくる幼さ、あどけなさの表現。自我がなく、ふわふわしているうちに陥ってしまった事態も不憫。
    何度も出てくる厭わしい、という表現は、光源氏から女三の宮に、女三の宮から柏木に向いて、愛されない禍々しい子を残し、誰も幸福になれずやりきれない終わり方をする。
    光源氏の老い、翳りの見えた人生の後半戦を紫式部先生はシビアに描いてゆく。

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    2025年05月11日
  • キッドナップ・ツアー

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    交わされる言葉と、交わされずに留まる言葉を読んでいくうちに、確かに自分もそうして他人と接しているなと思う。

    私は月に一度のペースで幼馴染と2人でサーフトリップをするのだけれど、わざわざ時間と金と体力を注ぎ込んでいるのに、波のコンディションが悪くて、良いパフォーマンスが出せなかった日でも、無性に楽しいのはこういう事なんだなと思った。

    決定的な事柄や、直接的に感動めいた事を押し付けてくる事が全くなくて、全体的に清潔感に満ちていて、気持ちが良かった。

    後、夜の海に浮かぶの、今度やってみようと思った。

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    2025年05月07日
  • 夜かかる虹

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    心がザラっとする。

    表題作と「草の巣」の中編二篇を収録。どちらの主人公もほんの少し普通じゃない&性格が悪い。読んでいる間ずっと「どうして」が頭の中を飛び交い、ラストも特に救いがあったりスッキリしたりはしなかった。

    解説では、こういうことってあるよね!的なことを書いていたけれど、自分とはまったく縁のない話でステキとは思えなかったな。

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    2025年05月02日
  • 源氏物語 6

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    「夕霧」から「椎本」まで。夕霧は真面目な人が羽目を外すと大事になる見本のようで、かなりしつこい嫌な人。紫の上が亡くなり、光る君も。宇治十帖は光る君の息子、孫世代のお話。夕霧が右大臣、明石の姫は東宮の母。最後まで楽しみ。

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    2025年04月30日
  • だれかのいとしいひと

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    随所に出てくる、景色や光、空気、心情の描写が美しかった。それが物語全体に鮮やかな彩りを与えている感じがした。

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    2025年04月30日
  • Presents

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    人は、この世に生を受けてから生涯を終えるまで、たくさんの、本当にたくさんのプレゼントを貰う。

    今まで貰ってきた数々のプレゼントたちの記憶を呼び起こしてみる。
    その物があったからこそ生まれた経験、物だけではなく、楽しかった、驚いた、嬉しかった思い出、相手が自分を想って送ってくれたという背景、その記憶全てが、今まで自分が貰ってきた贈り物なのだ。

    特に好きなエピソードは「ランドセル」「鍋セット」「涙」

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    2025年04月30日
  • ちいさな幸福 All Small Things

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    『恋愛ってもっとぱあっと世界が光り輝くようなものではないの?』

    あなたにとってデートとは?
    恋人と過ごしたどんな時間が心に残っている?

    読者アンケートもついた、リレーのようにつながる短編集。

    恋をしたくなったが、不倫をしている人が多くて複雑な気持ち。

    小説の中に読者アンケートを載せるというのも面白い取り組みだった!

    ただいろんな人がいるなぁ…と笑

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    2025年04月29日
  • しあわせのねだん

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    ちょっとここ数年家計簿をつけてみている。
    その影響でおそらくこの本をとったのだと自分で思う。

    なので不勉強で申し訳ないが角田さんのことは全く存じ上げなかったし、この本が平成17年(2005年)に出版された結構古めな本だということは知らなかったが、面白かった。

    印象的なのは「鞄59,000円」

    僕は今年クラッチバッグをメルカリで売った。
    そのファッション性から社会人になって1年目に買ったものだ。
    当時はスラックスにドレスシャツにジャケットのジャケパンスタイルを完成させるために絶対に欲しいものの一つだった。(スーツじゃなくて上下違うもの。もっと言えば当時の僕はグレーのジャケットにネイビーのスラックスにクラッチバッグを合わせることになぜか異様にこだわっていた。)

    そんな思い入れがあるクラッチバッグをメルカリで売った。
    もともと大人っぽく見られたい欲から前述のようなファッションをしたかったのだが、もう年を取るにつれてそういった欲もどこかに消え失せてしまったし、そうなってくると物は入らないし、手で持たないといけない。もはやクラッチバッグに財布を入れて持ち運んでいると、革の財布を革の鞄にいれて持ち運んでいることに意味があるのかわからなくなる。

    クラッチバッグを売って以来鞄を買っていない。
    そんな次第でクラッチバッグを処分したからこそ「鞄59,000円」にはめちゃくちゃ共感したし声を出して笑った。
    そして読んだ後にまたなにか鞄を買いたくなったから不思議である。
    あとがきにあるように僕たちの一部は何にお金を払ったかでできているしあのクラッチバッグも自分の一部になっているからなのかもしれない。
    やはりときめく鞄は手に入れたいなと思った。

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    2025年04月28日
  • 子どもお悩み相談会 作家7人の迷回答

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    子ども?の悩みを起点として
    関係がありそうな話だったり
    なんでそんな話が始まったの?
    みたいな視点から思いもよらぬ
    結論のようなものを導きだす
    作家の皆さんに脱帽。

    子どもに相談されたら
    これぐらいのふわーっとした
    ベリーロールで華麗な着地を見せる
    解決策を提示したいものだ

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    2025年04月24日
  • 晴れの日散歩(新潮文庫)

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    何気ないエッセイだけど やっぱり文章が上手いから面白いし、疲れていてもスッと頭に入ってくるから仕事の合間にリフレッシュするのにちょうど良い。

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    2026年01月12日
  • 源氏物語 2

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    角田源氏2巻です。「紅葉賀」、「花宴」、「葵」、「賢木」、「花散里」、「須磨」、「明石」の7帖を収録。

    藤壺が光君そっくりの子を出産、光君と年配の典侍との逢瀬中に頭中将が突入、有明の君(朧月夜)との出会い、桐壺帝が譲位し朱雀帝即位、新斎院の御禊の儀式で六条御息所と葵の上の「車争い」、葵の上の出産と死、紫の姫君と結婚、桐壺院の死、藤壺出家、尚侍(朧月夜)との密会が発覚、麗景殿女御の妹三の君(花散里)を訪ねる、京を離れ須磨へ、明石へ移り明石の入道の娘と会うようになる、朱雀帝の眼病が悪化し京への帰還を命じられる、入道の娘懐妊、光君帰京。

    おもしろいぞ『源氏物語』! ていうかおもしろくなってきた。とくに「明石」がめちゃくちゃおもしろかった。ストーリーとしてうまくできてるし、こんなに笑いの要素もあったのかとちょっと意外な驚きもあり。スルスルと楽しく読めて、やっぱり角田訳が私には合っているようです。

    「文庫版あとがき」がまたすごく良い。物語を読んできた者として、「そうそう、そうなの!」とうれしくなります。六条御息所のことなんかもう共感の嵐で涙出た。私も胸を締めつけられた、六条御息所の哀しさ。歌舞伎でも「六条御息所の巻」として上演されるほど、印象深い人物です(この歌舞伎、2025年9月に映画館で見られるそうで、見るか迷い中)。

    さぁ、3年ぶりに京へ帰ってきた光君に何が起こるのか。次のお話が楽しみ!

    明石の入道がもう、ほんと笑える。あたしこの人好きですわ。頭中将もすっっごくいいヤツで好きです。

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    2025年04月13日
  • ご本、出しときますね?

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    番組Pの佐久間宣之の『おわりに』が印象的だった。作家さん達の考え方の違いが面白く、文字だけで伝わる人柄みたいなものに押されて何冊か本をポチった。

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    2025年04月12日
  • 笹の舟で海をわたる

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    昭和という時代をたどりつつ
    重畳するふたりの女性のお話

    悪意あっての接近なのか
    あくまで好意なのか
    かなりもやもやしつつ
    続きが気になり....
    最後は主人公なりの
    人生の答え合わせが出来て
    良かったとほっとした

    風能奈々 さんの装画が素敵

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    2025年04月10日
  • あなたを待ついくつもの部屋

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    帝国ホテルと言えば,前職での職場での会食の後、決まって17階のバーに行くのが恒例だった。成功者とバブルの象徴のようなホテルだが、角田さんが描くと嫌な感じがしないから不思議。建て替えられるのは残念だが、その前に一度はバイキングに行ってみたい。

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    2025年03月28日
  • 私のなかの彼女

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    久しぶりの角田さん。
    以前読んだ本の内容はすっかり忘れてしまったしまだ若い頃だったので、再挑戦。

    こちらは自信のない大学生が、
    成功者の彼氏に劣等感を持ち続け、
    対等になるべく奮闘する話。

    自分の限界を決めるのは自分自身、
    みたいなところは良かった。

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    2025年03月28日
  • あなたを待ついくつもの部屋

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    大きなことが起きるわけでもない掌編の連なりで、ごくささやかな非日常の雰囲気が意外とよかったです。似たような年代の女性ばかりが主人公だからそういう趣向と思ったら、最後の方でなぜか1つ2つ男性主人公の編があったのが多少不思議でした。別にいいけどどうして。

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    2025年03月26日
  • 源氏物語 4

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    玉鬘編、面白い。
    玉鬘、美貌によってあらゆる男が寄ってくるが、本人はあまり恋愛体質じゃないらしく常に鬱陶しがっていて気の毒に思える。
    言い寄る光る君もすっかり中年なのではっきり言ってキモい。紫式部もおっさんの懸想にちゃんと見えるように描いているので、キモく思えても仕方ない。
    玉鬘にすっかり入れ上げた髭黒に嫌々ながら嫁ぎ、嫌々ながら子をなす。
    多分玉鬘は、その生まれ育ちから心が落ち着いた生活を送れたことがなく、とにかく心の平穏がほしかっただけなのだろう。
    だけど美しいうえに高貴な生まれなので、誰も放って置いてくれない。
    他におんなの生き方がなかったからしょうがないのだが、そんなふうに仕方なしに結婚するおんなも描いている。
    みんながみんな恋愛して好きな男と結ばれることが最高なわけじゃない。ってことも千年前に式部先生はわかっておられた。
    恋愛的に淡白な玉鬘とバランスを取るように、玉鬘編のあとに宰相の君の成就が描かれていて、わかっとるなー式部先生…という気持ちになった。

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    2025年03月25日
  • ご本、出しときますね?

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    オードリーの若林と作家たちが対談し、”自分のルール”についてをメインに小説を書くにあたってのモチベーションや作品の映像化の話、小説には関係ない話まで色々と語る番組の書籍化。各回の最後にはオススメの本が紹介されています。それぞれのこだわりや持ち味が出ていて面白かったです。テレビで実際に話しているのを見たかったかな。

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    2025年03月21日
  • 坂の途中の家

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    『八日目の蝉』『対岸の彼女』『紙の月』など、少し屈折した女性心理を書かせたら、めちゃくちゃ深い描写にいつも驚かされる角田光代さん。この小説もかなり重かった…

    主人公は裁判員裁判の補充裁判員になった女性。担当する事件は、育児に疲れた母親が幼い赤子を風呂の浴槽に落とし、殺してしまったというもの。イヤイヤ期の娘がいる主人公は、年齢も性別も家庭環境も近い被告人に自分を重ね合わせてしまい、だんだんとネガティブな感情に支配されてしまう…。裁判員もいろいろな立場…中年男性、年配の女性から中年男性、主婦、若い二十代男性など、様々な人がいるから色々な意見がでる。自分がおかしいのか…悩む主人公。

    我が家ではもう成人した息子らの育児に、僕もしっかりと協力(この言葉にも問題?)したかと聞かれたら、自信が無い。カミさんが育児ノイローゼや鬱になるほどまで追い込まれたかなあ…たぶんそこまでにはならなかったような気がする。(気が付かなかっただけかな…)

    主人公のご主人の挙動を見ても、僕には決して問題があったとは思えない。しかし主人公はモラハラと捉え、病んでしまう…。
    『いい旦那してるじゃん』…僕は人からそう言われたことも多いが、カミさんからするとデリカシーない発言だったり、イヤミに聞こえて傷つくとか、ひょっとしたらあったのかもしれない。

    女性心理はやはり男には計り知れないもの。それは決してどの女性にも共通に正解では無いのだろう。しかし相手を見極め、言葉を選ばなければいけないとしたら、これは本当難しいよね…

    WOWOWのドラマでは主人公は柴崎コウが演じたようだ。ネトフリにもあるから、今度見てみよう。

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    2025年03月21日
  • ナナイロノコイ

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    なんとなくバレンタインシーズンで久々に恋愛小説が読みたくなって。
    ドラジェと、そしてふたたび、私たちのことが好きだったかな。
    やっぱり好きな作家なんだなぁ、江國香織と角田光代。

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    2025年03月20日