角田光代のレビュー一覧
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◾️サマリー
・お母さんだと思っていた人は誘拐犯だった
・実の親か、育ての親か
・実父と実母が最低すぎる
◾️所感
悲しい物語である。もしも、誘拐犯の野々宮希和子が捕まらなければ、逃げ切れていれば、薫こと秋山恵理菜の人生は、幸せだったのではないかと思った。
世の中、知らない方が幸せなこともある。
もちろん、誘拐行為は悪である。しかし、実父も実母もそれぞれ不倫、浮気をした上で産まれてきた子である。
他人にも関わらず、血の繋がりのない希和子と薫には、親子以上の繋がりがあるように思えた。
薫は、両親のもとに戻るが、とても幸せな人生を歩んだ訳ではない。実の親か、育ての親か。
希和子が警察に捕まる瞬 -
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読み応えがあった。
よかれと思って信じて邁進する。「自分だけは救われたい」「きちんと調べて知識を得たら報われる」 不三子はそんな風に一生懸命生きてきた。家族らとの関わりの中でも常識を持ち合わせている。責められるようなことはないはずなのに、何か歯車が噛み合わなくなった。
一方飛馬は、様々なデマと遭遇し、その都度向き合い方を考え続ける。自分が母に出したメッセージが結果的にデマだったのではないか、それによって母は命を絶ったのではないかとの思いを持ち続ける。祖父の偉業を刷り込まれていたことにも疑問を感じるようになる。
飛馬が同級生の美保の行方が気になったり、文三子に不思議な共感を覚えたりする根底 -
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ネタバレああやだなぁ分かる分かる、と凡庸で主張のない自分に重ねて読んでしまった。加えて昭和が古い時代になっていく感覚や戦争時のこどもたちが受けた凄惨な体験の記憶。全部混ざって読んでてつらかった。
左織の人生の終盤での風美子の受け入れ方も納得。人生がここまできたら、諦めと悟りで心穏やかになるよなと思う。凡庸というか、素直な人間なら尚更。
風美子については、10歳にも満たない小さな女の子がいじめと虐待を受けて、選んだ未来が人生に勝つことって、そりゃ輝いて見えるよなぁと。強い。そして、左織の猜疑心のフィルターをはずすと、彼女はとても優しい。
でも、わたしもまんまと後半まで猜疑心を持って彼女を見ていました。 -
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ネタバレ人が親しくなるとはどういうことか、かなり考えさせられた良書。
中盤までは普通に楽しく読めるが、「これが直木賞?」と疑ってしまうような展開が続く。それが後半部で、突然目前に本書のテーマが突きつけられる。
同じ時と場所で、同じ行動や価値観を共有できる関係が、究極的な理想の友情関係であると、私たちは心の奥底に持っていると言えそうだ。
理想に近い友情関係を現実化しやすいタイミングや条件は、本書にあるような中学生時代の女子で構成人数が一番少ない2人なのかもしれない。
それが成長と共に、受験や恋愛、仕事、結婚、子育てなど、同じものを共有しなくても相手に許される「断る理由」が増えてくる。
断る理由 -
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一つ一つの話が短くて読みやすい上に、繋がりがあった。失恋させる側もする側も経験してる登場人物が多くて、リアルだなと感じた。
「勝負恋愛」のゆりえの、相手に熱中してるからこそ気持ちを伝えるのを諦めてしまう気持ちが痛いほど分かった。私も、自分たちの関係性が壊れるかもしれないと少しでも思うと恋人に本音が伝えられなくなる。あとは自分の求めてる答えが返ってくるまで質問したくなってしまう気持ちにも共感した。その後の「こうもり」の話で槙仁がさよりとの会話を通して、ゆりえの寂しそうな様子に気づく描写が良かった。
「成功する時は周りの人間をこき下ろす気にならないくらい他人が気にならない」という言葉が心に刺さ -
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角田光代さん訳『源氏物語』5巻。「若菜 上」、「若菜 下」、「柏木」、「横笛」、「鈴虫」の5帖が収録されています。
朱雀院出家。光君40歳の祝賀。朱雀院の姫君女三の宮が光君と結婚、六条院へ入る。光君、二条の宮に移り住んだ尚侍の君(朧月夜)を訪ねる。明石の女御、男の子を出産。明石の入道が命尽きるまで勤行すると決め山に入ったことを、明石の御方、娘女御、尼君、そして光君も、手紙で知る。督の君(柏木)、蹴鞠に興じていたとき、唐猫のせいでめくれた几帳の奥に、昔から心惹かれていた姫宮(女三の宮)の姿を見て思いを募らせる。冷泉帝退位、東宮が即位。太政大臣は辞職、左大将(鬚黒)は右大臣に昇進、明石の女御の産 -
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柳原飛馬と望月不三子の二人が交互に主人公となる章が続いていく。なぜこの二人なのだろう?この物語はどこに繋がっていくんだろう?と訝しく思いながら読み進むうちに、結構夢中になってしまった。
1967年から2022年まで、当時の世相を交えながら、二人の人生の歩みが細やかに綴られていく。
同じ時代の体験者である私は、本当にいろんなことがあったなぁと、特別な感慨に耽る。マンガ雑誌で文通が流行ったり、超能力がブームになったり、コックリさん、口裂け女などのオカルトブームもあった。バブル崩壊、地震台風などの自然災害と人災、カルト教団、世紀末。。コロナや昨今のSNSのデマ情報。。書ききれない。
ノアの方舟伝説 -
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角田光代さんが韓国ドラマ沼にハマったなんて意外!と思って読んでみた。ご本人も意外と思った様子と一歩ひいた雰囲気で韓国沼におそるおそる足を踏み入れる(?)様子が私と同じかな?と、楽しく読んだ。この本で紹介されている中で私が見たことがあるものは『トッケビ』のみ。角田さんはあまりハマらなかったみたい。私は恋愛ドラマが苦手な割にどっぷりハマりました。
ご紹介いただいているもので気になったものをメモ。少しずつ観ていこうと思う。角田さんの感想と答え合わせする楽しみが増えました。ありがとうございました。
【観たいドラマ・映画】
その年、私たちは
二十五、二十一
ナビレラ -それでも蝶は舞う-
まぶしくて -
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夏っぽい本が読みたくて、
仕事帰りにいつも立ち寄る書店をうろうろしていたら。
本作が特集コーナーに面陳列されていて。
青いプールと制服を着た女の方たちがインパクト大。
思わず手に取りました。
思春期のモラトリアムとか、
不安定さ、死にたくなるような衝動、
破壊的な衝動でとめられないいじめと暴力、
割り当てられた役割を演じること、
性への興味、
怒涛のように迫ってくる短編集でした。
爽やかな表紙から想像していたものとは、
全く違いました。
あとがきにもあるように、
完全なフィクションで、
大人になった私にとって完全な他者か?
と問われると…
通勤中に読んでたら、
少しだけザワザワして
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登場人物の母親達がみんな主婦だったり、夫達が家事をしている様子もなく子育てに無関心だったりと、本の刊行年は2011年なのに昭和か平成初期の話?と思ったが、案外富裕層の夫婦は今もこんな感じなのかもしれない(モデルとなった事件が1999年なので私の疑問もあながち間違いでもない)。
自分の芯がズレると自分や大事にしなくてはいけない家族に向けるべきエネルギーがすぐに他人に向いてしまうのはよく分かる。自分は子供がいないが、もし将来出来たとしてもあくまでも他人ということを忘れずに、好きに人生を謳歌してくれ!くらいの気持ちで接しないと、距離感が簡単におかしくなってしまいそうだ。 -
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「今」に相応しい小説だった。
予備知識なしで読み始めたので、だんだんこれはどんな小説なのかと不安になってきたが、読み終えてみると、テーマははっきりしていたように思う。
何がデマなのか、デマでないのか。
そんなのデマに決まってるということも、信じる人が多数で、えっ?と思うことが多い。
選挙活動で、驚くような嘘を平気でつく候補者や政治家。無知なのか、わかってやっているのかの境目も難しい。そんな人は昔からいたのもしれないが、SNSという手段で、どんどん目立ってしまう。そして非常に広範囲な人のもとに届く。ということは騙されてしまう人も多くなる。
自分でしっかり調べ、自分の頭で考えることが大切だ。でもそ -
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帝国ホテルを舞台にした42編もの短編集。
ひとつひとつが、誰かの記憶の中で小さな宝物みたいに光っている。
そんなひとときを描いたストーリー。
角田さんは昔から好きな作家さんのお一人。
いくつになって読んでも、やっぱりじんわり心に響いてくる瞬間に出会える。
読んで良かった。
ホテルって、いつもよりちょっと贅沢で特別な場所。夫婦に親子、恋人、若い頃の自分、仕事仲間、さまざまな人との思い出をつなぐ特別な場所でもある。
切なかったり、胸がキュッとするもの、郷愁を感じるもの、幸せを感じるもの……
何だか懐かしい夢を見ているような、思い出をたどる旅のような気持ちになる。
読後のしっとりとした余韻もよ