角田光代のレビュー一覧
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ひとつ目の章「旅する本」を読んで、ようやく再読とは何かを理解することができた。
私は本を再読したことがほとんどない。読んだことがある作品より、未読作品の方がどうしても魅力に思えてしまう。だから、読書好きでありながら再読の魅力がよくわからないという「本当に読書が好きなのか?」と疑問に思える状態のままいい歳になってしまった。
再読すると、「こんな話だったっけ?」と記憶との違いに戸惑うことがある。当時と違ったところに心動かされたり、逆に初めて読んだ時に心動かされた部分が響かなかったりすることも。
それは時を経て自分自身も変わってきた証拠なのだ。
再読にはそんな自己発見を促す側面があることに気付けたのが大きな収穫だった。 -
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バーベキュー日和(夏でもなく、秋でもなく)
友人の恋人と密かに付き合うくせのある女の子のお話。浮気する人の思考は今までもこれからも理解できるような人になりたくはないけど、こういう視点で人を好きになる人もいるんだ、と少し感心するような心持ちになった。すぐに崩れてしまいそうな関係性ではらはらしてでもなぜか惹かれてしまった。
だれかのいとしいひと
終わりそうな恋人とのデートに姪っ子を連れていく女の子の話。自分には経験がないことだからもし自分がこの子だったらどうするだろう、と想像しながら読んだ。一瞬だけだけど小さい頃一緒に遊んだ子のことを思い出す作品だった。儚い思い出だなとじんとくる思いを呼び起こしてくれる作品。
花畑
救いようがなさすぎた、本当に主人公はこれでいいの?と疑問が残ったけど、でも彼女なりに気持ちに整理がつけられたならそれがいいと思った。個人的にはもっと幸せになってほしい。
海と凧
女の子が過去に付き合ってた男の子との思い出がすごく羨ましかった。なんで顔が思い出せないのかわかったときはその描写が素敵すぎて思わずため息が出るほどだった、1、2を争うくらいこの短編集の中で好き。 -
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平安時代の高貴な女性は、自分の屋敷内でほとんど外出らしい外出もせず生きなくてはならない。
この頃は通信手段がないから頼りにしている男性とすれ違うと特に女はひたすら待つしかなくて、思い悩みそして病みついて呆気なく死んでしまう。
宇治編に入って、そういった息苦しさ、閉塞感を特に強く感じた。
源氏物語には、相手がいかにイケメンだろうと、結婚自体したくない、したくないけど生きなければいけないから仕方なしに添うという女性が何人も出てきます。そんな狭い生き方しかできない女を、紫式部先生は何度も何度も描いていて。その中でも大君は頑なで。望む生き方ができるわけでもない、男女の恋愛に振り回されるのも煩わしい、放っておいてほしいとずっと思ってる感じ。でも現実を見ているからこそ妹だけはと言う気持ちでなんとかやっていて、長子の責任感とか真面目さが痛々しい。
大君のように、誰も嫌いではない。でも、自分は結婚したくない。というような、今だったら珍しくないけど、1000年前には難しかった消極的な願望や生き方も、紫式部先生は否定せずそういう人もいるよね、と描いているのが、やっぱりすごいなあ…と。 -
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角田光代さんの、本にまつわる短編集。
本はひらくだけでどこへでも連れて行ってくれる。
といったフレーズが出てきて、私も同じように思っていたため、ドンピシャ感があり嬉しかったです。
自分が体験したことのないことを経験したり、行ったことのない場所へ行ったような気分になれるのが本の良いところだとずっと思っています。
ここからは個人的な話です。
将来について考えていると、本ばかり読むのではなくもっと積極的に遠くへ出かけたり行動に移すべきなのかなと感じることも増えてきましたが、
もちろん行動できるのが1番だけれども、
人によって色々事情があって行動が伴わないこともあるから、そんな時は本を通じて経験をし、自分のペースでやっていくでも良いじゃないかと
背中を押してもらえたように感じた一冊です。 -
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角田 光代さんと言えば、『八日目の蟬』や『紙の月』、『坂の途中の家』等の少し重苦しい作品を思い浮かべる方が多いかも知れませんが、数多く出版されている角田作品の中でも大好きな作品のひとつです❗️
本との付き合い方は十人十色、あなたはどんな本とどのように出合い、どのように過ごしましたか⁉️
そんなことを、読後あなたに問いかけたくなる作品でした
好きな話しは、表題作と『旅する本』、『彼と私の本棚』、『不幸の種』です
当初本書は『この本が世界に存在することに』というタイトルでしたが、個人的には本書の『さがしもの』という方がしっくりくると思っています
本書が出版されてから約20年位経ちますが、本に纏わる話しの続きを読んでみたいと思っているこの頃です❗️ -
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ネタバレこの小説を一言で表現するなら、「重い愛の話」だと思う。
この本を読もうと思ったきっかけは、本が薄くて読みやすそうだったことと、恋愛系の小説を読んでみたいと思ったからだ。普段、私は恋愛小説をあまり読むことがないため、最初はどんな話なのか少し興味を持つ程度だった。しかし、実際に読み始めると、登場人物たちの恋愛や人間関係に引き込まれ、次のページが気になってなかなか読む手を止めることができなかった。
特に、主人公のテルコの恋愛に対する一途さや、マモちゃんを思い続ける姿は、現実ではなかなかここまで相手に執着する人はいないのではないかと思う一方で、恋愛をしたことがある人なら少し共感できる部分もあるように感じた。登場人物の行動に「どうしてそんなことをするのだろう」と苛立ったり、もどかしく思ったりする場面も多かったが、それだけ登場人物の感情がリアルに描かれているからこそ、強く印象に残ったのだと思う。
また、物語を読んでいるうちに、自分自身の過去の恋愛や、誰かを好きになったときの気持ちを思い出すこともあった。恋愛には、幸せな気持ちだけではなく、相手を思いすぎて苦しくなったり、周りが見えなくなったりすることもある。この作品は、そんな恋愛のきれいな部分だけではなく、人を好きになることの不器用さや怖さ、執着することの苦しさまで描いているように感じた。
読後は、すっきりとした終わり方ではなく、少しモヤモヤした気持ちも残った。しかし、その「すっきりしなさ」も含めて、現実の恋愛に近い作品なのではないかと思う。登場人物たちの恋愛を見ているだけなのに、自分自身の恋愛観についても考えさせられる作品だった。
普段はあまり恋愛小説を読まない私でも、最後まで夢中になって読むことができたので、読んでみてよかったと思う。この作品をきっかけに、角田光代さんの他の作品も読んでみたいと思った。 -
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いろいろな作家さんの話が読めるので、短編集はさくさく読めてしまいます。今回は、『最後の晩餐』をテーマに7編が収録されていました。『最後の晩餐』というと、イメージとしては悲しかったり、切なかったりというマイナスな感情が先にたっていたけれど、どの話も前向きな話で自分の『最後の晩餐』についても考えてみたくなった。
どの作家さんの話も好きだったけど、個人的には金原ひとみさんの話が好きでした。コンプラが叫ばれる社会でこんな集まりがあって、ひたすら高カロリーな物を食べまくる…素敵な最後の晩餐だなぁと羨ましくなった。ちょっと学生時代を思い出した。
井上荒野さんの「本当の話」も心がじんわり温かくなる素敵な話でした。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ母親、昔の友人、なにより自分自身の過去の思考や行動を思い返させる共感力の強い一作。昼ドラにありそうなママ友のドロドロ話かと思いきや、思ったより奥が深かった。どうしても他人と比較してしまうという、人間しいては女性ならではの心情描写がとても細かく、思わず共感してしまった。色んな議論が絡まるので議論本としても良さそう。
興味深かったのが、主人公はおらず、子を持つさまざまな母親の視点から描かれていること。皆が憧れる、芯が強そうな母親でさえ冒頭では「他者(特にママ友)と比較するのは馬鹿馬鹿しく無意味」と頭では理解しているのに、実際体が思わず嫉妬や激しい怒りに動いてしまうその大きな溝に自身で驚くとともに、引き裂かれる思いになる。
特に容子は、他人依存思考で読者としても苛立つ思考と言動を持つまさに「嫌われるママ」なのに、後半では思わず共感してしまうような場面も。
それぞれの結末も、人生において何が果たして「成功」なのか、考えさせられる。子の受験(又は子育て)に失敗した千花、かおり、繭子は現実と向き合い、前向きな姿勢に対し、受験に成功したはずなのに心の闇から抜け出せない瞳、そして子に依存し楽観的な容子。それぞれの違いとしては「他者に責任を押し付け依存する」か、「自身でしか解決できないと現実を理解すること」な気がする。
つまりは人に依存しないほうが人生はうまくいく、と。全くその通りなんだけど、いうほど簡単ではない人間の欲深さがうまく描写された本だと思った。