角田光代のレビュー一覧
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ネタバレ空中庭園を読んで、巻末解説でぜひ対岸の彼女を読んでみてほしいと書いてあったので、手に取ってみた。とても良い物語だった。
おもに小夜子視点から綴られる現在の話と、葵の過去話でストーリーが展開されていく。僕は後者の、葵とナナコの物語に惹きつけられてページをめくっていたので、終盤に会社からどんどん人が離れ、小夜子にもあんなことを言われ去られてしまった葵に心が痛み、なんとか救われてほしいと思ったので、結末まで読んで少しほっとした。小夜子と葵のすれ違いは、ただお互いがその時々に考えていたことや立場が違ったことからくるもので、もちろんそれぞれに悪いところはあるのだけれども、それよりはタイミングや環境の違いで決裂に進んでしまったというのがなんとも切なかった(ので、最後に小夜子がああいうふうに決意してくれてよかった。ホームビデオを見るくだりがきっかけだったけど、あの場面でも思わず泣いてしまった)。
人付き合いのわずらわしさとか、ささやかな悪意に辟易とする感じとか、孤独感とかに比べると、どこかに行けると思ってたけどどこにも行けなかった息が詰まる閉塞感とか、友達に勇気をもらってなんでもできそうな気がしてくる高揚感とか、そういった気持ちは自分の10代を振り返っても経験があまりなく、よくわからなかったけど、そういう感情の体験をともにできる人がいるというのはいいなと思わされた。
過去編の最後に葵とナナコを会わせてくれた葵パパにはありがとうと言いたい。ナナコはどこかで楽しく生きられているのだろうか。そうだったらいいなと思う。 -
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2026.08.24
「昔の私」がテルコの中にたくさん散らばっていて、なんとも言えない感情で心がいっぱいになった。
会えるわけではないのに会えそうかも、の見切り発車で好きな人を無謀にも待とうとしたり。
終電も終わった夜、反対方向にいるのに、あたかもそこに行く予定だったと嘘をついて何千円も払ってタクシーで速攻かけつけたり。
テルコの中に何度も過去の私が垣間見えた。
「都合のいい女」に成り下がってることはわかりつつ、「都合のいい女」でいなきゃ繋ぎ止めて置けない関係もある。他人に何を言われようがこうしてたいんだと思える独りよがりな恋愛だった。
苦しいことのほうがたくさんあったけど、そういう恋愛の方が今の自分を強くしてくれている気がする。
テルコとマモちゃんの不健康な関係は、綺麗な結末に着地するでもなく、ただ形を変えて現状維持をしていく。
共感できることがたくさんあり、当時の自分じゃなく、俯瞰できる今でこそ私に刺さる作品だと思った。
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山にまつわるエッセイアンソロジー
誰のページから読もうかとワクワクして買った
まずは、東出昌大さんからに決めた!
次は松永K三蔵さん
続いて角幡唯介さんに長瀬ほのかさん
大好きな作家さん目白押しである
もちろん初読みの作家さんもいて
みなさん面白かった...が
やはり自分に合わない書き手の方はいるもので
古賀及子さんはいままで出たエッセイが苦手で合わないな~と思っていたが、この本でも彼女だけはクソおもろなくて1ページも読めなかった
古賀及子のターンが無かったら★5つなのにな
たぶん前世で親でも殺されたのかもしれん
山なら私も言いたいことはある
きっと全ての人がなにかしらエピソードを持っているんだろうな~ -
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本がテーマの短編集。なんで本を読むのが好きなんだっけ?の答えがここにある。
『旅する本』
日本の古本屋で売ったはずの本が、ネパール旅行先で再会する。その後も何度手放してもまた巡り会う。
昔読んだ本を読み返すと、記憶に残ったいた話と全然違ったり、すごく好きだと思っていたのに全然響かなくなっていたり、自分がその期間にいろんな経験をして価値観が変わっていることに気づいた経験は私もある。
『彼と私の本棚』
本の好みが驚くほど同じだった彼。その彼の新しい好きな人は、本を読まない人だった。
失恋の表現がとても好き。
「だれかを好きになって、好きになって別れるって、こういうことなんだとはじめて知る。本棚を共有するようなこと。...記憶も本もごちゃ混ぜになって一体化しているのに、それを無理やり引き離すようなこと。すでに自分の一部になったものをひっぺがし、永遠に失うようなこと。」
『不幸の種』
占い師に不幸の種だと言われた本。それを元彼を取った女友達に渡す。他人がその人のことを不幸だと思っていても、本人はそうは思っていなかったりする。結局は本人の捉え方次第だから、自分も他人をジャッジするのをやめようと思ったし、人からのジャッジは気にしなくていいと思った。
「さっきも言ったけど、この五年、私不幸だとか災難だとか全然ないよ。」
『引き出しの奥』
色んな男の子と寝てしまう大学生の女の子。初めて人を好きになった時に、今までは見えていなかった風景が色付いて鮮明に見えてくる描写が綺麗。
『ミツザワ書店』
「だってあんた、開くだけでどこへでも連れてってくれるものなんか、本しかないだろう。」という言葉は、私にとっても本を読む大きな理由の一つだと思う。
『さがしもの』
「いつだってできごとより、考えの方が怖い。できごとは、起こってしまえばそれはただのできごとなのだ。」というのは納得。色々想像するから怖くなる。だから考えないようにして、目の前のことを一つひとつ片付けていけば、いつのまにかできごとは終わって記憶の底に沈澱するみたい。 -
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作品紹介・あらすじ
谷川俊太郎、江國香織、川上弘美、角田光代らによる、佐野洋子『100万回生きたねこ』への、13人の作家によるトリビュート短篇集
江國香織「生きる気まんまんだった女の子の話」
岩瀬成子「竹」
くどうなおこ「インタビューあんたねこ」
井上荒野「ある古本屋の妻の話」
角田光代「おかあさんのところにやってきた猫」
町田康「百万円もらった男」
今江祥智「三月十三日の夜」
唯野未歩子「あにいもうと」
山田詠美「100万回殺したいハニー、スウィート ダーリン」
綿矢りさ「黒ねこ」
川上弘美「幕間」
広瀬弦「博士とねこ」
谷川俊太郎「虎白カップル譚」
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佐野洋子「100万回生きたねこ」を読んだ作家・詩人たちによるトリビュート集。
惹かれる作品(江國香織、井上荒野、町田康、今江祥智、川上弘美など)もあれば、そう感じない作品もある。一体どうやってあの「100万回生きたねこ」からこのような作品が生まれたのか、一読ではわからないものもある。「ねこ」がまったく登場しない作品もある。「100万回生きたねこ」というテーマがありながら、内容に一貫性はなく、トリビュート集らしい幅広さがある。
「ねこ」が登場しないので、これは「100万回生きたねこ」とは関係ない作品だ、というレビューもあったけれど、僕はそうは思わない。「100万回生きたねこ」はけっして「ねこ」だけの話ではない、と思っているから。また「100万回生きたねこ」を読んだ人は本書を読まないほうがいい、というレビューもあった。確かに「100万回生きたねこ」の読後感の感動からほど遠い作品も収まっているので、そのレビューにもある意味では賛成できる。ただ「100万回生きたねこ」を読んだことによって、こんなにも幅広いリアクションが誕生した、ということも事実なので、僕は「100万回生きたねこ」を読んだ人にこそ本書を読んでほしい、と思ったりもしている。「ああ、読んで失敗した」と思われても責任は取れないけれど。 -
Posted by ブクログ
終始ゾワゾワする、こういう女同士の心の機微を書かせたらめちゃうまいなぁと久しぶりに角田作品を一気読みして激しい運動を終えたような気分。回想で疎開先での意地悪をした上級生もそのあと出てくるが別に成敗されるわけでもなく、読者の期待を絶妙にずらしてくる感じ!イヤミたっぷりの義母とか酒に溺れる風美子の旦那など脇を飾る人も存在感たっぷり。地味で保守的な左織の目線で描かれているから面白い。
左織と百々子の関係がピリつきすぎて読んでいて辛い。ほぼ全方位左織のこうありたいという展開にならず、でもそれも本人の自覚のなさなんだなぁ、と思ったり。自分のことを省みてますます重い気持ちになってしまった。
最後は自分の人生を選択できてよかった。時代のせい、誰かのせいにしない生き方をしたい。
昭和の世相から平成初期の出来事まで物語に絡んでいてそこも楽しめた。
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ネタバレ【収録作品】
江國香織「コインランドリーの夜」
金原ひとみ「ラストサパーフォーエバー」
角田光代「最後の鰻」
寺地はるな「小曾根幸子の送別会」
原田ひ香「最後に、何を食べたの?」
藤野千夜「もうひとりのねえちゃん」
井上荒野「本当の話」
人生の最後に何を食べるか? をテーマにした、アンソロジー。
「コインランドリーの夜」の弥生子、「小曾根幸子の送別会」の小曾根幸子の生き様は小気味よい。
「最後の鰻」は仲の良い家族の空気が伝わってきてほのぼのとする。
「ラストサパー…」と「もうひとりの…」は年代こそ違うが、シスターフッドのよさをしみじみと感じる。
「最後に、…」は嫌な話にならなくてよかった。
「本当の話」は夫に先立たれた妻の寂しさが身に迫る。
粒ぞろいのアンソロジー。