角田光代のレビュー一覧
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スリランカの神さまに会いに行き、自分の祈りについての矛盾を感じる【神さまに会いに行く】から始まり、京都の縁切り寺で救いを感じる【絶望退治】まで、8編の短編集。
わざわざ出かけて祈ることの意味を改めて考えるきっかけになる本でした。外国へ出かけてまで自分の願いを叶えるために祈りたかった気持ちが、実際にその場に着くと意外と今までと違う気持ちになったり···。思い詰めたことに光がさしたり···。初めて気づくことがあったり···。8編それぞれの思いが楽しめました。
私のお気に入りは【聖なる濁った川】と【絶望退治】。二つとも、その場所に行ったからこその気づきがありました。
自分のための神さまはどこへ -
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ネタバレ随分前に映画を観ていたのですが、小説もやっぱりおもしろいですね。角田さんの書かれる作品はそれぞれの登場人物の感情がとても細かく表現されていて読んでいて嬉しくなったりハラハラしたり時には寂しくなったり、といとも簡単に感情移入させられてしまいます。
希和子と薫が路頭に迷ったり危機が迫ってくると「早く逃げて」と焦り、ようやく落ち着ける場所を見つけると自分もほっと胸を撫で下ろす。希和子は母として薫の成長を心から喜び、一見すると美しい親子の物語のようにも見える作品です。希和子が捕まるまでは2人の生活がいつまでも続きますように、と応援している自分もいたはずなのに後に薫が実の両親の元へ戻されて恵理菜として -
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「何かを信じるということは、その分視野が狭くなることだ」と、ある人のネットの書き込みになるほどと思ったことがある。一般に「信じる」という言葉には良いことである印象があり、「疑う」という言葉にはネガティブなイメージがあるので、「信念とは視野狭窄である」という考えは、常識をひっくり返す視点があったからハッとしたのだろう。だからこそ何を正しいと信じるべきか、人が言ってることを鵜呑みにしたりせず「自分の頭で考えなければならない」と本作の登場人物たちが繰り返し語る。しかし常識を疑い自分の頭で考えれば正しいことに辿りつけるのだろうか。あることを妄信してその後それに批判的な言説は一切シャットアウトしてしまう
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新潮文庫の100冊に入っていたことと、角田光代の作品が好きで作家買いしたことだ。
まず、手に取って最初に目次の段落の取り方がおしゃれだと感じた。本書は本にまつわる短編集であり、それぞれの物語で、登場人物の人生と本との接点を楽しめた。
本を再読するのが苦手な自分でも、この本のおかげで再読の楽しみを教えてもらった。昔読んだ本をもう一度手に取ってみようかな、と思ったり、今ある本を手放すことが別の本との出会いにつながるのかな、と考えさせられたりした。
また、本になにか書き込むという行為も、後々の自分や、もしかしたらその本を読む別の誰かへのロマンになると思えた。 -
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いやあ、夕霧キモかった。
落穂の宮にしても、女三の宮にしても、玉鬘にしても、源氏物語の女性は本当に「嫌で嫌でしょうがないけど仕方なしに」結婚したり庇護を受けたりしている。
本当に女には自分で何かを選ぶことができなかったんだ、そんな女の苦しい、狭い生き方しかできなかったんだということを紫式部先生は繰り返し書いておられる。すごいなあ…。
そして最近、質問をチャッピーにしながら読むのにハマっている。
なんですぐに出家したがるの?とか、死んだら家族はどうなるの?とか、失恋や心労で横になってそのまま死ぬとか、簡単に死に過ぎじゃない?とかのたわいない質問にすごく丁寧に答えてくれるのが楽しい。 -
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戦争を生きた祖父母、生きるために逃げ、人生を生きる。何にも希望のない人生。
何不自由ない現代、何のために逃げてるのだろうか。その先に希望がないのは同じなのに。
祖父母の人生は逃げながらも、結局は誰かに支えられ生きている、その場しのぎでも。
『祖母たちの生きた時代のように戦争があるわけではない。赤紙が来るわけではない。今は平和で平坦で、先が見通せると錯覚しそうなほど平和で不気味で退屈で、でもそんな時代に飲み込まれるな』
嫌なら逃げていい、が許される今、
平和という平坦な日常が続くと信じている人たちは、この先の人生も結局逃げることになり、その人生は結果として帳尻合わせになるのかも知れない。 -
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不三子の健康趣向が完全にデマかと言うとそうでもないし…良かれと思ってやることがどれも裏目に出て
みんなが離れていくのが見ていて辛かった。
せめて真之輔が不三子の気持ちに寄り添ってくれれば
こんな事にならなかったんじゃないの?とも思う。
狭いコミュニティで生きるとどうしても価値観が偏りがちになるし、しかも孤独が拍車をかけててさらに凝り固まっていく…
視界を開かせるためにもたくさんのコミュニティを持つ事は大事だなと思う。
子供食堂に参加した後の今までやってきたことが報われた描写はちょっと泣いた。
にしても何に対してもやりきる不三子はすごい執着だなと感心した。普通にご飯が美味しそうで食べてみたい -
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ボランティアのサークルで活動をする女性、戦争で片足を失いながら生き延びた元陸上選手の老人、不登校になった四国のうどん屋の息子の高校生。自分には共通点どころか全く接点もないが、それぞれがいろいろと思い巡らす話に頷き続けながらストーリーに引き込まれた。
戦場カメラマンも難民キャンプに取材に行くフリーライターの知り合いもいたこともないが、何かわかるようなわからないような、どこかで冷めてみたり、時には非難する気持ちになったり。現代を生きているというのはこうした事だなとしみじみと思わせてもらった。普通じゃない普通の人生が当たり前に描かれていて面白いという小説もそうはない。
巻末の解説も良かった。これも小