角田光代のレビュー一覧
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文庫本の帯には、
「料理を楽しむヒントがちりばめられた心温まる11編」
と書いてある。
実際には1編が同じ登場人物の話3つで出来ていて、全部で33の小さな話が綴られていました。
とても短い話でしたが、さすが角田光代さんですね。内容はしっかりしていて読み応えがありました。
雑誌『オレンジページ』に連載されていたそうで、特集に合わせて作品中のお料理掲載を考えられたそうです。
それでも今作は料理がメインではなく『人』がメインの食卓の話で、短い話の中にギュッと色んな事が詰め込まれていました。
「食べること」「料理をすること」での人との交わりは思い出に残る素敵なことだなと思いました。 -
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『源氏物語』の2冊目は、秋の「紅葉賀」の帖から始まり、春の「花宴」の帖へと続き、雅やかな宮中での宴の様子が描かれます。
人々の緊張感あふれる心理的なやりとりも読み応えがありました。
「葵」の帖では、賀茂の祭で、光源氏の正妻と側室の牛車が鉢合わせ小競り合いになるというトラブルが起こり、この事件をきっかけに、その後、更なる悲劇が訪れます。
悲しくシリアスな物語のなか、光源氏の人並外れた恋愛エピソードは相変わらずで、笑えるものもありました。光源氏は、内裏に勤めている年配の女君(50代半ばから後半)といい関係になります。(光源氏は二十歳前後)しかも源氏の親友も参戦し、可笑しな三角関係となります。ドタバタラブコメがたまに入るのも『源氏物語』の面白いところです。
そんな光源氏は、また別の恋愛スキャンダルが原因で官職を剥奪され、都から須磨に退居することになってしまいます。そして、須磨明石でも新たな恋の出会いがあり、子どもも授かります。都に戻る際には、明石の君との別れを悲しみますが、源氏のお供の者たちは「困ったものだ、またいつもの悪い癖が始まった」とあきれるばかりです。
しかし、「その姿を見るだけで生き甲斐が感じられ、こんなうつくしい人を眺めるのに勝るよろこびがあろうか」と舅(左大臣)にも思わせてしまうほどの圧倒的な麗姿とのことだから、誰もが光源氏に魅了されてしまうのでしょう。見た目だけでなく、和歌や舞楽にも秀でているスターなのです。
都に返り咲いた光源氏にどんな展開が待っているのか、続きも楽しみです。 -
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薄らと膜を張った重苦しい泥の中を進むように読みました。辛かった…でも筆者の巧みな文章が止めることを許さない。エネルギーを常に燃やし続けるように生きる人が近くにいると、どうしても周りは重心がぶれたり、他責的になってしまうことがあるのが理解できるだけに、左織と子どもたちとの関係性は苦しく、もどかしく、とにかく読み終え安堵しました。
後から考え直し、星を増やしました。最後の方に初めて自分で選択をしたことで、何も選択してこなかったこと、視野が狭く自分中心で捉えていた世界は当然ながら一番身近な人にとっては別の世界、その人が中心の世界であったことに気づく。そこに至るまでの緻密な積み重ね、筆の力がとんでもない。 -
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ネタバレ柳原飛馬と望月不三子の人生を昭和、平成、令和までそれぞれ交互に追っていく。
年代も違い、読み始めはこの二人がどう繋がっていくのか全くわからなかったが、後半にやっとつながりお互いに影響する。
どちらも全く違う人生なのに、親の影響を強く受け、方や反面教師のように母のようにはなりたくないと思いながら生きていき、方や父にずっと言われ続けてきたことが頭から離れず、自分はそう生きねばならないと思い込んで生きていた。
この本を読んでいて、親の子どもに与える影響の大きさに改めてにも引き締まる思いがする。
一方で、どんなに自分で考えて選んだ道でも間違うこともあるし、どうにもならないこともある。ギリシャ神話の方舟になぞらえてタイトルにある通り、神さまが選んだ人だけが生き残りほかの人類は死んでしまう。海に沈むという噂を信じるのか信じないのか。みんなが信じる方を自分は信じるのか、信じずに生き残ろうとするのか。
確かにこの時代は、ノストラダムスの大予言があって、オウムがあって、コロナがあって、大変な時だった。
今読み返しても、混乱が続いて異常だったし、急に決まったことに対して、議論の余地も考えるゆとりもなかった。
そういったことを本で読み返すのって、本当に大事だと思う。
SNS 等で繋がっているようで、自分から動かないと繋がれない時代。不三子は子ども食堂に行かなかったら、きっと孫や亮に不満を抱きながらくすぶっていたんだろうと思う。自分を活かす道があってよかった。飛馬も父の呪縛?から放たれて、自分の本当にやりたいことをやれそうでよかったと思う。今までもいいと思っていたことかもしれないが、自分の生き方や方向を考え直すいいきっかけになると思う。 -
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ネタバレキツい話が多い読んでて苦しくなった。短編だからなんとか読み切れたが。
三面記事の裏に、みなこのくらいの人の人生が詰まっているのは不思議な気持ちになった。
あとは、主人公が主観で語っていても、事実の部分を繋ぎ合わせればそうではないのでは?と思わせられる文章になっていて、伏線の貼り方が素晴らしかった。
個人的にだが、認知症の話はいつも泣いてしまう。
親をこう見取らなければいけないのでは、という苦しさと、自分もいずれこうなってしまうという恐怖が私を襲うのだ。
そして自分が今祖母を見て見ぬふりをしているというか罪悪感というかに苛まれている -
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ゆっくりスピードになっちゃったけどやっと6巻読み終わったよ。光君が亡くなって、ここからは匂宮と薫が主人公のお話が始まるよ〜。
真面目だった夕霧がカスになったりとか、不義の子再びとか色々あった巻だったなー。
紫の上が亡くなる時めちゃくちゃ泣いてしまったマジで!びっくりした!!
あと途中から逐一感想メモるのやめちゃったんだけど、面白かったです。ここまできたらもちろん亀速度でも最後まで読もうと思うー!!
【以下ネタバレメモ 途中まで】
【夕霧】
・夕霧、亡き親友の妻に言い寄る キモ!
・んで結局強引に迎え入れる!キモ!
・夕霧「鬼のような女ですよ!(相思相愛だった雲居雁のことを)」最悪!!!
夕霧マジで気持ち悪くてびっくりした!しかもお前の妻って親友の妹だよね?!頭沸いてる!この時代に生まれなくてよかった!
しかも今まで真面目で、遊んでこなかった反動でキモくなりまくってんのすごい!!こういうの今の時代にもあるよ〜!!!てか遊び始めんの遅すぎだろ!!
【御法】
・紫の上、自分の死が近いことを悟る
・まだ幼い匂宮(明石の姫君の子・紫の上が代わりに大事に育てていた)に、私がいなくなったら思い出してくれますか?と問う
・結局出家の願い叶わず紫の上は亡くなった
涙で読めねえよ〜!!!!!
なんか、すごい…こんなに読んでると最初そうでもなかったのに…紫の上への思い入れが生まれるんだって気づいたー。
【幻】
・紫の上を失ってどうしようかな、出家したいけど自分という後ろ盾を失ったみんなが心配…な光君。
【雲隠】
・光君、亡くなる。
すげえ!タイトルだけの章だ!
匂宮…光君の孫。光君と明石の君の子である明石の姫君の子。
薫…不義の子。光君と女三の宮の子ってことになってるけど、実際は女三の宮と柏木の子。 -
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ネタバレ自分が「何者にもなれなかった」と受け入れられたのは、多分30代後半くらいだったと思う。ちょうど、主人公みのりと同じくらいだろうか。
何者にもなれなくても、自分なりに頑張っているし、それなりに楽しく生きているから、それで十分というのは、ある種自分の負けを認めるようで、きっとなにかを受け入れるプロセスだったと思う。
身近なところに「何者かになった」人たちが(少なくともそう見える人たちが)いたら、それはもっと苦しいだろう。
地方から東京に出てくる人たちが、東京に行けば何かになれると思っているのを、東京出身者としてはずっとうっすらと苦々しく思っているのだけれど、その根っこには「ずっと東京で暮らしている私が何者にもなれていないんだよ」というコンプレックスがぐずぐずとくすぶっているのを知っている。
みのりはまさに、なにかを抱いて東京に出てきたタイプで、そこから、どう何者にもなれない自分と向き合って受け入れていくかというプロセスを踏んでいるようにも見えた。
かつて知り合いの知り合いくらいの人に「自分は地方から出てきて、東京に追いつくのに必死になっているのに、なぜ東京出身のあなたたちは、そんなに飄々と受け流しているのか」というようなことを言われたことがあるんだけど、最先端を追い続ける気力がないなかで、「飄々と受け流す」は一種の生存戦略なんだよと考えたのを思い出す。
だれもが最前線を切り拓いていくような生き方を求められるわけじゃない。自分に対して自分が持っているイメージと、自分が本当にできる範囲と、自分の気持ちのギャップをどう埋めていくかが、大人になることなのかもしれない。
目的に向けて努力できることも才能のひとつ。
やらない善より、やる偽善なんて言葉があるけれども、もやもやしながらも、ボランティアの方向に行動しているのはすごいし、最後うまくいかなくても一歩踏み出そうとしているのは、純粋にすごいなと思う。