【感想・ネタバレ】方舟を燃やすのレビュー

\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

1967年に生まれた飛馬と戦後すぐに生まれた不三子の二人の視点が交互に語られていく。飛馬の子供時代にはノストラダムスやコックリさんが流行り、不三子は自然食を知りそれに傾倒していく。真偽のわからないものがたくさんあって、そのなかから何を選び信じていくのか。それが本物だとどう確かめればいいのか、誰が教えてくれるのか。その迷いや不安感に襲われていく過程にとてもリアリティーがある。それがコロナ禍に入ってさらに加速していく様子の終盤にはただただ圧倒されてしまう。この先何が起こるのか誰にもわからない世界と、デマやフェイクの溢れた世界のなかで何を選び信じていくのかを問われているような作品。角田さんの凄さを改めて感じた一冊。

0
2024年04月04日

Posted by ブクログ

切なかった 
昔からラジオやTVそして今はネットで いろいろな情報が溢れていている中、
どれが正しいのかデマなのか?
自分できちんと決めて生きなさいと言われても 
誰かや何かに「一緒に・・・」って言って欲しい気持ちがあります 

それは弱さじゃないんだって 教えてもらったような気がします 

0
2024年03月23日

Posted by ブクログ

私も飛馬より少し下の世代だが、ノストラダムスはひょっとしてと信じたし、コックリさんもしたし、コロナの時は情報に翻弄されまくった。何を信じて何を信じないか。かなりの難問。人は信じたい物だけ信じるという単純なことではなく、まだ内容をうまく咀嚼できないでいる

0
2024年05月12日

Posted by ブクログ

1967年生まれの飛馬が小学生の頃に母を亡くし、父と兄と暮らしていた時代にはみんなノストラダムスの大予言を信じていて、コックリさんに夢中になったオカルトブーム真っ最中だった。
東京の大学を卒業してからは公務員となり区役所に勤めたが、それまでに昭和から平成になり、震災ボランティアで高揚しては、妻の捨て台詞に価値観の相違で離婚。
子ども食堂の手伝いをしている頃には、令和になりコロナ禍を経験する。

一方で戦後すぐに生まれた不三子は、結婚後退職し専業主婦となり二人の子どもをマクロビオティックの食事で育て、ワクチンも打たせず神経質なほど気を遣ってきたが、娘は大学卒業後に就職もせず家を出て行き、息子も結婚してからは孫も連れて来ず疎遠になっていた。

飛馬と不三子の様子が昭和から平成、令和へと続き、どこで繋がるのかと思っていたら…
飛馬と不三子が出会ったのは、子ども食堂だった。


時代の流れとともに共有できる部分が多いのは、同じ年代に生きてきたからかもしれない。

飛馬と同じように小学生の頃はコックリさんをしたし、ノストラダムスの大予言も多少気にしてはいた。

そして、不三子と同じように二人の子どもを育ててきたが、彼女ほど神経質だったわけでもなく、では無頓着だったのか?と考えてみたが自分では答えは出せない。
多分、子どものほうが明確に判断するだろうが…。


高度成長期の日本に育ち、数々の予測不能な震災や疫病を経験し、今もフェイクニュースやSNSに何を信じていいのかわからない不安さはこれからもあるのだと感じた。




0
2024年05月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

飛馬と不三子の二人の物語がいつ絡んでくるのか不思議に思いながら進んでいった。後半に差し掛かるあたりでやっと二人の物語が絡み合っていく。
物語の人物たちが実在した出来事(サリン事件、ノストラダムスの予言など)の中で生きているので、人そのものが歴史なんだなと当たり前なことでいて普段思わないことを読みながら思った。
不三子の母親が戦争時代をインタビューで振り返る場面で「お国のために」と言って多くの生徒を工場に派遣していて、「吹き込まれた言葉を何も疑わず」「自分のあたまで考えたことでもないのに、それがただしいと信じて、ひと筋だって疑わずに」という言葉が、不三子の娘に行っている行為(自然派主義)そのものを問いかけるようにみえるところがさすが角田光代だなと。
この言葉は現代のSNSにも通じる部分があると思う。この一文に出会えて良かった。
大きな出来事や心揺さぶられるといった話ではないが、読み手に何かしら振り返るような問いかけを与えてくれる本だった。

0
2024年04月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

1967年生まれの飛馬と、戦後すぐの生まれの不三子の二人の人生を通して、日本や日本人が経験してきた戦後から令和の現代までの出来事を描いている。

特に不三子のキャラクターが、実に妄信的で、読んでいて痛々しくもあったのだが、彼女なりに信じてやってきた事がそうではないかもしれない、とわかった瞬間の心情が自分自身にも重なるところもあって、苦しくなった。

私とあの人と何が違うんだろう。よかれと思ってやってきたことが否定された、という絶望に近い感情はよくわかる。

戦後も令和の時代も、人間が抱く感情や行動心理はなにも変わっていないのだな…。

自分はこれからどんな風に生きていけばいいのかな、と思いを巡らせた作品でした。




0
2024年04月17日

Posted by ブクログ

角田さんらしいなぁと思いつつ読む。

昭和、懐かしい…
というか、すでに昔感あり過ぎでヤバいwww

0
2024年04月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

飛馬と不三子の2人の人生。
子ども食堂を通じて2人が知り合うのがなんだかすごく自然だった。
ノストラダムスの予言、ワクチンやコロナ、オウムの事件など実際にあった出来事が書かれているので2人が実在する人物のようにリアルに感じた。
著者は、なんだか読んでいて心がヒリヒリする話を書くのが上手いなーと改めて思った。

0
2024年04月05日

Posted by ブクログ

昭和・平成・令和と三時代を経てきたが「この時代が一番良かった」なんて一概に言えやしない。いつの世も不安はつきまとい、人々を煽り、何を信じて何を疑えばいいのか。そんなことが浮かんでは消える複雑な心境となった。物語は不三子と飛馬という男女を軸に成り立つ。不三子は料理教室をきっかけに自然派ママになり、家族の健康を願うあまり空回りする。飛馬は常に「人を助けたい」と漠然と考えていたがそれも空回りする。平凡な人の平凡な人生と思いきやそこは流石角田さん、読ませます。コロナ禍への切り口も既読の小説では初で興味深かった。

0
2024年04月03日

Posted by ブクログ

柳原飛馬と望月不三子。
世代が異なる二人の1967年から2022年までの人生が描かれる。

口裂け女の噂やノストラダムスの大予言、オウム真理教によるテロ事件等、デマで終わったものから実際に起きた事件まで絡めながら物語は進む。

終始淡々と描かれている事で二人の人物が実在しているかのようなリアリティを感じた。

病院内で入院患者が話していた内容を母の病状だと勘違いし、その後起きた悲劇により後悔に苛まれる飛馬。

度を越した食への拘りが親子の亀裂に発展する不三子。

闇雲に信じる事の危うさと、自身で考えぬく事の重要性を強く感じた。

0
2024年04月03日

Posted by ブクログ

2人の登場人物から見る戦後からコロナまで。塩田さんも似たような小説書いていたが、より個人的。「私は吹き込まれたんじゃない。きちんと聞いて、この人は正しい、この人の言うことは本当だと自分で判断して、従うと決めたのだ」「私たちは知らない。ただしいはずの真実が、覆ることもあれば、消えることも、にせものだと暴露されることもある」「理不尽の理由があったら、どんなにいいか。私たちの誰だってそうだ。何がただしくて何が間違っているか、ぜったいにわからない今を、起きている出来事の意味がわからない今日を、恐怖でおかしくならずただ生きるために、信じたい現実を信じる。信じたい真実を作ることすらある」「なんでもいいから何かを信じないと、何が起きるかまったくわからない今日をやり過ごすことができない」戦争もコロナも。やっぱり人は歴史には学べないのか…。

0
2024年03月30日

Posted by ブクログ

懐かしい昭和の世界から平成へ令和へとの物語。劇的なドラマは無くも引き込まれて行く。同時代の生きることを考える。

0
2024年03月27日

Posted by ブクログ

アナタは何を信じていますか?

信じる事の強さと壊さ
みんなそれぞれ信じるものがある
宗教だったり信念だったりSNSだったり
人によってどれも本当でどれも嘘になる

昭和、平成、令和を生きた人達ならあの出来事全て覚えてるだろう
そんな歴史的系列に沿いながら進む2人のお話にとても引き込まれた

0
2024年03月07日

Posted by ブクログ

角田さんらしい人の洞察力をこちらの作品でも感じて一読の価値はあるものの、
後半までが鈍長で、もう少しテンポよく話を進められなかったかなぁと思いました。
なかなか主人公の幼少期までの物語が長く感じられて成人になるまでの価値観を確立するまでの過程とは理解するものの読み進めることが疲れました。

0
2024年05月05日

Posted by ブクログ

この作品を読んだきっかけは、作品を手に取った時に、参考にされた地方の町、協力された方のお名前を知っていたからです。

実際に読み終えて、本作品の著者角田光代さんが、いかにして田舎町の観光担当者と縁があり、本作を思い付かれたのか、読み終えてもその疑問は解決しませんでした。なぜか不思議な感覚だけが残っています。

けれど、新型コロナウィルス感染症COVIO-19の蔓延時は、1日に何度となく耳にした言葉「コロナ」ですが、最近はほとんど聴くことなく、その影響は文学作品においてのみ影響が残っているようだと、出版された作品を通して感じています。

「信じる」ことの意味も、田舎だからこそ噂の広がるのも早く、信じる人も多くて、影響が大きいことは私も実感しています。著者もその辺りで作品の背景にちっぽけな田舎町をと、考えつかれたのかなと想像しました。

この年齢になっても未だ「信じる」ことの意味に対して、腑に落ちる回答を持ち合わせていない私にも、作品を読んだからこそ、まだまだと背中を押されているようにも感じました。

0
2024年05月03日

Posted by ブクログ

なんでこんな面倒な人を描いているんだろう?常識という概念に疑いを持つことは是であるのか非であるのか?
自らの勘違いで母親を自殺に追い込んだと、飛馬は真実という事に拘りを強く持っていた。
自分の信じるものしか信じない。まるで洗脳されたかのように執拗に自然素材に拘る不三子。
この交わる事のないはずの2人が子供食堂で出会い、その場所で自分の存在を少しづつ肯定してゆく。
この肯定への道のりがやたらに長いので、苛々しながら読む場面が多々あった。
たしかにキャラクターを際立たせるための設定にしても、不三子の生き方には納得できないものがある。
もう一度時間を置いて再読すれば評価が変わるかもしれない。

0
2024年04月17日

Posted by ブクログ

ネタバレ

2024/02/29リクエスト17
平成、令和と世の中の流行、事件や災害が出てきて、自分のその時と重ね合わせ懐かしい気持ちにもなった。
杉並区役所勤務の飛馬と不三子が物語をすすめていく。
杉並区役所というのが土地勘があるため読んでいて親近感が湧く。
不三子が義母だったら確かに疎遠になる。悪い人ではないと思うが自分の正当性を一番声高に叫んでいる。そして私は鬱陶しい義母にはならない、息子夫婦とはいい距離を保っている、と思いこんでいる。
その母親に子供時代にワクチン接種を受けさせてもらえなかったために家出していた娘は、どうして氷解したのだろう。私ならそのまま離れる。
登場人物誰にも共感できなかったが、全員が自分の意志、意見を持ち行動しているのでその点には好意を抱く。
評価に悩むかな…

0
2024年04月14日

Posted by ブクログ

大きな事件は何も起きない。
どこにでもいるような
少年Aと主婦Bの55年間が
昭和、平成、令和の
3つの時代の出来事を交えながら
淡々と描かれていく。
出会いや別れ、成長と挫折
家族との確執…
結局、この世の中は
誰かが適当に作り出したまがいもので
あふれていると言いたかったのかな?
それでも人は何かにすがり
何かを信じ、何かを選んで生きていく。
ありふれた人生のようでも
一人ひとり特別なものなのだと思う。

0
2024年04月05日

Posted by ブクログ

久しぶりの角田光代
表紙の黒猫が不穏
黒い帯も不穏
最後まで不穏

〈 予測不能な世界を生きる私たちに切実な問いを投げかける新たな代表作〉

二人の主人公
飛馬と不三子、その人生が交互に語られる
そして、コロナ禍の子ども食堂で出会う
年齢も環境も違う二人
(子ども食堂で、今、ボランティアをしている私だけれど)

時代に翻弄される様子は読んでいて辛い
すべてリアルだけれど、不穏

著者は何が語りたかったのだろう?
今まさにこの時代を激写しているようにも思えるのだが
なぜか私との隔たりを感じてしまう
不三子と同世代なのだが

何を信じて生きていけばいいのか
示唆に富む言葉がたくさんあるけれど、
ちょっと薄紙を張られているようで

時間が流れ、特に解決もせず、読者に委ねられる

≪ 方舟は なかったほうが よかったか ≫

0
2024年04月04日

Posted by ブクログ

全体的に暗い雰囲気。昭和、平成、令和と生きてきた私には 懐かしいニュースや情景が広がり、当時の自分を思い出して 現在までのおさらいをしている感じで読めたけれど。

情報に振り回されたり、自己決定できずブレながら生きている人は多いのかもしれない。経験を重ねながら、自分の信じる道を歩きたい、そう思った。

0
2024年03月17日

Posted by ブクログ

人は、自分の価値に応じた事柄を
選んで信じている。
どんな根拠が正しいかさえも、
自分で選んで判断している。
人の暮らしの中には、
何が正しくて。間違っているかなんて、
数学の答えじゃない限り、人の数ほどあるんじゃないかと思ってしまった。

こんな世界で生きてる私は
この主人公たち?!みたいに信念持って
生きられなくて…。
実際は、迷うことばかりなんだなぁ。
最後にため息、一つ。





0
2024年03月13日

「小説」ランキング