あらすじ
口さけ女はいなかった。恐怖の大王は来なかった。噂はぜんぶデマだった。一方で大災害が町を破壊し、疫病が流行し、今も戦争が起き続けている。何でもいいから何かを信じないと、今日をやり過ごすことが出来ないよ――。飛馬と不三子、縁もゆかりもなかった二人の昭和平成コロナ禍を描き、「信じる」ことの意味を問いかける傑作長篇。
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Posted by ブクログ
縁もゆかりもない2人の経験した昭和・平成について延々と書かれた後に、2人が令和のコロナ禍で交差する。
どんな話?と思いながらも、同時代を生きてきた者の一人として、なんだか心揺さぶられました。
方舟を燃やす、ってなんのことだろう。
結局、私にはわからずじまいで、終わり方も、えっ、これで終わり?と思う。
う〜ん、方舟って、自分だけが、自分の身内だけが助かれば、っていうもの、だけど、同時代に生きててそれはないんじゃない?ってことなのかな?
、、、、わからんけど、同時代を経験した一人として、星5つにしておきます。
Posted by ブクログ
盲信?いや、違う。不三子は自分で納得して、沙苗の提唱する食事法や生き方、ワクチン等々への考え方に賛同し、実践していたはず。良かれと信じて。この生き方こそが、方舟に残る途。周囲の愚かで蒙昧な人々には分からないだろうけど、私たちは違う。いずれ、判明する。あえて困難で煩雑な生き方を選んだ私たちだけが、祝福され、健康で幸せで文化的で、真の意味で豊かな生活を送ることができるのだ……。
できるはずだったのに、ね。不三子、尋常じゃなく頑張ってきたのに
不三子ともう一人、男の主人公がいたのですが、もう不三子しか覚えていません。
コロナ禍の頃、程度の差こそあれ、こういう人が数多く出現したものです。
正しいのは、正解はなんなのか、その時点で誰にも分からない。
リスクを取って、自己責任でどちらかに決めなければならない。
その、どうなるか分からない不確実さに耐えられない人々。
どうなってもいいや、と腹をくくれない人々。
自らの選択によって、悪い結末を招くかもしれない可能性を引き受けられない人々。
こういう人が全力で、誰かに、誰かの教えに寄りかかってしまう。
自分で選んで考えた結果のようで、全然そうではない。
「こうすれば絶対、大丈夫」といった方舟など、ないことに気づけ。
こうして不三子は、目指していた方舟を自ら燃やしました。
あの厳しい節制だらけの「自然派」生活は、何も不三子にもたらさなかった。
けど、高度な調理スキルは残ったわけで。面倒がらないマインドも。
今後の不三子に幸あれ、って言いたいです。
オススメです。
Posted by ブクログ
昭和、平成、令和…そういえば、こんなことがあったんだ、と思い返しながら読んだ。
文通、無線、ポケベル、ピッチ、携帯電話からスマートフォンへと、伝達?方法だけ取っても、めまぐるしい進歩と変化を遂げて来た、今。
世間を騒がせた事件も沢山あって、震災もコロナ禍も、確かに経験したはずなのに遠い昔のことみたいに実感がわかないのは何故なのだろう。
そんなことを思いながら、一気読み。
家族のことを思い、一生懸命に生きて来た不三子なのに、独り立ちした子どもたちは心まで遠く離れてしまう。
ふとしたきっかけで子ども食堂に携わり、共に活動することになっただけの間柄でも、災害時に老齢で独り暮らしの不三子のことを心配し、矢も盾もたまらず駆けつける飛馬。
つながりって、何なのかな。
家族とのつながりを思うと切ない。
でも決して独りじゃない、ってメッセージも感じることが出来た。