【感想・ネタバレ】方舟を燃やすのレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

飛馬と不三子の二人の物語がいつ絡んでくるのか不思議に思いながら進んでいった。後半に差し掛かるあたりでやっと二人の物語が絡み合っていく。
物語の人物たちが実在した出来事(サリン事件、ノストラダムスの予言など)の中で生きているので、人そのものが歴史なんだなと当たり前なことでいて普段思わないことを読みながら思った。
不三子の母親が戦争時代をインタビューで振り返る場面で「お国のために」と言って多くの生徒を工場に派遣していて、「吹き込まれた言葉を何も疑わず」「自分のあたまで考えたことでもないのに、それがただしいと信じて、ひと筋だって疑わずに」という言葉が、不三子の娘に行っている行為(自然派主義)そのものを問いかけるようにみえるところがさすが角田光代だなと。
この言葉は現代のSNSにも通じる部分があると思う。この一文に出会えて良かった。
大きな出来事や心揺さぶられるといった話ではないが、読み手に何かしら振り返るような問いかけを与えてくれる本だった。

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2024年04月24日

Posted by ブクログ

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1967年生まれの飛馬と、戦後すぐの生まれの不三子の二人の人生を通して、日本や日本人が経験してきた戦後から令和の現代までの出来事を描いている。

特に不三子のキャラクターが、実に妄信的で、読んでいて痛々しくもあったのだが、彼女なりに信じてやってきた事がそうではないかもしれない、とわかった瞬間の心情が自分自身にも重なるところもあって、苦しくなった。

私とあの人と何が違うんだろう。よかれと思ってやってきたことが否定された、という絶望に近い感情はよくわかる。

戦後も令和の時代も、人間が抱く感情や行動心理はなにも変わっていないのだな…。

自分はこれからどんな風に生きていけばいいのかな、と思いを巡らせた作品でした。




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2024年04月17日

Posted by ブクログ

ネタバレ

飛馬と不三子の2人の人生。
子ども食堂を通じて2人が知り合うのがなんだかすごく自然だった。
ノストラダムスの予言、ワクチンやコロナ、オウムの事件など実際にあった出来事が書かれているので2人が実在する人物のようにリアルに感じた。
著者は、なんだか読んでいて心がヒリヒリする話を書くのが上手いなーと改めて思った。

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2024年04月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ

2024/02/29リクエスト17
平成、令和と世の中の流行、事件や災害が出てきて、自分のその時と重ね合わせ懐かしい気持ちにもなった。
杉並区役所勤務の飛馬と不三子が物語をすすめていく。
杉並区役所というのが土地勘があるため読んでいて親近感が湧く。
不三子が義母だったら確かに疎遠になる。悪い人ではないと思うが自分の正当性を一番声高に叫んでいる。そして私は鬱陶しい義母にはならない、息子夫婦とはいい距離を保っている、と思いこんでいる。
その母親に子供時代にワクチン接種を受けさせてもらえなかったために家出していた娘は、どうして氷解したのだろう。私ならそのまま離れる。
登場人物誰にも共感できなかったが、全員が自分の意志、意見を持ち行動しているのでその点には好意を抱く。
評価に悩むかな…

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2024年04月14日

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