角田光代のレビュー一覧

  • 笹の舟で海をわたる

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    薄らと膜を張った重苦しい泥の中を進むように読みました。辛かった…でも筆者の巧みな文章が止めることを許さない。エネルギーを常に燃やし続けるように生きる人が近くにいると、どうしても周りは重心がぶれたり、他責的になってしまうことがあるのが理解できるだけに、左織と子どもたちとの関係性は苦しく、もどかしく、とにかく読み終え安堵しました。

    後から考え直し、星を増やしました。最後の方に初めて自分で選択をしたことで、何も選択してこなかったこと、視野が狭く自分中心で捉えていた世界は当然ながら一番身近な人にとっては別の世界、その人が中心の世界であったことに気づく。そこに至るまでの緻密な積み重ね、筆の力がとんでも

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    2026年04月16日
  • ゆうべの食卓(新潮文庫)

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    美味しいものを追い求めるのが好きだ。色々な美味しいものを食べてきたはずだが、確かに、記憶に鮮明に残っているのは1人で食べたものより、誰かと「美味しいね」と言い合って食べたものだ。
    人が食事を美味しくするのか、美味しいものが人をつなぐのか…わからないけれど、一緒に食事を取る、という人間しか持たない文化がすごく好きだ。そんなことを思い出させてくれる作品。

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    2026年04月03日
  • ゆうべの食卓(新潮文庫)

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    『食べる』がテーマの短編集。

    一つの舞台に対して三編の作品というのがとてもおもしろい試みだと思った。
    一編一編は短いけど、短い中にもこちらの心に残るフレーズや価値観がしっかりと盛り込まれていて、とても満足度の高い話だった。
    この作者さんのこのテーマならおもしろいに違いない、という読み手の期待に十二分に応えてくれる本。

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    2026年04月03日
  • 対岸の彼女

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    二人の異なる女性を主人公に置き、過去と現在を交錯させるこの作品。そこには多種多様な人間模様が複雑に入り組んでいる。

    その様子は、あちこちの水底では思い思いに泥が渦巻きつつも、全体としては穏やかに流れる大きな清流のようだ。
    遥かな上空の青さを忠実に写し取りながら、利根川に合流し、太平洋に注ぐという渡良瀬川。
    直接に見たことはないが、自然に囲まれ紺青に澄んだ大河と、先方には対岸の浮かぶ光景が、この眼に映り込む。

    読後に感想文を書くとなって僕が困ったのは、この川に棲む魚たちの、誰に着目すべきかという点だった。
    ここではまず、この作品の象徴的な人物であるナナコに焦点を当ててみよう。魚子と書いて、ナ

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    2026年04月03日
  • もう一杯だけ飲んで帰ろう。(新潮文庫)

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    読んでいると、焼鳥の焼ける香りやビールの冷たさを感じる気がする。
    このエッセイが書かれたのがコロナ禍前で、舞台となっているお店がコロナ禍をどんなふうに乗り切られた(乗り切れなかったお店もあるだろうが)のかと思うと、少し苦しくもなった。

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    2026年04月03日
  • 方舟を燃やす

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    ネタバレ

    柳原飛馬と望月不三子の人生を昭和、平成、令和までそれぞれ交互に追っていく。
    年代も違い、読み始めはこの二人がどう繋がっていくのか全くわからなかったが、後半にやっとつながりお互いに影響する。
    どちらも全く違う人生なのに、親の影響を強く受け、方や反面教師のように母のようにはなりたくないと思いながら生きていき、方や父にずっと言われ続けてきたことが頭から離れず、自分はそう生きねばならないと思い込んで生きていた。
    この本を読んでいて、親の子どもに与える影響の大きさに改めてにも引き締まる思いがする。
    一方で、どんなに自分で考えて選んだ道でも間違うこともあるし、どうにもならないこともある。ギリシャ神話の方舟

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    2026年03月29日
  • ツリーハウス

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    ネタバレ

    戦中を生きた祖父母の代、戦後の成長期を生きた父母の代、その後の安定・停滞期を生きた子どもの代、それぞれの代でこんなにも環境が違うんだなと驚いた。

    祖父母の満州での話は、異国の地だし人も死ぬし、特に印象に残った。上の代の人たちの経験を聞いてみたくなった。

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    2026年03月29日
  • 三面記事小説

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    ネタバレ

    キツい話が多い読んでて苦しくなった。短編だからなんとか読み切れたが。
    三面記事の裏に、みなこのくらいの人の人生が詰まっているのは不思議な気持ちになった。
    あとは、主人公が主観で語っていても、事実の部分を繋ぎ合わせればそうではないのでは?と思わせられる文章になっていて、伏線の貼り方が素晴らしかった。

    個人的にだが、認知症の話はいつも泣いてしまう。
    親をこう見取らなければいけないのでは、という苦しさと、自分もいずれこうなってしまうという恐怖が私を襲うのだ。
    そして自分が今祖母を見て見ぬふりをしているというか罪悪感というかに苛まれている

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    2026年03月29日
  • 空中庭園

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    ネタバレ

    タイトルの空中庭園がなにを意味するのか、ずっと考えながら読んだ。
    庭園=理想とすれば、そこに見えていながら手が届かない、という感じだろうか。

    それにしてもタカぴょん、普通のおじさんっぽいのに何人も愛人がいるなんてどういうこと?

    角田光代さんの作品は、女性にフォーカスをあて、共感できるものが多い印象だったが本作は少し方向性が違うかなと感じた。

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    2026年03月29日
  • 源氏物語 6

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    ゆっくりスピードになっちゃったけどやっと6巻読み終わったよ。光君が亡くなって、ここからは匂宮と薫が主人公のお話が始まるよ〜。

    真面目だった夕霧がカスになったりとか、不義の子再びとか色々あった巻だったなー。
    紫の上が亡くなる時めちゃくちゃ泣いてしまったマジで!びっくりした!!
    あと途中から逐一感想メモるのやめちゃったんだけど、面白かったです。ここまできたらもちろん亀速度でも最後まで読もうと思うー!!


    【以下ネタバレメモ 途中まで】






    【夕霧】
    ・夕霧、亡き親友の妻に言い寄る キモ!
    ・んで結局強引に迎え入れる!キモ!
    ・夕霧「鬼のような女ですよ!(相思相愛だった雲居雁のことを)」

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    2026年03月28日
  • 対岸の彼女

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    女性たちの蟠りの描写がリアルだった。離婚するとか修羅場があるとかではないけれど、だからこそ現実の中の人間関係が色濃く身近に感じられた。立場の違う女性たちのお互いをわかり合おうとできる心の強さや優しさが素敵。

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    2026年03月27日
  • タラント

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    ネタバレ

    自分が「何者にもなれなかった」と受け入れられたのは、多分30代後半くらいだったと思う。ちょうど、主人公みのりと同じくらいだろうか。
    何者にもなれなくても、自分なりに頑張っているし、それなりに楽しく生きているから、それで十分というのは、ある種自分の負けを認めるようで、きっとなにかを受け入れるプロセスだったと思う。

    身近なところに「何者かになった」人たちが(少なくともそう見える人たちが)いたら、それはもっと苦しいだろう。

    地方から東京に出てくる人たちが、東京に行けば何かになれると思っているのを、東京出身者としてはずっとうっすらと苦々しく思っているのだけれど、その根っこには「ずっと東京で暮らして

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    2026年03月27日
  • 幸福な遊戯

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    たぶん3回読んだ。話の筋はシンプルながら違和感が残る。主人公は小さい女の子が男の子と手をつなぐかのように体を重ねる。男にとって都合のいいタイプの女、でも男は去っていく。自分ならどうするか想像が及ばない。

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    2026年03月26日
  • 紙の月

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    銀行から一億円を横領した話し。主人公の梨花は顧客の孫である大学生の光太に恋をする。綺麗でいたい、特別な時間を過ごしたいと、願いを叶えるために、顧客のお金に手を付ける。最初は出来心だったが、沼のようにハマっていく。やめることが出来ない怖さを感じた。

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    2026年03月29日
  • キッドナップ・ツアー

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    ネタバレ

    昔読んで、もう一回読みたくなって買った本

    なんだってその気になれば自分で選べるのに、家族だけは選べない。
    おれがろくでもない大人になったのはだれのせいでもない、だれのせいだとも思わない。

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    2026年03月24日
  • 人生ベストテン

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    2005年刊行されたにも関わらず
    全く古さを感じさせない。
    LINEやスマホが出てこない、それ位だ。

    生活の中でふとすれ違う人生と人生。
    そして2度と交わる事のない人達。
    他人の人生を垣間見る様な短編は
    くすっと出来たし、読み心地が良かった。

    私の人生ベストテンは何だろうな。


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    2026年03月22日
  • 紙の月

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    言わずと知れた名作。
    角田光代さんがどこにスポットを当ててこの物語を描かれるのか、見てみたかった。

    やはり凄いと思った。
    繊細な心理描写もさることながら、だけど。
    これまで真面目に生きてきた梨花が、一線を超える場面が、はっきりとどこ、と言えない部分が。
    「後で戻すから一旦借りる」これ、自分も家庭内でした事が無かったっけ。
    それから、夫婦の会話で感じる違和感、好きな人に満たされてると感じた時の「万能感」、またこの言葉やらのチョイスが凄いんですが、その漲るような力も、分かる気がする。
    それに、光太にも梨花にも、誰かを陥れてやろうとか、明確な悪意はなくて。だからこそ、反省もせずエスカレートしていく

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    2026年03月22日
  • 神さまショッピング

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    何か救われないような事を抱えている人が各地の神様に会いに行きながら抱えている事象を見つめ直すような展開の話が多い。だいたいの悩み(っぽいもの)は解決しないうえに自己解析も中途半端パターンが多く、もやっとして終わるのが評価低い原因かなぁと思いました。スカッとはしないけど、私は嫌いじゃなかったです。大人の悩み主体なので中学校以上。
    「神さまにあいにいく」スリランカ南部、カタラガマ神に会いに行く美津紀は夫と暮らす普通の女性。しかし、理由あって父親を忌み嫌っている。望むのは…。
    「落ちない岩」29で警戒心ありながら見に行ったミャンマーのバゴーにある落ちない金の岩を36になってもう一度訪れてみる。
    「弾

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    2026年03月22日
  • 源氏物語 1

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    2024年大河ドラマ「光る君へ」の影響を受け『源氏物語』がずっと気になっていました。
    今、あらためて、角田光代さんによる現代語訳の『源氏物語』を読み始めています。

    主人公、光源氏の両親の悲恋から物語は始まります。帝の次男として誕生した光源氏もまた様々な恋に生きます。光源氏の恋は十代にして、不倫、ホラー、ラブコメなど波乱万丈です。釣り合いの取れた才色兼備の正妻がいるというのに、危うい恋に次々とのめり込んでいきます。相手が人妻であっても、躊躇なく平気で好きになるタイプですが、なかでも、義理の母(帝の妻)を本気になってしまうのは危険すぎました。そうかと思えば、10歳くらいの姫君を引き取りたいと言い

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    2026年03月21日
  • ひそやかな花園

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    子どもの頃に毎年どこかの別荘で
    サマーキャンプをしていた子どもとその親たち。
    それが突然無くなって、大人たちはキャンプのことも
    そこに来ていた家族のことも誰も教えてくれなくて……。

    謎が分かるまでグイグイ読ませる引き付けだった。
    謎が分かってからは、それぞれの気持ちをちゃんと描いてあって正解が何かは分からないけれど良かったと思う。

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    2026年03月20日