あらすじ
デザイン会社に勤める悠木仁絵は35歳独身。いまの生活に不満はないが、結婚しないまま1人で歳をとっていくのか悩みはじめていた。そんな彼女に思いを寄せる、幼馴染の駒場雄大。雄大と宙ぶらりんな関係のまま恋愛に踏み込めない仁絵には、ある理由があった…。2人の関係はかわるのか? 人生の岐路にたつ大人たちのラブストーリー。「オール讀物」掲載と同時にTBS「開局60周年記念番組」としてラジオドラマ化した、異例のコラボレーション企画原作。
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Posted by ブクログ
「見つめあう夫婦っていないのかな」
「見つめあってたら生活できないんじゃない」
何気なく交わされる会話に射抜かれつつ読み進む。
互いに挫折した恋を経て気付けばずっとそばにいた幼馴染にも、女が立ち位置を超えてしまったがゆえに離れて行ってしまう男にも、泥沼化しないまま旅立つ不倫相手にも、ゆるい必然を感じる。
各パートの隙間にラジオからの『どうでもいい』おしゃべり。
パーソナリティーが、実は故意にそのように発信しているその"どうでも良さ"が、悩んだり迷ったり一途だったりする日々に、染み込んだり染み込まなかったりしながら心地よく流れる。
時間をおいて再読したい作品
Posted by ブクログ
心にじんわりと温かいものが広がるような読後感を味わいました。
物語の中心にはラジオがあります。私自身も中学生の頃から姉と一緒にラジオを聴いてきたので、ラジオが日常に寄り添う存在であることに深く共感しました。リスナーの話に笑ったり、共感したり、応援したり、一緒に悲しんだりする。ラジオには、そうした共感の力があり、誰かとつながっている温かさを感じさせてくれます。
この作品では「何気ない日常」が丁寧に描かれているからこそ、登場人物たちの暮らしが自然と想像でき、とても読みやすかったです。読んでいるうちに、自分の生活の一部もこうして誰かに語られると、何か特別なものになるのかもしれないと思わされました。
恋愛についての描写も印象的でした。
100人が反対しても止められない恋がある。そんな恋をしてしまうこともあるし、苦しいこともある。
けれどいつか振り返ったときに、全てがきらめいていたらいい。私はそんな風に思います。
『それもまた小さな光』というタイトルの通り、日常の中にある小さな輝きを見つけられる一冊でした。しずかだけれど確かに心に残る、素敵な読書体験でした。
Posted by ブクログ
小さい頃からラジオを聴いて育った自分にはすごく刺さる一冊だった。ラジオから聴こえる声や曲は電波に乗ってどこまでも飛んでいき、たくさんの人の生活に潜り込める不思議で素敵なものだと、ラジオの持つ力の凄さを改めて感じることができた。どんなに離れていても、ラジオのおかげで、同じ話題で笑い合ったり考えたりする時間を共有できるのは本当に素敵なことだなと思った。
Posted by ブクログ
日常ってひたすらに生活で、1人で暮らしてると自由で楽ちんだけど、結婚して他人と暮らすってなったら、どんな世界なんだろう。うんざりするんだろうか。
見つめ合うことはなくなるんだろうか。
きっとそうなんだろうな。
じゃあときめきがない人と夫婦になるので良いのだろうか。気楽で全部知ってて安心できるから、それが暮らしということなんだろか。
それは嫌だなぁ、ときめきは欲しい。と思った。笑
でも既婚の友達に言わせると、なくなるらしい。
結婚を夢見てるのにーー。笑
ただ2人がのめり込んだ過去の恋愛は、打ち上げ花火みたいな期間限定だから盛り上がる恋で、しかも自分のものにならないから余計執着しちゃう的な吸引力のある恋だったから、この2人はお似合いだし、最初からそうなる2人だったのかなと思う。
わたしは自分の幼馴染とは結婚できないなーって思ったけど。笑
とても優しい世界のお話だった。
ラジオっていいよね。
Posted by ブクログ
「なんていうか、そういうどうでもいいようなことで人生成り立っているよな、っていうか、いや、そういう事があるから人生面白いんだよなっていうか。」
普段、ラジオを聞くことはめったにないけれど、そのとりとめのない内容に、ふと記憶が刺激されて昔のことを思い出したり、案外幸せに生きてることに気付かさせられたり、というのは確かにある。
「見つめあう夫婦っていないのかな」「見つめあってたら生活できないんじゃないの」
「うまく行かなくなった時に振り返るのがおかしいんだよ。ときめいた頃を思い出すんじゃなくて、この先どうやったらうまくいくかって、二人で考えるんだよ。」
誰かと人生を歩むということは、決してキラキラと眩いものではなくて、ラジオ番組のように地味だけれどどこまでも地に足がついた日常を進んでいくものだということ、でもその中で生まれた喜怒哀楽が、ふと振り返った時に無数の小さな光として来し方を照らしていてくれるもの、そんなことを再確認させてくれる作品。
Posted by ブクログ
何かあたたかい気持ちになるし前向きな気持ちになれた。他の角田さんの作品にあるような衝撃はなかったから、そのせいかも
同じラジオを、別々の場所で、それぞれ全く別のいろんな人が同時に聴いているって、とてもすごいこと。ラジオとはまた別だけど、ビルの光一つ一つに人生があるのか、とか、好きな歌手のライブに行って同じ空間で同じ曲で泣いている人をみて、ここで人生が交わっている、と思うのとか、そういう感性を抱き締めてくれる本。
Posted by ブクログ
途中までそこまで好みじゃないかもなあ、と思っていたけど、読み終わってみるといろんな情景が思い浮かんだり、そこから派生してぐるぐる考え事ができたりして、あれ、思いの外好きかも?となった
小さい頃に観た三谷幸喜の「ラヂオの時間」という映画の中に、登場人物の誰かの台詞で「映像だったら作り込まないといけないけど、ラジオだったらナレーションで「ここは宇宙!」と言った瞬間そこが宇宙になる」みたいな内容のものがあって、それが強く印象に残っていたことをふと思い出した
ささやかでなんてことのない生活にこそ、ちゃんときらきら光るものを見続けられる人間でありたい!
よしもとばななの好きポイントはそこ!
Posted by ブクログ
高校生の頃深夜ラジオにハマっていたことを思い出しました。同じ時間を、全く知らない、多分今後も出会うことのない人達で共有してたんだなぁと思うと、この世界が、少しだけ住みやすくなった気がしました。
Posted by ブクログ
どんな恋愛がいいんでしょう
そもそも、恋愛に「いい」「悪い」ある?
あるようなないような、たぶんあると思う
結婚の前段階に、恋愛がある必要は必ずしもないが、やっぱり嫌いな人とは結婚しないと思うので、少なくとも相手が好きだと思うことは必須。
↓以下ネタバレです
仁絵は、35歳にしては幼い感じがした。
恋愛のワクワクドキドキとかは、所詮勘違いにすぎない。
雄大を絶対に離してはいけない。
嘘のない、とても素敵な人だと思う。
ストーリーとは関係がないが
雄大の作る料理はおいしいが個性がないのだという。
でも、料理の味に個性を出すことより、個性を消してかつ、美味しいものを作る方がはるかに難しい。という一文が、この本で学んだことでした笑
なるほどなーと思った。
不倫相手の死期が迫っている時、奥さんが夫になりすまし、愛人にメールを送信して、面会の機会を作ってあげたこと、すごく感動した。清らかな女性ってこういう事ができる人なんじゃないかな。
泣きそうになった。いい話。
たとえ伴侶であっても、誰の所有物でもないと理解した。
将来そんな時が訪れたら、私も愛人にメールしようと思った(あるわけない)
Posted by ブクログ
読みやすくて、(ラジオでみんなが繋がってるところ)以外はリアルで、人間味のある恋愛(?)日常小説。
難しい本を読み疲れた後に読むと超スラスラ読めて快感。
Posted by ブクログ
読みやすい文体でさらさらと、日常のようにページがすすんでいく。読者の身の回りにいそうな普通な人たちの幸福のカタチを考えさせてくれる。
モーニングサンシャインというラジオ番組も
本当にFMの朝にながれてそうで、音楽が聴こえてくるようで、気持ちよかったです。
Posted by ブクログ
そうか、命が尽き果てそうな時に楽しめるのはラジオか。なるほどー!radikoで後から聴くのではなく、タイムリーで聴く魅力も、なるほどー!って納得。角田光代さん、凄い。作家さんって凄いなーっと、あらためて感じた。
Posted by ブクログ
ブラックホールみたいな恋!分かる分かる、昔あったな〜と思った。
何だかわかんないけど吸引力に負けちゃうやつ。
各々恋愛事情が違って面白かった。不倫やら幼馴染との友情結婚みたいのやら。
Posted by ブクログ
えらく、ラジオの話だなぁと思ったら、それ用の小説だったのか〜と納得。生放送のラジオ、たまに聴くとこれをオンタイムで話してる人と、聴いてる人が全国にいるのかぁってなんか不思議な気持ちになるよね〜。仲間感というか!
私自身、結婚したい!!と強く思ったことはまだないけど、雄大が仁絵にしたプロポーズがあまりにも素敵だった。こんな体験してみたいな。情景がすごく思い浮かんだ。
恋愛は絶対すべきだし得られるものがある有意義なものだって脳死で思ってたけど、少し間違えると精神をすり減らして何年もの間苦しむことになるし恐ろしすぎる。おかしな人を見分ける目と理性を働かせないといけないなぁ。
くまちゃんでもあった、才能があって追い越して先に行ってる人とそれに追い越された人の表現が今回もあったなぁ。恋愛だったけど。前に行った人は気づかないけど抜かされた人はめちゃくちゃ感じ取るよね、そーゆーの。自分だったら、それに気づかないフリして、前と同じように関わるのが人間らしくてちょっと苦手
Posted by ブクログ
ラジオを通して本来繋がりのない遠くの人とつながっていたり、身近な人とも案外つながっていたりもする。
本作は一つのラジオ番組を中心に、各リスナー達の周りで起こる出来事、パーソナリティの周りで起こる出来事を描き、大半が小さい出来事ではあるが前向きに進んでいく様子を綴っている。
コンパクトで読みやすく、ふと疲れた心を回復してくれるような一冊だと思う。
Posted by ブクログ
読後感がじんわり幸せになる本でした。
100人に反対されてもやめられないのが本当の恋というワードはうーん、と思いました。
不倫をする友達を応援したりするのも共感出来ないかも。
でも友人の幸せのために行動したり、ときめきは無いけど安心する幼馴染となんだかんだで結婚したり。本のタイトル通りそれもまた小さな光。
Posted by ブクログ
ラジオドラマの原作との事で、大事なポイントをラジオが占めている様な物語でした。新鮮で面白かったです^^
出てくる人達にはあんまり共感出来なかったですけど…^^;
Posted by ブクログ
あまり内容が入ってこないなと思いながら読み進めて、5章あたりからどんどん引き込まれていった。とくに何かが起こるわけではない、人々の生活の中にある出来事、「それもまたちいさな光」、タイトルが表すとおりの物語だと思った。
Posted by ブクログ
読み終わって知ったけど、TBS開局60周年を記念したコラボレーション企画ということで、ラジオが裏テーマになっていた。
最近ラジオ聴き始めたけど、確かに色んな人が同じ電波を違う場所で聴いているという同時性と、パーソナリティが視聴者のすぐ近くに感じられる親密さがあって、不思議な一体感が得られるのは感じていた。
この物語でも、ラジオが登場人物が違う場所の違うシチュエーションで寄り添っていて、温かい存在だなと思った。
我を忘れさせてしまうような刺激より、ささいな日常を確実に紡いでいくことにしあわせを見出していこうとした雄大と仁絵。共感できる選択だし、二人がそういう選択に至るまでの心境の変化の理由も納得できた。大きな一つの強い光を期待するのではなく、日常の中に無数の小さな光を見出していく夫婦感も素敵だと思えた。
鹿ノ子の恋人の見舞い作戦は正直、妻の気持ちになって怒りすら感じたけど、友人の恋の行方を応援する純粋な友情はうらやましい。
Posted by ブクログ
特別なことがなくても、毎日を同じように過ごせるだけで幸せなのかもね。
どうでもいい毎日を繰り返していくこと、他人である誰かと小さなあらそいを繰り返しながら続けていくことのほうが、よほど大きな、よほど強い何かなのではないか。
Posted by ブクログ
それぞれに色々な日常、人生があるけれど、1つのラジオのもとで繋がっている。素敵な小説でした。
角田さんの癖のない文章がすっと入ってきて、登場人物の目線が変わっても読みやすかった。ほかの作品も読んでみたいです。
Posted by ブクログ
主人公が周りの人間から刺激を受けて変化していく様子を描いた話。
人と人は繋がっていて、知らない誰かと知らないうちに同じ時間を共有していたりもして、それに気がついたとき世界の見方が変わるのかもしれない。日常の中のちいさな光に気づかせてくれるようなどこかのだれかの小さな物語。
Posted by ブクログ
波乱万丈ななにかがあるわけではなく、どこかの誰かが今も経験しているようなそんなお話でした。普段何気なくきいているラジオですが、たしかにラジオほど何気なくきけるものはないのではないかと新たな気付きでした。
Posted by ブクログ
youtube「登場人物がみんな、程よくクズ」と紹介されていて、興味を持って読んでみた。「クズ」と言われる人たちの人生は経験できないから(経験したくないし(笑))。面白かったけど・・・単調だった。
心に残ったのが「百人が反対してもやめられない恋よりも、どうでもいい毎日を繰り返していくこと、他人であるだれかとちいさな諍いを繰り返しながら続けていくことのほうが、よほど大きな、よほど強い何かなのではないか」という文章。刺激って、たまにあるから楽しい。ずっとは飽きるし疲れる。今旦那と生活して、たまにごちそうとか遠出とかすると、楽しいけど、日常が恋しくなる。そういうことなんだ、それが幸せなんだと思った。
Posted by ブクログ
あるラジオを通して様々な人生が描かれていく話。
でもテーマは世間が大騒ぎする昨今の不適切な恋愛や関係に対して肯定もしないけどそんなことになってしまうのも人間だよねっていう訴えかけが散りばめられている。
人に言えない恥ずかしい失敗なんて人生の中で誰でもあるでしょその中で成長するものなんだよっていうことなんでしょう。
文は読みやすく同じラジオを様々な人が聴いているっていう点で楽しめましたがもっと幅広い事情を持った人間が交錯していく様を見たかったな。