角田光代のレビュー一覧
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言わずと知れた名作。
角田光代さんがどこにスポットを当ててこの物語を描かれるのか、見てみたかった。
やはり凄いと思った。
繊細な心理描写もさることながら、だけど。
これまで真面目に生きてきた梨花が、一線を超える場面が、はっきりとどこ、と言えない部分が。
「後で戻すから一旦借りる」これ、自分も家庭内でした事が無かったっけ。
それから、夫婦の会話で感じる違和感、好きな人に満たされてると感じた時の「万能感」、またこの言葉やらのチョイスが凄いんですが、その漲るような力も、分かる気がする。
それに、光太にも梨花にも、誰かを陥れてやろうとか、明確な悪意はなくて。だからこそ、反省もせずエスカレートしていくんだけど…気持ちを理解できなくもない。
梨花の過去を知っている友人たちが思い描く梨花の姿が、それを肉付けしていく。梨花まではいかないまでも、お金に翻弄されて、確実に大切なものを失っていく人が多く描かれる。
読み終えてからも、色々と考えさせられる作品です。 -
Posted by ブクログ
何か救われないような事を抱えている人が各地の神様に会いに行きながら抱えている事象を見つめ直すような展開の話が多い。だいたいの悩み(っぽいもの)は解決しないうえに自己解析も中途半端パターンが多く、もやっとして終わるのが評価低い原因かなぁと思いました。スカッとはしないけど、私は嫌いじゃなかったです。大人の悩み主体なので中学校以上。
「神さまにあいにいく」スリランカ南部、カタラガマ神に会いに行く美津紀は夫と暮らす普通の女性。しかし、理由あって父親を忌み嫌っている。望むのは…。
「落ちない岩」29で警戒心ありながら見に行ったミャンマーのバゴーにある落ちない金の岩を36になってもう一度訪れてみる。
「弾丸祈願旅行」清花は香港の長寿橋に来ていた。この橋を渡ると寿命が伸びるらしい。子宮体がんを診断され、私は10月に手術する。
「にせ巡礼」38の千津留は昔読んだ紀行エッセイで、サンティアゴ巡礼路を知り、忘れていたが石本菜央に今度はそれに行こうといわれ一週間ツアーに参加し、巡礼じゃない!と後悔しながらあちこち巡る。
「聖なる濁った川」夫の隆一は精神世界的なものに興味の方向が向いており、インドのバラナシというヒンズー教聖地ガンジス川に行こうと誘われても妻の奈保美は不思議に感じなかった。現地での体験や見るものなどで夫との距離を感じていく。
「モンゴルの蓋」雅志は20年以上前に夫婦だったチエが死んだと連絡を受け、住んでいた熱海に向かう。チエと行ったモンゴルでのスピリチュアルな体験はお互いの感覚の差異を生んだが、ずっと引っ掛かっていた感情だった。チエが熱海で気に入っていたらしい神社の巨木を見に行き、チエのことを考える。
「神さまショッピング」吉乃は仲良し四人組でフランスに来ており自由行動でみながデパートなど行っているときに、彼女の1番の目的である老舗デパートの隣の教会へ向かった。そこにはコレラ流行の時に奇跡のメダイを配ったカタリナ・ラブレにまつわる場所で、吉乃は出産を望んで諦めており、嫉妬まみれのスピーチをしたときに起こったかもしれないある事件の贖罪を求めている。
「絶望退治」京都の縁切り神社に向かう鶴子が縁を切りたい相手は息子。夫は早々に離婚して息子から離脱した。息子と別れて心の安寧が欲しい。
最後の1話がこれなのは重いなぁ。共感しないで読みたいお話…。
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2024年大河ドラマ「光る君へ」の影響を受け『源氏物語』がずっと気になっていました。
今、あらためて、角田光代さんによる現代語訳の『源氏物語』を読み始めています。
主人公、光源氏の両親の悲恋から物語は始まります。帝の次男として誕生した光源氏もまた様々な恋に生きます。光源氏の恋は十代にして、不倫、ホラー、ラブコメなど波乱万丈です。釣り合いの取れた才色兼備の正妻がいるというのに、危うい恋に次々とのめり込んでいきます。相手が人妻であっても、躊躇なく平気で好きになるタイプですが、なかでも、義理の母(帝の妻)を本気になってしまうのは危険すぎました。そうかと思えば、10歳くらいの姫君を引き取りたいと言い出します。
1000年も前の平安時代の話なので、現代とは価値観が違うのでしょう。そう思って読み進めていたら、姫君の祖母である尼君も「姫君はまだどうともできないお年なのに、源氏の君はいったいどういうおつもりなのだろうと、気味悪く思うのだった」とあり、この時代から見ても、やっぱり光源氏は変な人だったようようです。
光源氏の恋の冒険の始まりが描かれる文庫本1巻ですが、それだけでなく、当時の風俗、煌びやかな朝廷絵巻、貴族たちの人間関係のかけひきや心情など様々な要素が盛り込まれ、エンタメ長編小説のスタートとして読み応え充分でした。 -
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お母さんへの対応とコロナ禍での情報の扱い方をリンクさせてるのすごい、まさかここに繋がるとは。誰もなにが正解か分からない、そういう時の行動の仕方、考え方、自分だったらどうできるだろうと考えた。そして案外、人生ってむしろ分からないことだらけで、そのなかで生きているのだよなと。考え過ぎても考えなさ過ぎても、極端に反対するのもただ数に流されるのも、よくなくて。そして正解なんて最後まで分からない。それが生きているってことなんだなぁと。
そしてものすごく取材とかしてるのだろうなと思わせる、出来事の詳細さ。本当にリアル。こども食堂の活動や役所のお仕事…
食事は幸せを作る。身体に良いものを食べる。なにを食べるかを自分で選択できる。自分が正しいと思って100%の善意で行動することも、それが他の人にとってはどう受け止められるかが違う。家族でさえ。
考えさせられる本でした。少なくとも、ちゃんと自分の頭で考えて選択しないといけないと、それだけは思った。 -
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読み終わった。まさに激動の巻だと思う。
今まで光君がしてきたこと、自分がされたらどうなるかみたいなね。
それにしてもうーん、個人的に柏木キモいなって思ったけど教養もあって素敵な人なことに変わりはないのか。人間の多面性って感じなのかな。
とりあえず言えるのは千年も前の話なのに人は変わらないし、文才がすごすぎる〜!!
以下ネタバレ含む感想(途中までしかない)
【若菜 上】
・朱雀院、出家したいけど1番小さな姫君(女三の宮)だけが気掛かり!光君にお願いしたいけど〜
・女三の宮、幼いし無邪気で可愛い
・光君、朧月夜とやっぱどうにかなりたい…夜こっそりでかける…!!朧月夜も満更でもない!
・ 東宮と明石の姫君のところに子が!明石の姫君…まだ12歳らしい。こわいよー!!
・紫の上、女三の宮や朧月夜で不安になるけどいい人なので、女三の宮を優しく面倒見る。女三の宮も紫の上を慕う。
・明石の姫君、無事東宮との子を出産!明石の御方は出家したい。明石の入道、安心し山へと消える(涙…!!)
・柏木、光君が出家したら女三の宮狙うぞ〜
・柏木、やっぱチラ見できた女三の宮が恋しくてたまらない!他から見たら至らないところが沢山あるけど、恋は盲目!
秋好中宮(六条御息所の娘で冷泉帝の嫁)が、昔朱雀院から貰った櫛を大事にしてて、元のデザインがわかるようにして綺麗にして女三の宮にプレゼントしたのはよかった。
てか紫の上、明石の姫君も女三の宮もさ、めちゃくちゃ優しくして心からいい人だな〜って思うのにこんな…こんな紫の上に子供がいないのが話としてすごすぎる!!!
【若菜 下】
・冷泉帝、院になる。気ままに過ごしてえのだ。
・調子乗りの柏木、女三の宮をむりやり…
・自分でやったくせに病む
・光君、女三の宮のところにあった手紙で気づく
・色々気持ち悪いことが沢山起きた…
・紫の上、病に倒れる…光君は励ますためにか過去の女の悪口を言いまくる…最悪!
・それを六条御息所の霊が聞いてしまう
いや〜なんかもうすごすぎる。人間というか光君とか柏木が愚かすぎてさ…うわぁ…みたいになりながら読んでいる!
…なんかもう色々あった。柏木は死んだし、女三の宮は不義の子を産んで出家したり。バレてるしどうするんだろう〜。紫の上はまだご存命。出家したがってるけど許可されず。
てかもうぜんぶバラせばいいのに!てか自分から滅びの道を突き進んだ柏木お前いつ死ぬん!?いつまで生きてんだ!と少しイライラしながら読んでいた。
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Posted by ブクログ
ネタバレお久しぶりの角田作品。
日々のディティールや情景描写が、本当に日記のようですごい。あと書き連ねられる献立がどれもおいしそう。冷やし中華食べたくなる。
妊娠から出産までの日記風の小説ではあるものの、私としては、マキと父との関係が心に残った。
折り合いが悪かった父が夢に出てきて、子供が父の生まれ変わりかもしれないと取り乱すマキに、夫は「おとうさんだった人のことを悪く言うのはよくないよ」「言っちゃいけないことってあるよ」と声をかける。マキはそれに腹を立て、トイレに立てこもってしまう。
親は絶対的に大切にしないといけないと信じている人って意外と多い。でも家族には全家庭で違う独特の関係性があるのだから、自分の尺度とか一般論でジャッジしてはいけないと改めて思った。自戒も込めて。
でも、いざ出産という時、マキは「おめでとう、がんばんな!」という父の声を聞く。
最後まで嫌いだった父にいざとなったら応援されているような気がする、親子関係の矛盾。人間の心理の複雑さが愛おしくなるようなラスト。小説だからこその希望と力に感動した。