角田光代のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
何かを信じる事の危うさと必要性を感じる読書体験だった。
コロナのワクチンの副作用について疑ったり、陰謀論を信じたりする一方で、目の前で起きている災害には無頓着だったりする。そんな人間の矛盾が、この作品には丁寧に描かれていた。
マクロビオティックで子育てをした女性と、ノストラダムスの大予言やオカルトブームの中で育った男性。二人は特別な人物ではなく、どこにでもいる普通の人たちだ。だからこそ、自分や周囲の誰かと重なる部分がある。
本作には大きな事件や劇的な展開はあまりない。それでも強く印象に残るのは、人が何かを信じる姿がとてもリアルだからだと思う。人は不安な時代を生きる中で、正しさを求め、答えを求め、時には根拠の薄いものにすがる。しかし、その一方で本当に大切なものを見落としてしまうこともある。
読んでいて、人は矛盾の中でしか生きられないのかもしれないと思った。何かを信じることは時に危うさを伴う。それでも人は、何も信じずには生きていけない。
だからこそ最後に大切なのは、大きな思想や正しさではなく、目の前にいる人とのつながりや、ほんの些細な日常の出来事なのかもしれない。ずっと下を向いていたけど、空を見上げたら天気が良かったとか、理屈ではない目の前の人助けだったりとか。「何を信じるか」だけでなく、「生きる為に本当に必要な事」を考えさせられる一冊だった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ角田さんの短編集の話がこんな風に繋がっているのはすごく好みで、というのは微かな繋がりでは無くて、それぞれの視点から見た家族のあり方や家族の誰かが語られているから。
桜木紫乃さんのホテルローヤルの連なりも良かったけど、名作家さんの短編集の連なりは魅力的
また、テーマとタイトルも言い得て妙で、空中庭園という言葉はよくわからないんだけど、しっくりきていることだけはわかる。読んでよかったー!とかスッキリとかそういう読後感では無く、どこか不穏で、でもリアルで、愛ってなんだろう、家族ってなんだろうって考えさせられる。
絵里子の育てる庭園、絵里子の母親との確執、タカシを騙して家族を作る、1番ゾッとした
そんな風に手に入れた家庭は幸せなのか…考える。表面上、バランスが整っていればいいのかな?と騙されそうになる。夫のタカシは浮気を何人もとしていて。他の女性も不幸せにする。人の不幸せは連鎖する。親から子へ、妻から夫と娘、夫から浮気相手へ、浮気相手から息子へ
不幸のチェーンが丸く繋がって家族に戻ってきてるのも滑稽だし。
恋愛下手な人たちは親からの愛情も上手に受けられてないことが多い。
なんでこんな物語が書けるんだろう〜 -
Posted by ブクログ
小さな娘を持つ主人公は、ある日突然刑事裁判の補充裁判員に選ばれる。事件は、主人公と同じく乳児を持つ母親が、子を風呂に沈めて溺死させたことであり、その量刑について巡る。ストーリーは、裁判所における審理や判決の過程と、主人公の日常生活を交互に語る構成。母親との関係や旦那との関係がうまくいってない姿が被告人と重なる。被告人は、旦那から直接的ではないにしろ、間接的な攻撃によって精神的に追い詰められていたと主張する。しかし、裁判所において誰にも認められない。主人公は、自らが同じ状況にあるため、必死にみんなに訴えるが、通じない。人は、無自覚のうちに側から羽ばたこうとする身近な人を押さえ込もうとするのではな(...)
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いい!角田光代は絶対性格いい!
それが随所に感じられるエッセイ。
そうか、食いしん坊の人は目に入っ食べ物の名前を口に出して読み上げずにはいられないのか。
私も車の助手席で言ってるらしく”なんで見たもの声に出して言うの?”とよく夫に言われるわ。
外食と飲みにいくことが多い著者。
でもだいぶ少食なんだとか。
ピザはせいぜい2切れって、だからラーメンにサービスでライスがつく場合も断るんだとか、ラーメン1人前ですらあやしいらしい。
さすがに私もライスはいらないけどね。
だって美味しいものはいっぱい食べたいものね。
天狗納豆、今度成城石井で買ってみよう。
トトの写真(モノクローム)がたくさん載っていて全部可愛い。可愛くない疑惑はあり得ない。
お世辞でもなんでもなく、お目々は半とじでも可愛い。
あのトトがもう15歳だって。 -
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フラレる人たちの連作短編小説
NHKの番組「理想的本箱 君だけのブックガイド」の「ひどい失恋をした時に読む本」回で紹介された本の一冊
「ふられ」の数珠つなぎ
中には振っているようなものもあるけど、実質的には振られている
登場人物たちは恋することで人生の転機を迎える
フリーターがまともな職に就こうとしたり、夢を諦めたり、自分の性的指向を認識したり
そこで人生を変えるような行動するが、失恋と共に失敗するという展開を迎える
自分にとっては運命の相手と思っていても、相手にとってはありふれた、場合によってはどうでもいい相手だったりといった恋愛感情の偏りをまざまざと見せつけられる
好きな方の立場を読んでいると、もの凄く「好き」が伝わってくるのに
次の話になると、相手はその程度しか気持ちがなかったのかと悲しい気持ちになる
角田光代は「愛がなんだ」でも恋心の一方通行の連鎖を描いている
恋愛とはつくづくままならないものですねぇ
自らの恋愛遍歴を振り返ると
告白して振られた事はあるけど
ちゃんと付き合った場合は、私の気持ちがまず離れて別れるパターンばかりだなと思い返した
多分、私は恋愛に向いてねぇ
なので、片思いの状態でずっといるのが私の最適な恋愛状態なんだなと改めて認識した
それだと気持ちを自己完結できるし、何より相手に迷惑をかけないでいられる
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風変わりなくまの絵柄の服に身を包む、芸術家気取りの英之。人生最大級の偶然に賭け、憧れのバンドマンに接近したゆりえ。舞台女優の夢を捨て、有望画家との結婚を狙う希麻子。ぱっとしない毎日が一変しそうな期待に、彼らはさっそく、身近な恋を整理しはじめるが……。ふる/ふられる、でつながる男女の輪に、学生以上・社会人未満の揺れる心を映した共感度抜群の「ふられ」小説。
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Posted by ブクログ
映画が出た当初、割とすぐに観たのだけれど断片的にしか覚えていないのもあり
こんな感じのストーリーと雰囲気だったっけ...?っという印象、悪い意味ではなく。
映画は映画で好きだったことは覚えているし
原作も原作で好きだなぁっと。
"恋は盲目"っという言葉があるけれど
片思いでも両思いでも経験をしたことがある人は少なくはないと思う。
そしてどれだけ好いて尽くしても愛は返って来ず
"それでもそばにいられるなら..."っと
テルちゃんのように都合の良い存在へと成り下がってしまう経験をしたことがある人。
どちらかの経験をしたことがある人には共感性が高く
現実味を帯びていて刺さるストーリーだと思う。
ただ、テルちゃんのそれは恋は盲目とも都合の良い存在とも呼べないような...いや、呼べるのだけれど。
それらをも越した、越してしまったと言うべき位置に到達しているように感じた。
私だったらと自分に置き換えて考えてみたら
テルちゃんのようにはなれない、到底無理だと
想像をするだけで胸が締め付けられた。
とても正常だとは言えないけれど
テルちゃんのそれはこれも1つの愛の形なのでは...っと。
こちらの感覚を麻痺させ鈍らせてくるような感覚を覚えた。
マモちゃんから離れたとして
テルちゃんはきっとテルちゃんのまま変わらないのだろうなぁ...。
そんなテルちゃんのままでも自然と軌道修正をしてくれそうな男性に出逢えたら...。
世にいるテルちゃんのような女の子、報われてほしいな。 -
Posted by ブクログ
宮田ナノさんの『ハラヘリ読書』という作品の中で
この『さがしもの』について書かれたページが気になって読みました。
表題の『さがしもの』他、「本」をキーワードにした短編集です
気になっていた『さがしもの』はもちろん、個人的には
持ち主を不幸にする(と主人公が信じている)本のお話『不幸の種』ととある本屋さんがきっかけで小説家になった主人公のお話『ミツザワ書店』が特にお気に入りです
あとがきエッセイの中の角田さんの「つまらない本」との向き合い方も参考にしていきたいな、と思った。つまらない本などなく、それは今の自分と相性が良くだけで、本の問題ではなく、自分の側の問題である、と。
その他、印象的だった文を備忘録として記載しておきます
・それでわたしは思うのだ。人って記憶で構成されているな。と(引き出しの奥)
・死ぬのなんかこわくない。死ぬことを想像するのがこわいんだ。いつだってそうさ、できごとより、考えのほうが何倍もこわんだ(さがしもの、のおばあちゃんのセリフ)