あらすじ
ついに最愛の紫の上が死去し、悲しみにくれる光源氏は念願の出家をはたし、源氏の物語は終焉に向かう。舞台を宇治に移し、源氏ゆかりの貴公子、薫と匂宮の物語が始まる。『夕霧』から『椎本』までを収録。
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生きる苦しさと、愛するかなしみ。
紫の上の死を迎え、悲しみにくれる光君は出家を決意し、
光源氏の物語はしめやかに終焉に向かう。
そして新たな物語、薫と匂宮が姫君たちと繰り広げる「宇治十帖」へ!
夕霧は亡き友、柏木の妻である落葉の宮に恋慕を募らせる。
紫の上は出家を果たせずに最期を迎え、心の支えを失った光君は、
悲しみにくれ出家を決意し、光源氏の物語は終焉に向かう。
「橋姫」からは、いよいよ宇治を舞台にした傑作「宇治十帖」が始まる。
「夕霧」から「椎本」までを収録。
感情タグBEST3
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書きたいことを模索しつつ右往左往していた感じを経て「橋姫」の一行目で物語が突如仕切り直された感じ、なんというか鳥肌ものというか「書きたいもの、見つけた!」感があってワクワクした。光源氏亡きあとも物語を続けたこのあたりからが真骨頂という感じがする。
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光君が亡くなり物語は宇治十帖へ。その前に夕霧のイメージダウンが半端ない。雲居雁への一途な思いはどこへやら。こんなにしつこい男だったとは…(T-T)そして源氏が亡くなってもテンション下がるどころかワクワク展開の宇治十帖、続きが楽しみ!
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なんと言ったらいいか。
全体的に心がザワつく。
雲隠に驚く(書けなかったのかなぁ)
夕霧が気持ち悪い(はい、すみません)
匂宮は何か鼻につくし(はい、ごめんなさい)
蛍はまだよく分からない(クソ真面目?!)
登場人物をいったん整理しなきゃダメだった。
気がつけば致仕大臣もいないしさ。
初見なので、こんな感想ですみません。
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尊敬語を文体に読みやすさを感じ三巻まで来たところで息切れして読み方が雑になってしまった 所々の解説は無くても読みこなせると思い上がったのを反省しもう一度読み直しをしました
登場人物に線を引っ張って今回は色に着目して楽しんでいます
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浮気をよくしていた光君にとって、紫の上がただ一人本当に大切な人だったのだなと思った。紫の上は亡くなり、その後光君も亡くなる。
光君のような、容姿も才能も恵まれた人も、思い悩む、この世の儚さを感じる。それが人間らしく、人生というものなのだと思う。
人の噂も、ルッキズムも、昔から変わらないのだ。その姿を見る前から恋するのも、今のSNSでの出会いに似ている。
薫が、出生の秘密を知り、大君とは、今後どうなるのか。あと二冊になったが、面白く、早く読み進めたくなった。
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「夕霧」では、雲居雁ちゃんの夕霧に対するしっとぶりが、時代を超えて伝わってきました。夕霧は光源氏の子供だからしょうがないよなあと思いつつ、今まで真面目くんだったのに〜!なんで?という感じでした。
紫の上が亡くなる場面は、涙を誘い、光源氏亡き後の話はつまらないと思いきや、決してそんなことはなく……源氏物語が現代も読み継がれる理由が分かります。今後も角田さんの訳が楽しみです。
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いやあ、夕霧キモかった。
落穂の宮にしても、女三の宮にしても、玉鬘にしても、源氏物語の女性は本当に「嫌で嫌でしょうがないけど仕方なしに」結婚したり庇護を受けたりしている。
本当に女には自分で何かを選ぶことができなかったんだ、そんな女の苦しい、狭い生き方しかできなかったんだということを紫式部先生は繰り返し書いておられる。すごいなあ…。
そして最近、質問をチャッピーにしながら読むのにハマっている。
なんですぐに出家したがるの?とか、死んだら家族はどうなるの?とか、失恋や心労で横になってそのまま死ぬとか、簡単に死に過ぎじゃない?とかのたわいない質問にすごく丁寧に答えてくれるのが楽しい。
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ついに紫の上が亡くなってしまい、悲しみに浸る間も無く光君までも亡くなった。「雲隠」本文が無い終わり方に鳥肌がたった。良い終わり方だなと思った矢先、光君の子孫、夕霧、薫、匂君の物語へと続く(波乱な予感)。角田さんのあとがきまで読むのが楽しい!
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「夕霧」から「椎本」まで。夕霧は真面目な人が羽目を外すと大事になる見本のようで、かなりしつこい嫌な人。紫の上が亡くなり、光る君も。宇治十帖は光る君の息子、孫世代のお話。夕霧が右大臣、明石の姫は東宮の母。最後まで楽しみ。
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紫の上がついに亡くなってしまった。たぶんおそらくまだ若いだろうに。光君に最も愛されていた女性として描かれているけれど、あとがきで角田光代さんも書いているけれど、本当に紫の上は幸せだったのか、と思います。
愛されてはいたかもしれないけれど、やはり他の女性のところに行かれるのは不安もあり嫉妬もしただろうにと思います。
紫の上亡き後の光君の落ち込みよう。いつかは訪れる別れ。ならば他の女性のところになど行かずに紫の上のそばにいればよかったのにとも思います。
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・夕霧‥夫、督の君が亡くなって、母親(一条御息所)のいる比叡山の山荘に移った落葉の宮。一条御息所を見舞うふりして落葉の宮に会いにいく夕霧。ある日とうとう思い余って寝室に入り込んだ。しかしこっぴどく拒まれ、ことに至らず。でもどれだけ言い訳しても一夜を共にしたことには変わりはない。宮はたいそう悩み、気持ちが悪くて仕方がない。母親に相談するが、その頃もののけに取り憑かれていた母はついに亡くなってしまった。死人に口無し。一条御息所から宮の面倒を見てくれと頼まれた、などと出まかせを言って、夕霧は落葉の宮を京に連れ戻し、結婚してしまった。落葉の宮、なんて男運のない人なんでしょう。夫、監の君にはイヤイヤ結婚され愛されず、そして今度はいくら好かれても自分がイヤで仕方ない男との結婚。女性側に選択権はなかったのか。夕霧の妻、雲居雁の宮は今まで夫の不貞など疑ったこともなかったのに、突然の心変わりにヤキモキ。父、致仕の大臣(ちしのおとど、元頭の中将)のもとへ里帰りする。あんなにおしどり夫婦だったのに夫からは「鬼のような女」と言われてしまう。
・御法‥紫の上の体はどんどん弱っていき、死を覚悟し始めた。法華経供養を二条で営むことになり、関係者が続々と集まる。御法(みのり)が終わっても明石の中宮(明石の御方の娘、今上帝の妻)は息子三の宮(匂宮)と共に二条院に滞在し、紫の上の心を癒す。しかしみんなの願い虚しく紫の上は死んでしまう。光君は最後まで出家を希望していた気持ちを汲んで、剃髪してやってくれと頼む。
・幻‥紫の上を失った今、夢も希望もなくしてしまった光君の様子を語る。
・雲隠‥タイトルだけの帖。光源氏の死を暗示する。
・匂宮‥紫の上、光君が亡くなり六条院は火が消えたように寂しくなる。が、話はその後も続く。時代は光君の子や孫の代。女三の宮との間の息子中将、薫(実は督の君との間の子)。明石の中宮と帝の息子匂宮。冷泉院と弘徽殿女御の娘、女一の宮。夕霧と藤典侍の娘、六の君‥などなど、家系図見なけりゃ理解できない。そしてなんとまぁ狭い京都の中で、わずかな血筋の間で男女の物語が繰り広げられていることにビックリ。兄妹以外はなんでもありだ。
成長した中将薫は自分の出生の秘密に疑念を抱き始める。
・紅梅‥致仕の大臣(ちじのおとど、元頭の中将)の息子、紅梅大納言(按察あぜち大納言) は三人の娘がいる。正妻との間に大君、中の君の姉妹と真木柱(髭黒と元妻との間にできた娘)の連れ子宮の御方。大君は守備よく東宮に嫁がせることができ、中の君は匂宮(明石の中宮と帝の間の子、東宮の弟)に嫁がせようと目論んでいる。が、匂宮はどうやら宮の御方にご執心。
・竹河 ‥髭黒大臣がなくなってから玉鬘は二人の娘の行く末が心配で仕方がない。できれば宮中入りさせたいと思っている、長女大君には冷泉院からの誘いがあり、しかも蔵人少将(夕霧の息子)と光君の息子(女三の宮腹)の二人からも求婚されている。玉鬘は、冷泉院は宮家だが彼自身は勢力が衰えており悩ましいところ、次女には薫君が相応しく、蔵人少将は問題外‥と考えを巡らせている。‥そして結局大君は冷泉院へ輿入れした。帝も大君には思いを寄せており、また冷泉院も昔好きだった玉鬘のことはいまだに気になる存在‥どこまでもおモテになる親娘なのだ。大君は冷泉院の寵愛を受け二児をもうける。が、第一、第二妻の弘徽殿女御、秋好中宮からのあたりが強く、玉鬘は院に嫁入りさせたことを後悔する。また、自分は長年勤めた尚侍の職を次女中の君に譲ることにした。(つまり中の君は東宮に仕える身となる)
宮中に居づらくて、里に帰りがちになる大君目当てに、中納言に昇格した薫君と宰相に昇格した蔵人(しっかり妻を娶っている)が足繁く通うことになる。
・橋姫‥ここから主人公はポンと変わる。光源氏の異母兄弟。光君とは対照的に、世間から忘れられ宇治の田舎で静かに暮らす八の宮とその娘だちの話だ。母親は次女が生まれた時に亡くなっている。父親の八の宮は出家はしてないものの、山奥に住む阿闍梨から仏の教えを聞き修行を積む。その阿闍梨は冷泉院のところにも出入りしており、そこで話を聞いた薫君は八の宮の生き方に感銘を受け、話を聞きに時々宇治に通うようになった。その宇治で、薫は彼の出生の秘密を知るという老女房に出会い、自分は光君の息子ではなく柏木との不義の子だったことを明かされる。
・椎本‥ 八の宮は死が近いことを理解し、自分がいなくなった後の娘たちの行く末を薫に託して山に入ったまま亡くなってしまった。姉妹は父親の死に目にも会えず、心細くて仕方がない。かと言って、薫に付いて京に行く気にはならない。薫は、やましい気持ちはありませんよという態度を取りながらもしっかりアプローチしていく。。そんな薫の行動を匂宮が知り、「私のこともアピールしといてね」と言い始め、自分でもせっせと手紙を書く。
何年も通っていたのに薫は姉妹の顔を見ることがなかったのですね。やっと念願の顔を盗み見ることができ、その美しさに魅了される。大君二十五歳、中の君二十二歳。
当時の高貴な女性たちは、その姿を他人に見せることはしなかった。高価な衣装で着飾って何しとるかって感じだ。
Posted by ブクログ
角田源氏6巻です。「夕霧」、「御法」、「幻」、(「雲隠」があるが数えない)、「匂宮」、「紅梅」、「竹河」、「橋姫」、「椎本」の8帖を収録。
大将(夕霧)は、亡き親友の妻だった一条宮(落葉の宮)をお見舞いに訪問しているうちに思いが募る。宮は、物の怪に患っている母一条御息所とともに小野の山荘に移るが、一条御息所は死去。大病を患った紫の上は、その後も衰弱し死去。悲しみに沈む光君、出家する前にと形見分けをし、紫の上からの手紙を処分する。今上帝と明石の中宮の子三の宮(匂宮)と、女三の宮の産んだ若君(薫)の二人は、何かにつけお互いに張り合っている。三の宮は元服し兵部卿となり、若君も14歳で元服し侍従に、またその年の秋には右近中将に昇進。世間では、二人とも気品があってうつくしいと評判で、〈匂う兵部卿、薫る中将〉と噂している。若君は自分の出生の秘密を知りたく思っているが、仏道修行を続ける母宮に聞けずにいる。右大臣(夕霧)は、六条院の東(夏)の町に一条宮(落葉の宮)を移らせ、北の方(雲居雁)の住む三条院と一晩おきに通っている。柏木の弟按察大納言の妻は真木柱で、死別した前妻との間に姫君が2人(大君と中の君)、真木柱の連れ子が1人(宮の御方)、そして真木柱との間に若君が1人いる。長女の大君を東宮に入内させた大納言は、中の君は匂宮に、と思っているが、匂宮は宮の御方に気持ちが傾いている。尚侍の君(玉鬘)と亡き太政大臣(鬚黒)との間に生まれた子は、男の子3人(左近中将、右中弁、藤侍従)に女の子2人(大君、中の君)。尚侍の君は、姫君たちをどう縁付けたらいいか悩み中。右大臣(夕霧)家の蔵人少将は大君を思い詰めているが、大君は冷泉院へ輿入れした。尚侍の君は中の君に尚侍の職を譲り、中の君は入内する。三位中将(蔵人少将)は左大臣の娘と結婚したが、まだ大君を思い続けている。世間から忘れられた親王、八の宮。故北の方との間には2人の女君がおり、男手ひとつで育てている。邸が焼失し、宇治の山荘へ移った。中将(薫)は、八の宮を訪ね交流を深めている。かつて権大納言(柏木)に仕えていた弁の君という老女房から、中将はついに自分の出生の真相を知る。兵部卿宮(匂宮)は、長谷寺に参詣し宇治に立ち寄る。八の宮の大君は25歳、中の君は23歳。宰相中将(薫)は中納言に昇進。念仏を勤めるために山寺にこもった八の宮はそのまま死去。例年より暑い年、中納言は涼しい宇治へ。襖の掛け金の穴から、中納言は大君と中の君をのぞき見る。
ついに紫の上が亡くなり、光君も他界してしまいました。主人公だった光君が急にいなくなっちゃって、なんとなく張り合いがないというか、どこを楽しみに読めばいいのかわからなくて、宙に浮いたような不安定な気持ちで読むせいか、どうにも盛り上がれなかった。主人公の不在って、こんなにもピリッとしないものなのねぇ。
紫の上を亡くした光君の、〈胸を打つ感動も、教養も、おもしろいことも、すべて広くにわたってあの人との思い出が重なっているから、悲しみをいっそう深くする〉という嘆きは、大切な人を亡くした者に共通した思いなのではないでしょうか。〈何を見ても悲しみが紛れることはなく、月日がたつにつれてますます紫の上を恋しく思う〉光君が詠んだ、
大空をかよふ幻夢にだに見えこぬ魂の行方たづねよ
(雁のように大空を行き交う幻術士よ、夢にさえあらわれない亡き人のたましいの行方をさがしてくれないか)
この歌に涙が滲みました。
あとここに書いておきたい感想としては、もう夕霧がひどすぎる。こんなヤツだったとは思わなかった。いい子だと思ってたのに、ショックだわぁ。ガッカリ度が半端ない。このへんは角田光代さんも「文庫版あとがき」で書かれていてうれしい。
光君の死後には、なんだかまるでおまけに書かれたような3帖があります。匂宮と薫、2人の若君の話、柏木の弟と真木柱の子供たちの話、そして玉鬘と鬚黒の子供たちの話。どれもモヤっとしてなんとなくキレがないように感じます。
そしていよいよ「橋姫」から、ラスト10帖、いわゆる「宇治十帖」に突入です。ここでちょっと復活というか、ようやく焦点が合ってきたような気がします。八の宮の姫君たちと、匂宮&薫のドラマになるのかな。光君の孫世代が、このあとどんなラストを飾ってくれるのか、楽しみです。