あらすじ
宇治の八の宮亡きあと、薫は姉の大君に求愛し、匂宮を妹の中の君と結ばせるが、大君は薫を拒み続け他界。次第に中の君に恋慕する薫に、彼女は異母妹の存在を明かす。「総角」から「東屋」までを収録。
どこまでもすれ違う、男と女の思惑――
宇治と京を舞台に繰り広げる「宇治十帖」から、
薫と匂宮の宇治の姉妹との恋、そして浮舟――
八の宮亡きあと薫は、宇治に残された姉の大君に
求愛し、匂宮を妹の中の君と結ばせるが、
大君は薫を拒み続けて他界する。
匂宮は中の君を京の二条院に迎え入れるものの、
夕霧の六の君と結婚。
中の君に次第に恋慕を募らせる薫に、
彼女は異母妹である浮舟の存在を明かす――。
「総角」から「東屋」までを収録。
感情タグBEST3
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薫の亡き大君への強い思いはその面影を残す中の君や浮舟への思慕へと変わり、ついには浮舟を強引に宇治へ連れていく。大君がなぜ頑なに薫を拒むのかわからなかったが角田さんのあとがきで腑に落ちた。浮舟の登場に唐突すぎる感が有るのは否めない。
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大君、妹を差しだそうとするとは。
薫、相当気持ち悪い(笑)
いや。ほんとに気持ち悪い。クソ真面目なの?って思ってた自分が嫌になる。
屈折してる。
無理はしないけど、ずーっとまとわりつく。
それでも自分は普通の、そこら辺の男とは違うと思ってる。
(ある意味、別物だよ)
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後半、浮舟の登場。その母君が、八の宮の娘であり、美しいこの姫を、それにふさわしい人と御縁を持たせたいと思うのは当然のことだと思う。
しかしながら、この時代の女君は、自分の意志ではどうにもならないものなんですね。男の人が強引にやってきたせいなのに、女君が軽々しく思われてしまうとか。
人の噂をみなとても気にしてますね。光君もやはりそうでした。それが最初は、なんかやりたい放題なのに、なんなんだと思いましたが。
光君亡き後の物語も面白いですね。
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薫が何度も京から宇治まで移動してるのでどのくらいの距離か気になってNAVITIMEで検索したら約15km。歩いたら3時間くらい。馬なら1時間ちょっとなのね。
角田光代さん訳、本当に読みやすい。初めて宇治十帖まで読めました。紫の上が亡くなるあたりから、どんどんおもしろくなってきた。
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解説にある通り、浮舟は和歌を詠まない。受け身だ。ただし、不快や嫌悪、不安はあることに尊厳は感じられる。角田光代さんは、薫がお嫌いのようだが、他の男性に比べると、女性の意に沿わず、手出しはしないことに、一種の救いを感じるのは、この貴族の男社会の異常性がもたらすのだろうか。
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女性のドロドロじゃなくて男性のドロドロで、もう目も当てられないくらいひどいけど、読み手としては面白い。紫式部恐るべし!残すはあと1巻。物語が何処へ向かうのか楽しみ。
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宇治十帖の「総角」から「東屋」まで。父八の宮が亡くなり、娘たちと薫、匂宮との関係、攻防のお話。皆それぞれの立場で悩む様が焦ったくも思うが、この後の展開も気になります。一つの帖がそれなりに長いです。
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光君亡き後、物語の中心になっていく薫と匂宮。
薫は不思議です。浮世離れしているというか。
大君があっという間に亡くなってしまって驚きです。
匂宮は中の君に言い寄っている時は本気なんだなと思ったけれど、浮気症な人。
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角田源氏7巻は、「総角」、「早蕨」、「宿木」、「東屋」の4帖です。
八の宮の死から1年、薫は大君を好きになりアタックするも、大君は受け入れない。大君は、自分よりも妹の中の君を縁付かせようと画策するが、薫は中の君に手を出そうとしない。匂宮が中の君にアタックし、結ばれる。大君、死去。中の君は二条院へ移る。薫は女二の宮と結婚し、匂宮は六の君と結婚、中の君は身ごもっている。薫は亡き大君の気持ちを思い、なぜ中の君と結婚しなかったのかと悔やむ。薫は中納言から権大納言に昇進し、右大将を兼任。中の君が男の子を出産。宇治へ行った薫、亡き大君によく似た浮舟と出会う。
『源氏物語』のテーマ、つまり紫式部さんがこの物語で書きたかったことは、「因果応報」なのだということが身をもってわかりました。とにかくあちこちで似たようなことが繰り返される。男が結婚し子が産まれ、そのうち他の女を好きになって求愛、その女との子供もでき、妻が病に苦しんで死、亡き人をいつまでも忘れられずにいると、目の前にそっくりな人が現れ、その人のことを好きになって求愛……。人物が代替わりしたりするだけでほぼこれの繰り返しなので、全編通して「またか」もしくは「お前もか」が続きます。たまに女が出家しちゃったり、男の方が死んじゃったりすることもあるけど。
7巻では、とにかく浮舟とその母君が不憫。ま、薫くんは比較的話がわかるというか、他の男たちよりはマシかな、とは思うけど、浮舟を亡き大君の「人形」(ひとがた)として見ちゃってるところが嘆かわしくはありますね。
さて、残り4帖、いったいどういう結末を迎えるのか、楽しみたいと思います。
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・総角‥物語は父母を亡くし、宇治にひっそりと住む姉妹の話に移る。主人公は薫、あの光君の三番目の妻、女三の宮の長男だ。(実は父親は致仕の大臣(ちじのおとど、元頭の中将)の息子、督の君)
薫は長女大君のことが大好き。なんとかしてお近づきになりたく、何度も手紙を出し何度も宇治に足を運ぶ。が、大君はそれがいやでいやでたまらない。次女中の君の方に気持ちが向いてくれればいいのにと思っている。そのあまり、薫が部屋に忍び込んできた時に、中の君を置いて逃げたりもしている。一方、宇治姉妹に興味を覚えた匂宮(帝と明石の中宮との間の子)は中の宮にご執心。薫は大君を取られては大変と、一生懸命二人の仲を取り持つ。匂宮は薫ほど熱心ではないし、帝と中宮からは注意もされているので宇治通いは滞りがち。大君は妹が心配で、ついに病の床についてしまう。薫が駆けつけた時には死ぬ寸前。死の床で薫はやっと彼女の部屋に通され手を握り髪を撫でた。‥なんて禁欲的!なんてプラトニック!その時まで襖越しでしか会えなかったんですよ、(そんな状態からいきなり情事に至ることもあるから平安の性事情はよくわからない。
薫の看病虚しく大君は死に、そして匂宮は中の君を京都に連れ帰る決心をする。
・早蕨‥いよいよ中の君は二条院に引越し。段取りは薫が進める。引越し手伝いをしながらもなんとなく気持ちはモヤモヤ。大君が言うとおり、自分が中の君の面倒を見ればよかったのではないか‥とか。夕霧は、娘の六の宮を匂宮に嫁がせるつもりだったのにあてがはずれた。こうなったら薫が婿でもいい、とも思う。
・宿木‥今上帝には藤壺との間に二の宮、夕霧には藤典侍との間に六の君という娘がいて、二人とも娘の嫁ぎ先を案じている。結局二の宮は薫へ、六の君は匂宮へ嫁ぐのだが、婿殿はいずれも気持ちはは後ろ向き。なぜなら薫は亡き大君を忘れられず、匂宮は妹の中の君をに夢中。しかし中の君は匂宮が別の妻をもらったことで気持ちが揺れ、宇治に戻りたい気分になる。そんな気持ちを薫に訴えようと、気心知れた薫をつい御簾の中に入れてしまう。気を良くした薫は中の君を口説き始める。すでに妊婦であることを知ってるのにね。作者はよほど薫のことをお気に召さないのか、わりとボロカスに批判している。残り香で薫と中の君の仲を疑った匂宮は嫉妬、だがそのうちに可愛い男子が産まれる。
さて、姉妹の父親八の宮には隠し子がいた。妻の姪との間にできた娘(浮舟だ。それがまた亡き大君にそっくりだから、薫としてはほっとけない。
・東屋‥浮舟の母、中将の君は八の宮に認知したもらえず、幼い浮雲を連れて常陸守に嫁ぎ、東国で暮らしていた。常陸守の娘はたいそう美しいらしいと噂になり、何人か申し出てくる青年もいた。中でも左近中将は出どころも悪くないし、本当はもっと身分の高い人のところへやりたかったが、高望みもできないので話を進めていた。ところが浮舟が常陸守の実の娘ではないと知るや縁談破棄。仲人の勧めるまま実娘のまだ幼い妹と結婚し、あろうことか新婚生活を同じ家で始める。プライドの高い母中将は娘を不憫に思い、思い切って中君を訪ね、京都の邸に置いてもらえるよう頼み込んだ。
父八の宮が拒んだものを、とは思ったが、人のいい中の君は浮舟を邸に置く。それを知った薫はそわそわ、匂宮に至っては寝室にまで入り込んでしまう。母中将はやはり中の君に迷惑はかけられないと、別に用意していた三条あたりの小さな家に浮舟を移す。するとついに薫が動き出した。家に突然押しかけ一晩共にし、彼女を抱きかかえて車に乗せ宇治の邸に連れ去ったのだ。大好きな大君のコピー人形として。