あらすじ
匂宮は宇治へ行き、薫と偽って浮舟と契りを交わす。浮舟は匂宮の情熱に惹かれるが、二人の関係が薫に知られ、入水を決意する。浮舟の愛と性愛、その結末とは…。「浮舟」から「夢浮橋」まで収録の完結巻。
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たしかに唐突に終わる。浮舟は逃げおおせて欲しいと思ったが、そのことは描かれない。感じとしては逃げ切れそうにない。オープンエンドだが、明るい未来は示唆されていない。薫も宮も、未練がましい男性性は最悪だ。最後は「人形」であることを脱せられるか?というテーマだったのか。
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薫と匂宮の間で揺れ動き意思のない人形のような浮舟。しかし小野で介抱され、出家してからは自立した自分の意思を持つ女性に近づいていく。宇治十帖は紫式部のストーリテラーとしての腕が上がり、よりドラマチックな物語になっているように感じた。
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角田光代さんの現代語訳で、最後まで読み通すことができた。とても読みやすかった。筆者の思いや解釈が記された、あとがきを読むことも、全巻を通しての楽しみだった。
高校の授業では若紫巻で源氏に出会い、源氏と女君との関わりに惹かれて、漫画「あさきゆめみし」の虜になった。
大学では原文で源氏に向き合い、古語の響きや面白さを堪能した。年月を経て現代語訳でもって読み通すと、色々な角度から読み味わえることに興味を覚えた。紫式部は男女それぞれの立場で、たくさんの和歌を詠んでおり、その才能は恐るべしである。
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薫は堅物だと言いつつも、浮舟が亡くなったとされたあとも、女一の宮に惹かれるし、なんかなあと思う。
最後も浮舟が、今後どう進むのか、分からないところで終わる。こうして、皆、惹かれ合い悩みながら生きて行くことなのですね。
光る君の後の、薫と匂う宮の物語も、とても面白いと思いました。
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毎月1巻ずつ、全8巻、最後まで読み切れるか心配だったけど、面白くて読み終えることができた。8巻では男2人、1人の女性に対し自分の気持ちばかり押し付け追い込んで、浮舟が気の毒で気の毒で。せっかく生き延びたのだからどうかこのまま薫から逃げ切って、浮舟自身の気持ちを大事にして幸せに過ごして欲しいな。アーサー・ウェイリー版も読んでみたい!
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なんと言っていいやら。
こんな終わり方。
当時の方々あれこれ続きをお喋りしたかな。
にしてもさ、宮も薫もふらふらふらふらふらふらふらふら…恋は恋でしか精神が凄すぎる(笑)
しかし。弟を連れてくとかどこまでも姑息というか強かで本当にダメだわ。
面白かった¨̮ ¨̮
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・浮舟‥薫大将は近頃宇治に通ってるらしい。そんな素晴らしい女がいるのか?好奇心旺盛な匂宮は辛抱たまらずこっそりと宇治に行き、浮舟の部屋に忍び込む。おっとこれはいつぞやの女と気がつくが、彼女の素性はわからない。なんとなく妻、中の君にも似ているが‥匂宮はどっぷり浮舟にはまってしまい、足繁く通うようになる。もちろん薫大将に見つからないように。そして京に邸を建て、住まわせる計画まで立てる。薫は薫でやはり浮舟用の部屋を作り、受け入れ態勢を整えている。二人の色男に言い寄られて、さぁ大変。匂宮の宇治通いを薫大将が知ることとなり、浮舟の心は穏やかではない。母や中の君にも申し訳なく、ついに死ぬ覚悟を決めた。
・蜻蛉‥浮舟は川に身を投げ命を絶った。宇治の侍従たちはさっさと自分たちで葬儀をあげてしまい、薫大将と匂宮、どちらの力も頼ろうとしない。二人のの嘆きようは痛々しいほどだった。
ところが悲しみの中でも女性ハントに余念がない。
薫大将は小宰相の君(明石の中宮に仕える女房)と女一の宮(匂宮の妹)、匂宮は亡き式部卿宮(蜻蛉の宮)の娘‥と、止まるところを知らない。
・手習‥なんと!あの浮舟が生きていた!川に飛び込む勇気もなく、大木の根元で泣いているところを僧都とその母親と妹の一行に助けられたのだ。妹の尼君は亡くした娘のことが忘れられないでいたので、美しい女君との出会いが嬉しく、小野の邸まで連れ帰り、甲斐甲斐しく看病した。そんなある日、故娘の婿殿がことのついでに妹の尼君の邸を訪れた。女の気配に興味が湧き、会わせてほしいと頼んだが、女君に激しく拒まれ、その日は仕方がなく帰った。が、どうしても諦めきれない。何度も手紙を出すが、相手にもされない。浮舟にしてみれば、これ以上の色恋沙汰はみっともなく、早く出家して俗世間から離れてしまいたい。妹の尼君はそれを許してくれないので、彼女が出かけている隙に僧都に頼み込み、慌てて出家の儀式を済ませてしまう。
ところでこの僧都は、明石の中宮の祈祷も行っており、浮舟と出会った奇妙な体験を、つい中宮に話してしまう。それを耳にした小宰相の君(薫大将といい仲)、寝物語にその話をし、薫大将は浮舟がまだ生きているということを知ることとなる。
・夢浮橋‥居ても立ってもいられない薫大将は、浮舟の弟を連れて山深い横川へ僧都を訪ね、事の顛末を聞き出す。会うことはやめた方がいいと僧都に諌められ、その場は諦めるが、後日、弟を使いにして小野の浮島へ手紙を渡しに行く。しかし浮島は頑なに返事を拒み、弟にさえ打ち解けない。なんと強情な‥可哀想に思い、面倒をみてきた妹の尼君にしてみれば、腹立たしいほど可愛げがない。
長い物語はここで途切れる。あれから千年の間に数多の人が続編を書いてきた。でも薫と浮舟の恋の行方は闇の中。読者の想像に任せるしかない。
食わず嫌いだったね、私。イケメン貴族光源氏の恋物語、どうでもいいよと思いながら読み始めた。が、意外と話の展開が激しく、皇族間での恋愛しか認められていないので狭い世界ながら、家系図見ながらでないと誰のことだかわからないぐらい複雑な人間関係。なんだかんだ言いながら結局最後まで読み切った。話が面白いことに加えて、男女間の告白の仕方、歌詠みに始まり歌詠みに終わる。情事後の翌朝にはできるだけ早く手紙を出さなければならない(後朝の文きぬぎぬのふみ)、とか、女性は易々と男性に顔を見られてはいけない、とかマナーが色々あって興味深い。その他、四季折々の風景、草花のこと、行事のこと、衣装のこと、食事のこと、楽器や踊りのことなど、情景が目に浮かぶようで、紫式部の才能に心底感服する。