角田光代のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
忌野清志郎のオマージュ。
ひとりのアーティストが人生の伴走者になる。たとえもうこの世にいなくても歌がある時は叱咤し、ある時は慰めになり、またある時は一歩を踏み出す勇気を与えてくれる。
豆田時生と晴本くすかとその息子新(あらた)の生きづらさを抱えた葛藤と再生の物語。
と書けば簡単だけど、理不尽な死に方で(ホームに落ちそうになった痴漢を助け時生をホームに落ち轢死、しかも痴漢という汚名を着せられたまま)新がお腹に宿ってその報告をしようとしたその日によ。
神様はいないのか、でもそっからのくすかの冤罪だと信じてとった行動力。高校時代の親友庭田の協力も得て、孤軍奮闘
頑張る姿は胸を打つ。
少年新とくすかが -
Posted by ブクログ
ネタバレ1967年生まれの飛馬、1950年(代くらい?)生まれの不三子、物語が始まった時は何の関係もない2人の人生を、順番に描いていく。
昭和中期以降、平成、そして令和。こっくりさん、口裂け女、ノストラダムス、Y2K…様々なデマが飛び、その度に大騒ぎするがデマは現実にならない。
一方で予想もしなかった現実の事件事故が発生する、大きな台風に洪水、大地震、オウムのサリン事件、原発メルトダウン。
根拠のない噂に振り回され、予想もしない現実に翻弄される2人は、子ども食堂のボランティア活動を通じて交差するのだが、それはもう物語の後半、そしてコロナ。
デマに翻弄される側だったはずが、デマを振りまく側に立ってい -
Posted by ブクログ
ネタバレ面白かったし読みやすかった!!
最近、友だちと結婚について色々話すけど、本当に正解はないし、どの人生も素敵だなって思った、自分のこれまでの人生も大切にしたいし、周りの人も大切にしようって思った!わたしは指輪も欲しいし式もしたいし旅行も行きたい!!ただしたいって思ってただけだけど、その思い出が未来の自分たちを支えるのかもしれないのかーーー!まだ少し先ではあるけどこれからする予定だから、その時間を大切に過ごしたいし楽しみ!!まだまだ側から見たら若いよなーーー自分、大変なことも沢山あるだろうけど形を変えながらでもずーっと一緒にいれますように!!ってなった! -
Posted by ブクログ
角田光代は本当に女性の心理描写がうまい。
自分がアラサーワーママになったので、学生の頃よりもどっぷり共感してしまった。
仕事の話を熱心にしていて、皆が耳を傾けてくれている時の愉悦、とかは後から振り返ると本当に恥ずかしいものなんだけど、私もいまだに感じる時があるからとても苦々しい気持ちで読んだ。
「ひとりでいるのがこわくなるようなたくさんの友達よりも、ひとりでいてもこわくないと思わせてくれる何かと出会うことのほうが、うんと大事な気が、今になってするんだよね」という台詞が好き。これは本当に心から同意なので。
解説の森絵都も良いことを言っていて、「人と出会うということは、自分の中に出会ったそ -
-
Posted by ブクログ
ネタバレ小夜子と葵という二人の相反する主人公が出会い様々なことを思いながら進んでいくという話でしたが、小夜子視点の現代と葵視点の過去という構成が斬新で面白かったです。女社長として小夜子に学生のノリのような態度で接し、流れや勢いで会社を経営してしまう葵と、高校時代、ナナコと共に過ごし周囲の反応に敏感で繊細に生きていた葵は全く違う人物像で、何故そうなってしまったのかという疑問を抱きながら読み進めていく感じが面白かったです。
個人的には葵の過去パートが好きでした。どこにもいけない自分たちがどこかへ行こうとする、でもどこにもいけないという思春期と複雑な環境ならではの感情が緻密に描かれていて良かったです。
好き -
Posted by ブクログ
ネタバレ戦前から現代に至る長い長い根っこ。その根っこは満州で出会い、逃げて逃げて、日本にたどり着く。ほー、長かったけれど、おもしろかった。登場人物が多すぎて、誰が誰やら分からなくなったことは多々あった。ミステリーのように枝が繋がって、お婆ちゃんが夫婦に会えなかったことは残念だけど、縁が繋がっていくんだと思った。満州事変という裏側にこんな日本人がいたかもしれないことを、本当はもっと興味を持って知らないといけない。世界情勢を絡めた描き方なのに、分かりやすい。角田光代という作家の底はまだまだ見えていない。
登場人物一人一人にコメントをつけられるのに、文字数がそれを許してくれない。そもそも名前を覚えてないわ -
Posted by ブクログ
年齢や出身大学は同じ。
だけど立場、環境、経験などあらゆるところで異なる2人の女性。
それぞれの目線が交互に入れ替わりながら描かれたお話でした。
描かれてるのはほんとにリアルな心境ばかり。
僕は男ですけど共感できるところがたくさんありましたし、出てくる夫の無神経というか無配慮というか、それだけに自然な言動にはイラっとなりました(^^;;
本当の友達ってなんだろう?とか自分にとって大切なのはなんだろう?とか色々考えながら読むことができましたけど、とにかく重くて重くて(^^;;
ずっとこんなこと考えてたらしんどいなぁって思うときもありました。
自分では気づかないフリをしてしまっている部分がた -
Posted by ブクログ
運動嫌いを公言している角田光代が書いた本ということで、どうせゆるい運動の体験記だろうと先入観を持って読み始める。
角田光代は大の酒好きで、ラン後の飲み会目当てで、友人がやっている会に入っているのだが、数年間毎週末、必ず10〜20キロを走っていたところへ、『Number Do』という雑誌から声がかかり、フルマラソンにチャレンジするのである。
最初の東京マラソンで4時間43分で完走して以後、10回以上フルマラソンを完走し、トレイルラン、登山なども行う。
いずれも、いやでたまらないのを我慢して参加しているらしいが、すごいと思う。
マラソン前日にお酒を飲んでから参加というのも信じられない。
なに -
Posted by ブクログ
めったに手にしない角田作品。
カラフルで明るい表紙に惹かれ読み始めたが内容はどうも深い話らしい。
あらた少年と母くすかの目線で話は進む。
どの編もすぐ話に引き込まれて、次の編に移った時あれ?と立ち止まってしまう。
あれ?どういう繋がりだったかな?というように、一編一編の内容が濃い。
母くすかは、熱狂的なロックバンドのファンで、そこだけは実在のRCサクセションで作中全編にその歌詞がちりばめられている。
そしてそのバンドが本作のネック。
時代を超えて、母の中に息子の中に息づくRCサクセション。
そのバンドのヴォーカル忌野清志郎をくすかは「バンドマン」と呼ぶ、ミュージシャンでもなく、ロックスターで -
Posted by ブクログ
人生最後の日、何を食べたいか?
じっくり考えずにはいられない。
豪華作家陣によるフルコースのような1冊でした。
なかなか手に入らないクッキー缶を
一気に食べ尽くそうか。
お気に入りのチーズにしようか。
と考えているうちに、
会食の手土産で初めてエシレのクッキー缶を
いただいて感動したこと。
その会食での、今となっては笑い飛ばせるトラブル…
どんどん着想がつながって、
思考があちこち色んな方向に旅に出ていました。
今の私は、あの頃の私が作っているんだよなぁ。
「最後の晩餐」をテーマに、
豪華作家陣が描く7篇の物語。
同じテーマでも、
作家によって切り口がまったく違うのが
アンソロジ -
Posted by ブクログ
世の中の流れが早くて、情報も多くて、気持ちも頭も充填されっぱなしになるときがある。
未知なもの、未確定なものがこわくて、
不安や恐怖でいっぱいになる。
不安を払拭したくて、情報に飛び込むと、また不安を煽られる。
そうゆうときはだいたい「べき」とか「常識」「正解」とか「普通」を安心したくなる。
わからないことがあるということを、もっと受け入れないといけないのかもしれない。
飛馬が祖父や父母からつながれてきたもの。
不三子が子供たちにつなぎたかったもの。
飛馬も不三子もそれらから解放されたときに、少し生きやすくなったように見えた。
方舟=次世代へつなぐものだとしたら、この本のタイトルが表すこと -
Posted by ブクログ
何かを信じる事の危うさと必要性を感じる読書体験だった。
コロナのワクチンの副作用について疑ったり、陰謀論を信じたりする一方で、目の前で起きている災害には無頓着だったりする。そんな人間の矛盾が、この作品には丁寧に描かれていた。
マクロビオティックで子育てをした女性と、ノストラダムスの大予言やオカルトブームの中で育った男性。二人は特別な人物ではなく、どこにでもいる普通の人たちだ。だからこそ、自分や周囲の誰かと重なる部分がある。
本作には大きな事件や劇的な展開はあまりない。それでも強く印象に残るのは、人が何かを信じる姿がとてもリアルだからだと思う。人は不安な時代を生きる中で、正しさを求め、答え