角田光代のレビュー一覧
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最初から最後までひどくふわふわしていて掴みどころのない小説。それは私がこの登場人物に比べて普通な生き方をしているからであって、たぶんこの感覚は泰子が太郎に対して感じる「腑に落ちない部分が怒りに感じる」感覚に似ているのだろうなと思う。そして、文章のみで読者の気持ちをコントロールできる著者の筆力の高さに圧倒させられる。
自分とは違う世界と感じる一方で、「誰かの無意識のきまぐれ」によって自分の人生が大きく左右されていくという感覚はわかる。今自分がいるのも、きっとどこかの誰かが何気なく行動した結果の積み重ねで、その力は時としてとても大きくただ身を委ねる他ない時もある。その力に100%身を委ねて生きて -
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ネタバレ中学時代からの親友同士で、高校生の時にはバンドを組んでアイドル並みの人気を博していたちづる、麻友美、伊都子。
しかし、35歳の今、三人はそれぞれの人生に倦んでいた。
ちづるは夫のコネでイラストなどを描いて発表したりもするが、専業主婦とほぼ変わらない生活を送っている。
夫が職場の同僚と不倫をしていることを知っても、悔しくも悲しくも感じていない。
伊都子は売れっ子翻訳家の母との二人家庭で育ち、偉大な母に認めてもらうための人生は間違いだったのではないかと思い始めている。
唯一、バンド時代が人生のピークだったと思い、幼い娘にもスポットライトを浴びるような生活をさせようとお稽古ごとに励む毎日。
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怖かった〜。
梨花は最初から不正をしようと思っていたわけではなくて、むしろ正義感の強い人だったのに、そんな人がどんどん深みにはまっていく描写が読んでいてハラハラしたし、悲しかった。
横領に手を染めるのは誰でも可能性あることのように思えて、本当に怖くなった。
気をつけよう。
ミリ単位で印刷合わせるのとかは苦手だから無理。笑
お金があっても幸せとは限らないんだな。
角田さんの作品なので犯罪者側を応援してしまうかなと予測しながら読んでいたけれど、今回は早く捕まったほうが梨花がこれ以上不正を繰り返さなくなるから、はやく捕まってほしいと願ってしまった。
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角田光代氏は、1967年横浜市生まれの小説家・翻訳家。早大第一文学部文芸専修卒業後、1990年に「幸福な遊戯」で海燕新人文学賞を受賞しデビュー。以降、『対岸の彼女』で直木賞、『八日目の蝉』で中央公論文芸賞、『紙の月』で柴田錬三郎賞などを受賞し、現代女性の心理や社会との葛藤を描く作品で高い評価を得る。児童文学やエッセイ、翻訳にも意欲的で、紫式部『源氏物語』の現代語訳(全三巻)を手がけた。2025年には『方舟を燃やす』で吉川英治文学賞を受賞。
本書は、月刊誌「ミセス」(2021年休刊)、雑誌『Paper Sky』、JR東日本の新幹線車内誌(月刊)「トランヴェール」、隔月刊誌「旅」(2012年休刊) -
Posted by ブクログ
顧客の金銭を横領した梅澤梨花の物語と思いきや、"お金"という存在に翻弄される女性たちの物語だった。
梨花の報道をきっかけに梨花に思いを馳せる木綿子、和貴、亜紀だが、犯罪こそ起きていないものの彼らを取り巻く環境も梨花とそう変わらない、お金に翻弄される日々だと明らかになっていく。
顧客の預金を横領してしまう、消費者金融の借入れをやめられない、過度な節約をしてしまう、そんな女性たちの描写がリアルで、そこに至るまでの過程も生々しく、他人事ではないのではないかと思ってしまうほどだった。
お金で買える幸せとは何か、買えない幸せとは何かを考えさせられる話だった。
最近本をよく読むように