角田光代のレビュー一覧
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最後の消えない光の二組の話が本当に好き。
私も結婚指輪いらない、式も、旅行もいらない。そんなのなくていい派なんだけど、耕平のいう「永遠であってほしいと願っている正真正銘今の気持ちを、変形しないうちに、かたちにしたかった。」とか武史の「自分たちの日々の区切りとして、もしそういうとくべつな何かがあったとしたら、きっと今俺達の気持ちはそこに戻っているんだろう」という気持ち。
そういうのを確認するための結婚指輪なのかもしれない。
第二話の『扉を開ける』の紀子のように、「漠然と消えてしまいたいと思ったあのときに、見つめるものがあってよかった」「見つめ返す強い光があってよかったって」と言うように。
ただの形だけの指輪ではなく、結構私が思っているよりも意味のあるものなのだと、説かれている気がした。
縋りたいときに縋れる記憶、思い出があるというのは、心の支えになるのかもしれない。
角田光代の文章はあっけなく私の気持ちを優しく揺るがしてしまう魔法がある。
素敵な宝石のような一冊でした。 -
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ネタバレ非常によかった。
わたしは妊娠・出産を経験していないのですが、これを読んだら経験してみたくなりました。
と、書くと、妊娠や出産を推奨している本のように思うのですが、そうじゃない。(こともないんだけれど)
「妊娠ってすばらしいよね」「子どもを産むのって幸せだよね」
それって、確かにそうなんだけど、それが全てではない。
だけど、世の中には不妊で悩む人もいるし、「せっかく授かったのに」「悩んでいる人もいるのに贅沢」なんて言われてしまうと、「産みたくない」とか、「子どもができて嬉しくない」とか、言いづらい雰囲気がある。
もちろん命は大切だし、堕胎も気軽に行っていい行為だとは思わない。
だけど、それも一つの選択肢なんだと、自分の善悪の価値基準を他の人に押し付けてはいけないんだと、そう改めて思います。
妊娠や出産に対する考えがマイノリティで、それに引け目を感じている人を肯定してくれるような本でした。 -
角田さんてホラーまで書けちゃうのか、すごい才能だなと思わずにいられない本でした。おみちゆきが印象深いです。高僧が生きたまま埋葬され木乃伊となり、生き神様となるが、四年後掘り起こしてみると...。頭の中で映像化してしまうほど、臨場感と表現力が強烈でした。
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Posted by ブクログ
ネタバレ『「結婚してやる。ちゃんとしてやんなきゃな」と恋人に得意げに言われ、ハナは「なんかつまんねえ」と反発する。共同経営する下北沢の古着屋では、ポリシーを曲げて売り上げを増やそうとする親友と対立し、バイト同然の立場に。結婚、金儲けといった「ありきたりの幸せ」は信じにくいが、自分だけの何かも見つからず、もう37歳。ハナは、そんな自分に苛立ち、戸惑うが…。ひたむきに生きる女性の心情を鮮やかに描く傑作長編。』
同棲していたタケダ君に飲み会の席でみんなに「結婚してやる。ちゃんとしてやんなきゃな」と宣言され、しらけるハナ。結局破局する。小さい時母親がなんでも手作りの人で、ケーキも手作りだったことを思いだす。
『誕生日に母が役ケーキは、決してまずかったわけではない。どちらかといえばおいしい部類だった。けれどそれはあくまで素人の作るおいしいケーキでしかなった。ケーキ職人のケーキを味わったあとで、母の手作りケーキはいかにも貧乏くさくて、あか抜けず、古典的でマンネリ化していた。けれど母は、自分が作るケーキが誕生日を迎えた人を幸福にすると信じて疑わず、せっせと作る。母をかなしませないために私はそれを食べた。食べたのだが、たとえば私の成績が落ちたり小遣い前借りが続いたりした折に、手作り教の教祖にふさわしい威厳と傲慢さでもって、「今度の誕生日にケーキを作ってあげませんからね」と母が宣言するとき、鼻白むようなあわれむような、苛つくような侮辱したいような、荒々しい気分にったものだ。』
こういう心情の機微に触れる角田光代の文章は読む人を引き込んでいきますね。登場人物が生きている。現状を嫌い否定するのは若い時はいいけど、年とると一歩も前に進まないという37歳女子の話。その焦り苛立ちは分かるけど、振ったタケダ君に電話したくなったり、そうやって揺れ動くのが等身大の人間とも言えるが、ちょっと面倒くさい女でもある。
『ステージでは、陣内さんの親戚らしき人がアカペラで歌をうたっている。演歌かと思ったが、よく聞いてみるとビートルズだった。』
『いくつになったってその人はその人になっていくしかないんだから、他人と比べるだけ無駄だよっ。きょろきょろ人のこと見てるあいだに、あっという間におばあちゃんだよっ』 -
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久しく恋愛小説から離れていたので肩慣らしのように選んで読んだ一冊。好きだった作家の作品ばかりなので、読後感はいい。恋愛小説を読むと自分の日常すら物語のように言語化されていく感覚を思い出した。でも長いこと離れていたので恋愛小説特有の「におい」に鈍感になっていた。寂しいにおい、切ないにおい…。読みすすめる中で少しは鼻がきく状態に戻っているといいが。
ミーヨンさんの作品は私には少し理解に時間がかかったので、また読み返すと思う。全体的に「次読んだとき、前とは違う感想を抱くだろうな」と思わせられる作品ばかりだった。
ただ最近「百合」の作品も読むようになったせいか、作中の女友達との関係が百合的な関係に思われてならなかった。特に角田光代さんの『そしてふたたび、私たちのこと』とか。 -
Posted by ブクログ
読み終わった後、なんだかすごく良い映画を観終わってエンドロールをぼーっと眺め立ち上がる事ができないような余韻にしばらく浸ってしまいました。
(エンドロールの曲は羊文学の「うねり」でお願いします笑
私の拙い感想を書くよりも、心に刺さる言葉がいくつもあるので抜粋して紹介したいと思います。
「おんなじ人に育てられたのに、私とあなたとどこで違ったんだろうね。結婚がすばらしい、よきものであって、それは自分にもたらされて当然の幸福だって、どうしてあんたは思うことができて、私はできないんだろうねえ」
私、44歳独身…弟は結婚して子供2人、素晴らしい親孝行息子!たまにちょっとした罪悪感をかんじあています
そして、恋愛はしたいのだけど、またアレを繰り返すのかというめんどくさい気持ちを見事に表してる言葉が
「また誰かと出会い、相性を見極め、恋をし、生活習慣をすり合わせ、相手を理解し、自分を知ってもらう、その長い道のりを思いうんざりする」
「ねえ チサトさんもお姉ちゃんもだけど結婚したくないのにどうして恋愛はしようとするの?」
「恋愛でもしてなきゃ退屈だからでしょ」
そうなんです!そうおもいます。恋愛してる時は退屈しないんですよね、でも退屈しない為とは言うものの、たのしいのはたのしいんです。
「わざと子供みたいに声をあげて泣いた。
そうしているとあ自分が何か持っていた気になれた。何か持っていて、たった今それを失ったのだと思う事ができた。そう思う為だけに、私はわざとらしく泣き続けた」
まわりのみんなが新しい道を見つけて歩き出していく、そんな時自分だけが何も無い事に気付かされる
とても切ない場面でした…
そして、母親が倒れ実家の冷蔵庫を開けたシーン
泣けます
「母のケーキなんて大嫌いだったのだ。貧乏くさくて垢抜けなくて、古典的でマンネリ化している。
この家から出た私がずっとがむしゃらに目指してきたものは、母のケーキと対極にある何かだった。
母は馬鹿だ。三十七歳の娘が母のケーキを目当てに帰省すると信じているんだから。」
恋人でも友達でも共同経営者でも長い事上手くやっていくには、好きなものが一緒よりも、嫌いなものが一緒の方が多分うまくいくのだろう。
でも、時には嫌いで絶対にやりたくないと言い合ってた事もやらなくてはいけなくなってくる
それが大人になるって事なのかもしれない
チサトがハナちゃんに「みっともないとか、やりたくないとか思うこともやんなくちゃなんない時もあるよ」
そしてハナちゃんも自分のやりたいことを見つけ動き出す!それは大嫌いだった手作り教教祖の母の作った自分たちの子供服がきっかけになってるって言うのも、すごく胸が熱くなります。
他にもたくさんの心に刺さる言葉がありますが、終わらなくなるのでこれくらいにしておきます。
この本を読むキッカケになった、さてさてさん
ありがとうございました。
最後に私は純粋恋愛の会を設立します!
会員募集中ですので、お気軽にお声掛けして下さい笑笑 -
購入済み
可愛い
猫ちゃんの写真も可愛いです。私も大人になって初めて猫ちゃんを飼って一緒に生活をして想像していたよりも猫は頭が良くて甘えん坊で、寂しがりやさんで、びっくりする事が沢山ありました。読んでいて、分かるわかる!!と思うことが沢山あって楽しかったです。トトちゃんとの生活を覗かせて頂いてほっこりします。
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Posted by ブクログ
いつのまにかなくなったもの、というのが、人生にはたくさんある。捨てた記憶はないのに、あんなに大切にしていたものが、なぜ自分の側からなくなってしまったのだろう。
もの以外にも、いつのまにか離れてしまった友人だとか、別れた恋人だとか、無理やりに忘れることに決めた人とか、記憶とか、たくさんある。なくしたものたちが積み重なって、今がある。
この小説の主人公は雉田成子。成子は8歳まで、人間以外のいろんなものと話ができたけれど、ある日突然それができなくなった。
そして成子は成長してゆく。痛々しい恋愛をしたり、それが破れたあと平穏な恋愛をしたり、結婚して子どもを産んだりする。ものや、人や、関係を得たり、なくしたりしながら。
昔家で飼っていてすでに死んだ猫が男の子にのりうつって登場したり、主人公が生き霊になったり、浮世離れしたエピソードもあるのだけど、それがとても心地よい。
角田光代さんの文章と、松尾たいこさんのイラストが、綺麗で切ない。
なくしたものたちが集まっている国や、忘れ物保管所みたいなところが、実際にあったらおもしろい。なくしたことさえ忘れてしまっているものも、たくさんあるのだろう。
出会いと別れを繰り返して人は生きていく。今大切にしているものや人も、いつかなくしてしまうこともあるのかもしれない。
それらすべてが必然なのだ、と思わせてくれる物語だった。 -
ネタバレ 購入済み
タイトル回収する作品は良作。
2人の主人公の現在、過去が交互に進んでいくけれど、そこが繋がる美しさ、そしてタイトルを気づけば回収してるといううまさめっちゃ読みやすかった。
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Posted by ブクログ
なぜ角田氏の作品に引かれるのか分かった気がする。
面白く、考えさせられるステキな作品
イタリア、アルプスのトレッキングに誘われウキウキ参加するものの雪山や勾配などかなり過酷な経験をする。
ただ歩く体験談ではなく、ガイドのマリオさんが仏教に納まり、山と禅が似ていると話す説法のようなお話も魅了的。旅の最後に寄ったベネチアが物足りなく感じる、大自然に魅了され、気持ちの安らぐ体験から自信をもらう。
角田氏が見たもの、感じたもの、出会った人々、それぞれをリアルタイムでタイムで書き上げている。
人の言葉を使わないこと。
人から見聞きしたものを安易に信じないこと。
自分の手で触れ、目で見ること。
を、ご自身に課して何かを書いている。
解説の三浦しをん氏も秀逸