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不意の出会い、気まぐれや衝動。無数の偶然に促されて、私たちみんな、進んでいく。自分にしかたどり着けない、見知らぬ場所に向かって――
幼い頃、泰子の家でいっとき暮らしをともにした見知らぬ女と男の子。まっとうとは言い難いあの母子との日々を忘れたことはない泰子だが、結婚を控えた今になって再び現れたふたりを前に、確かだったはずの「しあわせ」が否応もなく揺さぶられて……。水面に広がる波紋にも似た、偶然がもたらす人生の変転を、著者ならではの筆致で丹念に描く力作長編小説。
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Posted by ブクログ
最初から最後までひどくふわふわしていて掴みどころのない小説。それは私がこの登場人物に比べて普通な生き方をしているからであって、たぶんこの感覚は泰子が太郎に対して感じる「腑に落ちない部分が怒りに感じる」感覚に似ているのだろうなと思う。そして、文章のみで読者の気持ちをコントロールできる著者の筆力の高さに圧倒させられる。
自分とは違う世界と感じる一方で、「誰かの無意識のきまぐれ」によって自分の人生が大きく左右されていくという感覚はわかる。今自分がいるのも、きっとどこかの誰かが何気なく行動した結果の積み重ねで、その力は時としてとても大きくただ身を委ねる他ない時もある。その力に100%身を委ねて生きてきたのが直子で、一方泰子はその中でも自らの人生の舵を取ろうと決め一歩踏み出す。
「縁」ではなく「誰かの無意識のきまぐれ」という表現があまりに適切すぎて、ふとした時に思い出しそう。
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