あらすじ
不意の出会い、気まぐれや衝動。無数の偶然に促されて、私たちみんな、進んでいく。自分にしかたどり着けない、見知らぬ場所に向かって――
幼い頃、泰子の家でいっとき暮らしをともにした見知らぬ女と男の子。まっとうとは言い難いあの母子との日々を忘れたことはない泰子だが、結婚を控えた今になって再び現れたふたりを前に、確かだったはずの「しあわせ」が否応もなく揺さぶられて……。水面に広がる波紋にも似た、偶然がもたらす人生の変転を、著者ならではの筆致で丹念に描く力作長編小説。
感情タグBEST3
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一般常識に囚われずに本能のままに生きるってわがままなようで でもよほどの強い信念がないと生きられない。
人の目を気にせず奥深いところでの愛は決して忘れずに自分のやりたいように生きる
そんな人は邪念がない。
そんな人に心のどこかで憧れる自分が確実にいる
そんなお話だったかな
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ドラマ化するなら、智は岡田将生さんのイメージだ。そのイメージでずっと読んでしまったね。
泰子や智はきっとどこかに居る!と思わされる、具体的にイメージがぶわぁと描ける、そんな作品でした。
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最初から最後までひどくふわふわしていて掴みどころのない小説。それは私がこの登場人物に比べて普通な生き方をしているからであって、たぶんこの感覚は泰子が太郎に対して感じる「腑に落ちない部分が怒りに感じる」感覚に似ているのだろうなと思う。そして、文章のみで読者の気持ちをコントロールできる著者の筆力の高さに圧倒させられる。
自分とは違う世界と感じる一方で、「誰かの無意識のきまぐれ」によって自分の人生が大きく左右されていくという感覚はわかる。今自分がいるのも、きっとどこかの誰かが何気なく行動した結果の積み重ねで、その力は時としてとても大きくただ身を委ねる他ない時もある。その力に100%身を委ねて生きてきたのが直子で、一方泰子はその中でも自らの人生の舵を取ろうと決め一歩踏み出す。
「縁」ではなく「誰かの無意識のきまぐれ」という表現があまりに適切すぎて、ふとした時に思い出しそう。
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気持ち悪いながらもありそうな。いるよねー、こーいう人、と流されて流されて生活している人を側から見ているつもりだったけど、実は誰でもちょっとした選択で人生がコロッと変わったり決まったりする事があって、始まったら終わらせるしかないのかなと思った。
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どの人も目標を持って、前向きに生きてはいないし、流されてしまうことも、意志を持たずにいることもある。
しかし、この話に出てくる人たちの、ダメさ加減にはウンザリしてしまう。でも、惹きつけられる。
タイトルの意味も掴めぬまま、終盤になってわかった。
完璧な人はいないし、流されて生きていくことがダメではなく、そういうところが人間なのだと。
月の、欠けているように見える時間が多いように。
雷の、突然やってくるように。
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「堅実」の真逆をいく生き方が、自分には決してできそうもなく、かと言って羨ましくも可哀想でもなく、そういう人生もあると描かれている。
何かに必死になって生きて行かなくても、ただ流されてもそれもちゃんと生きているんだな、と眼から鱗。
不思議すぎて謎すぎて、でもそれに納得のいく説明なんかもなく。
それをただ受け入れるということ。
こんなに誰にも感情移入できない小説もめずらしい。
でもそれはそれでちゃんと小説として面白いんだよなぁ
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この小説に登場する、「生活」ができない人たち。
なぜそうなってしまってるのか、あれこれと理由を探すのは簡単だし、ともすれば彼らがちゃんと「生活」できるようになるためにはどうすればいいか、なんてことまで考えてしまいそうになる。
でも、彼らは確かに生きている。
彼らが一日一日をちゃんと送っていることは間違いない。
そのことを肯定したいと強く思う一方で、同じ場所に留まり続けて日々を蓄積していくとの重みと尊さもあらためて感じる、そんな読後。
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秩序ある生活に息苦しさを感じること。同じ生活感を持つ人と一緒にいる時に自分らしくいられ、心から楽だと思える気持ち。沢山共有できる内容がありました。
人生で人との出会いによって大きな変化や苦難があると思いますが、過去や未来について考えすぎず、直子の様に1日1日を楽しくありのままで生きていきたいと思いました。
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何と比べて“普通”なのか。大なり小なり他者とは違うものが内在するのであるが、そのことに違和感を覚えるのか、あぁそうなのね、と感じ入るのか...。ただ、そこにある。そして死んでいく...。
○○のターンが唐突に、それでいてそこにしかスッポリとハマらないのではないかという絶妙な配置...。流石です。
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この小説にはいわゆる世間一般の「ふつう」とはかけ離れた登場人物が3人登場します。
母・直子、その息子の智、そして幼い頃、智と一緒に住んでいて後に智の妻となる泰子 現実離れした生活を送る人達、読んでいて決して心地よい気持ちにはなれませんが何故だか先が気になって読み続けてしまう魅力がありました。
それぞれの登場人物の設定がしっかりしていてその心理描写も巧みで脳内映像で絶えず動いていました。
感動出来る類の小説ではないけれど人間模様の面白さを感じた1冊です。
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結局今の自分を作っているのは自分。
環境のせいにしたくなるのも自分、ひねくれた思い込みは自分で解ける呪いなのだなと。面白かった。
そして、はじまったらもう以前には戻れないこと
はじまったら終わるってことはなくて、なんとしても切り抜けなきゃいけなくて、しかしどうにでも切り抜けられるということ
直子の生き方は「どうにでも切り抜けられる」と考えている人のそれそのもので、それに私は少しばかり勇気づけられたように思う。
泰子が、どうか幸せになりますように。
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自分だけがおかしい、ひねくれてる…なんて悩みは周りを知らないだけなんだと思った。
みんな、同じように悩んでるし、失敗しちゃうし、望む方向と違う方に進む羽目になったりする。
でもそれが人生なんだろうなぁ。
進み出したら、毎日乗り切っていくしかなくって、明日の為に今日を過ごして。
とても人間らしくて、主人公達に共感できてしまう。
日々を精一杯過ごすって人それぞれだけど、どんな形であれ素敵だなと思う。
でも、関係なくなると意外と人間関係ってあっさりしていたり。
平凡って思ってる人達の中にも日々の心の揺れや変化ってあるんだなぁ。
そして個人の背景にはいろんな人が存在しているって気づくとなんだか大切さに気付ける気がする。
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奔放な母と放浪のような生活をして大人になった智。妻が出ていった家に残された娘の泰子と一時期一緒に暮らしていた。
大人になった智が会いにやってきた事から、泰子の生活は変わりだす。
解説の小池昌代さんの、直子の自由に一瞬嫉妬する。そして多くの女は、そんな直子に育てられた不幸の色気を持つ智に惹かれるのだ。に物凄く共感。
普通の生活が、一番難しいのかも。
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特別なことはいらない、当たり前を続けることが生活をつくりあげる。
「一緒にいたい」「この人となら生きていける」と互いが思うには、「生活を一緒に、一生続けていけるかどうか」。
幼い時から人当たりがよく、いわゆるモテるとされて来た男性を軸に展開される話。数年つきあってきて、そろそろ結婚しようかと思った矢先振られた言葉は、「怖くなってきた。普通の生活が普通じゃない」と言われる。その意味がわからず、仲のいい女性に相談しその解を聞くと納得すると同時に、自分の過去の家庭環境のせいだと振り返る。「例えば人が3食ご飯をとることが普通と思ってても、あなたは毎日お菓子でも平気でしょう?そういうのが怖いって感じる」。男の母親は住まいを転々として生きるために男頼りに暮らしてきた。そのため「続ける」「積み上げる」ことは重要でないという価値観が生まれてしまった。
「普通に生活する」ということは、個々人全く異なる。育った環境が違う性格が違う2人が、一生一緒に暮らしていくには、地味で華やかでなくても、普通と互いが思う生活を繰り返していけるかどうか。特別な日に特別なことをするよりも、日常を心地よく暮らしていける方が、幸せに近いのかと思った。
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作中で、智のことを「根無草」と表現した文があった。
それはそうかもしれないけど、そもそも生まれたときから根っこなんてなかった直子・智親子。
正直、「よく生きてこられたなぁ」と思った。随分と「ただれた人生」だったーーー(汗)
感じたことのない感情で胸焼けして、何故か麦茶をガブ飲みしたくなった。
読み進めている最中、直子だけが突出して「モンスター」みたいに錯覚したが、実はこの作品に出てくる女性達、ほぼ全員おかしいと気がついてから、一気にページを捲る手が止まらなくなった。
どこか狂気を孕んでいて、常識という枠なんて最初から知らない・または気付かないふりをしているような気もする。
そして、それぞれの女性達の特徴は、少なからず誰しもが抱く感情・言動だと感じた。
非常識な他人の行いのせいで、人の人生が捻じ曲がるなんて、実はそうそうあることではなく、
むしろそれはただのきっかけにすぎず、本当は自らの選択でいかようにも転がるものなんじゃないか。
作中の泰子の心情にはそう書かれていて、あー作者が言いたいのはここだと思って、共感できた唯一の内容だった。
直子のような根無草人生を羨ましいと思う人は、実は相当数いるんじゃないか。
知らない・考えない・差し伸べられた手は全て掴む…楽だし悩むことなんてなさそうで、実に「簡単」に見えるからだ。
それをしないからこそ、「一人前の大人」だし、自分を律するというのは、一生をかけた努力と習慣の連続なのだと思うからだ。
初の角田光代作品がこれでよかったのだろうかww
次にどんな本を読むべきか、読後感はとても複雑。
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歪な家族の物語。
主人公は自分の人生について深く考えず、後先考えず、流れに乗ってなんとかなるだろうと思っている、そんな登場人物たちを見てて危なっかしいなと思いながらもスラスラと読み終えた。
そして親が親なら子も子だと主人公を見て思った。
育った環境ってこうも影響するのか、と。
自分の親を見て嫌悪感を抱いている主人公も、側から見れば嫌悪感を抱いてしまう部分がある。
自分の周りにはいないタイプのひとの物語だったので読んでる途中も読み終えた今も不思議な気持ち。
こうして小説を通していろんな人間を知れるのは面白いなとも思った。
Posted by ブクログ
【2024年119冊目】
幼少期より母親と共に他人の家から家へと移り住んでいた智は、プロポーズをした恋人に「あなたには生活ができないと思うから」と逆に別れを切り出されてしまう。モテはするが、長続きしないことに薄々気づき始めた智は、唐突に子どもの頃一緒に過ごした泰子に会いに行くことを決意する。自らのルールに従って突き動いていく登場人物たちの人生の行方は。
ずーっと、膜に包まれたような感覚で読みました。理解はできるけど理解ができない、みたいな不思議な感覚。登場人物たちの心理と自分があまりにも乖離していて「そうか、私は生活ができる人間なのかもしれない」と思ったり。
かと思えば、智が母親に抱く負の感情に共感してしまい、こちらまで憂鬱、暗い気分になったりもしました。
不思議な雰囲気の小説です。よく映画にしようと思いましたね、かなり難易度高いと思います。単純な家族の小説ではないですから。
あと、お酒飲み過ぎないようにしよ…って思いました。ほどほどに。
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子供が育つ環境って大事。何が普通かわからずに育った人間は、普通に生きることが難しい。
何かが始まったら終わるってことはない。どんなふうにしてでも切り抜けなければならない。そしてどうとでもなる。
かつて、私もそう思ったな。
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書き出しから面白くてこれ短編集だったら寂しいなーって思ったら違くて嬉しかったけど後半にかけて面白さ減っていった
家に住ませてくれる人について行って家で何もしない直子とその息子の話
色んな人の家を転々とする不思議な親子
その二人がいっとき暮らしてた家にいた息子と同じ歳の女の子を忘れられず30を超えて探し出して会いに行き子供授かるのもすごい
起こること全部色々常識的におかしいけどまぁあり得ないことでもないことな微妙なラインなのがなんか面白かった
こういう普通から少しかけ離れたところに暮らしてる人たちの話
ひたすら直子が謎なのがいい
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幼い頃少しだけ一緒に暮らした智が突然現れる。そこから、「普通」に暮らしていた泰子の生活が変わっていく。
泰子を始め直子、一代。みんなたくましい。
それに比べて、男性陣はみんなほわほわして優しい。
直子はダメダメだけど、どんな時にも誰かに助けてもらえる。何か人を惹きつける不思議な魅力があるんだろうね。
何かが始まったら終わることはない。始まったら切り抜けなければならない。でも、どんなふうにしても切り抜けられる。なんとでもなる。って直子の言葉良かった。
Posted by ブクログ
2023/1/5
人間にとってルールはあった方が生きやすいものなのかな。
毎日お風呂、食事は3回、掃除は綺麗に。
直子がもしルールを守る生き方をしていたら、白髪になるまで生きられなかったんじゃないかな。
「もし」を考えずにただ1日を生きてきた直子。
主人公は直子じゃないけど、直子のことばかり考えてしまう。
Posted by ブクログ
星3つにしたが読むタイミングによって4つや5つになるんだろうと感じた。
感情移入したくなる登場人物が現れない。むしろ「わたしはこうはならない、なりたくない」と感じる人物ばかり現れる。
一方で嫌悪感に近いものがあるにも関わらず物語に惹かれていくのは何故だろう。登場人物たちの改心を求めて? いや彼らは改心しない。このまま生きていく。そうわかっていても惹かれる。何に?怖いもの見たさ?
たぶん登場人物たちの行く末が気になる、その一点かもしれない。だからこそ、行く末を知った上でもう一度読み返して時に自分がどう感じるか知りたいと思った。
「ふつう」を知らない人たちとして書かれている登場人物たちの言う「ふつう」。結局は、私たちも「ふつう」とは何かを考えてそれに寄せているのをまざまざと感じさせられてざらっとした気持ちになった。
Posted by ブクログ
この作品を読んでいる途中で、なんとなく村上春樹っぽいなぁと思った。現実には本当はないんだけど、そんな世界をスタイリッシュに描いたような。
女性同士の確執を描いた時はすぐ理解できるんだけれど、男性を描くと何か少し不自然に感じる。
作品としては、これはこれでアリなんだと思うから悪くはないと思うけど、なんとなく入り切れない。
「ふつう」ではない、自分が、と言うのは、自分もそういう人間だとやっぱり思うので、共感はできるんだけれども、なんていうか。
Posted by ブクログ
久しぶりの角田光代さん。
人生初って、こういう感じでいつの間にかこうなってた、みたいな、この人のせいでとかじゃなくてみたいなところってあると思わされた。
面白かった。
Posted by ブクログ
結局「業」には逆らえないのかもしれない。
こうなりたくないと意識しすぎることで逆にその結末を呼んでいるのではないか、そんな風に思えた。
Posted by ブクログ
幼いころ暮らしをともにした見知らぬ女と男の子。再び現れた二人を前に、泰子の今の幸せが揺さぶられる。偶然がもたらす人生の変転を描く長編小説。
"一期一会"という言葉がある。本来は良い意味で用いられる言葉だが、泰子の不幸な人生も一期一会なのかも。これほどまでに周囲の人間たちに翻弄される人生って何なのか。また、悪魔のように他人の人生を狂わす直子の存在感に圧倒される。法律上罪を犯していないだけの悪人というのは、現実にもたくさん存在する。