あらすじ
生まれるより先に死んでしまった子に名前などつけてはいけない――なにげない日常の隙間に口を開けている闇。それを偶然、覗いてしまった人々のとまどいと恐怖。日本の土俗的な物語に宿る残酷と悲しみが、現代に甦る。闇、前世、道理、因果。近づいてくる身の粟立つような恐怖と、包み込む慈愛の光。時空を超え女たちの命を描ききる。泉鏡花文学賞受賞の傑作短篇集。連続ドラマ原作。
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Posted by ブクログ
伝承された土俗的な話はホラーに近いゾワゾワ感があって面白い。
昔の地区ごとの閉塞的な生活を彼等なりに、時には訳の分からない理屈を付けて平穏な生活を守ってきたのかもしれない。
1人の命より集落の存続。怖っ。
角田さんてホラーまで書けちゃうのか、すごい才能だなと思わずにいられない本でした。おみちゆきが印象深いです。高僧が生きたまま埋葬され木乃伊となり、生き神様となるが、四年後掘り起こしてみると...。頭の中で映像化してしまうほど、臨場感と表現力が強烈でした。
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全部怖かった!…(T_T)
目次のところが 二つづつにわかれていて 内容が少しにている話どうしだった。
最後の「巡る」が一番角田光代さんらしくて好きでした。「道理」はめちゃくちゃ怖かった!
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ホラーとも「人怖」系の話とも少し違う、ほんのり冷たくて湿った短編集。
それぞれ2編ずつ、どこか関連したテーマやワードが出てくる。
心情や情景の描写力が秀逸で、夢中になって読んだ。
「道理」が一番読んでてゾクゾクした。
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角田光代の短編集。ホラーかと思ったらそんなことはなく、世界観は違うのだけどすべて「繋がっている」というほかない作品集だった。
「前世」で語られるフレーズ、「私は母で、子で、だれかによって生かされただれかでもあったのか」がとても好きで、これまでふわっと考えてきたことがギュッとまとまっていて、ずっと反芻している。
私の父や母、祖父母、その前の前の前のずっと前に生きていて私が血を受け継いだ人たちの誰か1人欠けても私はここにいなかったし、子供も生まれなかった。とんでもなく果てしなく、世界は全て繋がって巡っているのだという気持ちになる。
赤ちゃんの頃の子供に会いたくなる作品だった。
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ひたひたと恐ろしい。
素晴らしい本だが、怖い話は好きではないので☆4
最後の安藤礼二氏の解説が秀逸。
土俗的な即身成仏伝説や輪廻転生、子どもの霊などが出てきたり、現代人の悩み?のような、人の弱さを描いたような話
2話ずつまとめた形式で面白い。
静かな怖さはさすがの角田光代氏!
『同窓会』が想像できるシチュエーションすぎて、リアルに怖かった。
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最近、長編の読残しを片付けようと思って探していたので、予約したこの本が短編集だったので少し気落ちした。
短編はすぐに読めるし、よく似た長編を読むと印象が紛れてしまって忘れそうになる。
でもこの本は、テーマも、スタイルも工夫があって、とても面白かった。
* * *
・おみちゆき
おみちゆき という土俗的な風習のある村での話。和尚さんが即身成仏するために穴に入った。持ち回りであるが、母の代わりに様子を見に行くことになった。
夜のあやしげな音の中を穴まで行き、地下に伸びた竹を伝わってくる気配に耳を澄ます。
和尚がなくなって久しく、子どもたちと帰省したお祭り小屋で、遺骸と再会する。宗教的な話ではなく仏門に入った人の最後が、子どものころの妖しい思い出になっている。
・同窓会
小学校の同窓会だけは、毎年行われて、世話役は律儀に連絡をよこす。そのころ仲がよかったメンバーは、どうしても集まらなくてはならない秘密があった、みんな小学生だったころのあのことが胸の中にしこりになっていた。
・闇の梯子
静かで近所付き合いの煩わしさもない、うっそうと茂った木に囲まれた家に移った。妻と二人の暮らし。仕事を終え家の近くまで来たとき何かの黒い群れが家にぞろぞろと入っていくのを見た。
・道理
付き合った女は、話を全て「道理」という言葉ではかっていた。生きる柱は道理にかなったものでなくては、という。
結婚した妻もいつの間にか「道理」を説くようになった。ある日散歩の途中でガーデンパーティーのような集会に入ると、そこは道理で話し、それで仕切られたひとびとが集まっていた。自分は・・・。
・前世
前世を見るという女に会う。何度も夢見る母との夢。
私はとついで子を生んだ、飢饉の年だった、子が泣くと外に出される、吐く息は白く冷たい。手を引いて川のほうに歩いて丸い石をさがす、夢のように。
・わたしとわたしではない女
いつもその女は私の傍にいた。私だけに見える女は、私が子を産むときも傍にいた。
・かなたの子
死んだ子に名前をつけてはいけない。死んだ子は鬼に食べられる。そういわれていた。だが文江は死んだ子に如月という名前をつけた。如月はかわいらしく育っていった。次に身ごもった文江に、如月は「海べりのくけどにいる」といった。文江は電車を乗り継ぎ、淋しい海べにある「くけど」まで如月を探しに行く。
・巡る
私はパーワースポット巡りに参加して山の頂めざして上っている。倒れて頭を打ったが、みんなで介抱をしてくれて、上り続けている。
私は結婚をして浮気をされて離婚をして、シングルマザーで子育てをしてきた。今子どもはいない、どうしたのか、頭を打ったせいかはっきりしないことばかり。
頂上に着いた、白い朝の光に包まれていく。
* * *
SFでもないホラーというのでもない。日常の中にある、現実と非現実の境、もやのような、こころの中の不明瞭な部分が人を覆い隠してくる。覆われた人、蝕まれてしまった人はそれを日常だと錯覚するのだろうか。
不思議な生と死の境目やそれらが重なる部分を味のある表現で書いた面白い作品で、どれもこころのうちにある異常さがうっすらと滲んで少しずつ生き方が逸れて来る。角田さんはこういうのをうまく書く人だと思う。
Posted by ブクログ
ホラー短編集のようでいて、独特の情緒が溢れている作品集。
表題『かなたの子』は失った子を追い求める女の柔らかな狂気が描かれていますが、どの物語にも生死の微妙な境目のようなものが根底にあるようです。
少しずつ狂っていく人々が淡々と描かれているから怖い。
どのタイミングで世界がズレたのかが分からないのが怖いのです。
静かに消されていく真実、心の中から自ら消していく真実。それらは全く消えたのではなく、背後から少しずつ忍び寄ってくる。
その確かな罪の意識に、人々は耐えることができない、そんな物語。
Posted by ブクログ
川上弘美、田口ランディ、坂東眞砂子あたりの得意なジャンルだと思うが、なかなか良かったです!
日常描写が角田光代らしくて良かった。
ホラーは苦手だけど、そんなに後味悪いものは無かった。
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角田光代さんの作品は大好きでよく読んでいる方だと思うのですが、その中でもこの短編集は異色というか、とにかく怖かった…これはほぼホラーだ、と思いながら読み進めるのを止められない上質な怖さ。
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因習という言葉が、物語の底から響いてくる。
生まれなかった子供に会えるという「くけど」に、向かう女の話し。時代設定が現代だったり、明治~昭和初期のような感じがしたりします。
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心の闇をちょっとホラーテイストで描いた8つの短編。何れもゾクッとする内容は短編ながら濃い。解説を読んで著者の意図が鮮明になり流石と唸ってしまう。この作品をWOWOWはどのように映像化しているのか楽しみ。
Posted by ブクログ
テーマを同じにし、時系列を昔→現代にした作品を2つずつ並べている短編集。
一つ目、出られない閉所というものの恐怖は想像しただけで震え上がる。恐ろしい。
二つ目、電波系の人は怖い。でもその人が変になるきっかけが自分だったら罪悪感も半端ないんだろうな。
三つ目、四つ目は産まれなかった命を巡る話、命は巡るんだなあ。
Posted by ブクログ
常に不穏な空気が漂いざらざらした気持ちにさせられる。そして闇が迫って来るような焦燥感、恐怖感がひしひしと伝わってくると同時にどこか切なさと優しさを感じる不思議な作品。
一見独立したホラー風の短編8篇は「目に見えない糸」で繋がり、一つの壮大な物語として構成されているのに驚かされる。
1話目の「おみちゆき」が土俗的な物語の源流であり、何かの共通のキーワードが時代を経て現代へとその業、因果がバトンタッチれていく。
本書を読んで感じたのは、根底にあるのは日本が貧しかった時代に食うに困り自分達の暮らしを守るために「命の選別、切り捨て」を行ってきた社会の闇だ。
そして主人公たちは気付く、自分も誰かの犠牲の上に生かされた命であり、選別する側にもされる側にも成り得るということに。
我が子、お腹の子を自ら手に掛けなければならなかったのがどんなに辛く切なかったか…
その業、因果が血縁や土地に受け継がれ主人公を狂わせていく描写は背筋が凍った。
自分と相手の境界線や現実なのか夢、異界なのかが曖昧で自分は見られている側ではなく本当は見ている側なのではないか混乱してくる。
意図的な曖昧な表現は、得たいの知れない闇に迷い込んだようで想像力、好奇心を煽られ著者の仕組んだ迷路に入り込んでしまったようにも感じた。
昔から「子は宝」と云われながらも本書では恐ろしい響きを放ち読み手に迫ってくる。
この社会の闇は現代社会の貧困、いじめ問題でも有り得る事でグループから間引いたり、居なかったことにしたりと現代の私達の心のなかに息を潜めているように感じた。
最後の御来光の描写、全ての闇を打ち消すような暖かい光、皆何かを背負い許されようと、もがき苦しんでいる。
でも自分の巻いた種ならしょうがないとも諦めも付くが、自分の預かり知らぬ因縁で不幸になるのは御免被りたい。
Posted by ブクログ
この人の作品は、どこか心が暖かくなる様な、人間の柔らかくて温かい部分を描いた作品しか読んだ事が無かったので、「死」そして「生」を描いたこの作品は、何となく驚きだったし、コレが真髄か。と思った。
安っぽい言葉になってしまうが、ホラーでもサスペンスでもないのに、人間怖い雰囲気がある。
あと、女性ならもっと色んな事を感じられるのかも知れない。と思った。
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他人と他人の輪郭がなくなって孫と子、親、が全て1人の人間、または人類全てで1人の人間であるように感じられる作品たちだった。これは、10年経ったら、感じ方が変わりそうな本。今の私にはまだ咀嚼できていない気がする。1個目の話は、閉所恐怖症でなくてもしんどすぎました。
Posted by ブクログ
平成24年 泉鏡花文学賞受賞作品。巻末の安藤礼二さんの解説で「『かなたの子』は、ラフカディオ・ハーンの「子供たちの死霊の岩屋で」を読み直し、書き直すことで可能となった作品である」とありました。この「かなたの子」をはじめ、ここには 8つの短編が収められています。どれも暗闇の中で 命と死が入り混じり、前世と現実、 罪と罰を背負って生きる女たちの(或いは男たちの)荒く湿った 息遣いが聞こえるような作品群です。「おみちゆき」では、田舎に伝わる即身成仏した和尚の声に、「闇の梯子」では、わけのわからない言葉を呟くようになった妻に、ゾワリとした怖さを感じました。
ミステリー小説でもオカルト小説でもないのに、夜ひとりで この小説を読んでいると怖さを感じるのは、作者が、土俗的な因習と死や、身ごもる女や、生まれなかった子の心理を、ぐっと読み手の位置までたぐり寄せているからでしょう。
人は死ぬ瞬間まで生きているし、生まれる瞬間まで子宮という暗闇にいる、そのことを肉感的にあらためて感じさせる作品でした。
余談ですが、作者の角田光代さんは『八日目の蝉』の時にも感じたのですが、子を宿した時の体感や、母性を子宮感覚で表現するのがとても上手いと思います。ご本人はたしかお子さんはいらっしゃらないということですが、想像で書けるとしたら、本当に凄い作家だなと敬服いたします。
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日本の古くからある民話や伝承の延長のような、ねっとりとした闇を感じる短編集です。
ホラーやオカルトといった雰囲気のお話が集まった一冊でした。
即身仏の話、田舎から上京した旧友との同窓会の話、押し入れの中の梯子の話、『道理』の話、前世の話、生まれる前に一人になった双子の話、生まれる前に死んでしまった子の話、パワースポット巡りのツアーの話。
どれも、読んでいる間に何とも言えない、暗い何かを覗くような感触がありました。虫の声がうるさい蒸し暑い真夏の夜に、突然ふっと虫の声が止んでねっとりとした重苦しい闇が迫ってくるような、明るいところにいてもそこここにわだかまる暗がりに何かが潜んでいる息遣いを感じるような、なんとも重たい短編が続きます。
この人たちは結局どうなってしまったのだろう、と話の最後に思うことが多かったですが、綺麗なオチでまとまらないからこそ、闇が深いように感じました。昔の日本には、もしくは今でもどこかの田舎では、こんな風習や伝承が残っていたのかもしれないと思わせるものがあります。
ファンタジーにも見えるような題材であるのに、妙にリアルな描写がファンタジーとして読ませない、リアルな『死』を感じました。
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ホラー要素のある短編集
人生の道理について語るヨガ講師に恋してせいで振った元カノが数年ぶりに再会すると人生の道理について語ったりし出した「道理」が一番好きだった
けどどの話も私的に消化不良起こす終わり方
角田光代の短編集はこのパターン多い、それでも作中にでてくる言葉選びとストーリーの最初から続きをどんどん読みたくなる文章で楽しく読めるからすごい
あとは即身仏の話、飢餓のせいで子供を殺す女、生まれた時に死んだ双子の片割れにずっと見られながら生きてる女、死産した女、過去に同級生をスーツケースに誤って閉じ込めてしまって殺したことがずっとトラウマになってる男とかの話
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出会うべき大事なものを探し求めて彷徨うこと、そしてそれをせずにはいられない本能のようなものを感じた。
生きている自分と、今までに生きて死んでいった数々の命が繋がる。ひとりきりで生きて死ぬのではないのかもしれないと思えてくる。幾度となく繰り返され繋がれてきた命のサイクルの中に、私たちは永遠に生きている。
最後は、あなたを誰も責めはしないと言われているようで、大きく包まれるような安堵を覚えた。
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おみちゆき
和尚様が人身御供となっている。その確認を目の良くない母と共におこなう征夫。
和尚様は、征夫が学校に上がらないころに米や野菜を食べることをやめ、木の皮や水の代わりに漆を飲んでいると言う噂があった。痩せ衰えたのち、知るはずがないことを知っているように話すようになった。どこぞの嫁様に亭主が怪我をして帰ってくるからお医者様を呼んでおきなさいだとか、じきに稲妻が落ちるから家から出ない方が良いだとか。そうしたら本当にその事柄が起き、みなが和尚様に一心に祈るようになった。
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日本の土俗的な因習をテーマにした表題作をはじめ、ちょっと奇妙で後味の悪い短編集。泉鏡花文学賞受章。
闇夜、前世、道理に因果。宗教ではないが、日本独特の祖先からひきずっている風習や思考のいやーな部分を角田さんの解釈で現代の物語にしている。近代文明がどんなに発達しても、良かれ悪かれ日本の土着的な考え方は消えることはないだろう。それは日本人の謙虚さにつながっている部分もあるのだから。
Posted by ブクログ
読みはじめたら、あれっ。この本思っていた感じと違う。と感じ読むのをやめようかと。
でも、止められなかった。
読みたい内容じゃない本を一気に読んだのは初めて。
「前世」と「かなたの子」が印象的で古くから伝わる闇の話だが、伝えていかなければならないことなのでは、と感じた。
この本も八日目の蝉に続き重かった。
Posted by ブクログ
不思議というか不気味というか。。ふわふわして掴みどころのないような話。角田さんの得意分野なのかな。そして終わり方も。
どなたかが「作者は感受性が強い」とレビューしていたのを読んで、やけに納得!!そうでないと、こう言った風情の作品は書けないだろうな。ある意味すごい。
Posted by ブクログ
コワイコワイ。
角田光代の得意とするところの、女性の繊細な心の揺れ動きを感じるより先に、怖さというか、苦しさというか、何か冷んやりとした感覚は角川ホラー並。
コワイコワイ。
Posted by ブクログ
昔話?と思いながら読み始めたら、それだけではなかったのだけれど、現代の話も全ての話が、なんだか不気味。
人が消えたり、存在しないはずの人が存在したり。
特に「道理」という男女の話が印象に残った。
私も神とか霊とか占いとか信じるタイプなので。
単純に面白かった。
解説を読むまで、島根にある「くけど」も、小泉八雲の原作も知らなかったけれど、興味あり。
角田光代って、こんな小説も書くんだなぁ、と新たな才能を発見。
奥が深い。
Posted by ブクログ
解説に書かれていた「夢十夜」と「遠野物語」につながるという表現がまさにぴったり。隣に寄り添った闇的な存在が怖くもあり、また不思議でもあり。はっきりと書かれていないだけに、ざわざわっと肌が粟立つ瞬間があった。