感情タグBEST3
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優しいイメージを抱かせる、平仮名のタイトル。"いとおしい"という感覚。
"好き"や"愛してる"などとは違う、なにか心を温め柔らかくしてくれるような感覚。
特別な事でなくても、いつもの日常の中にある"いとおしさ"。そんなイメージがずっと心の中に広がる本だった。
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決して派手でもインパクトがあるわけでもないけど、読み終えた後にじんわり頭に残る感じ。
季節、特に夏の表現が好みで夢中になって一気に読んでしまいました。
どことなくノスタルジック。
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恋愛短編集
恋がしたくなる恋愛短編集ランキング50とかに入ってたので読んでみた
恋とか愛とか、幸せとか不幸とか、そのどれにも当てはまらない感情もある
不器用な男女のお話でした
明確な別れとかハッピーエンドは描かれていなくて、なんなら日常のど真ん中、
「今日」というより昨日と明日の間、って感じるようなお話達でした。(わかるかな?笑)
好きだったのは一番最初の「転校生の会」
読み終えて、じんわりとおーー…って浸れる感じだった
印象的だった言い回しが
「この世界には無尽のバスが走ってて、誰もがそれのどれかに乗らなきゃいけなくて、ずっと乗り続けてる」
「出会いはバスの中で乗り合わせた人で、乗ってくるバス停も違えば目的地も違うから降りる場所も違う」
「それでも、窓から同じ景色を見たり隣に座ったり、同じ時間を確かに共有していた」
みたいなニュアンスの台詞があって、すごく響いた。
その通りだと思ったし、すごく素敵な考え方だと。
あとは「ジミ、ひまわり、夏のギャング」のあの言葉。
「さよなら、かつてのあたしを奮い立たせたすべてのもの」
またいつか読み返したい一冊です!
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リアルな女性の歪な恋愛を描いているのに、表現が美しいのですらすらとなぞるように読める作品ばかり。
『完璧なキス』では珍しく男性視点にて話が進められる中で、相手として現れる女性像がとても印象に残りました。
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複数人の女性の、恋愛にまつわる短編小説。
「好きってなに」ってテーマに対して、好きとか欲望とかが自分の中で明確にできなくて、分からなくなることが、昔の自分もあった気がする。好きなんてきっと最初から言語化できない、それでいいんじゃないかと思う。
一番印象に残ったのは、「誕生日休暇」。
なんでこうなったんだ、もしあの時ああしていたら、まだあの人と一緒にいたのか?この人に出会えなかったのか?そんなことを時折思うことがある。
今の自分のいる場所、一緒にいる人が、すごい奇跡の連続で、ここにあるということを実感する。そして、私たちはそれぞれの行き先に向かって、時に離ればなれになることもある、また一緒に乗り合わせることもある。でもそれでいい。無理して引き留めなくても、無理して居座ろうとしなくても、会うべき人とはまた会えるし、いくべき場所にはまた行ける。そんな凧のような自由で柔軟な生き方をこれからもしていきたいなと感じた。そういう生き方が、私は好きだから。
○特に好きなフレーズ
・だから、あたしのココロは星とかハートとか木とか、そこにあてはめるものが何ひとつ見つからなくていつまでも空洞のまんまだ。
・変わらずにいることに価値なんかこれっぽっちもない。
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ほぼ全ての話に 橙色 が登場。単なる偶然だけれど、私がいま取り掛かっているフライヤーのテーマも 橙色 なので胸がときめく。
人生で乗り続けるバスの比喩、コーラの縮緬のような感触、夕方 橙色が気付かないほどのさりげなさで闇に飲まれる瞬間、夏と秋がはっきりと入れ替わる日、まるで大量の向日葵に支えられて建っているような彼のアパートが綺麗に描かれ過ぎていて苦しい
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寂しいけれど静かに沁み入る。
もし後に別れるとしても、人と人が出会って同じ時間を共有することには価値があるんだなと思えた。意味はなくても、価値はある。
それと、悲しいことの中にも絶望の中にも、美しいものを見つけることは可能だと分かった。周りに汚染されることなく美しいものは美しくあり続けるし、どんな状況においてもそれを見出すことは決して悪いことではない。美しいものはいつでも美しいと受け止めていいんだなと思った。
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読みやすい短編集大好き。
よく分からなかったかも…っていうお話もあったけど(よく分からないお話こそ考えたくなって魅力的だと思ったりもする)、個人的には「誕生日休暇」と「海と凧」のお話がすごく良かった。
一人は一人の人間であって、二人になっても同じ人間にはなれない。その当たり前のことがすごく悲しいような寂しいような、それでも二人で生きていくことを選ぶんだなあ…と、人間の愛しさみたいなものが見えた気がする。
海と凧のお話は、お話の光景がずっと目に浮かんでいた。海のキラキラしてる感じと、静かでゆっくり時間が流れている感じ。これもまた愛おしくなる。
タイトル、最高ですね…。
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どのストーリーも色が違う、視点が違うそんな作品でした。特に、恋愛の感じ方をすごく様々な色で表現されていた。
また、ふと思い出したときに読みたくなるような優しい感情になった。
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転校生の会
その宣告は絶対的なものでいわば神様の決定と同じで、そこに、こちらの意志とか感情とかの入る余地は全くなく、一ミリも、ヒビすらないんだ
人との別れ
元恋人の部屋に泥棒にはいったり
デートに姪を連れて行ったり
人の恋人と関係もったり
まもちゃんが出てきた時はおどろいた
完璧なキスはちょっとむずいー
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出だしから“そこに拘る?”と、一気に引き込まれる。「転校生の会」「誕生日休暇」「海と凧」が好み。読み進めながらあの頃を思い出す。転校先で生息域を確保するために足掻いた日々、もしあの時、違う決断をしていたら...。自分時間があっての他者と共有する時間の大切さ...。今、出会えて良かったと思える一冊。
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8編の恋愛の模様を綴った短編小説集。
それぞれに実に角田さんらしい、なんとも一筋縄ではいかない難儀な性格の女性(男の子が主人公のお話も1つだけあった)が、なんとも難しくやっかいな状況下で、ややこしい考え方をして生き難い人生をな尚の事生き難くしている感じ。
それがなんとも読んでいて心地いい。このあたりは作者の雰囲気作りというかひとつひとつ、細かい描写のうまさが素晴らしいなぁと思う。大好きです。
なかでも「誕生日休暇」は最高に好き。
この非日常性、というかハワイまで行ってこの心もとなさ、退屈さと時間の持て余し気味はどういうこと?というところで登場する意外なストーリー。素敵ですねぇ。
「地獄の自己嫌悪巡りがはじまるよりは、バーで緊張しながらも酒をかっくらっていたほうがましだった」が、いいですね。
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角田光代の描く主人公の共通点。
あきらめが悪く
一縷の望みに縋り
合理的な判断ができない
一言でいうと「認知が歪んでいるがそのことに自覚がないまま突っ走る」タイプが多い。
行動の大きい小さいの差はあるが、普通の人間なら当たり前のように看過する出来事に執着し、何らかの結論を出そうと奔走するのだ。そして、どうなれば解決なのかは本人にも分からない。
感情に流されるまま、執着心に導かれるまま突き進むのである。最終的に着地はするのだが、問題が解決していない。とりあえず主人公の気持ちに区切りが着く、というだけのゴールだ。
逆に何も解決していないまま物語が一応の結末を迎えるところが、「それでも人生は続く」という感じでリアリティーを感じさせるのだった。
角田光代の小説を読んでいると、不幸は人の数だけ違う形をしていると感じる。不幸の形がその人の個性なのかもしれない。
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8の短編。日常でもないし,特別な日でもないし。「ジミ、ひまわり、夏のギャング」では、元カレの部屋に元カレの留守中に忘れ物を取りに行く話だけれど、結局は、忘れ物も取らず、逆にすっぱり置いてきた。「誕生日休暇」では、10年間かかって敷いたレールのほんの少しのずれで、はらはらと違う人生を歩く見知らぬ男性の結婚を祝う話。で、自分の人生を見直す。どの話の主人公も最後にはしっかり前を向いて立て直している姿が魅力的
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残念だけどちょっと切ない恋愛短編集
転校生を理由にふられた女の子
友だちの彼氏と付き合う病癖のある女の子
返していない合鍵で元彼の家に泥棒に入る女の子
などなどのちょっと変わった恋愛に
ちょっと共感しちゃったりしつつ
しっかり切なさもあるなんとも言えない感覚になれる恋愛小説。
すごいどんでん返しがあるわけでもなく、予想外の結末があるわけでもない。
日常においていかれてしまう感情をうまく表現してるなぁと思った。
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少し不幸な登場人物。直感として恋人との終わりを既に感じてること。好きな同性の女性の何もかもを共有したがり、友達の恋人とラブホテルに入ってしまい縁を切られること。そのどれもが不幸なことなのに、暗闇の中だからこそ光が眩く。角田光代が個人的に好きになった。
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抽象画を見ているような感じ。
物語というより感情とか思いをフォーカスしているような作品。
恋愛(失恋?)に関する短編集。
全部どこか歪な愛というか、
だけどそこがすごくリアルで、
劇的な愛の作品も多い中、
形のない感情だからこそいろんな恋愛があって、
その複雑な感情を作者の独特な表現に絵画的な魅力を感じました。
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繊細な筆致がそれぞれの短編の主人公をありありと描き出していて良かった。みんなひっそりと生きているように見えても、必死に自分の恋愛観と向き合っているんだなと思った。
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共感できる主人公もいれば、
正直よくわからない感覚の主人公もいる。
今までであって来た人たち、
人生で巡り合ってきた人
一人一人、それぞれの記憶から消えてしまったとしても、一瞬一瞬のその瞬間が奇跡だなと改めて思った。
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恋愛もの短編集なので、強烈的に印象に残るようなエピソードはなかったけれど、「あぁ、”こういう会話”ってとても角田光代さんらしいなぁ」って安心して読めてしまう。
「本当に世の中って、一見普通そうに見えても、色んな人がいるよね〜」って感じの。
人と人は、結局のところ個々の生き物なので、「ほんのちょっと」のことが、「理解できなかったり」「許せなかったり」「納得がいかなかったり」する。
そして、そんな自分にも「これだけは妙に拘ってしまう」とか「一般的な常識から外れてしまっている」部分もあって、そういうほんの些細な価値観のズレや、人間関係・人間模様を描くのがとても上手な作家さんだなぁと思う。
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どの短編も“記憶”がテーマにある。
過去の記憶も現在もごちゃごちゃしていて、必要な時に必要な記憶を取り出せないからこそ、理不尽で、ある意味で“いとおしい”と言えるのかもしれない。
何かを思い出すというのは、必ずその場面、情景とセットなのだろう。色彩豊かで読みやすい短編だった。
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短編集8作品収録
いずれもちょっとしたお話でしたがいまいちその世界に
入り込めなかった感じでした
それぞれの主人公の気持ちなどはなんとなく理解できる
ところもありました
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短編集
これはそこまではまらなかった、文学的なフレーズ多め
誕生日休暇が一番印象的だった
なんとなくいったハワイ一人旅で出会った明日挙式予定の男の人の話が面白かった
10年付き合っててなんの問題もなく運命の人だと思ってた女の人にプロポーズしようと思って指輪を持って待ち合わせ場所に向かう途中人身事故で足止めを食らう、その間に待ち合わせ場所で待ってる彼女は過去に付き合ってた男の人と偶然会い食事に行く、今日会う約束をずらそうと体調が悪いから近くの友達(なかちゃん)の家に行くと嘘の連絡を彼にする、彼は遅れてなかちゃんの家に行くが彼女はおらず結婚記念日に記念日のことを忘れてる旦那の帰りを待つなかちゃんと食事をすることになる、そこで彼はなかちゃんと結婚することになり、彼女は元彼と結婚することになった、というはなし。
めっちゃ長くなった、、
この話はもしどこかが(例えば人身事故がなければ、待ち合わせ場所が別の場所だったら、なかちゃんの住んでる場所が別の場所だったら、なかちゃんの旦那が記念日を忘れてなかったら)違えば運命は変わるから不思議だし面白いなと思った
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失恋したばっかりだったりもうすぐ終わってしまいそうな関係性であったり、曇り空みたいな内容が詰まった短編集。
自分は失恋したばかりでもないしもうすぐ終わってしまいそうな関係性も持ってないけど、自分の記憶と重なる部分があったりお話に出てくる登場人物に同調しすぎて悔しくて涙が出たり。
角田光代さんは本当にみみっちい日常を切り取るのがうまいなあ
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BBQ日和、海と凧が良かった。
全体的に悲しく切ない日常の中で、でもその悲しみの中にある希望や喜びなどにピントを当てて描かれていてる。そんな感じだった。
P135
運命ってものがあったとしたら、そいつはものすごく簡単な、お手軽な、吹けばどこへでも飛んでいくような、とても無意味なものだと思うようになってしまって。
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さっと手に取った短編小説。
いい意味でそれほど残らない、頭の中にサササッと溶け込んでいくような物語だった。
恋愛ものというそういった雰囲気はあまり感じられなかったが、物語の主人公各々が自分自身を見つめ、過去と対話している点がなんとなく心地よかった。
短編小説者のほとんどに共通している点が、各々の他人にとってはそれほど大きくないが、自分には印象に残り、頭に居座り続ける、そういった過去を回想しているということ。
梅雨の時期の涼しい夜の中、雨の音に溶け込みながら読んだという瞬間の切り取りが自分の中に強く印象付いた。
梅雨、夜の雨、涼しい夜風、等々こういったものを肌で感じたときに、ふとあのときあんな本読んだなと思い出すのかもしれない、そう思った。
Posted by ブクログ
刺激したらパリンと音を立てて崩れていきそうな繊細な短編集
私は誕生日休暇が一番心にしみた。
境遇がいままさに似ているかもしれない。
それぞれの主人公の気持ちははかりしれないけれども、心の隅を刺激されるようなチクチクする短編集であった。
角田さんの素敵な繊細な言葉が紡いでいるのが、しっとりとした音楽のようだった。