歴史・時代作品一覧

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  • 満蜜殺法 伸ばし屋 美雪
    -
    天明晩年、秋の頃。江戸では拉致、土蔵破りが横行。鎌倉幕府の再興を夢想する、淫法使いの一味が跋扈【ばつこ】していた。目的は徳川幕府の転覆。彼らは密かに「吉原乗っ取り」を計画していたのだ。それは遊郭を征服し、幕府中枢や大商人たちを一気に操ろうというものだった。市中の職人や女たちを攫い、隠し砦の江の島で蜂起に備える一党。それにいち早く気づいたのが、吉原「艶乃家」の御職【おしよく】由梨絵の情夫【まぶ】で戯作者の雅風であった。雅風は贔屓の按摩娘―伸ばし屋美雪―に「絵」を聞かせる。世間の人々が知らぬ中、遂に始まった淫法合戦。義憤に駆られた美雪は、淫道桃園流派で兄と慕う淫具屋半兵衛から授かった淫術を駆使して奮迅するが、囚われの身となって――。
  • 人情の味 本所松竹梅さばき帖
    3.0
    本所回向院の裏手、相生町の路地にともる三つの紅い灯り。すし、てんぷら、そば、と印された軒提灯は、松吉、竹吉、梅吉の三兄弟が江戸料理の三種の神器というべきものをひとところで味わえるようにと構えた、三軒の見世のものだった。この路地を訪れる人びとはさまざまだ。元本所方同心の隠居とその息子、居合の道場主、船大工に火消し、噺家師弟に戯作者。身分を超えて互いを助け合う人びとは、老い先短い噺家の最期の願いを叶え、悪の道に迷う若者の危難を救い、ふと綻びた人情の機微を繕う……。うまい料理のぬくもりで人の心を癒す、松竹梅三兄弟となじみたちの姿を描く、江戸料理小説の新シリーズ。
  • 密命の掟 闇同心異聞
    -
    北町奉行曲淵景漸の密命を受け、再興なった内藤新宿の宿場に潜入した隠密同心・神代京之介。いまや彼の身分は、奉行所を罷免され、妻をも離縁した孤独な浪人だった。だが、その真の使命は宿場の利権抗争にまつわる殺害事件の解明と、抗争を裏で操る黒幕を暴くこと。「隠密」からさらに闇に潜む「影」となって探索に乗り出す京之介だったが、錯綜する事件の裏には、五年前に起こった庄屋一家皆殺しと、ある大物の幕閣と譜代大名家の確執が潜んでいた……。
  • 旗本用心棒 裏長屋のお殿さま
    -
    本所の貧乏長屋に住まい、用心棒をなりわいとする天馬蔵之介。三十もなかばを過ぎ、けっして若いとは言えぬものの、その居合の腕前は天下一品。自由気ままな浪人暮らしを楽しんでいた。そんな蔵之介であるが、用心棒としてはまだまだ駆け出し。もちまえの剣の腕と頭のきれで、やっかいな依頼をなんとか片づけてきた蔵之介が、ある日、風変わりな用心棒仲間と出会う。町のごろつきどもを、かたっぱしから素手で打ちのめしたその用心棒の正体は、なんと、さる大店の箱入り娘であった。とはいえ、実は蔵之介にも、人には言えぬ秘密があったのだが……。高貴な用心棒と最強の小町娘が贈る、期待の新シリーズ。
  • 艶用心棒
    -
    柿沢琢馬は御家人の次男、いわゆる厄介者である。二十歳になるが女は知らない。ある日、男になろうと深川に来たところ、辰巳芸者の珠樹が三人の浪人者に襲われているのに遭遇した。疾風のごとき剣捌きで相手を退散させた琢馬は、その腕前を買われ用心棒を依頼される。そして、その日から珠樹の色仕掛けに翻弄されることに……。ある夜、珠樹の家が襲撃された。相手のうち二人を斬り捨てた琢馬は、残り一人の顔を知ることから町方の探索を手伝うことになる。幼馴染みの小雪と探索するうち、事件の背後に巨大な権力の存在を知った琢馬は類い稀なる美貌の剣客、澪とともに巨悪にたちむかうことを決意した。これぞ痛快無比の時代官能エンターテインメント!
  • 天下 家康伝 上
    4.2
    天下は一人のためにあらず! 惜しまれつつ急逝した著者最後の文庫本。 信長の着想力も、秀吉の魅力もない家康が何故天下人になりえたのか、その謎に挑んだ意欲作。 幼いころに父を失い、織田、今川両家の人質となり、苦労を重ねる家康。 桶狭間の戦いで、今川から自由となったが、織田と同盟を結んだことにより戦はまだまだ続く。 越前朝倉攻め、姉川の戦い、三方ヶ原の戦い、長篠の戦い、甲州討入り、上田合戦。 この時代に生きる事とは戦う事であった。 戦無き世を夢見て、家康は戦い続ける。
  • くるい咲き~越前狂乱~
    3.0
    元亀元年(1570年)、朝倉家家臣の小林吉隆は、織田家との合戦中、富田長繁に命を救われる。世の道理を重視する吉隆だが、忠に薄く戦好きな長繁とは、不思議と馬が合った。しかし、崩壊へと向かう朝倉家に見切りをつけた長繁は、織田方へと寝返ってしまい……。朝倉家滅亡後の越前に、大戦乱を起こした猛将・富田長繁。七百vs.十万という圧倒的劣勢の中、戦国最凶の男が魅せる蛮勇とは? 息をもつかせぬ圧倒的合戦譚!
  • 元禄六花撰
    -
    元禄の末期は地震に襲われ、宝永と改元され、将軍綱吉が没します。メディア、バブル経済、セックスとカネ……。この時代の諸相と現代とには、おそろしいくらいの共通性が読み取れます。本書は元禄の諸記録に分け入り、まさに終わろうとする平成と時空を往還しながら、いまなお日本人の心性の根底にあるものをあぶり出します。読み出したらやめられない六篇です。
  • 日朝開戦(1) 核ミサイル発射宣告
    5.0
    新シリーズ スタート! 北朝鮮による 驚愕の日本侵攻作戦が始まる! 核ミサイル攻撃を 阻止できるのか!? 挑発行為を繰り返す北朝鮮は長距離弾道ミサイルの発射実験を強行するが失敗。新潟沖で操業中の漁船が落下したミサイルの直撃を受けて沈没する。哨戒任務中の海上自衛隊護衛艦に対しても北朝鮮海軍フリゲート艦が攻撃をしかけてきたことで、日朝関係に緊張が高まる。 そんな中、日本への亡命を申し出た北朝鮮高官を暗殺しようと工作員が日本へ送り込まれる。嶋田首相の肝いりで創設された内閣情報局は、日本を標的とした北朝鮮の軍事侵攻作戦計画をつかむが、遂に北朝鮮は主要三都市を狙った核ミサイルの発射を宣告。 日本中をパニックに陥れるべくカウントダウンを開始する。果たしてミサイルの発射は阻止できるのか……。核の脅威を迫真の筆致で描く近未来シミュレーションノベルス。
  • サラン・故郷忘じたく候
    -
    まさにその時を狙いすましたように、秀吉の侵寇――忌まわしい壬辰倭乱(イムヂンウエラン)は始まったのだった。その夜、申家の屋敷は、漢城の他のあらゆる家がそうであったように、重苦しい緊張感に包まれた。愛蓮もその空気を共有する一人だった。そして一夜明けると、家人たちは今更のように愛蓮が“倭奴”であったことを思い出したのである。(「耳塚賦」より)  日本と朝鮮半島との関わりをかつてない斬新な切り口で描いた6つの短篇を収録。また、その6篇を著者自ら解説した「電子版あとがき」を追加収録。 ●荒山徹(あらやま・とおる) 1961年富山県生まれ。上智大学卒。新聞社、出版社勤務を経て、朝鮮半島の歴史・文化を学ぶため韓国留学。延世大学校延世語学院韓国語学堂卒業。1999年『高麗秘帖』で小説家デビュー。『魔岩伝説』『十兵衛両断』『柳生薔薇剣』で三度、吉川英治文学賞新人賞候補となり、2008年『柳生大戦争』で第2回舟橋聖一文学賞を、2017年『白村江』で第6回歴史時代作家クラブ賞作品賞を受賞。日韓交流史を主題とする時代伝奇小説を発表して注目を集めた。他の作品に『竹島御免状』『長州シックス 夢をかなえた白熊』『シャクチ』『キャプテン・コリア』など多数。
  • 高麗秘帖 朝鮮出兵異聞 李舜臣将軍を暗殺せよ
    -
    文禄元年(一五九二)、太閤秀吉は二十万の大軍を朝鮮出兵させ、首都・漢城(ソウル)、平壌(ピョンヤン)を占領した。だが、朝鮮水軍を率いるたった一人の将軍によって撤退を余儀なくされた。その名は李舜臣(イ・スンシン)。五年後、雪辱に燃えて再出兵した藤堂高虎は、舜臣を暗殺すべく忍びの者を派遣。一方、無益な戦を憎む小西行長は、舜臣を救うべく使者を送った! 綿密な取材、類稀な着想、圧倒的筆力で放つ鮮烈の歴史ロマン巨編。 ●荒山徹(あらやま・とおる) 1961年富山県生まれ。上智大学卒。新聞社、出版社勤務を経て、朝鮮半島の歴史・文化を学ぶため韓国留学。延世大学校延世語学院韓国語学堂卒業。1999年『高麗秘帖』で小説家デビュー。『魔岩伝説』『十兵衛両断』『柳生薔薇剣』で三度、吉川英治文学賞新人賞候補となり、2008年『柳生大戦争』で第2回舟橋聖一文学賞を、2017年『白村江』で第6回歴史時代作家クラブ賞作品賞を受賞。日韓交流史を主題とする時代伝奇小説を発表して注目を集めた。他の作品に『竹島御免状』『長州シックス 夢をかなえた白熊』『シャクチ』『キャプテン・コリア』など多数。
  • 風の海峡 上 波頭をこえて
    3.5
    1~2巻1,155円 (税込)
    梯進吾(かけはししんご)――対馬生まれの少年が、秀吉の朝鮮出兵に参加した。「日本と朝鮮はこんなに仲良くしてるのに」少年たちの友情を戦争が引き裂いた。日朝の悲しい歴史の引き金ともいうべき文禄慶長の役に舞台を設定し、時代の波に翻弄される少年の姿を描く著者渾身の野心作。
  • 茶屋四郎次郎、伊賀を駆ける
    4.0
    本能寺の変を知り自刃を考えた家康に向かい、出入りの商人・茶屋四郎次郎は叫ぶ。信長への饗応費と家康への貸付回収、そして将来手にする利益のために、必ずや家康を三河に帰す、と。かくして茶屋は奉行となり、魑魅魍魎跋扈する伊賀の地を縦断する!
  • 奥羽関ケ原 政宗の謀・兼続の知・義光の勇
    3.5
    慶長五(一六〇〇)年夏──。“東北の関ケ原”とも呼ぶべき大合戦の時が近づいていた……。伊達政宗、直江兼続、最上義光という奥羽を代表する3人の武将の視点で、関ケ原合戦とほぼ同時におきていた奥羽の争乱をダイナミックに描く書き下ろし長編歴史小説。
  • 水滸伝 全五巻合本版
    値引きあり
    -
    中国武侠小説の最大傑作にして「中国四大奇書」の一つ。乱世を舞台に、驚異の力を持つ好漢百八人が暴れ回る! 天に替わって道を行う「義」の精神が炸裂すす。暴力・知力・胆力を存分に発揮して、戦いを繰り広げながら、「梁山泊」へと集結、官軍となって滅ぶまでの一大物語。窃盗、殺人、痛飲、奸計、忠義、友情……。善悪が渾然一体となる物語世界を、読み易く、勢いのある文体で、訳出。原本は原形に近く、均整の取れた百回本。
  • 公家武者 信平 信平への果たし状
    無料あり
    4.0
    公家から武士になった侍・鷹司松平信平を主人公とする「公家武者」は、版元をまたぎ続く人気時代小説です。二見時代小説文庫の「公家武者 松平信平」シリーズでは、最終巻の対決で宿敵・神宮路翔を倒しましたが、講談社文庫の新シリーズ「公家武者 信平」は、その3年後から始まります。本作品はその空白期間、神宮路の弟・明楽との因縁決戦で、空白の三年が明かされる読者待望の短編です。(本短編は『逃げた名馬 公家武者 信平(二)』巻末にも収録されています。)

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  • 御隠居剣法 駆込み宿 影始末(一)
    4.0
    塚原宗八郎、五十半ばの元御家人。醜男だが愛嬌あり。剣の腕はにぶっていない。駆込み宿・安田屋に持ち込まれた揉め事の仲裁をする糊口の日々に事件が起こった。大金を持った男児が「母上が攫われた」とやって来たのだ。誰が、何の目的で? 血腥い武家の内情もからみ、事件は意外な展開を見せていく。腕のたつ仲間たちと真相に迫る、書下ろし新シリーズ!
  • 沙門空海唐の国にて鬼と宴す 巻ノ一 映画カバー版
    5.0
    1~4巻682~1,012円 (税込)
    盟友・橘逸勢らと共に、遣唐使として長安に入った若き僧・空海。密教の真髄を「盗みにきた」と豪語する空海は、ありあまる才で多くの人を魅了していく。一方長安では、奇怪な事件が続いていた。役人・劉の屋敷に猫の化け物が取り憑き、皇帝の死を予言したという。噂を聞いた空海と逸勢は、劉家を訪れ妖猫と対峙することに。その時から2人は、唐王朝を揺るがす大事件にかかわることになる──! 中国伝奇小説の傑作ここに開幕。 ※本電子書籍は映画カバー版です。通常版とは書影画像が異なりますが、内容は同じものです。
  • 立身いたしたく候
    3.2
    「おまえはなにを求めて武家の養子に入ったのだ」幕末前夜の江戸。瀬戸物屋の五男坊に生まれた駿平は、百五十俵の貧乏御家人「野依家」に婿養子入りした。男五人兄弟では、この先分家を立てられる保証もなく、うまくいっても商家の婿。いっそ武士になるのも面白かろうと軽い気持ちで引き受けたものの……当主になって待っていたのは、過酷な「就職活動」だった。新米武士の駿平が武家の世界を駆けずり回って「立身出世」を試みる!
  • 沙門空海唐の国にて鬼と宴す 巻ノ一~巻ノ四 映画カバー合本版
    5.0
    盟友・橘逸勢らと共に、遣唐使として長安に入った若き僧・空海。密教の真髄を「盗みにきた」と豪語する空海は、ありあまる才で多くの人を魅了していく。一方長安では、奇怪な事件が続いていた。役人・劉の屋敷に猫の化け物が取り憑き、皇帝の死を予言したという。噂を聞いた空海と逸勢は、劉家を訪れ妖猫と対峙することに。その時から2人は、唐王朝を揺るがす大事件にかかわることになる──! 空海、四国八十八か所遍路開創1200年記念! 中国歴史伝奇小説の傑作を、お得な合本版で! ※本電子書籍は映画カバー版です。通常版とは書影画像が異なりますが、内容は同じものです。
  • 耳袋秘帖 白金南蛮娘殺人事件
    3.4
    渋谷の南、白金あたりで立て続けに、裕福な家の若い娘四人が行方知れずとなった。およそ半月ほど前の話だという。この一件が奉行所には届いていないことに不審を覚えた南町奉行・根岸は探索を命じた。同じ頃、江戸の街のそこかしこで、紅髪碧眼の大柄な娘が目撃された。人を探しているようであったというのだが……。無関係に思えた二つの事件だったが、やがて一つとなっていく。果たしてその真相は?
  • 鷹ノ目
    -
    罪人を捕らえて金を稼ぐ一人の男…… 時代は戦国。一匹の痩せ馬に乗り、斑鳩をゆく一人の男がいた。 渡辺条四郎、メリケンでいえば賞金稼ぎ、本邦では勧賞目当ての素浪人のていである。 諸国を旅しながら、高札にかかげられた勧文に記された手配書に従って、下手人を捕え金品を得ることで糊口をしのぐ。 しかし本当は仇討の大望が……。 解説・末國善己
  • 寅右衛門どの 江戸日記 殿様推参
    3.0
    人情時代劇を得意とする井川香四郎氏による文庫書き下ろしシリーズ 「寅右衛門どの 江戸日記」の第5巻にして完結編。 時は老中・松平定信の頃。 江戸の長屋にフラリと現れ居候となった「自称・改易された元お大名」の与多寅右衛門が、茫洋たる立ち振る舞いと、見掛けに似合わぬ腕っぷし、どこから知恵が出てくるの?という突拍子もない奇策で、長屋にまつわる大事件、小事件を解決していく痛快人情噺……と思いきや、物語は度重なる急展開。 実は寅右衛門は越後四条藩の殿様の「影武者」であったと判明。 とはいえ殿様同様の教養と武芸を身に着けた寅右衛門の活躍は江戸の評判になり、旗本から仕官の話が舞い込んだり、元の藩からの刺客に狙われたり。 やがて幕府の大物に見込まれ、なんと幕府の「若年寄」に抜擢、それに伴い武蔵滝山藩の藩主、つまり「本物の殿様」になってしまった、というのが前回までのお話。 最終巻でも、庶民に味方し理想を語る「型破りな若年寄」ぶりを発揮する寅右衛門だが、その行く手には「改革老中」を気取りながら増税ばかりを考える出世主義の上役、財政再建の「妙手」を引っさげ幕政に食い込もうとする胡散臭い事業家、財源もなしに大胆な救民政策を打ち出す野心家の勘定奉行……と、次々に難題が立ち塞がる。 さらに江戸の子供がさらわれる誘拐事件、消えた身代金、その裏に潜む幕閣内の抗争。 寅右衛門は、長屋時代の仲間たちの助けを借りて難敵に立ち向かう寅右衛門だが、そこに謎の女の影が!? 最終巻は、謎あり、活劇あり、人情あり、恋(?)ありと盛り沢山。 落語ファン、時代劇ファン、そして硬派な歴史ファンも楽しめること間違いなし。 寅右衛門どのの物語は、大団円を迎えることができるのか? 【目次】 第一話 月夜に提灯 第二話 流雲の如く 第三話 逢魔が富 第四話 殿様推参
  • 斬馬衆お止め記上 御盾 〈新装版〉
    -
    老中土井利勝はまだ安泰とはいえない徳川将軍家を盤石にすべく、外様大名の勢力を削ぎつつあった。次に狙うは関ヶ原の恨み残る信州松代真田家。取り潰しに追い込もうと策謀する。真田家では、老齢の信之から藩政を任された信政が老中の動きを察知し、斬馬衆、仁旗伊織(にきいおり)へ命を下す。「公儀隠密へ備えよ」。老中、伊賀組、戦陣坊主らの権謀術数蠢くなか、刃渡り七尺の伊織の大太刀が閃く!
  • 西郷隆盛
    -
    薩摩藩主、島津斉彬に見いだされるも、幾たびの困難を乗り越え、ついに幕府を倒し、明治新政府をなし遂げる。勝海舟との江戸城明け渡しは世界に誇る無血革命だった。坂本竜馬による薩長連合による大政奉還と王政復古、明治維新の立役者にして英雄。西郷隆盛の波乱に満ちた生涯。※読みやすくするため現代の言葉に近づけていますが、作品の性質上、そのままの表現を使用している場合があります。
  • チャンミーグヮー
    3.8
    明治初期、首里士族である喜屋武家の三男として生まれた朝徳。体の小さな彼は、従兄の本部朝基と相撲をしても負けてばかりだったが、父の教える手に惹かれて鍛錬を重ねる。激変する時代のなか、東京での勉学生活の後に沖縄へ戻った朝徳は更に手の修業を積み、やがてその伝道に力を注いでゆく――。平和は武によって保たれる。琉球が生んだ伝説の唐手家の生き様を描き出す武道小説。
  • 戌亥の追風
    3.7
    嘉永6年、黒船来航に揺れる江戸。木更津の薪炭問屋の娘おきょうは、深川の材木商との談判のため単身江戸へ向かうが、警戒を強める船番所に留置されてしまう。彼女の危機を救おうと、密かに想いを寄せる仙之助をはじめ、男たちが動き出す。騒動に乗じて悪事を企む者たちも現れ、事態が複雑化する中、若き二人の運命やいかに。川面をはしる風のように、心に爽やかな印象をはこぶ傑作時代小説。
  • 雪に咲く
    4.0
    今一番楽しみなのは村木嵐だ――と葉室麟に言わしめた作家による骨太な歴史小説。江戸に幕府が開かれて五十年余り。後に越後高田藩筆頭家老になる小栗美作は、大地震の後処理で手腕を発揮し、藩主・松平光長の信頼を勝ち取る。しかし光長の嫡子が亡くなると藩内は真っ二つに割れ、御家騒動へと発展。美作は否応なく、その渦に巻き込まれていく。そんな高田藩を取り潰そうと幕府は虎視眈々と機会を窺っていた。逃げず、媚びず、諦めず――藩を守るため、次々に襲いかかる難題と懸命に戦った男の生涯を感動的に描く歴史長篇。伊達騒動を描いた『樅ノ木は残った』を彷彿とさせる力作。

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  • 最低の軍師
    4.0
    永禄八年、上杉輝虎(謙信)が義を掲げ、下総国臼井城に侵攻を開始した。総勢一万五千といわれる上杉軍に対し、臼井の兵は二千ほど。後ろ盾となる北条家からの援軍は、わずか二百五十余であった。抗戦か降伏か、紛糾する城内をまとめるため、北条の武将松田孫太郎は道端の易者を軍師に仕立てた。白井浄三である。ところが、浄三は想像を絶する奇策を次々と画策し…。 歴史小説界に超彗星現る!
  • 春風の軍師 居眠り同心影御用22
    3.0
    今孔明と噂の若き軍師、榛名一揆三千を率いて三万の討伐軍を翻弄! 元老中松平定信から直々に居眠り番源之助に影御用。軍師を注意深く見守れ! 一揆は終わったのではない。無用の血がまだまだ流れる。 北町奉行所の元筆頭同心で今は「居眠り番」の蔵間源之助は、数人の侍に襲われている男を助けた。男は、上州榛名で起きた三千人の一揆を指揮し四ヵ月にわたって三万の討伐軍を翻弄、和議に導いた若き軍師として、今江戸で話題の人であった。数日後、元老中で今は隠居の身の白河楽翁松平定信から直々に、影御用を賜った。話題の軍師を注意深く見守れというのである。
  • 妖魔
    -
    建設省のキャリア組・梶谷の経堂の家が鴉の群れに襲われた。そしてなぜか執拗に梶谷だけが狙われた。TVニュースで事件を知った匠淳之助は、群れを率いているのが、匠が餌を与えている鵜のクロであるのを確認した。現場で知り合った警視庁の徳田刑事が数日後、匠を訪ね、五年ほど前に陵辱されて殺された母娘がクロという名の鵜を飼っていたと告げた(「妖魔」)。人間の狂気と滅びを描く西村文学作品集。
  • 太閤私記
    3.0
    1~2巻1,771~1,925円 (税込)
    我、信長を籠絡せり。主君の力量を見極め、弱点を探り、全力で取り入る。猿面の下に隠した野望。太閤秀吉、史上最大出世の秘密。猿に似た醜い容姿。武勇に優れるわけではない。智謀に長けているわけでもない。そんな秀吉が、なぜ信長に重用されたのか。そしてなぜ天下人になり得たのか。信長自身が信長の人生を語る――驚きの着想で好評を博した『信長私記』に続く第二弾。今度は秀吉が自らの謎を明らかにする!
  • 志士の峠
    4.0
    文久三年(一八六三)、帝の行幸の先ぶれを命じられた公家・中山忠光は、勤王志士らと大和で挙兵した。五条の代官所を襲撃し新政府樹立を宣言するが、親幕派の公家や薩摩藩などにより一転、朝敵とされ討伐軍を差し向けられる。満身創痍で深き山々を駆ける志士たちの運命は!? 名手が描く、天誅組の志の輝きと四十日間の光跡。
  • 第三次世界大戦1 太平洋発火
    5.0
    ロサンゼルスで、ある事件が白昼に起こる。祖国で巨額の横領を働いた男に、中国特殊部隊“ドラゴン・スカル”が接触したのだ。彼らは米国へ逃げた人物の奪還を任務としていたが、この時に出た予想外の犠牲者が、ホワイトハウスに激震を与える。IT長者で、大統領の最大支援者の妻子が巻き添えになってしまったからだ。謝罪を求める米国に対し、中国も「人民の金を不正に使い込んだ男を、米国は情報提供と引き替えにずっと匿っていた」と不快感を示す。そしてこの小さな事件が、後に日本を、世界をも巻き込む大戦のはじまりとなっていった。「第三次世界大戦」シリーズ、堂々スタート!
  • 半乳捕物帳
    3.5
    半七ならぬ、“半乳”親分登場! 江戸の町はおっぱいが救う!? 性愛小説の女王が放つ、艶笑時代小説! 神田の岡っ引きの娘・お七は、昼は茶屋の看板娘、夜にはぷりぷりした乳房を衿元から覗かせ江戸の事件を追う、人呼んで「半乳親分」。同心の兵衛に頼まれ、江戸の女たちを虜にしている色坊主・丈円を追い江戸城大奥に潜入するお七だが、童貞将軍も巻き込んで事態は思いがけない展開に!?
  • 斬! 江戸の用心棒
    -
    月島真十郎が剣術修行から江戸に戻ると、藩邸は竹矢来で閉ざされていた。老中の父が急死し、領地は召し取られていたのだ。帰る場所を失った真十郎は用心棒稼業を始めるが、お家騒動を巡る黒い噂を耳にして……。人気作家の新シリーズ!
  • 深水出雲
    -
    元文元年(一七三六年)夏、江戸・田町の浪人で寺子屋の師匠をする深水出雲はがちゃがちゃ売りの三太に人捜しを頼まれた。芝浦新町の夫婦者の喧嘩の原因が地紙売りの間男のためかどうかを三太は確かめたがっていた。町で聞きこんでいた出雲は地紙売りを見かけた。壮年の美男で剣術の面ずれがあった。一方、増上寺の横堀には冬の着物姿で只見屋の番頭が死体でうかんでいた。
  • 江戸大決戦  幕府瓦解の日
    -
    「頭、いざとなったら江戸の町に火を付けてくれ」──慶応四年早春、陸軍総裁勝海舟は火消しの棟梁新門辰五郎に頼み込んだ。京で朝敵となった徳川慶喜が帰還後、恭順して籠る江戸城を目標に、薩長率いる東征軍が迫り来る寸前である。「火消しが火を付けるたぁ、ご冗談で」──だが、勝は本気だった。百万の民を大量の船で房総へ逃がし、敵の侵入に合わせ町を焼き尽くす。いわゆる焦土作戦を画策していたのだった。そんな勝の肚の内を読んだのが、敵の参謀ながら盟友の西郷吉之助である。このまま江戸に入れば甚大な被害を見る。ならば談判に応じるしかない。そしてついに、勝と西郷、決死の会見が実現する!江戸を守るため、命を賭して奔走した英雄たち、その活躍を描く渾身の書下ろし!!
  • さぶ
    4.0
    なんでも器用にこなす栄二と、お人よしだが愚鈍なさぶ。二人は幼いころから仲良しで、いつも栄二はさぶの兄貴分だった。だが、無実の罪で栄二が石川島に流されたことをきっかけに、その関係性に陰りが見え始める。自分は陥れられた、ここを出たら復讐してやろうと世間を恨んでばかりいる栄二は、島の罪人とも口を利かず、会いに来たさぶのことも冷たく突き放した。しかし、大あらしから島を守るための防波堤を作る作業中、栄二はうっかり足をすべらせて生き埋めとなってしまう。普段は冷たく接していた罪人たちが、どうしてこんな自分のために危険も顧みず、躍起になって助けようとしてくれるのか。徐々に心を開いていく栄二だったが――。1人の男が精神的な成長を遂げる感動物語。
  • 伊東一刀斎 上之巻
    -
    武田、上杉、織田らが天下をうかがう戦国の世、比叡山を望む琵琶湖畔の一向門徒の許に育った夜叉丸(のちの一刀斎)少年は、旅の途中にあった剣聖・塚原卜伝に出会う。剣の奥義に触れた夜叉丸は兵法者を志し、亡父の縁を頼って独り北国加賀の地を目指すが……。行く手を阻む幾多の難敵と対峙し、美しき女性に翻弄されながらも逞しく成長していく剣豪の青春の日々。
  • 水滸伝 (一)
    3.0
    中国武侠小説の最大傑作。「中国四大奇書」の一つ。北宋末期の不正と汚職が支配する乱世を舞台に、暴力・知力・胆力を思う存分に発揮して、好漢百八人が、戦いを繰り広げながら、「梁山泊」へと集結。その後、招安されて、国家軍となり壊滅するまでの物語。窃盗、殺人、痛飲、奸計、忠義、友情……。人間の善と悪が渾然一体となって進行する物語世界を躍動感あふれる世界を、よみやすく、勢いのある文体で、新訳!
  • 幕末少年風雲録――健次郎の剣――
    -
    俺――若杉健次郎は、動乱の京の都へやってきていた。 実の父と兄を亡くした俺を可愛がってくれた人たちが、倒幕運動に加担したと聞いて連れ戻すためだ。しかし――それだけでは済みそうになくて。 俺の波乱に満ちた京藩邸生活がはじまった。

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  • やっかい半次郎 かわら版屋繁盛記
    -
    貧乏御家人の次男、衣笠半次郎は「厄介」といわれる冷や飯食いの身。家督を継ぐこともできず、いろいろな奉公に出るが、直情径行な性格が災いし、すぐに職をしくじっては口入屋に泣きつくことを繰り返していた。そんな半次郎に口入屋はかわら版の文章書きの仕事を斡旋したのだが……。
  • 本所見廻り同心控 : 1 ぶらり十兵衛
    5.0
    ならず者の清次郎が竪川三ツ目橋の袂で菰包みの骸となって見つかった。本所見廻り同心の深見十兵衛は下手人探しに奔走するも、耳にするのは強請りに手込めと非道を極めた清次郎の悪評ばかり。やがて行きついた先に待ち受けていた意外な真実と、十兵衛の男気溢れる人情捌きとは!?胸に染み入る傑作時代小説。
  • さぶ
    4.0
    小舟町の芳古堂に奉公する栄二とさぶ。才気煥発な栄二と少し鈍いがまっすぐに生きるさぶ。ある日、栄二は身の覚えのない盗みを咎められ、芳古堂から放逐されてしまう。自棄になった栄二は身を持ち崩し人足寄場へ送られるが――。生きることは苦しみか、希望か。市井にあり、人間の本質を見つめ続けた作家の代表作。
  • 大江戸秘脚便
    2.5
    江戸は芝浜松町。飛脚問屋江戸屋には、才気ある者たちが揃う。遠路駿河への御用に出た駿足の信吉が、何者かに襲われ殺されてしまう。信吉の残した証から、あくどい商売をする紅蝙蝠屋に目をつける仲間たち。兄思いの弟の新次も敵討ちを誓うのだった。一方、王子稲荷までの駆け比べの日も迫っていた。隣の料理屋あし屋の万作たちの力も借りて、江戸屋は勝ち抜けるのか。人情味ゆたかに、江戸を走る飛脚たちを颯爽と描く新シリーズ!
  • 悪足掻きの跡始末 厄介弥三郎
    4.0
    「厄介」と煙たがらないでくれ。好きでやってるわけじゃない。江戸時代、兄もしくは甥の世話にっている者を「厄介」と呼び、幕府の役人は無神経にもそのまま公用語とした。兄の都築孝蔵は六百五十石取りの旗本だが、親重代の借金があったため、弟の弥三郎を他家の養子にできる大金をつくる器量はない。厄介という身分に辟易し、家を出た弥三郎が拓く波瀾万丈の凄絶な人生をえがく。
  • 疫病神捕物帳
    -
    呑太の元に殺しの報が届いた。高利の金貸しが刺し殺されたという。五人の手先たちを駆使した聞き込みの結果、呑太にとって大恩ある岡っ引・銀造の孫娘の名が挙がった。衆人にはその冷酷かつ非常なお調べのためか“疫病神”と忌み嫌われる呑太だが、今は亡き銀造にだけは義理を欠いたことはない。恩人の孫娘――鬼の如き呑太の眼が光を増す(人を信じない男)。名匠渾身の傑作時代小説集。(『疫病神呑太』改題)
  • 遠山桜 影与力嵐八九郎
    3.0
    鳥羽亮の時代小説、新シリーズがついに登場軽業師が集う一座の用心棒をしている嵐八九郎。だが、彼は遠山金四郎の命を受け、江戸の治安守ることを任務としていた。鳥羽亮待望の新シリーズ。文庫書下ろし。
  • 隠密 味見方同心(一) くじらの姿焼き騒動
    3.8
    南町奉行所きっての腕利きと噂される臨時回り同心・月浦波之進に特命が下った。「江戸の食いもの屋の動向を探れ」と。調べに必要な飲み食いの掛かりは、すべて請求できるという。十手を羽織の下に隠し、隠密捜査を始める波之進。―その折、金貸しが殺された。生前にその男が告げたある料理。波之進は、その料理を手がかりに、下手人を捜す。謎をはらんだ珍妙な食物が次々登場。軽妙洒脱、仰天推理の傑作時代小説開幕!
  • 御町見役うずら伝右衛門・町あるき
    3.0
    うずら小屋の番人とは、世を忍ぶ仮の姿。「うずら伝右衛門」こと志摩銀之丞(しまぎんのじょう)は、第7代尾張藩主・徳川宗春の異父弟にして「隠秘御用」を務める居合の達人。河獺(かわうそ)の化物退治、謎の忍者「猿者(さるもの)」との対決、奪われた名刀の探索など、江戸の町に起る怪事件・珍事件の数々を伝右衛門が鮮やかに解決する痛快時代小説
  • 芳一
    3.5
    亡霊も涙すると評判の琵琶法師・芳一。足利義詮の前で弾き語りを始めるや、尼の霊が出現、義詮が姿を消す。親友を人質に取られた芳一は、義詮を探すよう命じられるが、事件の裏には日の本を揺るがす《北条文書》の存在があった。いつしか芳一は文書をめぐる陰謀にまきこまれ……。幻想シリーズ著者がおくる痛快歴史ファンタジー!
  • 軍師の挑戦 上田秀人初期作品集
    4.1
    桶狭間、忠臣蔵、桜田門……歴史を変えた事件にひそむ謎を大胆に解き明かしていく。推理する歴史探偵もまた、後世の歴史上の人物がつとめる。興趣あふれる厳選八編。
  • 決戦!大坂城
    3.9
    慶長二十年五月(1615年6月)。豊臣秀吉が築いた天下の名城・大坂城を舞台に、戦国時代最後の大合戦がはじまろうとしていた。乱世に終止符は打たれるのか、敗北は即ち滅亡……。7人の人気作家が、戦国最終決戦「大坂の陣」に参陣。累計16万部突破の大好評「決戦!」シリーズ第2弾!
  • 小説 琉球処分(上)
    3.8
    清国と薩摩藩に両属していた琉球――日本が明治の世となったため、薩摩藩の圧制から逃れられる希望を抱いていた。ところが、明治政府の大久保利通卿が断行した台湾出兵など数々の施策は、琉球を完全に清から切り離し日本に組み入れるための布石であった。琉球と日本との不可思議な交渉が始まったのである。
  • ミッドウェー戦記(上)
    5.0
    当時、日本海軍機動部隊は世界最強の実力を誇っていた。太平洋戦線における稼働隻数、戦闘機の性能、搭乗員の伎倆と多くの点で米軍を凌ぎ、米国側も「勝ち目なし」と悲壮な覚悟を固めていたほどだった。にもかかわらず、なぜ日本は敗れたのか? 今となっては貴重な、将兵たちへの直接取材をもとに著す傑作戦記。
  • 野望(上) 
    4.0
    「本邦初の軍師役をおかれませい。天下を制するには、まず信濃を併呑することでござる」――後の信玄となる甲斐の若き国主・武田晴信に仕官を求めた異相の男・勘助は、傲岸にも自身をそう売り込んだ。単なる国主に過ぎぬ晴信に天下獲りへの野望が芽生え、神算鬼謀にして稀代の名軍師・山本勘助が誕生した瞬間であった。歴戦の古強者たちの意見はすべて過去の経験から割り出されており、新しい考え方を認めようとしない! 世代交代、情報操作、買収、合併……現代ビジネスマンの心に刺さる、まさに命懸けの戦国時代を活写。真田一族も活躍! 『言霊(ことだま)』『逆説の日本史』の著者が描く、傑作歴史巨編!
  • 蝶結び かわら版売り事件帖 (角川ebook)
    -
    父とふたり暮らしのおみつは、父甚助の様子がおかしいのを心配していた。母に先立たれてから、三度ほど、突然人が変わったような口ぶりになっている時があるのだ──。生真面目で、かわら版を読むことだけが楽しみな父はどうしてしまったのだろう。 一方、かわら版売りの才助は、泥酔して目を覚ますと、見知らぬ女の股枕で寝ていた。さらにその部屋の隅には、死体の男が……。女の顔にも、死体にも身に覚えがない才助は、戯作者の青山孫四郎に先程の出来事を打ち明けるのだった。すると、驚いたことに孫四郎は、ひと月ほどまえのかわら版の記事に状況が似ているというのだ。創作のかわら版が現実になったのか? 才助と孫四郎は、事の真相を確かめようとするが──。 ※本書は、2016年12月26日に配信を開始した単行本「蝶結び かわら版売り事件帖」をレーベル変更した作品です。(内容に変更はありませんのでご注意ください)
  • ユダヤ戦記1
    3.7
    紀元66‐70年、パレスチナのユダヤ人たちはローマ帝国と戦った。だが、彼らにとってこの戦争の結末ほど悲劇的なものはなかった。聖性が宿ると信じられた都エルサレムと神殿を失ったにもかかわらず、彼らの神は沈黙したままだったからである。神の沈黙は彼らに神の再解釈を迫り、以後、ユダヤ人たちの運命は大きく変わった。2000年にわたる流浪の始まりとなったのだ。この戦争を克明に記録した本書は、古代キリスト教以来、現代に至るまで西欧社会の必読書であり、イエスの神性を保証するプルーフテクストとして機能してきた。第1巻は、アサモナイオス王朝の盛衰から開戦前夜までを収録。
  • 第六天魔王 信長
    -
    誰もが知る戦国武将・織田信長だが、その生涯のすべてがわかっているというわけではない。歴史の陰に隠れ、謎に包まれた部分も少なからずある。もちろん事績のかなりの部分は明らかになっているが、それは政策や合戦などに関するもので、「人間信長」についてはまだ知られざる面があるのである。ところが、純然たる歴史学はいろいろな史料を集め、見えない部分に対して仮説を提起することはできるが、断言することはできない。本書はそこに風穴をあけようとした。歴史家の考えがおよばない想像力が、これまで謎とされてきた信長の人生に新たな光をあて明らかにしようとしているわけで、ここに本書の魅力があるといってよい。そしてもうひとつ。著者は経済人としての自らの考えを盛りこんでおり、これも歴史家の描く信長像とはちがう信長像を浮き彫りにする一員となっている。これもたいへん魅力的なのではないか。序文・小和田哲男(静岡大学名誉教授)

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  • 享保に咲く
    -
    兄を失い、恋人をも失いながら、自ら戦地へ赴いた鶴姫伝説を描いた「戦国姫無常」埋蔵金の言い伝えをもつ“一夜にして滅びた白川郷土の黄金郷”の謎にせまる「帰雲城」自らを犠牲にして、農民を思いやった武士の生き方が心にしみる表題作「享保の花」神戸の街を外国軍の占拠から救った滝善三郎の生き様を描いた「最後の武士道」戦国から幕末まで、実話に基づいた4話を収録。

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  • 殿さま奉行 香月龍太郎 望郷の剣
    5.0
    貧乏長屋に住まう龍太は、三十をすぎているにもかかわらず、決まった職ももたず、ぶらぶらと日々をすごす遊び人。わがままで気まぐれな性格ではあるが、困った者には手を差し伸べ、揉め事を解決する男気はもち合わせている。頼りになるのかならぬのか……よくわからぬ龍太であったが、その裏には、とんでもない素顔が隠されていた。香月龍太郎敏光――もと石喜藩の藩主で、いまは隠居の身。しかも、時の将軍・徳川吉宗により『百目奉行』なる密命をさずけられた英傑こそ、龍太のまことの姿であった!弱者の嘆きを聞き入れ、幕府を裏から支える、香月龍太郎の活躍がいまはじまる!
  • 死弦琴妖変
    5.0
    「四大琴」と呼ばれる古い琴があった。中国から伝来した秘宝で、それにしかるべき糸を張り、曲を奏せばありとあらゆる願い事が叶うという。そしてその四大琴の持ち主が吉原にいるとの情報を得た徳川家斉は、御庭番・舘脇和右衛門を派遣する。しかし、御庭番とは名ばかりで不器用で生真面目、機転がきかず遊女のあしらいもろくに出来ない舘脇の捜査はなかなか進まない。そんな折り、舘脇は一人の幇間と出会う。一八と名乗るその男はただの幇間ではなく、八咫烏の式神を操り江戸り魔界に精通する不思議な存在であった。彼との出会いが舘脇を、そして事件を意外な方向に導いていく…。  著者ならではのオカルト・風水の知識を駆使し生み出された、新解釈の“江戸”を舞台とした痛快伝奇時代劇。 ●加門七海(かもん・ななみ) 東京都生まれ。オカルト・風水・民俗学などに造詣が深く、怪談、エッセイ、フィールドワーク作品などを著す。最新刊は『お咒い日和 その解説と実際』(KADOKAWA)。小説に『目嚢』『祝山』『鳥辺野にて』など、エッセイ『猫怪々』『霊能動物館』『墨東地霊散歩』など多数。
  • 高坂弾正 謙信の前に立ちはだかった凛々しき智将
    3.0
    「謙信めに千曲川を渡らせませぬ。川中島で討ち取りましょうぞ!」慎重な采配と得意の退却戦で「逃げ弾正」の異名を取り、猛将揃いの武田家でも“随一の用兵”と謳われた高坂弾正――。元は豪農の生まれという異色の出自ながらも、亡き父の遺田をめぐる訴訟に敗れて行き場を失ったところに、晴信(信玄)からその美貌と才能を見出された。若年より「奥近習」として晴信の身近に仕えるが、その寵愛に決して甘えることなく、虎綱(高坂弾正)は着々と戦場で武功を重ねていく。いつしか、ひとりの武士として、そして武田の重鎮として類希な成長を遂げた虎綱は、宿敵である対上杉の最前線・海津城の守将を信玄に任されて打倒謙信を心に誓うこととなる。龍虎相打つ「川中島の決戦」でも、虎綱は別働隊を率いて窮地に陥った信玄本隊を救う活躍を見せた。内政にも優れた手腕を発揮し、武田の躍進に一身を捧げた智将の生涯を克明に描いた力作!
  • 武揚伝 決定版(上)
    4.5
    本書は21世紀に入って刊行された最も優れた歴史小説であり、一人の作家が生涯に一度書けるかどうかというほどの名作である。 ――縄田一男(日本経済新聞書評より) 黒船来航に揺れる幕末。榎本釜次郎(武揚)は、幕府要人の蝦夷地視察に随行した後、新設の海軍伝習所に入所。操船、蒸気機関等の技術や語学を研鑽し、オランダ留学を果たす。欧州の地で近代国家間の戦争を目の当たりにした釜次郎は、日の本と隔絶する列強諸国の有り様に驚愕する――。 新田次郎文学賞受賞作を全面改稿した決定版!
  • 合本 武揚伝 決定版(上中下)
    -
    本書は21世紀に入って刊行された最も優れた歴史小説であり、一人の作家が生涯に一度書けるかどうかというほどの名作である。 ――縄田一男(日本経済新聞書評より) その個人史を書くことが、彼なり彼女なりの属する共同体の歴史を書くこととほぼ重なる、という人物がいる。榎本武揚も間違いなくそのひとりであった。自分はその武揚について、これだけ存分に書かせてもらえたのだ。小説家としてなんと幸福なことかと、いま感じている。 ――単行本『決定版 武揚伝』あとがきより 黒船来航に揺れる幕末。海軍伝習所を経てオランダに留学した榎本武揚は、幕臣としての務めを全うせんとするが、ついに幕府が崩壊。徳川艦隊を率いて蝦夷地へ向かった武揚は、箱館を攻略し自治州を樹立する。だが、新政府軍が海峡を突破。五稜郭に拠り奮戦するも、土方歳三は倒れ、武揚は……。 “時代の先覚者”の半生を描く畢生の歴史巨篇、改稿決定版! 全三巻(上中下)を合本。
  • おっとり聖四郎事件控(一)
    -
    1~8巻660~715円 (税込)
    将軍家御料理番・四条流の流れをくむ備前宝楽流の庖丁人・乾聖四郎。津軽藩と南部藩の婚儀の料理を任された聖四郎は、その席に乱入してきた賊たちを鮮やかな剣で斬り伏せた。否応なしに事件に巻き込まれた聖四郎だが、その裏には幕府の巧妙で非情な謀略が隠されていた……。庖丁と剣の達人“おっとり聖四郎”が、人情の料理で人の心を救い悪を斬る、シリーズ第一弾! 『「飛蝶幻殺剣」』改題。
  • 雪華燃ゆ~上絵師 律の似面絵帖~
    3.7
    上絵師として、初めて着物を手がけることになった律。粋人として名を馳せる雪永が親しい女に贈るものだ。張り切って下描きを仕上げる律だが、なかなか良い返事がもらえない。そんな中、ある女から金を騙し取ったという男の似面絵を引き受けるのだが――。涼太との恋、仕事への矜恃。心を揺らしながらもひたむきに生きる女職人の姿を描く、人気シリーズ第三弾。
  • 私の庭 浅草篇(上)
    4.0
    1~6巻825~1,045円 (税込)
    時代は幕末、両親を早くに亡くした権介は浮浪の身となって浅草の小屋で生活していた。幼い頃に虐げられていた権介は、彼の集落に住みついた徳川幕府の元高位幕臣と思われる「爺」の薫陶を受け成長する。浅草吉原界隈で勝手気儘に暮らす権介だが、ある日侍狩りで奪った刀を友人にあげたことで自身の生活に陰りが生じ始める――著者初の時代小説にして大河青春小説!
  • 爆撃聖徳太子
    4.3
    隣国を次々に従え、世界帝国への道をひた走る隋帝国。その矛先は琉球、そして朝鮮半島へと向けられた。倭国に攻めてくるのも時間の問題……。この危機に敢然と立ち向かったのが、厩戸皇子、のちの聖徳太子である。遣隋使となった小野妹子をはじめ、周囲の人びとを巻き込んだ聖徳太子の戦いの行く末は!? 「なぜ隋の煬帝を怒らせる国書を送ったのか」「“聡耳”と言われた理由」「その後半生に政治的空白期があるのはなぜか」「黒駒伝説の真実とは」――聖徳太子をめぐる数々の謎を解き明かしながら、東アジアを舞台に壮大なスケールで描かれる、衝撃の古代史小説。
  • 倭国本土決戦 諸葛孔明対卑弥呼
    -
    八門遁甲を操り、北伐を始める諸葛孔明に対し、魏国は起死回生の策として、“鬼道”を使う邪馬台国の女王・卑弥呼を呼び寄せた。木牛・流馬など、稀代の軍師・孔明によって次々と繰り出される奇策を破った卑弥呼のもとに、孔明が単身、倭国へ向かったとの報せが……。孔明の北伐の失敗と卑弥呼が歴史から消えた謎に迫った、三国志と魏志倭人伝の世界が交錯する、気宇壮大な歴史エンターテインメント小説。
  • 諸葛孔明対卑弥呼
    4.0
    「赤壁の戦い」――曹操率いる八十万もの大軍を、“奇門遁甲”によって潰走させた軍師・諸葛孔明。そのおそるべき力に対し、曹操がとった奇策こそが、倭国の女王・卑弥呼の召喚だった! 邪馬台国女王の正体とは? 卑弥呼が操る“鬼道”とは? 三国志の英雄と、日本史最大の謎ともいうべき卑弥呼との直接対決の行方はいかに。同時代に生きた二人の異才が壮大なスケールで繰り広げる、奇想天外な長編歴史小説。
  • 蒼天見ゆ
    3.9
    時代が変われば、生き方も変わるのだろうか――。 武士の世が終わりを告げたとき、“最後の武士”が下した決断とは。 一生を、命を、そして武士の矜持を懸けて挑んだ、日本史上最後の仇討ち! 日本中が開国と攘夷に揺れる時世。 西洋式兵術の導入を進めていた秋月藩執政・臼井亘理は、ある夜、尊攘派により妻もろとも斬殺された。 だが藩の裁きは臼井家に対し徹底して冷酷なものだった。 息子の六郎は復讐を固く誓うが、明治に入り発布された<仇討禁止令>により、武士の世では美風とされた仇討ちが禁じられてしまう。 生き方に迷い上京した六郎は、剣客・山岡鉄舟に弟子入りするが――。 時代にあらがい、信念を貫いた“最後の武士”の生き様が胸に迫る歴史長篇。 「青空を見よ。いかなる苦難があろうとも、いずれ、頭上には蒼天が広がる。そのことを忘れるな――」 ※本作品は 2017年12月20日まで販売しておりました単行本電子版『蒼天見ゆ』の文庫電子版となります。 本編内容は単行本電子版と同じとなります。
  • 維新の肖像
    4.2
    明治維新そのものが持つ思想と制度の欠陥に根本原因があるのではないか――1932年、イェール大学で歴史学を研究する朝河貫一は、日露戦争後から軍国主義に傾倒していく日本を憂えていた。そのとき、亡父から託された柳行李を思い出す。中に入っていたのは、二本松藩士として戊辰戦争を戦った父が残した手記だった。貫一はそれをもとに、破滅への道を転げ落ちていく日本の病根を見出そうとする。明治維新の闇に迫った歴史小説。
  • み仏のかんばせ
    4.3
    傷を持つ二人が夫婦になるが…感動人情小説。   貧しい小作の娘だった志乃は、女郎になるのが嫌で江戸に出て行き、首切り浅右衛門のもとで松助という名の「男」として仕えることになった。剣術の腕も磨いていたが、ある日浅右衛門家にとって大切な死人の肝を、強盗に奪われてしまう。責任を取って浅右衛門のもとを去り、名前を戻し針売りの娘として生きはじめた志乃。そこに、志乃が憧れていた壮太があらわれた。「男」として介錯を仕事としてきた志乃はまともな幸せなど考えていなかったが、お互いの気持ちを確かめて、夫婦になった二人。  しかし、壮太にも隠された過去があった――。志乃が奪われた死人の肝を盗んだのが、壮太達だったのだ。そして、仲間の男だった沖次が凶暴になって、江戸の町を震撼させていたのだ。壮太は、沖次と決着を付けようと出かけていく。それを追って、刀を持った志乃が追いかけていく。果たして決着は!?(第一部 「月明かりの面影」)  第二部では、夫婦のその後と沖次の子供が絡んでいく。(「裏庭の陽だまり」)  ささやかな幸せを願う市井の女性が懸命に生きる姿を描いた人情小説。
  • ご破算で願いましては―みとや・お瑛仕入帖―(新潮文庫)
    3.7
    間口二間の小さな店を開いたお瑛は今年十六。両親をなくし、兄の長太郎と立ち上げた「みとや」は三十八(みとや)文均一の雑貨店だ。ところが能天気な兄が仕入れてくるのは、いわくつきの品物ばかりで……。不気味な守り刀、恋歌が書かれた五枚の不思議な絵皿、なぜか手に入った亡き父の煙草入れ。山ほどの算盤が意外な結末に結びつく表題作をはじめ、色とりどりの人間模様が心に沁みる情味豊かな六編。
  • 大いなる謎 関ヶ原合戦 家康暗殺計画から小早川裏切りの真相まで
    4.3
    慶長五(1600)年九月十五日、日本国内における史上最大の戦闘、関ヶ原合戦が行われた。動員された兵士数は実に15万人超、全国各地の大名が真っ二つに分かれ、まさに天下分け目の決戦となったこの戦いだが、豊臣政権崩壊の原因から戦後処理に至るまで、合戦の前後も含めて考えると多くの謎が残されたままである。なぜ家康は朝鮮に渡海しないですんだのか、なぜ家康暗殺計画は未遂におわったのか、なぜ上杉・直江は西に向かう家康の背後を突かなかったのか、なぜ秀吉の縁戚である小早川秀秋は裏切ったのか、なぜ敵中突破を図った島津家が本領を安堵されたのか……。本書は通説では語られていない関ヶ原合戦の謎あれこれを新進気鋭の歴史作家が徹底分析。本戦前の家康の虚虚実実の駆け引きの真相から、本戦前後の局地戦にまつわる謎、さらには戦後処理の真相まで新史料をもとに謎を大胆に解き明かす。「関ヶ原合戦」の常識を覆す一冊。
  • 西郷隆盛
    -
    西郷隆盛は、1827年、鹿児島県に生まれました。7人兄妹の長男として西郷家をささえ、薩摩藩のために身をつくしますが、二度にわたり島流しにあいます。倒幕をめぐってはげしくゆれ動く世の中で、西郷は禁門の変や薩長同盟、江戸城明けわたしなどで重要な役割をはたしました。新政府の中心人物として、数々の改革を実現した西郷でしたが、「征韓論」で下野したのち西南戦争で城山のつゆときえました。
  • ヨイ豊
    4.0
    元治2年(1865)、清太郎の師匠・三代豊国の法要が営まれる。広重、国芳と並んで「歌川の三羽烏」と呼ばれた花形絵師だった。歌川の大看板・豊国が亡くなったいま、誰が歌川を率いるのか。弔問客たちの関心はそのことに集中した。清太郎には八十八という弟弟子がいる。粗野で童のような男だが、才能にあふれている。己が三代に褒められたのは、生真面目さしか覚えがないのに。──時代のうねりに、絵師たちはどう抗ったのか!
  • 西郷隆盛 荒天に立つ山の如く
    -
    「英雄」と呼ばれた男の生き様 明治維新から150年 大河ドラマで大反響!! 英傑たちの視点で語られる西郷隆盛の知られざる姿、 大久保利通、五代友厚、坂本龍馬、相楽総三――ともに新時代を創った者たちの目に、西郷はどう映ったのか。 維新による天地鳴動は、男を「軍神」という名峰へと隆起させ、やがて崩壊させていった! 奄美流罪、倒幕、新政府との確執、そして西南戦争へ。鹿児島、奄美諸島での徹底取材で明らかになった新エピソードも収録!!
  • P+D BOOKS 鞍馬天狗 1 角兵衛獅子
    -
    鶴見俊輔氏が厳選した時代小説「鞍馬天狗」。 角兵衛獅子の少年・杉作を囮に、鞍馬天狗を取り囲んだ新選組。隊長・近藤勇も新手をひきつれそこに駈けつける。 大坂城代あての密書を奪った鞍馬天狗だったが、謀られて地下の水牢に閉じこめられる。恩人を助けようと城へ忍びこんだ杉作少年ももはや袋のねずみ――。 幕末の京を舞台に、入り乱れて闘う勤皇の志士と新選組。時代小説の名作「鞍馬天狗」から、評論家・鶴見俊輔氏が厳選した傑作シリーズの第一弾。解説も鶴見俊輔氏が特別寄稿。 ※この鞍馬天狗シリーズは12月まで5冊、毎月連続で発刊予定です。 なお、この作品は2000年に発刊された小学館文庫を底本とした電子版と同じ内容になっています。
  • 流星刀みだれ露
    -
    牧田小四郎は微禄の家の冷飯食いだが、学問所の成績を見込まれて、中井徳之進という典薬頭の手伝いをしていた。典薬頭は江戸城の奥医師たちの上位にあり、医術と典薬の全てを掌る高禄の家である。取引先の薬種問屋「山葉屋」の女将と娘、そして徳之進の娘・志穂が、青梅の山中に薬草を採りに行ったまま行方知れずになった。徳之進に命じられ、彼女らを探しに青梅にやって来た小四郎だが、山中で未来から来たという女刀鍛冶・美百合と出会う。美百合から淫気と流れ星の隕石で作った流星刀「冥王丸」を授かった小四郎は、山賊に囚われている女たちを発見し、冥王丸の力でみごと救出。無事江戸に戻った小四郎だが、いままで目もくれなかった志穂に言い寄られて…。
  • 信長私記
    4.3
    なぜ織田信長は母を――史上最凶の日本人、その実像。俺は屍を越えてゆく。なぜ瓢箪をぶらさげたのか。なぜ合戦に強かったのか。なぜ道三の娘を愛したのか。なぜ父親の葬儀に遅れたのか。なぜ鉄砲を集められたのか。なぜ秀吉を重用したのか。なぜ弟を殺したのか。なぜ地獄をも怖れなかったのか。全ての点が線になる、花村文学だから成しえた衝撃作。
  • 江戸城案内仕る 将軍の朋友
    -
    天下一の巨城にして、幕府の中枢であった江戸城──。とりわけ本丸は三万四千五百坪もあり、迷路のような城内を行き来するのは不慣れな大名には難しいとされた。そこで重宝されたのが坊主衆である。各大名は坊主を頼りにし、いつの間にか家臣代わりに使う習慣が出来たのだ。藤田輝阿弥はその坊主衆を束ねる同朋頭で、自然、政治の舞台裏にも通じ、影響力は幕閣さえも怖れた存在であった。その輝阿弥の耳に、驚くべき報せが入る。次期将軍候補、甲府宰相・徳川綱重の多額の拝借金問題……。甲府藩で何が起こっているのか。将軍・家綱と大老・酒井忠清の思惑の狭間で、輝阿弥は徳川家存亡を左右する決断を下す!将軍の良き話し相手でもあった同朋頭の活躍を描く、斬新な新シリーズ!!
  • 逆襲の必殺剣  悪徳豪商を叩きつぶせ!
    -
    越貫藩の武士・高瀬周次郎は、江戸留守居役という役職を利用して小遣い稼ぎに励む、いわば典型的なこずるい小役人。夢や野望、ましてや正義などとは無縁の生活を送っているが、これでも若いころは真面目に剣を修行し、才能の片鱗を見せていた。そんな周次郎が、ある日、偽の骨董品にまつわる詐欺に騙されてしまう。自業自得ではあるものの、使ったのは、藩の御用金。困り果てた周次郎に、救いの手をさしのべたのは、なんと北町奉行の佐々井充孝。佐々井は、金の補填の代わりに、ある密命探索を周次郎に命じるのであったが……。落ちぶれた中年侍が再起をかけて巨悪と戦い、奇跡の逆転を魅せる、痛快・読み切り長編!
  • 風魔外伝
    5.0
    「風神の子」と恐れられ、北条氏に仕える忍びの中でも、風魔の小太郎は、桁外れの巨躯と相まってその能力は抜きんでていた。その小太郎が武田を滅亡に追いやった織田信長より名指しで呼び出される。待ち構えた信長は、進上馬に乗り小太郎に銃口を向ける。そして、発射された銃弾の行方は――。猛将らと闘った希代の忍び『風魔』、その知られざる物語。戦国の世に恐れられた伝説の巨漢、ふたたび参上!
  • 橘外男選集 神の地は汚された
    -
    ■直木賞作家が描く、見捨てられた満州開拓民の悲哀に満ちた物語 ソ連軍がなだれ込んで来ると地獄のような日々が始まった。 一方そんな状況でも、命を危険にさらしても他人を助けようとする者もいた。 「新京・哈爾賓赤毛布」「甘粕大尉とその子分」「麻袋の行列」「思い出の満鉄マン」「黒龍江の空に」5編を収録。 新京・哈爾賓(ハルビン)赤毛布 日本の傀儡国家・満州国へ、調査団の一員として訪れた著者。 ロシア人や満州人でごった返し、活気に溢れていた頃の満州を描く。 甘粕大尉とその子分 混迷し始めた大東亜戦争により仕事を奪われた橘は、生活するために満洲映画協会に仕事を得て、満州にわたってくる。 そこで、満州国のボスを呼ばれた甘粕大尉と会った。 麻袋(マータイ)の行列……オススメ 日本が敗戦しソ連軍が侵攻してくると、関東軍上層部は住民を捨てて日本に帰国してしまう。 残された開拓団は、女を陵辱しつづけるソ連兵や略奪しにくる中国人、伝染病、飢餓によりバタバタと倒れていく。 涙をのんで病人や負傷者、老人、子供を手にかけ、男も女もほとんど裸同然で憑かれたようによろめきながらハルビンへと進んだ。 思い出の満鉄マン……オススメ 冬が近づいてくると、暖をとるために入手困難となった石炭をなんとか確保しなければならなかった。 ソ連は満州鉄道により満州の資材をシベリアに運んでいたが、日本人の機関手はソ連軍の監視兵の目を盗んで、日本人のために石炭を線路脇に巻く。 しかしある日、とうとう監視兵に見つかり、事件が起きる。 黒龍江(アムール)の空に……オススメ 日本人が権勢を奮っていた時代。経理部長だった橘は、日本人の夫に捨てられ、幼子を抱えて極貧生活を送る白系ロシア人・ヴェーラを哀れむ。 しかしソ連軍の侵攻により、状況は一変。 捕えられればシベリアへ送られるため、なんとかソ連軍憲兵から逃げ回っていたが、ある夜、ついに捕まってしまう。 ■著者略歴 橘 外男(たちばな・そとお) 1894(明治27)年石川県生まれ。生後まもなく軍人たった父の転任地・高崎に移る。軍人家庭の厳しい躾に反発、中学を退学処分となり、札幌の叔父のもとに預けられる。その後、貿易商館、医療機器店など職を転々とするが、1936(昭和11)年『文藝春秋』の実話募集に『酒場ルーレット紛擾記』が入選、1938(昭和13)年『ナリン殿下への回想』で第七回直木賞を受賞。戦時中は満州に渡って書籍配給会社などに勤め、戦後、文筆活動を再開、独特の文体で数々の名作を生む。1959(昭和34)年死去。 主な作品に『妖花イレーネ』『陰獣トリステサ』『青白き裸女群像』『私は前科者である』『ある小説家の思い出』などがある。
  • 新版 落語の名作 あらすじ100
    4.5
    今、空前の落語ブームを受けて緊急新版! 人気の超定番噺から大ネタまで、ジャンル別にコンパクトに網羅しました。市井の人々の生活や人情の機微、さまざまな笑いなど、古典落語の面白さ、奥深さがよくわかる一冊です。時代を超えて愛され続けてきた古典落語の魅力がたっぷり。寄席や落語会に行く前の予習本としてもご活用ください。 今、江戸時代以来の落語ブームだといわれています。本書に収録されている古典落語の100席は、落語界の重鎮、十一代目 金原亭馬生師匠と神保町「落語カフェ」主宰の青木伸広氏が厳選しました。また、色気を感じる素敵なカバーの装画は、落語を素材とした漫画も描かれている人気漫画家、西炯子先生の作品です。もっと落語を楽しむために最適の一冊。そのまま覚えれば、あなたも落語家デビュー!?
  • 出世侍(一)
    値引きあり
    4.2
    上州の水呑百姓の家に生まれた藤吉は、下男奉公先で米作りや馬の世話、雑用など何でもこなす毎日を送っていた。そんな彼には、いつか農民の身分から脱し、侍になるという大それた夢があった。生まれ持った運と知恵を味方に、藤吉は立派な武士へと出世できるのか!? 身分の壁にぶつかりながらも、孤軍奮闘する若者の成長を描いた、痛快時代小説。
  • 孫連れ侍裏稼業 上意
    -
    倅夫婦を殺した敵を追い、孫の松之助を伴って出府した伊丹茂兵衛は、生計を立てるため口入れ屋の裏稼業に手を染めるようになっていた。そんなある日、夜盗に狙われているという両替屋の用心棒を請け負うが、その仕事は運命を左右する大きな転機となった――。愛孫の仇討成就を願う五十男の真摯な生きざまが胸を打つ人気シリーズ。待望の第二弾!
  • 殺生伝〈一〉漆黒の鼓動
    3.8
    時は戦国。甲斐の武田が大軍を引き連れて志賀城を攻めた。狙いは、九尾の狐の怨念が宿った殺生石。志賀城の姫・咲弥は、殺生石を守るために城を抜け出すが、山賊に襲われて、谷底に転落してしまう。そんな彼女を助けたのが、山奥に住む一吾という少年だった。妖魔の追手が迫る中、ついに闘いの火蓋が切られる――王道エンタメ、開幕!!
  • 遠山金四郎が奔る
    3.0
    北町奉行遠山景元、通称金四郎のもとに、神田界隈で起きた火事の知らせが入った。早速、火事場の指揮をとるために駆けつけるが、混乱の中で逃げ遅れた子供を助けた男と遭遇する。冷静なその男に対して不審を抱く金四郎。翌日、火事の原因が付け火と判明し、先の男の探索を始めるが――。天下の名奉行の人情裁きが冴え渡る、シリーズ第二弾。
  • 猿島六人殺し 多田文治郎推理帖
    3.7
    浪人者の多田文治郎は江ノ島・鎌倉見物のあと足を伸ばした米ヶ浜で、浦賀奉行所与力を務める学友の宮本甚五左衛門に出会い、対岸の猿島で起きた殺しの検分に同道してほしいと頼まれる。甚五左衛門が「面妖な事件」と評したことに興味をそそられ、承諾した文治郎。酸鼻を極める現場で彼が見たものとはいったい……? 驚天動地の時代ミステリ!
  • サムライ・ダイアリー 鸚鵡籠中記異聞
    4.0
    元禄の世の風俗や世情を記した日記『鸚鵡籠中記』で知られる尾張の御畳奉行・朝日文左衛門の素顔は、密かに私事を書き留めた「秘本」の中にあった――。酒好きで、女好きで、噂話好き。武士としての志を立てるも、怠け者ゆえに、時に欲に溺れ、時に修羅場も経験するダメ男。あまりに不器用だけれども、どこか愛さずにはいられない男の一代記。
  • 鬼平犯科帳[決定版](一)
    4.2
    江戸の盗賊たちに「鬼の平蔵」と恐れられている、「鬼平」こと火付盗賊改方(ひつけとうぞくあらためかた)長官・長谷川平蔵。 火付盗賊改方とは、江戸の特別警察。その長官を務める旗本の平蔵は、いまでこそ人あたりもよく、笑顔を絶やさないが、若い頃は「本所の銕」と呼ばれ、無頼の者からも恐れられた男だった。「悪を知らぬものが悪を取りしまれるか」と言い、人情の機微に通じた鬼平が悪を退治する時代小説の金字塔だ。 中村吉右衛門が鬼平を演じたテレビ版をはじめ、映画、舞台、マンガと様々な形で愛されてきたが、2017年1月からはアニメ「鬼平 ONIHEI」も放送され、大きな話題になった。 2017年は池波正太郎の「鬼平」誕生50周年にあたる。これを記念して人気絶大のロングセラー「鬼平犯科帳シリーズ」全24巻を、ふりがなを増やした決定版で順次刊行。 第一巻収録作品は「唖の十蔵」「本所・桜屋敷」「血頭の丹兵衛」「浅草・御厩河岸」「老盗の夢」「暗剣白梅香」「座頭と猿」「むかしの女」の8篇。 伝説の粋人・ジャズ評論家で晩年は大の鬼平ファンでもあった植草甚一(1908~1979)の解説も収録。
  • ラ・ミッション 軍事顧問ブリュネ
    4.0
    旧幕府軍とともに戊辰戦争を戦い、映画「ラストサムライ」のモデルになった男・ブリュネ! 幕末、日本に軍事顧問としてやってきていたフランス陸軍士官、ジュール・ブリュネ。いわゆるお雇い外国人だった彼は、徳川幕府の精鋭部隊、伝習隊の指導にあたっていた。 大政奉還が行われ、江戸幕府の終焉とともにブリュネらも解任されるが、このあと明治新政府軍と旧幕府軍の衝突があることを知った彼は、日本に残り、自らが育てた伝習隊を指揮して新政府軍と戦うことを決心する。 陸軍士官を辞任するという手紙を残し、土方歳三、榎本武揚、大鳥圭介らとともに箱館に向かうブリュネ。彼を動かしたのは、土方歳三や伝習隊の教え子に教えられた、士道(エスプリ)だった。 後年、フランス陸軍官房長まで務め、日清戦争時の日本への貢献を認められて勲二等旭日瑞宝章を授けられた希代の軍人の精神を描いた感動大作。 解説:本郷和人
  • 双燕の空
    -
    江戸初期、幕府の基礎を築いた名老中と言われた阿部忠秋。彼が育てた数多くの孤児の中の二人―柳之介と秋太。二人は反発しあいながらも力を合わせ、柳之介は鍛え上げた剣術、秋太は明晰な頭脳で、様々な困難に立ち向かう。「誇り高き心」と「幽玄なる智」―異なる才を持ち、強き絆で結ばれた二人の若き男達の物語。
  • 源平の姫君たち 白の章
    -
    時は平安時代末期。打倒平家の名の下に進軍を開始した源氏軍。棟梁である頼朝の妻・政子は、夫亡き後「尼将軍」として鎌倉幕府の実権を握る。源義経の正室・郷御前、愛妾の静御前、側室の蕨姫。悲劇の武将をめぐる姫君たちの悲恋。貴族社会から武家社会へと移り変わっていく中、時代の波に翻弄された女たちの波乱の生涯を描く。
  • 源平の姫君たち 紅の章
    3.0
    平安時代末期。栄華を極めた平家一門の陰で、過酷な運命に翻弄された女たちがいた。平清盛をめぐる祇王と仏御前の葛藤、安徳天皇の母として国母となった建礼門院徳子の悲劇、二人の天皇に愛され后となった藤原多子、宮廷一の美女と謳われ夫に殉じ、海に消えた小宰相…。一門の興亡を女性たちの視点で描く、新たな「平家物語」。
  • 信長 暁の魔王
    4.0
    「その赤子を殺せ」生まれ落ちたその瞬間から実母・久子に呪詛されて育った信長。癇癪もちで傾いた姿で闊歩する“大うつけ者”は、元服直後の初陣で勝利する。十九のとき父・信秀が病に倒れ、死去。織田の家督を譲られた信長だったが、久子と弟・信行から壮絶な跡目争いを仕掛けられる――。親子の情を知らずに育ち、強くなりたいと切望し続けた、傑出の戦国武将の生き様を描いた歴史長編!

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