歴史・時代小説作品一覧
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5.0関ヶ原の大戦から六年が過ぎた、慶長十一年。 江戸の通りで巻き起こった武士と町人の争いに、割って入った素浪人がいた。老いてはいるものの身体つきはたくましく、因縁をつけてきたごろつきどもを、即座に斬り伏せてしまう。 それもそのはず、この浪人……かつての天下人、織田信長その人であった。 本能寺の変をからくも生き延びた信長は、生死の境をさまよったあと、天下統一の野望に興味をなくし、世捨て人として江戸の片隅で浪人暮らしをしていたのである。 だが、稀代の英雄を周囲は放ってはおかぬ。同じくひそかに生きていた明智光秀……天海をお目付役として、信長は気のおもむくまま、悪党どもを退治していく!
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3.7どうせ叶わぬ夢なら、いっそ、 江戸時代の川や海で、 魚を釣ってみたい――「あとがき」より 文学賞3冠に輝く、圧倒的な物語。 時は元禄年間、五代将軍徳川綱吉の治世。江戸湾の沖合二町ほどのところに船を停め、釣りをする二人―― 俳人の宝井其角と絵師の多賀朝湖――は、土左衛門を釣り上げてしまう。屍体は竿をしっかりと摑んで眼を見開き、唇からは歯を覗かせ、笑っていたのであった。 一方、旗本の津軽采女は閑職が故に釣り三昧の日々。義父・吉良上野介の世話で、将軍の側小姓にとりたてられることとなった。 目次 序の巻 幻談 巻の一 沙魚 巻の二 技師 巻の三 安宅丸 巻の四 鯛 巻の五 水怪 巻の六 釣心 巻の七 密漁者 巻の八 側小姓 巻の九 無竿 巻の十 釣り船禁止令
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-徳川幕藩体制の解体から日露戦争終結までの日本近代史を「サムライ」をキーワードに描く。 日本は明治時代に急速な近代化を遂げたと指摘される。しかし、これは「文明開化」や「殖産興業」のみに着目した偏った見方である。当時の指導者たちは西郷隆盛はもちろん、板垣退助も伊藤博文も福沢諭吉も、みな元は武士であった。彼らは明治時代になっても「サムライ精神」を胸に抱き、武士道を導きの糸として、わが国の未来を切り開いた。 サムライたちは「戦い」において本領を発揮する。わが国中世において最大の戦いは豊臣秀吉の朝鮮出兵であったが、徳川幕藩体制はこの「戦う自由」を封じ込めることにより天下太平の世を実現した。その一方、秀吉が夢見た朝鮮さらには中国の征服は江戸時代、国学の流れをくむ学者たちにより正当化され、この思想は幕末の志士たちに受け継がれた。 幕末の動乱により天下太平に幕が引かれ、わが国は再び「戦い」の時代に突入する。封じ込められていた「戦う自由」が呼び覚まされ、朝鮮や中国を「征服する自由」も復活する。日清戦争、日露戦争を経て日中戦争、太平洋戦争にまで連なる「戦い」の近代史は中世から流れる「サムライ精神」により引き起こされたのである。 本書の続編に当たる『民衆 対 陸軍』は日露戦争終結後から太平洋戦争までを「民衆の台頭」をキーワードとして描く。
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3.8おもろい事件、あらへんか? 江戸に居候する大阪の道楽息子が 驚きの名推理で犯人を追い詰める! 人情&ユーモア時代ミステリ! ええ退屈しのぎになったわ―― 居候探偵が難事件を解決!? 歌舞伎役者の中村葱蔵は、親方の名優・市川韮十郎から、韮十郎の息子に自分のハマり役を譲るよう強要されたことを恨み殺害してしまう。 自分の犯行がばれぬよう捜査を攪乱し、韮十郎の死は事故と結論付けられようとするが、 そこへ岡っ引きの伴次のもとで居候する大坂の若旦那・伊太郎が驚きの推理で葱蔵を追い詰めていく…人情&本格時代ミステリ! 〈目次〉 猪はどこに行った 黙って座れば殺される 七不思議なのに八つある
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-あだな芸者といなせな職人 「仕置人姉弟」が悪を成敗! 江戸を騒がす辻斬りの裏に改革の悪弊あり! 私欲にまみれた無道な切り捨てが何の咎めも受けない!? 悪逆旗本の裏成敗を果たした仙左とお勢が、今度は江戸にはびこる辻斬り事件を追う。ふたりは実は、いまをときめく老中首座・水野忠邦に仕え諫死した江戸筆頭家老・二本松義廉の遺児たちであった。連累を逃れるため市井で密かに別々に育てられたふたりは再会を果たし、忠邦配下に命を狙われながらも自分たちの信じる正義を貫く! 書下し時代小説。 目次 一 辻斬りの裏 二 殺しの決断 三 失敗の故に 四 不意討ち
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3.6育ちがいいお嬢様には、秘密があったのです。 日本橋にある将軍家御用達の扇店・善喜堂の娘である千秋は、方々の大店から「是非うちの嫁に……」と声がかかるほどの人気者。 ただ、どんな良縁が持ち込まれても、どこか物足りなさを感じ首を縦には振らなかった。 そんなある日、千秋は常磐津の師匠の家に向かう道中で、八丁堀同心である芦川柳之助と出会い、その凛々しさに一目惚れをしてしまう。 こうして心の底から恋うる相手にようやく出会えたのだったが、千秋には柳之助に絶対に言えない、ある秘密があり――。 「取次屋栄三」「居酒屋お夏」の大人気作家が描く、涙あり笑いありの新たな夫婦捕物帳、開幕!
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-時は幕末。江戸城下、大久保の地。長く泰平の世が続き、代々この地を守ってきた鉄砲同心たちは、火薬の原料を転用したつつじ栽培の内職に励み、家計の足しにするようになった。礫(つぶて)家の丈一郎も三十すぎだが、つつじ栽培の内職に専念する毎日。父の徳右衛門が老いても家督を譲らぬためと、小禄の家計を助けたいからだ。ある日、父を訪ねて同役だった貫田が来る。田安家家老の俳諧の会に入りたいから仲介してくれというのだが……。銃の代わりに鋏を握る丈一郎が、礫家を巻き込む様々な事件に果敢に立ち向かう。喧嘩も笑いも絶えない丈一郎一家の、温かな〈お江戸家族小説〉。
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4.3明の海賊と日本人の間に生まれた少年は海へ――。 「国性爺合戦(こくせいやかっせん)」のモデル・鄭成功を描く 闘いと冒険の物語。 鎖国時代の平戸。孤独な少年・福松を迎えに来た母は、 台湾を根城にする大海賊の頭だった―― 明に渡った福松はやがて鄭成功となり、清と闘う道を選ぶ。 日本と中国の血を持つ男が台湾の民族的英雄に、 後に「国性爺合戦」主人公として江戸の人々を熱狂させる。 生きる場所を求め闘う魂を描く大スペクタクル長編! 解説=仲野徹 ※この電子書籍は2021年6月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
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4.0こんな美しい日に、私は息子を殺すのだ――。 建久10年(1199)、源頼朝と北条政子の間の息子・頼家が将軍職を継いだ。 だが頼家は酒色に興じ、その期に乗じ、 政子の弟・北条義時は頼家の側近の梶原氏の失脚を画策する。 さらに北条家の危機を避けたい義時と政子の父・時政は 頼家の排斥と実朝の将軍擁立を主張、政子は武士の府を守るため、 自ら頼家に毒を盛り、最終的に頼家は謀殺される。 頼朝亡き後、弟・義時とともに、多くの政敵を滅ぼしていく北条政子。 “夜叉のごとき”苛烈さで幕府を守り抜いた政子を描く迫力の歴史巨編。 解説=本郷和人
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3.8「立派なお坊さんになるのですよ」 母の願いを受けて、安国寺で修行する幼い千菊丸だが、禅寺は腐敗しきっていた。怠惰、折檻、嫉妬、暴力。ひたすら四書五経を学び、よい漢詩を作らんとすることをよすがとする彼の前に将軍寵臣の赤松越後守が現れ、その威光により、一気に周囲の扱いが変わっていく。しかし、赤松は帝の血をひく千菊丸を利用せんとしていることは明らかだった。 建仁寺で周建と名を改め、詩僧として五山の頂点が見えたのにも拘わらず、檄文を残して五山から飛び出して民衆の中に身を投げる。本当の救いとは、人間とは、無とは何なのか。腐敗しきった禅を憎み、己と同じく禅を究めんとする養叟と出会い、その姿に憧れと反発を同時に抱えながら、修行の道なき道をゆくのだった。己の中に流れる南朝と北朝の血、母の野望、数多の死、飢餓……風狂一休の生そのものが、愚かでひたすら美しい歴史小説の傑作。
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-内藤新宿の長屋を改造、正体不明の道場主以下、個性派揃いの高弟たち 道場主の酔狂道人洒楽斎(しゃらくさい)に、血溜りの女が遺言した「リュウジンノヒゲ」とは? 諏訪大明神家子孫が治める藩の闘いに巻き込まれ……。 内藤新宿天然流道場を開いている酔狂道人洒楽斎は、五十年配の武芸者。高弟には旅役者の猿川市之丞、深川芸者の乱菊がいる。市之丞は抜忍の甲賀三郎で、七変化を得意とする忍びだった。乱菊は「先読みのお菊」と言われた勘のよい女で、先の先を読むことで舞を武に変じたらん乱舞の名手。塾頭の津金仙太郎は甲州の山村地主の嫡男。剣で江戸に遊学、負けを知らぬ天才剣士。 大久保智弘、再登場! 新シリーズ第1弾
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3.4幕末・ミッション・インポッシブル! MISSION 『幕末最後の戦いで見事活躍し、甲賀忍者ここにありと知らしめ、武士の地位を獲得せよ!』 幕末、江戸幕府が大政奉還をし、旧幕府と薩摩・長州の間で大きな戦が起ころうとしているその時、〝元〟忍びの里・甲賀は揺れていた。忍びとして戦国では大いに活躍したにもかかわらず、戦がなくなると時の権力者たちは難癖をつけて身分と領地を没収。気づけば忍びの術は失われ、百姓として困窮するまでになっていた。そんな折の大戦。忍びの技を再び世に示し、甲賀忍者ここにありと知らしめれば、武士の身分につけるのでは――。そんな願いのもと、集められた甲賀の里の若者たち。その中でも、鬼っ子・山中了司、宮司見習い・安井金左衛門、箱入り息子・大原伴三郎、誇り高き血筋・鵜飼当作、少々年の行った薬術師・間瀬勘解由の五人組は喧嘩ばかりのはちゃめちゃで!? 幕末を駆け抜けた「最後の忍者」の活躍を描くノンストップ・エンターテインメント時代小説!
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-時は中国後漢末期。国家の乱れを憂いながら流浪していた高順は、圧倒的な武で賊たちを蹴散らす一人の将を目の当たりにする。彼の名は呂布。その比類なき強さに、高順は乱世を終わらせることができるのではないかという希望を見出し、呂布の元で戦うことを決意する。呂布陣営に入った高順もまた類稀なる勇将。次第に実力を発揮して呂布たちに認められ、敵陣を必ず攻め落とす戦いぶりに『陥陣営』と称されるようになる。しかし運命の歯車は、高順を過酷な道へと誘っていく――BookBaseが送る三国志列伝。第2回小説下剋上コンテスト審査員賞・天岸賞作品!
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-のちに〝日本近代化の父〟と賞される破天荒な幕臣は、なぜ斬首されなければならなかったのか?——第3回中山義秀文学賞を受賞し、NHKドラマの原作にもなった大島昌宏の傑作歴史小説が30年ぶり待望の復刊! 〝日本近代化の父〟と評価されることになる小栗上野介。 富国強兵の基礎となった横須賀製鉄所創設の立役者になっただけでなく、幕府財政の立て直しに取り組み、タフネゴシエーターとして複雑な外交交渉を切り盛りし、さらには商社の設立に関わるなど、その才覚は外交や経済、軍事などにいかんなく発揮された。 しかし——彼は多彩な能力を持ちながらも、短期間で重要な役職を15以上も渡り歩き、最短で20日で辞めてしまうという破天荒な人物だった! 未来を見据え、家康以来の「祖法」と闘いながら外国と渡り合い、組織を変革し、誰よりも〝義〟を重んじた彼が残したものはいったい何だったのだろうか。 〝上司〟である徳川慶喜との対決、ライバル・勝海舟との見えざる絆、破天荒な夫を支える妻への愛情。激動の幕末、さまざまな人間関係の中で彼が成し遂げたかったことは?そして——《罪なくして》斬首されたのはいったいなぜだったのか? 1995年に「第3回 中山義秀文学賞」を受賞し、2003年1月にはNHK正月時代劇「またも辞めたか亭主殿〜幕末の名奉行・小栗上野介〜」(岸谷五朗主演)としてドラマ化された傑作歴史小説が、30年ぶりに復刊! 【目次】 序章 第一章 露寇 第二章 又一どの 第三章 歩兵奉行 第四章 三度目の勘定奉行 第五章 建設の地は横須賀に 第六章 ヴェルニー来たる 第七章 征長再び 第八章 建設すすむ 第九章 慶喜、将軍に 第十章 フランス人たち 第十一章 大政奉還 第十二章 閑適の日々 第十三章 烏川畔に散る 終章 海戦勝利 あとがき 文庫版あとがき 【著者】 大島昌宏 1934(昭和9)年福井市生まれ。日本大学芸術学部映画学科卒業。広告会社に勤務し、数多くのテレビCMの企画制作を手掛ける。1992(平成4)年『九頭竜川』(現在「つり人社」から刊行)で第11回新田次郎文学賞を受賞。1994(平成6)年には『罪なくして斬らる 小栗上野介』で第3回中山義秀文学賞を受賞。主な著書に『北の海鳴り 小説・中島三郎助』『幕末写真師 下岡蓮杖』『そろばん武士道』『結城秀康』『炎の如く 由利公正』『海の隼 参謀・三浦按針』などがある。1999年12月没。生誕90年・没後25年に向けて、電子書籍による復刊が進んでいる。
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4.0なぜ、人と人は争わねばならないのか? 日本史上最大の危機である元寇に、没落御家人が御家復興のために立つ。 かつては源頼朝から「源、北条に次ぐ」と言われた伊予の名門・河野家。しかし、一族の内紛により、いまは見る影もなく没落していた。 現在の当主・河野通有も一族の惣領の地位を巡り、伯父と争うことを余儀なくされていた。 しかしそんな折、海の向こうから元が侵攻してくるという知らせがもたらされる。いまは一族で骨肉の争いに明け暮れている場合ではない。通有は、ばらばらになった河野家をまとめあげ、元を迎え撃つべく九州に向かうが…… アジア大陸最強の帝国の侵略を退けた立役者・河野通有が対峙する一族相克の葛藤と活躍を描く歴史大河小説。
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4.2忠臣か、異常者か。最恐の暗殺者の本性とは? 「死んだら助かるろう? 幸せになれるがよ」 元治元年(一八六四年)、土佐藩の獄卒・小田切聡介は尋問の場にあった。罪人の名は岡田以蔵。かつて幼なじみであったこの男は、数多の人々の命を奪った罪に問われ、さらには聡介の兄を殺害した下手人である可能性があった。張りつめた空気の中、以蔵は子どもの頃と変わらぬ笑顔で、自らが手を染めた殺人の記憶を語り始める。 幕末期の記録に残る岡田以蔵の不可解な言動。そこには、常人には理解しがたい恐るべき「道理」が存在した――。 気鋭の筆が「人斬り以蔵」の謎に迫る、戦慄の歴史サスペンス。
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-世間の知らない幕末の裏側に、ダークヒーロー「音羽一家」の活躍あり!! 「闇の水脈」シリーズついに完結。 弘化三年(一八四六)・初夏の夜。京都洛中では、密かに、倒幕と新政権樹立を図る謀略が推し進められていた。謀略の提唱者は怪人物の革命家・黒岩一徹。 その黒岩は、翌日の夜、隠れ家の洛外・岩倉において、謎の陰陽師を相手に、己れのテロリストとしての本音を存分に語るのだった。 それは、二百年以上も続いた徳川の泰平の世を覆し、この国を動乱の渦中へと導き、その果てに「万国の長」たらしめるような〈火〉の強国へと生まれ変わらせんとする野望であった。 同じ頃、大坂で起こる連続殺人事件。その背後には、抜け荷一味の元締・河内屋利兵衛の操る闇の組織の暗躍があった。河内屋一味によって無実の罪を着せられて処刑された廻船問屋・和泉屋藤兵衛の無念を晴らすため、闇の世間師・音羽一家の活躍が始まる。抜け荷のカラクリをあばこうと努めるうちに、音羽たちは、大坂の陰謀が京都の政治的謀略と一本の糸でつながっていることに気づく…… 風雲急を告げる幕末を舞台にした痛快時代小説。
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-【本電子書籍は『若さま同心 徳川竜之助 〈新装版〉』シリーズ全13巻を1冊にまとめた合本版です。重複購入にお気を付けください】 御三卿・田安徳川家の十一男に生まれついた徳川竜之助は、御曹司の身分を隠して江戸の町を守る見習い同心となり、持ち前の聡明さと機転、そして練達した剣の腕によって様々な事件を颯爽と解決していく。 剣戟あり、人情あり、ユーモアもたっぷりの長編時代小説の新装版が全13巻収録の【合本版】として登場! 風野真知雄の人気作『若さま同心 徳川竜之助 〈新装版〉』シリーズ、その魅力あふれる作品世界を是非最後までご堪能ください。 《収録一覧》 「消えた十手」「風鳴の剣」「空飛ぶ岩」「陽炎の刃」「秘剣封印」「飛燕十手」「卑怯三刀流」「幽霊剣士」「弥勒の手」「風神雷神」「片手斬り」「双竜伝説」「最後の剣」
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-「ぶらり平蔵」こと神谷平蔵。風の吹くまま気の向くまま、ぶらりどろんと行方をくらます。 長屋住まいの町医者だが、じつは鐘捲流免許皆伝の剣客。病いも治すが人も斬る。悪には強いがなさけにもろい。 磐根藩乗っ取りの陰謀に、藩とは切れたつもりだった平蔵が動いた。立ちはだかるは、奸智にたけた邪剣の使い手。 数奇な運命にみちびかれて出会った女たちの思いに押され、難敵に立ち向かう平蔵。 融通無碍の境地を神髄とし、抜く手も見せぬ無双の秘剣は、はたして磐根藩乗っ取りの陰謀を暴き出せるか!? 時代エンターテインメントの名手が描く、超人気シリーズの〈決定版〉が隔月二巻ずつ、ついに刊行開始!
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3.0「道連れ稼業は、冗談抜きの命懸けの仕事でござんすよ」 江戸の旅情あふれる傑作時代小説! この娘はもめごとの種になる―― 素性も分からぬ美少女の道連れ(付き添い)で 中山道を旅する彦輔を数々の難関が待ち受ける。 「この仕事は、ただ剣の腕が立つだけでは、務まらんのよ」。鹿角(かづの)彦輔は、手間賃さえ出れば細かい事は穿鑿しない「道連れ(付き添い)」稼業。江戸小人目付け・神宮より請け負ったのは、口のきけない美少女菊野の道連れだった。目的も娘の正体も知らされぬまま、中山道を進む一行に怪しい影がつきまとう。予測不能の長い旅が始まる! 口絵・挿絵 深井国
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3.0土下座は屈辱にあらず、悪を斬る正義の剣だ! 廻り方同心・小野寺重吾は、ただならぬものを見てしまった。 昼下がりの北町奉行所で土下座をする、牧野駿河守成綱の姿だった。 土下座相手は三十代半ばの侍で、身なりからしてどこぞの用人あたりであろう。 歳といい、武士としての格といい、奉行よりうんと下のはず。 しかし、重吾は、 (……なんと、きれいな土下座であろうか) 風で桜の舞い散る中、奉行の姿に見惚れていた。 まるで茶道の名人か、あるいは剣の達人のする謝罪ではないか、と――。 小悪を剣で斬る同心、大悪を土下座で斬る奉行の二人組が、江戸城内の派閥争いがからむ難事件「かんのん盗事件」「竹五郎河童事件」に挑む! そして、いま土下座の奥義が明かされる!! 小野寺重吾……北町奉行所の廻り方同心。あだ名は「しゅうとめ重吾」。 牧野駿河守成綱……北町奉行。江戸城内で「どげざ駿河」と呼ばれる。 八重……重吾の妹。「黙っていれば小町」と囁かれるほどの美形。 遠山左衛門尉景元……南町奉行。人呼んで「いれずみ金四郎」。 財前孝三郎……南町奉行所の廻り方同心。周りは「花がら孝三郎」と呼ぶ。 夜目鴉の菊……関八州を股にかけた大盗賊。
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3.9わけありの女たちを診療するおゑんの許へ、何かを極度に怖れている妊婦が訪ねてきた。彼女は目を血走らせ、十両を差し出しながら言った。「お願いします。この子を産ませてください」と――。 後日、吉原惣名主に依頼され診ることになった女郎も、奇矯な妊婦だった。大店の主人に身請けされることが決まっていて、その子を身籠っていながら、「産みたくない」と叫びながら自死しようとしたのだ。 彼女たちは何者で、何故、一人は出産を望み、もう一人は出産を拒否するのか? 疑念がきざしたおゑんは、遊女連続死を調べる過程で親しくなった吉原の用心棒・甲三郎や薬草に詳しい末音らの力を借り、その謎に迫ろうとするが……。 「読売新聞オンライン」人気連載、待望の書籍化。
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3.9事件の予兆と、恋の予感。これが宮部みゆきの世界---。死んだはずの人間が生き返る「死人憑き」が本所深川で起きた。甦った人物が以前より若返っていると感じた「姉妹屋」のお初は、老奉行の御前さまから紹介された与力見習の右京之介と探索を始めた。だがその時、油樽から女の子の遺体が発見される。人は過去にも家族にも縛られる。霊験お初シリーズ第一弾。 事件の予兆と、恋の予感。 人は狡いし、汚い。だけど優しくて、美しい。 これが宮部みゆきの世界。 「霊験お初」シリーズ第一弾! 死んだはずの人間が生き返る「死人憑き」が本所深川で起きた。甦った人物が以前より若返っていると感じた「姉妹屋」のお初は、老奉行の御前さまから紹介された与力見習の右京之介と探索を始めた。だがその時、油樽から女の子の遺体が発見される。人は過去にも家族にも縛られる。霊験お初シリーズ第一弾。
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4.0歴史小説家たちが紡ぐ時代の違う5つの物語が、あるひとつの「怪異」で繋がる。 読後に訪れるこの震えは、恐怖か、驚愕か――? 異端にして傑作の歴史小説集、ここに誕生。 5つの「畏怖」が、この国の歴史を塗り替える 矢野 隆 有我 ――鎌倉時代、壱岐。元寇に抗う男に訪れたある異常。 天野純希 死霊の山 ――室町時代、近江比叡山。霊峰に現れた狐憑きの正体は。 西條奈加 土筆の指 ――江戸時代初期 中部地方。墓の土饅頭から土筆が生え……。 蝉谷めぐ実 肉当て京伝 ――江戸時代後期、江戸市中。山東京伝の妻は、自らを「人魚」だという。 澤田瞳子 ねむり猫 ――江戸時代末期、大奥。城内に現れる不可思議な病。
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3.6若い筆職人の念次郎が飲み仲間の取引先の若旦那松助と夜、迷い込んだ大きな料理屋。広い宴席には誰の姿もなく、二階にあがると、なぜか真っ昼間の明るさだった。いったい、ここはどこなのか? いつなのか? そして松助も「煙のように」姿を消した。外に出た念次郎はさんざんさまよったあげく、深川の皆塵堂の大家の清左衛門に救われる。 松助の祖父の亀松は、明和の大火のときに、目黒の料理屋で飲んでいて火事に巻き込まれた。その後金貸しとして儲けるが、十八年後に姿を消し、死体で発見された。松助の父の松蔵は、それから十八年後にやはり突然姿を消し、やはり死体で発見されている。松助は、祖父と父の死について、叔父の継右衛門からくわしくは聞かされていなかった。そして今年は、父の松蔵が死んで、十八年後にあたる。松助は大丈夫なのか? 清左衛門から曰くものを扱う古道具屋皆塵堂を教えてもらった念次郎は、皆塵堂を拠点に、姿を消した松助を探しはじめる。 幽霊の見える太一郎も、さすがに時空がねじれていると、気配が読めず、今回は役立ちそうにない。 料理屋、二階建ての長屋、湯屋、大店など建物にまつわる因縁のある屋敷で繰り広げられる幽霊譚。 大江戸版ホーンテッド・マンションに、皆塵堂の面々は、どう立ち向かうのか?
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-大人気シリーズ「味見方同心」が帰ってきた! 同心の兄・波之進の後を継いで味見方となった弟・月浦魚之進は南町奉行から密命を受ける。将軍暗殺計画の気配があり、毒見役の鬼役とは別に、城内に忍び寄る悪事を阻止してほしいというのだ。気弱な魚之進にそんな大役が務まるのか? 兄の後家・お静への思いが募るなか、魚之進は美味で怪しい江戸の食べ物を追う! 【収録作品】 『潜入 味見方同心(一) 恋のぬるぬる膳』 『潜入 味見方同心(二)陰膳だらけの宴』 『潜入 味見方同心(三) 五右衛門の鍋』 『潜入 味見方同心(四) 謎の伊賀忍者料理』 『潜入 味見方同心(五) 牛の活きづくり』 『潜入 味見方同心(六) 肉欲もりもり不精進料理』 【南町奉行所・味見方とは?】 江戸市中の食べ物の動向を探る特別役職。水戸藩が南町奉行所に働きかけてつくらせた。同心の月浦魚之進のみが味見方を拝命する過酷な一人役。横行する悪質な抜け荷の現状把握がもともとの目的だったが、捜索の間に様々な食にまつわる事件が発生する。初代味見方の月浦波之進は何者かにより暗殺、それを弟の魚之進が引き継いだ。兄弟の努力と活躍によって悪事は暴かれ、魚之進は兄・波之進の仇を討った。 「味見方同心 潜入篇」全6巻までの顛末は、「隠密 味見方同心」全9巻をお読みください。面白さと美味しさが倍増します!!
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-いつの世も、貧困に苦しみながら懸命に生きる女性はいた 貧しくとも、凜として生きよ―― 梅の木に帰郷の望みを託し、夫とわが子のために命を尽くした下級武士の妻の生涯を描く 何と美しく〈凛として〉切ない物語であることか。 生きることの哀歓漂い、抒情性に溢れた彫りの深い人物造形に定評がある作家による作品である……(中略) 藤原緋沙子が史料を渉猟し、独自の解釈と着想で、“時代小説”の衣裳を着せつつ、史実を超えた物語を立ち上げていくことを小説作法としている歴史小説作家であることがお分かりかと思う。 ――雨宮由希夫氏(解説より) 桑名藩の飛び地・越後柏崎。 海鳴りと吹きすさぶ風、冬は雪に囲まれる僻遠の地に赴任を命じられた者は、島流しとも噂され、二度と桑名に帰れることはないと言われていた。 渡部鉄之助と妻の紀久は、跡取りの長男を故郷の両親に預け、幼子を抱えて勘定人としてこの地に赴いた。 だが陣屋暮らしは、着物一枚買う余裕もないほど困窮した。 夫と子どものため日々の暮らしを守る紀久の心の拠りどころは、日蓮上人ゆかりの番神堂に植えた、桑名から持参した梅の苗木。 この花が咲いたら故郷に帰れる――そう信じ、ひたむきに生きる紀久だったが……。 下級武士の妻として懸命に生きた女の一生を描いた傑作時代小説。
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-天下の御意見番として知られた大久保彦左衛門。 その子孫である直参旗本の彦右衛門は、御書院番頭として、将軍家定に仕え、自身も〈天下の御意見番〉と呼ばれている。 ある日、家族総出で菩提寺に先祖供養に行ったおり、「寄進すれば、救われる」と叫ぶ、怪しげな修験僧たちに遭遇する。 それは、恐るべき陰謀の端緒だった。 黒船の来航で世情が騒がしくなるなか、千石の直参旗本の彦右衛門は、十二人の子供たちと孫たちとともに困難に立ち向かっていく。 各社で人気シリーズを持つ著者による書下し痛快時代小説の第二巻! 第一話 人を欺くなかれ 第二話 慈悲をもって 第三話 悪しき友とは 第四話 まずは民の利 井川香四郎 著作リスト
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-清少納言の妹が、 霊力を失った 陰陽師に弟子入り!? 夢の中に響く笛の音――名器『葉二つ』の謎。 怪異に満ちた平安後宮ミステリー! 少女・小鹿は、清少納言の実の妹であるとして貧民街から引き取られ、御所の中宮定子付きの針女(下働き)として仕えることに。 定子は一条天皇の寵を受けつつも、父の関白・藤原道隆の死や左大臣・藤原道長の台頭により不安な日々を過ごしている。 そんな折、ひょんなことから、小鹿は稀代の陰陽師・安倍晴明に弟子入りすることとなった。 玄妙なる怪異に満ちた平安伝奇絵巻。 目 次 第一帖 葉二ふたつ 第二帖 後宮十二司 第三帖 八雲立つ 第四帖 服妖 第五帖 禁色の宣旨 第六帖 妖面 第七帖 糺ノ森 あとがき 参考文献 カバーイラスト/下村富美
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5.0愛と裏切りと、衝撃の真実! ときは戦国。陰流の祖・愛洲久忠(移香斎)は、神々の国・出雲で「この世にないはず」の刀剣と出会います。 「とうに滅びた備中青江鍛冶の新作に見えた……」 この刀こそ、若き剣豪の理想を体現していました。 久忠は又四郎という陽気な若侍と、山奥をさまよいます。ようやくたどり着いたのは、年寄から赤子まで、女だけで暮らしている隠れ里。そこで出会うのは、女たちの驚くべき風習、いのちを脅かすものたち、雪舟という奇妙な老人……。 なんとしても生きのびようとする誇り高き女たちは、久忠の求める刀をつくることを条件に、「私たちを守ってほしい」と、次から次へと難題を持ち込みます。 久忠たちの運命や、いかに?
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5.0八代将軍吉宗は いかにして生まれたのか 権謀術数で摑んだ天下の先に見た〈星〉とは!? 「畢竟、これは『人は何のために生きるのか』 を問う物語なのである」大矢博子(書評家・解説より) 瞬く星となり 見守っております 紀州藩主・徳川光貞の三男として生まれながら、生母・紋の身分の低さゆえに、虐げられた扱いを受けた新之助。 しかし、五代将軍綱吉から「高みに登れ」と声を掛けられ、運命は激しく動き出す。 新之助の思いと野心に応え、乳兄弟の星野伊織と鉄海和尚は秘密裡に工作を重ねる。 やがて、新之助は紀州藩主、将軍の座を摑むが、そこには新たな試練が。
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-元式部丞・藤原為時の娘で二十歳の小姫(のちの紫式部)は、創作の腕を評価され、左大臣源雅信の娘・倫子に「物語の女房」として仕えていた。小姫の書いた「光る君」を主人公とする短編は、貴族社会の一部で評判を取り、回し読みされている。倫子の要望に従い次々と執筆しているうちに創作の「種」に詰まってしまった小姫は、ある日、隣家の中流貴族の娘で幼馴染みの月乃に「取材」へ誘われる。女房たちの間で噂になっている七の宮の恋の真相を知るため、宮が女と逢瀬を重ねているという廃院に行ってみようというのだ。月乃の父の荘園を治める荘官の子・鶴丸を供に、廃院に向かった三人だったが……。 若き日の紫式部が、相棒とともに都大路の「謎」に迫る! 【目次】 第一話 六条の廃院 第二話 尋ねゆく幻術士 第三話 あこがれの草子 第四話 車争い 第五話 鳴滝参り
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4.0戦国武将にして剣聖が辿った艱難辛苦の道。 上泉信綱は剣槍を縦横無尽に振るっていた。 相模国小田原城主・北条氏康の機略により、武蔵河越城を落とし損ねた関東管領・山内上杉家憲政と扇ガ谷上杉家朝定、関東公方・足利晴氏の連合軍を救うため、一騎当千の働きをせねばならぬのだ。 しかし、獅子奮迅の活躍虚しく、主君である上野国箕輪城主長野業政の嫡男・吉業は護りきれなかった。 肩を落とす信綱に、業政は無能な関東管領を見限るという。 甲斐国躑躅ヶ崎館・武田晴信の誘いにもなびかず、我が道を行く主君に仕える信綱だったが、ついに業政の命運が尽きてしまう。 信綱は「兵法を極めよ」という業政の遺言を成し遂げるべく、弟子の疋田文五郎、神後宗治とともに諸国修業の旅に出る決意を固めることに。 出立後、信濃国諏訪大社で奉納演武してからというもの、長坂釣閑斎をはじめ、諏訪四郎左衛門、武田晴信、小山田信茂らが、兵法家として名高い信綱を引き留めては策を弄してくる。 なんとか魔手を振り切り、常陸国へ向かう一行。 ようやく辿り着いた、武の神を祀る鹿島神宮を詣でていると、なんと剣聖・塚原卜伝が現れた。 教えを乞う信綱に卜伝は……。 戦国武将剣豪ロマン。
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3.9祝!W受賞 第14回本屋が選ぶ時代小説大賞 第13回日本歴史時代作家協会賞作品賞 時は元禄。金銀産出の激減に苦しむ佐渡で、立て続けに怪事件が起こった。 御金蔵(おかねぐら)から消えた千両箱、三六名が命を落とした落盤事故、 能舞台で磔(はりつけ)にされた斬死体、割戸から吊り下げられた遺体…。 いずれの事件現場にも血まみれの能面「大癋見(おおべしみ)」が残されていた。 振矩師(ふりがねし)の静野与右衛門は、奉行から広間役(ひろまやく)の間瀬吉太夫の助手として、 事件の真相解明を命ぜられる。 吉太夫に反発しながら、調べを進めるうち、その才覚と人物、謎めいた過去に強く惹かれてゆくがーー。 佐渡金銀山に隠された恐るべき秘密とは?! 能面の謎を解いたとき、天下を揺るがす驚愕の真相が明らかになる! 2023年3月28日より、11月22日まで新潟日報に連載。 毎日の挿絵は地元の美術系学校の生徒が担い、日々、興味深いイラストが掲載。 連載時、現地の酒造元・尾畑酒造から、本作に出てくる日本酒と同じ名前の 「旅烏」という純米無濾過原酒が発売されるなど、新潟、佐渡でも盛り上がっている。
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3.3修験者のなりをして国々を放浪する謎の「十三童子」。 役者と見まがうこの色男は、錫杖を鳴らし銀のキセルをふかしながら、欲にまみれた人間たちをこう誘う。 ーー来世で地獄に堕ちてもよいなら、ひとつだけ願ってこの鐘を撞け。 ただし、撞いた者は来世に底なしの無間地獄に堕ち、子も今生で地獄に堕ちる。 撞くか撞かぬは、本人次第。さあ、あなたならどうする? 人の欲をためす不思議の鐘、鳴らすか、やめるか? 今が人生の分かれ道。 ストーリーテリングの凄さ際立つ新星が放つ傑作時代小説! 心の奥底に響く物語。深い、深すぎる。ー細谷正充(文芸評論家) 読むと、心のひだをじゃらんと撫でる音が聞こえる。ー三宅あみ(ジャパネスク・ナビゲーター/江戸文化研究家)
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-あの鳥が、綺麗な声で鳴いてくれたら。 飼鳥屋で夢をもって働くお遥、十六歳。 江戸の「鳥」たちが謎をよぶ、書下ろし時代ミステリー! 講談社時代小説文庫 赤ん坊の幽霊が出る噂の真相、盗まれた八百屋の売り上げの行方、婚約者の父が犯した重罪の理由――、 小さな飼鳥屋「かなりあ堂」の周囲で起きる「謎」の数々を、兄想いのお遥が解き明かしていく。 メジロ、ホトトギス、カナリア…小鳥たちが鳥籠で羽ばたきをしている。 近頃江戸では小鳥を飼うのが大人気。 兄と二人で飼鳥屋「かなりあ堂」を営む十六歳のお遥は、お転婆などと言われても気にしない。 噂の幽霊の正体を知ろうと駆けだしていく。 江戸の「鳥」たちが謎をよぶ時代ミステリー。 〈文庫書下ろし〉
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3.5大坂・東町奉行所の同心、山中小鹿(やまなか・ころく)は、上役の筆頭与力・和田山の娘をわけがあることを 承知で娶ったにもかかわらず、裏切られてしまう。妻の不貞を許せなかった小鹿は、 義父の和田山に妻を公然と突っ返すという方法に及ぶ。これが原因で、東町奉行所内では、 同僚たちからも距離を置かれて居心地がよくない日々を過ごしていた。 鬱憤をはらそうと大坂の遊郭に足を向けたものの、なぜか客引きをされない。 理由は、大商家が「総揚げ」すべての見世を貸し切っていたからだ。 その商家の名は、淀屋。西国三十藩以上の年貢米を大坂へ廻送、売る権利を持ち、莫大な富を得ていた。 淀屋に借金をする大名もあらわれ、参勤交代の折には淀屋に寄って挨拶をするほどの力関係に至る。 幕府も忸怩たる思いで、ついに時の老中首座・土屋相模守が手を打つことに。 一介の同心・小鹿は、商魂たくましい上方の豪商と武士の沽券をかけた争乱に巻き込まれていく。 吉川英治文庫賞受賞作家が送る新機軸の書下ろし時代小説、堂々開幕!