アンチミステリの世界
これは…
なるほど。
『ドグラマグラ』とも『黒死館殺人事件』とも違う。奇書と構えて読むからか、胸に遺物が残る読後感。
1955年が舞台。
1年前に起きた洞爺丸沈没事故により両親を亡くした氷沼蒼司、紅司、藍司。
ある晩、藍司はアイヌの格好をした不審者を目撃し、紅司は、アイヌの
...続きを読む呪いや洞爺湖の蛇神の祟りだと怯える。
藍司が働くゲイバーの客であり、蒼司の友人、光田亜利夫は氷沼家と仲を深めるが、そこで謎の密室殺人事件が起きてしまい、巻き込まれてゆく。
家系・密室系のミステリーです。
ノックスの十戒はもちろんだが、江戸川乱歩や不思議の国アリスの話などがポンポン出てくる。
複数人による推理合戦が繰り広げられ、読んでいる方は次々に湧いて出る容疑者やトリックに惑わされてしまう。
それぞれの人が独自の見解で犯人を推理しているので、まるでゲームのエンディングが幾つもあるような錯覚に陥るが、ちゃんと真相は1つなので安心して下さい^ ^
奇妙な推理合戦も魅力ですが、最後まで読んでこの作品の本当の魅力が分かります。
読後は『暗黒館の殺人』と同じようなモヤが心にかかります。
(暗黒館の殺人が大好きなので、すぐ基準にしますが、深い意味はありませんw)