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Posted by ブクログ
幻想文学の金字塔、中井英夫の、とらんぷ譚Ⅰである!
澁澤龍彦の解説と、建石修志の挿絵見たさに新装版を捜したが、現在ほとんど市場に出回っておらず、手に入れるのが大変だった。
実は自分はかつて同著者の代表作『虚無への供物』を読もうとして、途中で挫折した記憶があるのだが、『幻想博物館』から入れば良かったと今更ながら後悔している。
・・・・・・それはさておいて感想を書き残したい。短編として各作品は仕上がっているのに、一冊を通してみるともう一つの話が展開されている、連続短編ならぬ連作小説の斬新さもさることながら、一話の完成度も高く、味わい深い作品たちばかりだった。わけが分からなくなる話、というよりは、やはりそれは、あたかも自分が流薔園に赴く一人で、幻想博物館に展示させられた奇異なスぺクタルを眺めて楽しんだことを述懐しているような、妙にリアリティを帯びた『リアル』な話。だからこそ、最後の『邪眼』には物凄い衝撃と充実、感動を受けた。本当に、特に後半の話からは、時間を忘れて幻想を彷徨していたように感じる。
特に好きな話を5つ、私が挙げるとするなら、『地下街』、『チッペンデールの寝台、もしくはロココふうな友情について』、『蘇るオルフェウス』、『薔薇の夜を旅するとき』、『邪眼』だ! たまらん、最高!
Posted by ブクログ
再読。52枚のトランプと2枚のジョーカーに模せられた幻想的な連作短編集です。さらに各スーツごとにひとつながりの大きな物語にもなっているというこだわり方で、質の高さといい構想の妙と言い、日本文学が生んだ短編集の白眉と言えると思います。
「幻想博物館」は第1集にあたりますが、個々の作品の質の高さは随一で、どれひとつとっても反世界的な情念とセンスオブワンダーに満ちていて、捨て曲ならぬ捨て作品はひとつもないという驚くべき質の高さになっています。
個人的に特に好きなのは「火星植物園」「大望ある乗客」「黒闇天女」「蘇るオルフェウス」の4作品です。三島由紀夫が自害した日にかかれたと言う「蘇るオルフェウス」などはそのまま長編にしても通じそうなほどの密度の濃さです。
Posted by ブクログ
こんな美文で彼岸に達してしまった人達を書かれたら参らないわけにはいかない。本人にその意思が無くても、最後の最後まできちんとまとまっている磐石の幻想短編集。根への偏愛を書く「火星植物園」(若干乱歩風味)、今では定番となってしまったバスの乗客それぞれの心情「大望ある乗客」、忌まわしき三つの贈物「黒闇天女」(個人的ベスト。毒々しいのに最後は格好良いと思ってしまった)、妖しき降霊会「地下街」(短編集中珍しく読後感が切ない)、書簡で過去の事件の真実をあぶる「蘇るオルフェウス」、毒に魅せられた子供「公園にて」と雰囲気は同じなのによくこれだけ味わいの異なる様々な作品を書けるなと驚嘆した。
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小説・文芸
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