小説・文芸 のおすすめレビュー
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ブックライブ書店員
新しい服を着てみたら、新しい自分に気づいた。そんな経験をしたことはありますか?
恋愛にどこか不安や悩みを抱えた5人のアラサー女性が、自分のために作られたかのような運命の一着に出会うことで、前向きな一歩を踏み出していくというオムニバス形式の作品。
作者がルミネの広告を長年担当しているコピーライターの方というだけあり、一文一文に込められた意味や言葉のセンスに引き込まれます。例えば、「可愛くなりたいって思うのは、ひとりぼっちじゃないってこと」という作中のお話のタイトル。このお話の主人公が恋する相手は、九つ年下の会社の後輩。恋が実る可能性は限りなく低いと分かっていながら、この文章から切なさや辛さは伝わってきません。むしろ恋することで、心が満たされていく嬉しさや楽しさを感じます。
試着室で新しい服を着てみることをきっかけに、自分を違った角度から見てみると、とても幸福な側面があったことに気づく。そんなふうに日常の見方を変えさせ、前向きな気持ちにしてくれる一冊です。2022年07月20日 -
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旅は、人生を思い返すきっかけになったりします。
この物語は、執事であるスティーブンスが、旅の最中に自身の人生を思い返す物語です。
どこまでも完璧な執事であり、どこまでも完璧な執事であろうとするスティーブンス。そんな彼の働き方や生き方を、自分の働き方や生き方と比べて読み進めると面白いと思います。
登場人物が多く、すべての登場人物の名前がカタカナのため、最初は混乱しやすいですが、主要な登場人物は複数回出てきてだんだん人柄をつかめるようになってくるので、とにかく読み進めることをお勧めします。
また、スティーブンスの語りで進んでいくため、文章が丁寧で読みにくく感じるかもしれません。こちらについても、とにかく読み進めてみていくと、次第に慣れて心地よくなっていくと思います。2022年07月20日 -
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キキという魔女の女の子が、さまざまな人との関わりを通じて、独り立ちをし、大人になり、そして母になっていく物語です。
特に、大人になっていく様が感じられる4巻「キキの恋」、5巻「魔法のとまり木」が甘酸っぱくておすすめです。
澄んだ描写、美しい描写がされています。そのため、まるで自分自身もキキの暮らすコリコの町にいるかのような、さらにキキ達と共に季節の移り変わりを感じているような気持ちになれます。そのため、最近、季節を感じられていないと感じたときに読むのがおすすめです。
また、「魔女の宅急便」は児童書であり、比較的読みやすいです。そのため、なんとなく疲れたときに読むと元気がもらえます。元気が欲しいときに読むのもおすすめです。2022年07月20日 -
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全てはここからはじまった。
伝奇?新本格?オカルト?ホラー?
それらを全て内包し、しかし骨子は圧倒的な理。
今更語るに及ばずな超人気作ですので、読むことを躊躇している人の背中をそっと押してみます。
ボリューム:中盤から終盤にかけては、むしろ読むことを止めることが出来ません。思いの外あっさりと読了できると思います。
結末:確かに哀しく、凄惨。これはカタルシス云々と言っても良いですが、この結末も含めて本作。
作者の術中に嵌って翻弄されたい方は是非。2022年07月20日 -
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都会育ちの《ゆるーい》青年がド田舎で林業に従事する青春ストーリー!
本屋大賞で第4位受賞。映画化もされ、シリーズ累計で35万部を超える人気作品
横浜育ちの平野勇気は、高校卒業と同時に無理やり三重県の神去村(かむさりむら)に放り込まれた。神去村は見渡す限り山、山、山で携帯の電波も入らないド田舎。ここで林業に従事することになった勇気だが、何度も脱走を試み、トラブルにも遭遇。先輩の鉄拳、ダニやヒルの襲来、チェーンソー片手に山仕事。だが次第に仕事と自然に魅了されていく・・・
登場人物が個性豊かで魅力的。仕事や村での生活を通して描かれた男同士のコミカルなやり取りや友情に思わずニヤッとしたり、ホロリとしたり!勇気の成長や神去村の今後が気になって仕方がなくなる、いつまでも読み続けていたくなる作品です。2022年07月20日 -
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神林作品に共通したテーマ、人・機械・意識・魂の対比が色濃い、大御所らしい本格SF作品。
でありながら、アツく、優しく、少しセンチな物語。
車好きな人、モノづくりが好きな人、少年マンガの王道のような、友情、ひたむきな情熱が好きな人。
語られる作品の魅力が、それぞれに異なる懐の深さ。
神林作品ではやや異色かもしれません。
私が一番感動したのは、読了後に改めてこの作品のタイトルを見たとき。
『魂の駆動体』
あなたは読み終えた後、このタイトルにどんな思いを抱くでしょうか。2022年07月20日 -
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新聞・テレビ・ラジオの3大巨大メディアを持つフジサンケイグループ。鹿内信隆という人物がどのようにしてのし上がっていったのかにとても興味があったので読んでみた。彼は、日本の戦後の動乱の中で、「児玉誉士夫」や「横井英樹」「小佐野賢二」のように闇から権力を牛耳ることとなる。巨大メディアとなったフジサンケイグループだったが、鹿内家による私物化は息子の鹿内宏明氏に対するクーデター追放劇などにより崩壊する。メディアの裏側に潜む凄惨な権力闘争の歴史がわかる骨太な1冊である。
2022年07月20日 -
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華道教室に通うまりかと、その先生である龍彦という2人の人間を中心に起きる奇怪な出来事をまとめた短編集です。
怪談蒐集が趣味の竜彦に惹かれ、なんとなく怪談を集めるようになったまりか。
知人などから話を集めるうちに、まりかの周囲では奇怪な出来事が起こるようになります。
竜彦とまりかという決まった2人を主人公に添えてはいますが、この2人が異能で怪異を解決したり……というような話ではありません。
入ってはいけない場所や、口に出してはいけない言葉、知らないと簡単に犯してしまうタブーが日常には潜んでいて、知らずに踏み込んでしまうと痛い目を見る、本作にはそんな理不尽な怪異ばかり登場します。
人間の力ではどうにもできないことが世の中には確かに存在し、それらから逃れる一番の方法は近寄らないこと、首を突っ込まないことだなぁ、と改めて考えさせられました。正しく、「触らぬ神に祟りなし」を体現する作品です。2022年07月20日 -
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医学部をはじめとする大学入試における性差別。あれってどうしてなのか?得点を調整することなしに試験を行えば募集人員に対する女性の比率が高くなるから。それはそうかもしれないけど、どうして?なんで?そこまで明確に答えているメディアは少ない。つまりは言ってはいけない、人によっては残酷で不愉快な不都合な真実だから。
本書はみんな思っていても口には出せない、タブーとされている事柄を100に近いエビデンスを元に解き明かしているベストセラー『言ってはいけない』の続編です。
前作にはない「ゲイ遺伝子」「自己家畜化が最も進んだ日本人」など、人によっては受け入れ難い理論はもちろんですが、全体的には前作を踏襲した内容になっており、この本だけでも十分な内容です。
また、著者の他作品を読んだことがある方ならわかると思いますが、本書はそんな不愉快な内容を書いて世間を驚かせてやろうというトンデモ本ではありません。「日本人とは何者で、どのような世界に生きているのか。」「残酷で不愉快な真実があるなら、どうやって生きていくべきか。」これをもう少し考えてみようという主旨であり、タイトルとは裏腹に勇気を貰える良書です。もちろん残酷な真実を受け入れる覚悟があるのなら、という前提ですが…。
日本人についてもっと知りたい方は『(日本人)』を、現代社会全般を知りたい方は著作を総まとめした『幸福の「資本」論』がおすすめです!2022年07月20日 -
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今自分が生きている場所と、そこからあまりにも遠い憧れの場所。
何かの主人公として生きていくにはあまりにも平凡な女の子たちが、
憧れとほど遠い現状を打破しようと、時に恋愛や性に走ろうとするものの、
うまく夢中になりきれず、でもその中で
もがいたりしながら生きていく連作短編集です。
彼女たちにとって、ふたつの場所をつなぐ存在が「椎名」というひとりの男。
エピソードによっては半端ないイケメンにも、
ごくごく平凡な、どこにでもいるバカな男子にも見える不思議な魅力が
登場人物、そして読者である私たちを惹きつけます。
時々、それぞれの短編でリンクしているところもあるので、
気づいてちょっと戻ったりするのも楽しいです。
クラスにひとりはいた、やたら輝いていて自信に満ち溢れていた同級生を思い出しながら
読んでみてはいかがでしょうか?2022年07月20日 -
ブックライブ書店員
就職活動に奮闘する大学生の青春群像劇だと思ったら、最後ものすごいスピードで私の期待を裏切っていった作品(いい意味で)。
就活自体もリアルで重い感じなのに、より話のコアとなるモラトリアムや自我や自意識についての語りがとにかく心をえぐってくるので、心当たりのある方はご注意ください。
「俺は企業に入るんじゃなくて個人として生きていく」と宣言しておきながら隠れて広告代理店を受けていた友達、平凡な日常をキラキラ&ポジティブに変換してSNSへ投稿する友人、夢を追いかけて芝居の道に生きる決断をしたもののネットで叩かれまくっている仲間。
理想の「何者」かになろうと必死な友人の姿は、冷静で客観的な主人公からするとどこか痛々しい。それは巷でよく言われる「意識高い」という悪口にも似ている。
でも本当に痛々しいのは、本当に仲間たちのほうなんだろうか。
誰かの行動に批評ばかりしていても、本人は一生「何者」にもなれない。理想に近づきたければカッコ悪くても、がむしゃらに行動するしかないのだ。
クライマックスでの友人との口論が、心をえぐりつつもとても心に沁みる。年明け1冊目としてはなかなか良い、今年も頑張ろうと思う作品だった。2022年07月20日 -
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名だたる著名人が絶賛しているWEB連載発、大人のラブストーリー!
Facebookで元彼女に友達申請を送ってしまったところから始まる私小説。
著者の燃え殻さんは私とは世代が違うものの、90年代の東京の雰囲気、空気、カルチャーなど自分があの時代・あの場所にいたかのように錯覚するほど、描写が自然で巧く、一瞬で引き込まれました。彼女、アルバイト、友人など、各エピソードはそれぞれ短編小説としてまとまっていて、どのエピソードにも燃え殻さんからにじみ出てくるようなやさしさと切なさが溢れていて、胸が締め付けられます。「あの頃には戻れない、けれど生きている今は悪くない。」そんな感動がきっと味わえると思います。
また、作品中に出てくる「電気グルーヴ」「フリッパーズ・ギター」「小沢健二」など、世代的に違うものもあるけれど、読後に無性に聞きたくなったことは言うまでもありません。2022年07月20日 -
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「パリ」という街はもはやただの地名を超えて、色々な意味を持っていると思う。
元祖・オシャレな憧れの街。
けれど、実際に行ったことがある人はそう多くはない。
だからこそ、イメージはどんどん膨らんでしまう。
そんな理想のパリが、本当はただの海外の一都市だとみんなが微かに気づいている。
オムニバス形式で綴られる、パリではない場所にいる人々たちの、パリに行かない言い訳めいた理由と現実。
そして彼女たちが最終的にたどり着く理想の土地は、とある意外な場所で…。
『ここは退屈迎えに来て』で地方都市のリアルを描いた著者が巧みに切り取る、
女性たちが抱える、はち切れそうなパリへの憧れ。
旅行好きな人にも、嫌いない人にも、読んでほしい1冊です。2022年07月20日 -
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2019年秋、福山雅治、石田ゆり子主演で映画化!大人のための恋愛小説。
主人公のギタリスト蒔野と、ジャーナリストの洋子は、わずかの時間話しただけなのに一瞬で恋に落ちる。仕事や、人の嫉妬、戦争など複雑に絡み合い二人を引き裂こうとする。その後二人はそれぞれ別々に結婚して家庭を築き、でも忘れられない二人が再会するとき…というお話。
全体的に著者の言葉選びが秀逸で美しいです。直接的な好きだという表現をしなくても、会話の端々から「それって好きってことだよね?」とわかってしまう感覚が何とも大人だなと思えます。
また、著者の平野啓一郎さんは、他の著作で分人(状況や相手によって異なる自分になる)主義について書かれています。自分の中の複数の人格を認めてあげる(例えば「あの人と話している自分が好き」)。その観点でもう一度読むとまた違った見方ができるのではないでしょうか。おすすめです。2022年07月20日 -
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本書は、数多くの名作を生みだしたあるいは平成の文豪とも呼ぶべき作家、村上春樹によるエッセイです。
著者は1991年から4年半の間アメリカに住んでおり、その体験を主として、90年代のアメリカ社会の情勢やアメリカに住む人々の暮らしなどが描かれています。
ただし、内容は単なるエッセイに止まりません。
文学を創り出す村上の「人」の存在意義や社会的立場に対する考え方が直に伝わってきます。
そして、タイトルの「やがて哀しき外国語」とは本人の中に存在する日本語の情緒を示しています。
あとがきにも書かれていますが、村上に影響を与えた作品の多くは英語の外国小説です。
日本人として生まれ日本語を自明な母国語として生きていたものの、小説家村上春樹としては英語のもつニュアンスが深く影響している、そのようなことを表現している言葉ではないでしょうか。
村上春樹の文学的世界観を通して感じる日常を是非味わってみてください。2022年07月20日 -
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「今まさに電車が迫る線路上に、物欲しげな目つきの人々が立っていたので、踏み切りに身を投げるのは止めにした。」題名は入らない、文章に句点は一つ、詩ではなく物語であり、物語の中でも怪談に近い。これらの条件に沿った一続きの文章を一行怪談とし、集めたのがこの小説集である。
一行のなかにとびっきりの怖い話が盛り込まれた、まさしく一行怪談です。怪談ではありますが、とんでもない化け物が現れたり、呪いで人が殺されたりとかではありません。日常的な出来事が、一つの読点を挟んで180度変わります。少しだけ開いたカーテンの隙間だとか、夕暮れの誰もいない教室だとか、やけにノイズがひどい市内スピーカーの放送だとか…そういうものがこの一行怪談によって、怖いもの・理解できないものに変貌するのがとても面白いです。
読んだ人の想像力によってそれぞれの物語の受け取り方が変わるのもとても面白く、魅力的な一冊です。2022年07月20日 -
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もはや経済小説を超えた!スパイ映画並みのシリアス感!
主人公は『ハゲタカ』に登場した老舗ホテルのオーナー松平貴子。
『ハゲタカⅡ』~『レッドゾーン』の間に起ったパリの一流ホテルの買収をめぐる内紛騒動を描いています。『ハゲタカ』の時と同様に、買収を目論む様々な輩(失礼)から中国当局まで!あらゆる陰謀に巻き込まれる貴子。それでも、タイトルにもある貴子を指す言葉、「ハーディ」(丈夫な、頑健な)の通り、何事も自分で決める強さ、意志が随所にあり、成長した貴子を見ることができます。スピンオフですが『ハゲタカ』シリーズの主人公・鷲津はほんの少し登場します(笑)
また、『ハゲタカ』シリーズは企業買収がテーマの企業小説ですが、本作の特徴としては「スパイもの」といえるほどのスリリングな諜報戦も描かれています(シリーズとしては異色)。そのスパイ映画さながらの活躍を見せているのはもう一人の主人公といっていい、美麗です。鷲津の右腕・アランの恋人であり、中国当局のスパイであった美麗はアランの死の真相を知り、復讐を誓います。復讐のために裏切り、騙し、時には要人を殺害していくその様はまさに、スパイ映画さながらです。
貴子が「陽」であれば美麗は「陰」。対照的だがどこか似ている二人が交差するとき、物語は急展開を見せます!『ハゲタカ』シリーズ初心者にも、スパイものが好きなあなたにもおすすめできる傑作です。2022年07月20日 -
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あることが原因で学校へ行けなくなった主人公のこころは、光る鏡を潜り抜けた先のお城で、オオカミのお面をつけた「管理人」の少女と、こころと似た境遇の6人の子供たちに出会います。管理人は言います。「この城から鍵を見つけた1人の子供の願いを、なんでもかなえてあげる」と。
鍵を探す話ではなく、そこに集った7人がそれぞれに影響しあって個々の問題に向き合っていく1年が描かれます。
鏡の向こうのお城の話という、ファンタジーがベースとなりますが、登場人物たちが抱える問題は大変現実的。すごく苦手だった女子中高生独特の仲間意識、話の通じないオトナ、母親への遠慮と葛藤など、自分が中学生だったころに、言葉にできなかった苦しさが何だったのかを、とても上手に文字に起こしてもらったような感覚です。一方、今だからわかる親や教師側への共感も多く、当時の私を愛しく思いながら読みました。辻村さんの丁寧な感情描写は本当に素晴らしいです。
本屋大賞2018年受賞作。私にとっても、2018年のベストとなりました。あらすじにもある通り、もし生きづらさを感じているなら、この本が未来のあなたに代わってあなたを救ってくれるかもしれないなと思います。2022年07月20日 -
ブックライブ書店員
アニメ化で話題。亡くなった祖父の借金のかたに、かくりよ(あやかしが棲む世界)にある宿「天神屋」へと連れてこられた主人公・葵。鬼神である大旦那様(美形)に嫁入りしろと言われるが、葵は得意の料理を武器に、宿で働いて借金を返そうとする。天涯孤独だけど明るい主人公と、ツンデレな大旦那様のやりとりが微笑ましい。「千と千尋の神隠し」を連想するような、妖たちの賑やかな世界にもはまります。不思議な世界と、美味しい料理と、ときめきと。楽しく読める作品です。
2022年07月20日 -
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「最近の若いのは」という言葉をよく耳にする。
実際に使ったことがある人も、少なくないだろう。
言葉こそ違えど同じニュアンスの文言は、明治の文豪たちの作品にも垣間見られる。
つまり、この言葉は昔からずっと、時代毎の若者が浴びてきた罵倒の言葉である。
では、現代に生きる若者は、明治に生きた若者より相当質が落ちているのであろうか。
決してそんなことはない。
そして、悪いのは子どもではない。
悪いのは、いつの時代もその状況を作り出した大人である。
どれぐらい子どものことを知っているか。
その心に直接的な関心を持って接しているか。
そこに生きるかけがえのない命を心底大事に想っているか、また、扱っているか。
本書は児童文学ですが、大人の方こそ読むべき作品です。
「美しい心」とは何なのか、「生きる」って何なのか。
そして、生きていく上で、また、人と接する上で、一番大切なことを本書は学ばせてくれます。2022年07月20日
