【感想・ネタバレ】首ざぶとんのレビュー

あらすじ

華道教室に通うまりかの先生・嵯峨御流正教授である龍彦の趣味は、なんと怪談蒐集。最初は引き気味のまりかだったが、龍彦の優しげな雰囲気に惹かれ、怪談蒐集の手伝いをすることとなる。ある日まりかは、「おざぶ…おざぶ…」という声が聞こえる穴の噂を聞く。早速龍彦に報告しその穴を調べに行くが、そこで2人は、奇妙で恐るべき怪異に巻き込まれてしまう―。新たな怪談の旗手が描く、日常に潜む怪異の世界。連作短編集!

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華道教室に通うまりかと、その先生である龍彦という2人の人間を中心に起きる奇怪な出来事をまとめた短編集です。
怪談蒐集が趣味の竜彦に惹かれ、なんとなく怪談を集めるようになったまりか。
知人などから話を集めるうちに、まりかの周囲では奇怪な出来事が起こるようになります。

竜彦とまりかという決まった2人を主人公に添えてはいますが、この2人が異能で怪異を解決したり……というような話ではありません。
入ってはいけない場所や、口に出してはいけない言葉、知らないと簡単に犯してしまうタブーが日常には潜んでいて、知らずに踏み込んでしまうと痛い目を見る、本作にはそんな理不尽な怪異ばかり登場します。
人間の力ではどうにもできないことが世の中には確かに存在し、それらから逃れる一番の方法は近寄らないこと、首を突っ込まないことだなぁ、と改めて考えさせられました。正しく、「触らぬ神に祟りなし」を体現する作品です。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

島本まりかはフリーター。華道教室の先生・磯部龍彦と共に怪談蒐集を始めるが、様々な怪異に見舞われる。

京都を舞台とした連作短編集。

「首ざぶとん」
おざぶ…おざぶ…という声が聞こえるという「おざぶあな」。まりか達は軽い気持ちで足を踏み入れてしまう。最後まで気が抜けない怖い話だ。

「トモダチ」
帯を通じて会う約束をすると、邪魔してくる怪異。まりかが目をつけられるわけがわからなくて怖い。そういう怪異なのだから仕方がないか。そしてこれで本当に終わったのかがわからないのも嫌な感じである。

「ひじり」
近所の連続放火事件を調べていると、「ひじりに関わるな」と警告をうける。「ひじりに興味を持ったら、ひじりがこっちに興味を持ちよるんや」と。それでもひかないでいると、また不審火が起こる。何が目的なのかわからないし、ひじりに関わる何かも描写されるが、正体は不明のまま。

「羊を何度も掘り出す話」
タイトルそのままの話。いつの間にか穴を掘らされ羊の化け物を見る…という。他の3編に比べると1番平和的に解決している気がする。

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2014年12月10日

Posted by ブクログ

怪異が確実に“ある“よう書かれたフィクション、だけれど、その正体や謎、由来や因果も現実と同じように解明されることがない。物語にはオチがつくけれど、それも解決というよりは偶然生き残れた、というような感触。これがフィクションで書けるというのも凄いことのような気もする。怖かったしとても面白かった。

「体験は体験なんだ。何かは起きている。でも、それを観察した結果の評価が、怖いであったり、不思議であったりするんだよ」
これは実話怪談にも通じるライン。頷いた。

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2025年01月17日

Posted by ブクログ

ホラーと言ってもグロテスクさや生理的嫌悪のない
じわじわじんわりとした恐怖……という、とても好みの作風でした。
個人的には主要登場人物の1人、龍彦先生の理知的さが良い味付けになってストレスなく存分に入り込めるホラーになっていたと思います。

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2024年11月10日

Posted by ブクログ

ネタバレ

前作の『今昔奇怪録』は短編ごとに登場人物が違っていたけど
今回は、華道教室の先生・生徒の龍彦とまりかのコンビが
短編4つ全てに登場する形に。

登場人物が固定されてこともあり、舞台はすべて京都になり
方言も時折混ざりつつ、京都らしい雰囲気が全編漂っています。

「首ざぶとん」と「羊を何度も掘り出す話」が怖かったですね。

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2012年12月20日

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べたやけど好奇心がゆえに巻き込まれて行く2人とその周辺がおもしろい。怖いけどおもしろいのは大好き。2冊目おめでとうございます。

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2011年08月01日

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都市伝説と怪談が混ざったようなシリーズものホラー短編集。

説明のあっさりした中にも効果的な恐怖演出があって
ホラー好きなわたしにとっては心地良かったです。
一番すきな話は都市伝説色が強い「ひじり」かなー。

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2011年05月29日

Posted by ブクログ

華道教室に通っているまりかは、ひょんなことがきっかけで、怪談集集が趣味の華道師範の手伝いをすることに。そんなとき知った「おざぶあな」の謎を解くため、現地に赴いた二人は、そこで身も凍る体験をすることになり…。日常に潜む怪異を描く、連作短編集。まりかと冷静沈着な華道師範のでこぼこコンビが良いです。怪談も秀逸。また続きを書いてほしいな。

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2011年01月12日

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じんわりとした恐怖を感じさせられる怪異短編集。事象そのものが怖いものから、何かよく分からない怖さを感じさせられるものまでさまざまなテイストです。
お気に入り、そして一番怖かったのは「トモダチ」。起こる怪奇現象そのものよりも。「友達」に関する認識をざっくりと突きつけられたような気がして、そのほうが恐ろしく思えました。この声の正体も分からないし。実に怖い一編です。

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2010年12月31日

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久々に一日読書をする時間があったので、一気に読んだ本。華道師範とその(華道の)お弟子さんのゴースト・ハントもの。連作短編集です。特に特殊能力があってどうこうという話ではなく、知恵と勇気で妖怪に挑む話でもありません。だからこそ怖い。怪異の描写は本当に怖かった。それぞれのお話の投げっ放しな終わり方がまた不気味さをかき立てます。キャラが魅力的だから、もう少し長い話を読みたいと思わせるのだけれど、それがまた良いのでしょう。メインの舞台は京都です。大阪駅も出てきて、親近感ありました。(大阪府民なので)

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2010年12月24日

Posted by ブクログ

龍彦先生が浮世離れしているせいか、もしかしたら先生が怪異なのかもと、いつ好青年から豹変して主人公のまりかを絶望させるか、途中までドキドキしながら読んでしまった。

1話目の首ざぶとんは、人の心の闇を見せられしょんぼり。信じてたのに…。
2話目のトモダチは、確かに男の言う通りなところもあるけど、逆に友達からそこまで求められたら果たして答えられるのかと思う。自分だって時には自分自身を裏切ったり、やらなければいけない事を明日の自分に押し付けたりするんだから、相手のそんな部分も含めて友達だと感じるなら、それでいいのではと思ったのだけど。
3話目のひじりは、考えたり話したりすると引き寄せてしまうと言う事?考えちゃダメと思うと、余計気になるのが人の性。これはなかなかしんどい。エリさんは怪異に魅入られてしまったのかな。
4話目は龍彦先生視点で、先生も人並みの感情があったんだなぁと。何だか悟っているような感じがしたから。それとも、言う通りに鈍いだけなのか。
また、宮司さんと言ってもみんなが力を持っているわけではないし、呪文などの手続きを踏めば収められるものなのかもしれないけれど、それでも心許なさすぎて…。これから先も同じような事が起こるのではないかと不安しかない。

こちらはシリーズ化されているのか。続きがあるなら読んでみたい。

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2025年08月22日

Posted by ブクログ

恐ろしい怪しげなことが起こるが特に理由や原因には言及されない、いわゆる怪談。
ネタ、プロット、演出などツボは理解していると思われるが、小説の出来としては三流。意味が分からないということはないが、文章力、語彙とも乏しく、唐突な口語で緊張感が途切れる。ホラーで一番大事な雰囲気作りができていない。
あとお華の先生って設定何も活かされてないやん。無意味な伏線は良くない。

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2025年07月24日

Posted by ブクログ

表紙&タイトル買い。出だしはゆるりと、じわじわと来る怖さ。怪談蒐集が趣味の華道師範の龍彦とその生徒で女子高生のまりか。京都の町で二人が出会う「怪異」の数々。謎は謎のままという、モヤモヤ感も計算のうちなのかな?シリーズ化したら面白そう。

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2011年09月20日

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