あらすじ
人々が仮想空間へと移住しはじめた近未来、養老院に暮らす〈私〉は、生の実感をとりもどすため理想のクルマを設計する。いっぽう遥かな遠未来、翼人のキリアは、人類の遺跡から一枚の設計図を発見するが……機械と人間の関係を追究してきた著者が、クルマと自由な精神の解放を謳う現代の寓話。
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Posted by ブクログ
神林作品の中で一番好きな、って前にも書いた記憶が…
やっぱりこれかな。人間の欲求なんて、究極に突き詰めるとこうなるという作者のメッセージに共感。
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物を創る分野に関わるうちに、自分と、ひいては人間の能力の限界を実感し、ある種悟りの境地に達したのだ––––と言えばおおげさかもしれないが、それは現実世界のなかで自分がどこに位置するのか、自分の立場というものを明確に得るということだ。創造してきた者の自信と言えるかもしれない。世界そのものは変えられないにしても、世界観は自分の意識でどのようにも変化する、そもそも世界とはそういうものなのだと、子安は信じているようだ。世界観は自分で創るものであり、創ることができる、という自信があればこそに違いない。
私は役所でずっと事務職に関わってきて、なんの創造もしてもなかった。だがそれがどうしたと子安なら言うに違いない。どんな境遇でも創造行為は可能だ、と。私はただやらなかっただけなのだ。
同じ仕事をしていてもそこに創造の喜びを得る者もいれば、そうでない人間もいるだろうから感受性の問題なのだろう。仕事上で難しいのなら趣味でやればいいのだ。私の父がそうだった。子安の父親のリンゴ作りもそうなのだ。ヒトはなにかを創らずにはいられなくて、それができないとき、人は病気になる。
「人間モ飛行機トイウモノヲ創ッタ。物ヲ運ビタイカラデハナイ、タダ飛ビタカッタノダ」
意識とは、かつて経験したことのない、まったく新しい事態に直面したときに、それに対処するための手順を自分で生成する能力だろう、とキリアはアンドロイドギアとの生活で、そう思うようになっていた。つまり意識というのは、用意されていないルーチン・プログラムを新たに自分で創り出す能力なのだ。ルールを創造する能力であり、想像力は意識から生まれる。人間が、物や道徳や社会を創り出してきたのは、意識というものが備わっていたからだ。いまのアンドロイドギアには、その能力がない。
Posted by ブクログ
今までの神林作品と違う~
ドライ&テクニカル、ナイーブな所も独自なセンスとリズムであっさり斬って爽快なところ。。。それが神林流だった。
でもこの『魂の駆動体』はストレートにアツアツだ。
ヤケドしそうなくらいに老人コンビが夢を追う、追う、追う!爽快だ。著者が書いてきた少年でこんなにも、少年らしい夢を持っていた人物はいただろうか?・・・神林作品はほとんど読んでいるけれど、ちょっと、思いつかない。
面白い。。。気持ちが前向きにならざるえない本だ。
Posted by ブクログ
神林長平の最高傑作だと思います。
特にクルマに興味を持たない私も非常に面白く読み、感動しました。
何度も再読しています。
表紙イラストがまた良いですね!
Posted by ブクログ
・・・クルマの詳しい設計とか専門用語はサッパリわからない。
自転車のハンドルとタイヤをつなぐ軸に角度をつけないと安定しない…というくだりはどこかで聞いたことあったなあ…くらい。
おじーちゃんたちが愉快なので、専門用語の難しいのは相殺されてるけれど。
この本は、魂と人間と意識の話なんだと思って読んだらすんなり入ってきた。
自分の魂はわたしになにを要求しているのだろう。
なにがしたいのか。それがわかる日が来るのか。来ないまま肉体が限界を迎えるのか。魂の欲求を完全に満たしてやったとき、魂は満足して消滅するのだろうか。自分はどう生きるか、なんのために生きているのか、生かされているのか。それはある意味「魂」まかせ、すべては「魂」のおもむくままに…?
そう思うと…ちょっと肩の力が抜けたかんじがしてきた。
これって「あなたの魂にやすらぎあれ」ってこと?
Posted by ブクログ
「何故走らずにはいられないのか?」移動、スピードへの本能、開発者の本能を、SFの世界の中で見事に描いてくれています。そして小粋な老人達が秀逸♪モビリティに関わる全ての人にお薦めします。
...表紙は初版がいいなぁ。
Posted by ブクログ
クルマの設計・製作を通し工学の楽しみを書く。理科系の人間にとって実になじみ深い題材。
専門用語が多発されてよく分からない部分も多いが、だからこそ主人公たちの心境とか車にかける情熱とかが伝わる気がする。
Posted by ブクログ
車が「クルマ」から自ら制御する必要のない「自動車」に置き換わった近未来、一人の老人が、理想の車の設計を試みる・・・。
自分車にはてんで興味はないんですがコレ読んだら少しほしくなっちゃいました。
Posted by ブクログ
そこそこ分厚いのですが、あっという間に読み終わってしまいました。最後ちょっと泣きました;;
自分自身も設計の仕事をしているので、ものづくり魂とでも言うのか。ひとがその心を込めて何かを作り上げようとする工程にとても共感を覚えました。マイバイブルに決定。
仲良しじいちゃん2人組が零とブッカーさんに被るのは多分病気なんだと思いますw
Posted by ブクログ
神林氏の作品の中では珍しく、ストレートに青春している物語です。
内容は相変わらず思索的な感じ。
あらすじには「魂の駆動体”たるクルマと自由な精神の解放を謳う現代の寓話」とありますが、この本は車というものを扱った青春SFという単純なものではないと思います。
魂が駆動するために何が必要か。それはつまりクルマに限らず、喜び・楽しめるものであるという事。そして魂もまた駆動するという事が多聞に含まれる内容になっています。
Posted by ブクログ
個人的ベスト神林。ソリッドさとメロウさのバランスがとてもいい。
ただ主人公である爺さんたちのクルマを創りたい欲求と言うのはオスガキないし元・オスガキにしか共感できないだろうからオススメするにはちょっと向かないかも。あっセクハラ的発言してしまった!
Posted by ブクログ
クルマ(否自動車)に情熱を注ぐ老人たちと、人類が滅亡した遠い未来でのクルマの復活を目指す天使たちの物語。
ものづくりへの情熱を思い出させてくれる傑作。
ネタバレだが、アンドロギアに魂が宿るシーンは身の毛がよだつ。あと魂が離れた時も。
Posted by ブクログ
近未来と遠未来が交錯するクルマのSF。私の技術に対する気持ちとチャレンジしようという気持ちの原点です。今すぐにでもクルマを作りたくなりました。
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人とクルマの関係。いや、人と人の創り出したモノとの関係。その理想型がここにはあります。色々なところから影響を受け、漠然とした気持ちだった僕の、最後の一押しをしたのがこの本でした。オープンカーが欲しくなること請け合い。
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何というか、しんみりとほのぼのが混ざったような読後感。
メカニックに関する部分はほぼ理解できなかったけど、好きな人にはたまらないんじゃないかと想像できる、楽しそうなやりとり。林檎園での冒険も含め、こういうのを「少年の心」というのかな。
あと、アンドロギアという存在は、後に『膚の下』のアートルーパー達に発展していったのかな、と思った。
Posted by ブクログ
しぶちゃんリコメンド
これは、、、いかにもしぶちゃんらしいセレクト。
この人の作品は初めてだし、そもそもハヤカワを読んだのもどれくらいぶりだろう・・・
私自身はそこまで「クルマ」に詳しい訳じゃないけど、この本で語られている事はそれでも伝わって来た。
Posted by ブクログ
近い将来、我々も利便性を追求していった末にはこの作品中に出てくる”自動車”のようなものを(技術があれば)作ってしまうのではないだろうか。もし家事ロボットなるものが出来て、我々がこなすべき日々の仕事が減ったら、我々はそれを後悔するのだろうか。
全体として読みやすいが、唯一自転車の場面で専門的な用語が飛び交っていた個所は読みづらかった。こちらの能力不足か。
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元気なおじいさんってかっこいい!
自動操縦で人間を運ぶだけの「自動車」ではない、本物の「クルマ」を作ってやろうとする爺さん二人の挑戦と、自転車と天使の物語。
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神林長平さんの「魂の駆動体」を読んでいます。
戦闘妖精雪風でこの人の小説にはまったんですがこの本も面白いです。
魂が自ら駆動するためにクルマに乗る。
メカ好き、クルマ好きにはかなりオススメな作品です。
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神林長平、いつもスルスルとは読めないなぁ…
今回は人間が車を作ることの意味、自動車とは、本当の車と魂の関係性、アンドロギア、あたりを延々としゃべっていた気がする。
Posted by ブクログ
神林長平を語る上でのひとつのキーワードが「ことば」であるなら、
もうひとつは「人と機械」である。
ただし、今までの機械は主張する機械であった。
「魂」を持った機械であった。
今回は違う。「魂」をゆさぶる機械だ。
私自身は、あまり「クルマ」という機械に
詳しくないので、テクニカルな面でややくどいという感想もあるが
「ことば」へのこだわりが少ない分、読みやすく、
神林長平の違った面も見れた気がする。