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今自分が生きている場所と、そこからあまりにも遠い憧れの場所。
何かの主人公として生きていくにはあまりにも平凡な女の子たちが、
憧れとほど遠い現状を打破しようと、時に恋愛や性に走ろうとするものの、
うまく夢中になりきれず、でもその中で
もがいたりしながら生きていく連作短編集です。
彼女たちにとって、ふたつの場所をつなぐ存在が「椎名」というひとりの男。
エピソードによっては半端ないイケメンにも、
ごくごく平凡な、どこにでもいるバカな男子にも見える不思議な魅力が
登場人物、そして読者である私たちを惹きつけます。
時々、それぞれの短編でリンクしているところもあるので、
気づいてちょっと戻ったりするのも楽しいです。
クラスにひとりはいた、やたら輝いていて自信に満ち溢れていた同級生を思い出しながら
読んでみてはいかがでしょうか?
Posted by ブクログ
登場人物たちほどの田舎に住んでいる訳では無いけれど、神奈川の、閉塞感のある街でわたしは十九年間生きている。かつて浴びせられた暴言と行動を無かったことにできるほど強くはなれなくって、愛憎混じる感情を地元に向けて抱えている。そんなわたしに気付きもしない小・中学校の同級生たちは今日も楽しく地元の人間と遊んでいる。当たり前に、限界を知って、その絶望から来る地獄に落ちなければ、自分の住む町への憎悪というものは生まれない。きっとわたしにも悪いところはあった、でも、どうしてこんなにもつらい思いをしなきゃあいけないの?時折、本当の自分を許容してくれる世界に飛び込まないと、頭がどうにかなりそうなのは今も変わらない。登場人物たちと同じように、外に、東京に、夢を見ている、環境を変えるだけですべてが変わるなんて、そんなことあるわけないのに。今日も、そしてこの先数年間、わたしは地元を嫌だ嫌だと言いつつそこから逃げ出すことは無いだろう。完全に新しい場所に身を置く体力も精神力もわたしは持ち合わせていない。いいないいなの繰り返し。でもそれでいいのかとも思う。完全に自分の存在を肯定してくれる場所なんて夢の中だけの話で、本当には存在しない。ちょっとした東京への憧れを持っている現状こそ一番に幸せな状態なのだと、わたしはこの十九年間で何となく知った。こうしてひとつずつ諦めていって、わたしたちは大人になるのだ。憧れに諦めをつけて、映画を観たり本を読んだりして、わたしは自分の中だけの桃源郷を作る。「ここは退屈迎えに来て」と、声にならない声で叫び続けながら。
Posted by ブクログ
映画の予告編で知った原作。地方生活者データのレポートでも紹介されていて、気になって原作を購入。買ってから半年が経ち、ようやく読めた。
手元についてから読まなかったのは、自分も「この作品を読むのが怖かった」(解説より)から。自分は東京から電車で1時間くらいのニュータウンで生まれ育ち、東京で働いていたが、疲れて地方に引っ込んだ身分。それでもやっぱり東京の文化的環境の豊かさには今でも感謝をしていて、たまに東京に帰るたびにその凄さを再確認し、そしてあくまで東京をホームタウンだと思うようにしている。そして、「地方のダレた空気や、ヤンキーとファンシーが幅を利かす郊外文化を忌み嫌って」いる点では、カメラマンの須賀さんと近いのか。
直視したくない自分の感情を見せつけられる感覚はやはり思った通りで、あまり気分の良いものではないなと感じたり、あきらめの中で落ち着くべきところに落ち着いていく出演者たちに哀れみのような気持ちを持ったり、なんとも鬱屈した感覚で読み進んだ。それでも最後まで読み進められたのは、端々に描写される、平成前期のティーンエイジャーたちのファッションやテレビの話題が、まさに自分が通ってきたものだから。自分の思い出のイメージを投影し、まさに映画のように読むことができ、当時の確かに楽しかった思い出も同時に蘇えらせられたことで、不思議と嫌な感覚ではなかった。青春時代の思い出は、布団の中で叫びたくなるような恥ずかしいものも多い。その過去を呼び戻させられるのも、読む前は怖かったんだと思う。
そう言った恥ずかしいもの、思い出したくないことを含めて、今の自分だと思えば、やっぱり退屈なのは田舎だからではなくて、これまでの自分が退屈なだけだ、ということなのかも。
あの欲求のことと、純粋さのこと
時々読んで、前の方は忘れてしまったけれど、
ちょっと素敵で、でも平凡な椎名君が
たしか女の子のアドバイスもあって
前より硬い、真面目に取り組める職に就いたな
と思い出す。だんだんセックスの話も多くなって
興味もあった。こんなに簡単にしてしまうのか
と思ったり、性欲とか冷めた気持ちとか
のぞき見してる感じだった。
ピッタリ気持ちが合うというのはなかった
ように思う。
その中で椎名君の妹は
それとは無縁のようだったし、
夢で一番輝いている椎名君を保存している
女の子にとっての椎名君、そういう
汚れてない気持ちも響いた。
文化的に平凡な中で、特にそんなに取り柄がなく
でも普通に輝いて、生きていくために
それなりに取り組んでいたりして
そういう中で、自分も感じるのと同じような
気持ちがいろいろ書いてあって
離れていて、また読み始めるというふうにして
面白く感じながら読み終わりました。
Posted by ブクログ
椎名くんってそんなに魅力的な人なのかな。
なんて思いながら読んでいたけれど、椎名くんみたいな男の子がいたらきっと、私も好きになっちゃうんだろうなあ。笑
椎名くん自身の心理描写が少ないから、あの時あの瞬間、彼がどんな事を考えていたのか分からなくて、どうしてこんな事をするのか掴めなくて、でもそんな事はぜんぜん重要じゃなくって、誰かの心に忘れられない思い出として残っているということ。
自分の人生と彼の人生が少しだけ重なっていた瞬間。何もかもがキラキラして見えたあの日々と彼のこと。
私も誰かにとっての椎名くんになれているのかな、そんな風に思った。
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