書店員レビュー一覧:小説・文芸

  • 魂の駆動体
    神林作品に共通したテーマ、人・機械・意識・魂の対比が色濃い、大御所らしい本格SF作品。
    でありながら、アツく、優しく、少しセンチな物語。

    車好きな人、モノづくりが好きな人、少年マンガの王道のような、友情、ひたむきな情熱が好きな人。

    語られる作品の魅力が、それぞれに異なる懐の深さ。
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  • メディアの支配者
    新聞・テレビ・ラジオの3大巨大メディアを持つフジサンケイグループ。鹿内信隆という人物がどのようにしてのし上がっていったのかにとても興味があったので読んでみた。彼は、日本の戦後の動乱の中で、「児玉誉士夫」や「横井英樹」「小佐野賢二」のように闇から権力を牛耳ることとなる。巨大メディアとなったフジサンケイ...続きを読む
  • 私以外みんな不潔
    異能のエッセイストが鋭敏すぎる感性で綴る「たぶん、私小説」。

    札幌からの引っ越しの場面で始まるこの本は、
    幼稚園生の視点から綴られます。
    積み木の家、終わらないお絵描き、
    埃まみれの道、不本意なおねしょ…
    淡々と続く描写を読み進めていくうちに
    読者も自分自身の幼少期を思い出したくなっ...続きを読む
  • 覗くモーテル 観察日誌
    モーテル経営者が主人公。純粋に毎日覗き穴から覗いた光景を観察している日記である。覗き日記イコール男の半生であり、様々な情景や人々の人間模様が映し出され、大変面白い。1970年代~80年代の時代背景やその頃生きていた人々の考え方などが手に取るようにわかり、覗き=下世話な本というよりも社会学を学べる本だ...続きを読む
  • 首ざぶとん
    華道教室に通うまりかと、その先生である龍彦という2人の人間を中心に起きる奇怪な出来事をまとめた短編集です。
    怪談蒐集が趣味の竜彦に惹かれ、なんとなく怪談を集めるようになったまりか。
    知人などから話を集めるうちに、まりかの周囲では奇怪な出来事が起こるようになります。

    竜彦とまりかという決まっ...続きを読む
  • 坂の途中の家
    説明できない息苦しさのリアルな描写に圧倒されて、読了後の疲労感に包まれています。笑
    角田さんの作品は読むたびにこの気持ちになるって分かってるんですが、やめられない中毒性があるんですよね…。

    補欠裁判員に選ばれた一児の母・里沙子は、子供を溺死させてしまった被告の環境に自身を重ねていくようになる...続きを読む
  • 愛なき世界
    国立T大学の向かいにある洋食店で住み込み店員として働く藤丸陽太は料理人見習い。彼は、よく店に来たり出前を頼んだりするT大学の松田研究室に所属する研究者見習いの大学院生、本村紗英に恋をしてしまう。植物学を専攻する彼女は研究対象のシロイヌナズナに夢中で、恋愛にはまったく興味がない様子だが、この恋はいった...続きを読む
  • もっと言ってはいけない(新潮新書)
    医学部をはじめとする大学入試における性差別。あれってどうしてなのか?得点を調整することなしに試験を行えば募集人員に対する女性の比率が高くなるから。それはそうかもしれないけど、どうして?なんで?そこまで明確に答えているメディアは少ない。つまりは言ってはいけない、人によっては残酷で不愉快な不都合な真実だ...続きを読む
  • TIMELESS
    アインシュタインの特殊相対性理論によると、時間は一意なものではなく、人でも動物でも星でもそれぞれ固有の時間を刻んでいます。
    そのため、我々が体現できるのは4次元、つまり、3次元空間を一瞬・一瞬ごとに並べ、つなげたものです。

    ある記事で本書の著者、朝吹真理子の次のような言葉を見かけました。
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  • 平成くん、さようなら
    毒舌炎上キャラの古市憲寿さんの芥川賞候補にもなっている作品ということで、彼の新たな一面が見ることができるのではないかと思い、期待して読み進めてみた。文章は読みやすく、難解な表現もなく、老若男女問わず楽しめる作品だと思う。純文学というよりは社会派小説として良くできており、ブランド、ハイスペックな生活感...続きを読む
  • 何者
    就職活動に奮闘する大学生の青春群像劇だと思ったら、最後ものすごいスピードで私の期待を裏切っていった作品(いい意味で)。
    就活自体もリアルで重い感じなのに、より話のコアとなるモラトリアムや自我や自意識についての語りがとにかく心をえぐってくるので、心当たりのある方はご注意ください。

    「俺は企業に...続きを読む
  • ここは退屈迎えに来て
    今自分が生きている場所と、そこからあまりにも遠い憧れの場所。
    何かの主人公として生きていくにはあまりにも平凡な女の子たちが、
    憧れとほど遠い現状を打破しようと、時に恋愛や性に走ろうとするものの、
    うまく夢中になりきれず、でもその中で
    もがいたりしながら生きていく連作短編集です。
    彼女たちに...続きを読む
  • うつ病九段 プロ棋士が将棋を失くした一年間
    著者は「先ちゃん」の愛称で親しまれ、大ヒットマンガ『3月のライオン』の監修として、また洒脱なエッセイでも知られています。
    私は先ちゃんの、棋士の日常を鋭く見つめた文章が大好きでした。
    ライバルであり友人でもある同業者を書く時の、温かすぎず、でもクールすぎない視点は、棋士の中でも彼しか持ちえないの...続きを読む
  • ボクたちはみんな大人になれなかった(新潮文庫)
    名だたる著名人が絶賛しているWEB連載発、大人のラブストーリー!
    Facebookで元彼女に友達申請を送ってしまったところから始まる私小説。
    著者の燃え殻さんは私とは世代が違うものの、90年代の東京の雰囲気、空気、カルチャーなど自分があの時代・あの場所にいたかのように錯覚するほど、描写が自然で巧...続きを読む
  • ナナメの夕暮れ
    生き辛いと感じているあなたへの参考書。
    本書は自他共に認める本好きである、オードリー若林の自分探しエッセイ3作目(電子としては初)。テレビではMCとしても活躍の場を広げる一方、時に斜に構えた態度が気になり、ラジオではテレビでは見せないキレ芸をする、私にとってどうしても気になる男、若林の著作を初めて...続きを読む
  • マチネの終わりに
    2019年秋、福山雅治、石田ゆり子主演で映画化!大人のための恋愛小説。
    主人公のギタリスト蒔野と、ジャーナリストの洋子は、わずかの時間話しただけなのに一瞬で恋に落ちる。仕事や、人の嫉妬、戦争など複雑に絡み合い二人を引き裂こうとする。その後二人はそれぞれ別々に結婚して家庭を築き、でも忘れられない二人...続きを読む
  • 破天荒フェニックス オンデーズ再生物語
    倒産寸前のメガネ会社を買収して、会社再建を行う経営者の話。と聞いて私が最初に思い描くのは、凄腕の社長が経験と人脈をフル活用してあっという間に黒字化させるドラマ的な展開。

    でも実際は違いました。

    社長になったものの起死回生をかけた新店舗出店で失敗、私財を投げうってまで実施したM&Aも失敗し...続きを読む
  • パリ行ったことないの(フィガロブックス)
    「パリ」という街はもはやただの地名を超えて、色々な意味を持っていると思う。
    元祖・オシャレな憧れの街。
    けれど、実際に行ったことがある人はそう多くはない。
    だからこそ、イメージはどんどん膨らんでしまう。

    そんな理想のパリが、本当はただの海外の一都市だとみんなが微かに気づいている。
    オム...続きを読む
  • やがて哀しき外国語
    本書は、数多くの名作を生みだしたあるいは平成の文豪とも呼ぶべき作家、村上春樹によるエッセイです。
    著者は1991年から4年半の間アメリカに住んでおり、その体験を主として、90年代のアメリカ社会の情勢やアメリカに住む人々の暮らしなどが描かれています。

    ただし、内容は単なるエッセイに止まりません...続きを読む
  • デートクレンジング
    男に媚びない、というポリシーで活動してきた5人組女子アイドルグループ「デートクレンジング」。
    彼女たちが解散した後、その女性マネージャー・実花が婚活にチャレンジする様子を、親友の既婚者・佐知子の目線から描いたストーリー。

    結婚に対する社会的な風潮への疑問視が、きれいごとではなく自然な流れで描...続きを読む