書店員レビュー一覧:小説・文芸

  • 人生は理不尽
    著者の佐々木常夫氏は、家族の病気を抱えながら限られた時間の中で仕事をして、東レという大企業の取締役までなった方です。様々な苦難を乗り越えてきた著者の経験談からの文章は説得力があります。内容的には老後の話が6割以上で、「常識」よりも「現実」を取る、というものです。参考になったのは「孤独とひとりは別もの...続きを読む
  • 嵐が丘
    「彼女を失ってなお生きていくのは、地獄も同然だ」
    荒涼としたヨークシャーにそびえ立つ<嵐が丘>の屋敷。その主人に拾われた孤児ヒースクリフと屋敷の娘キャサリンの二家三代にもわたる愛憎物語。
    これを愛と呼んでいいのかと躊躇うほどの執着。まるでモノクロ映画を観ているかのようなリアルな映像性で描かれる究...続きを読む
  • ペスト
    自分の力だけではどうにもできない「不条理」を目の前にしたとき、人間はどうするべきなのか。
    1940年代、その感染症はアルジェリアのある一県を襲った。その猛威は止まるところを知らず、平等に人の命を奪っていく。行政の対応は後手後手に回り、病に対する対処法も見付からず、人々は混乱の中、死の恐怖に怯え続け...続きを読む
  • フーガはユーガ
    2019年度本屋大賞ノミネート、伊坂幸太郎が紡ぐ最強双子の長編小説。
    勉強が得意で穏やかな兄・優我と、運動が得意でやんちゃな弟・風我。双子の兄弟である2人は、暴力をふるう父親と無関心な母親という厳しい家庭環境で育つ。しかし、彼らは1年に1度、誕生日の日に特別な能力が使えるのだ。そして、自分たちの不...続きを読む
  • 洗脳 地獄の12年からの生還
    元々X JAPANのファンではないのですが、バラエティでよく見るようになり、スイーツ好きのTOSHIさんという人物に興味を持ちました。「この人は何故10年以上も表舞台に出ず、宗教にどっぷり浸かってしまったんだろう」という疑問から読み進めていくと、狂気としか思えない新興宗教団体の洗脳術は本当に残酷な内...続きを読む
  • むかしむかしあるところに、死体がありました。
    誰もが一度は聞いたことのある一寸法師や桃太郎などの物語のテーマがミステリーに変わったら…
    そんな斬新な切り口で読む日本の昔話です。

    『むかしむかしあるところに、死体がありました。』作品名からして非常にパンチの効いている本作品。
    内容も裏切りませんでした。

    アリバイトリックや密室トリッ...続きを読む
  • 文庫 死にたい夜にかぎって
    悲劇も喜劇に変えてしまうような、切なくもおかしな日々を描く話題の自伝。

    幼くして母親に捨てられた著者は、そのトラウマからか女性に振り回される人生を送ることになります。
    憧れのマドンナから「君の笑った顔、虫の裏側に似てるよね」と言われて笑えなくなった高校時代。初体験は出会い系サイトに生きる車椅...続きを読む
  • ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー
    アイルランド人の父と日本人の母を持つ「ぼく」が過ごす、英国・ブライトンでの中学校生活の最初の1年半を綴りながら、母である著者が英国だけでなく世界にはびこる社会問題を問う作品。
    人種差別的な発言を繰り返す友人とどう付き合っていくのか。今にも擦り切れそうな制服を着ている友人にどうしたら傷つけずに中古の...続きを読む
  • USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか?
    入場者数の伸びが頭打ちになり、急激に落ち込む業績…。絶体絶命の危機に陥りながらも、独創的なアイデアを駆使し、限られた予算で大きなV時回復を遂げたUSJの凄腕マーケター、森岡毅が提唱する発想法をまとめた一冊です。
    関西のテーマパークといえば誰しもが思い浮かべるユニバーサル・スタジオ・ジャパンですが、...続きを読む
  • 祝祭と予感
    読者が待ち望んだこれが真のエピローグ。

    第156回直木賞、第14回本屋大賞をダブル受賞した『蜜蜂と遠雷』の前日譚、後日譚を描いた短編集になっています。
    前作で感じた青春小説としての瑞々しく、激しい感情は、良い意味でほのぼのとした本作を読むことで、穏やかな気持ちに落ち着きます。それはコンサート...続きを読む
  • プロレスで〈自由〉になる方法
    【世界一性格の悪い男】【プロレス王】と様々な異名を持つ鈴木みのる。

    アントニオ猪木全盛期の新日本プロレスでキャリアをスタートし、今もなお、フリーのプロレスラーとして世界中のプロレス団体で人々を魅了し続ける、そんな彼のレスラーとしての信念を垣間見ることができる本作。

    この本のすごいところは...続きを読む
  • 火のないところに煙は
    これはリアルかフィクションか⁈

    2019年本屋大賞第9位。本作は著者=主人公が「小説新潮」から「怪談」をテーマとした短編小説の依頼を受けたことから始まります。

    全部で第6編あり、主人公が体験したことや、知人や、その知人への取材を元にして描かれています。
    その中でも特に第一話の「染み」...続きを読む
  • 後宮の烏
    後宮の奥深くに住みながらも夜伽をしない特別な妃、「烏妃」。彼女は不思議な術の使い手で、頼まれれば依頼者の差し出す代償と引き換えに、呪殺、祈祷、失せ物探しと何でも引き受けてくれるという。そんな彼女のもとへ、あるとき皇帝がやってくるところから始まる、中華風ファンタジー兼ライトミステリー小説。
    コバルト...続きを読む
  • 日本のヤバい女の子
    例えば、古事記のイザナミ、竹取物語のかぐや姫、堤中納言物語の虫愛づる姫君。昔話に出てくる女性たちは、激怒の末に毎日1000人ずつ殺すことにしたり、人死にが出るほどの無理難題を押し付けたり、世の中が好むことを好まずに好まないことを好んだり、なんだかみんな「ヤバい」。でもホントにそれだけかな…?と、テキ...続きを読む
  • 小説 天気の子
    2019年公開のアニメーション映画『天気の子』。この本は『天気の子』を手掛けた新海誠監督による自筆の原作小説です。これは、祈るだけで天気を晴れに変えてしまう少女”陽菜”と、島から東京に家出をしてきた少年”帆高”が出会い、今を必死に生きていく物語です。陽菜や帆高を初めとするこの物語に登場する人たちは、...続きを読む
  • プラ・バロック
    一言で言うと、「奇麗」な作品です。
    作中で「奇麗」という言葉が何度か出てきますが、まさしく「奇麗」な作品でした。

    女性刑事クロハの過ごす殺伐とした現実。そして、儚い雰囲気の美しい仮想空間。
    冷凍コンテナから見つかった凍死体の真相を追うクロハの日常をメインとして、現実と仮想空間、2つの世界が...続きを読む
  • 知的生産の技術
    情報と共に生きる上で必要な「知的生産の技術」が、この本には詰まっています。
    1969年に出版された本のため、章によっては、現代にそぐわないものもあります。そのような章は、現在と比較して読むと非常に面白いです。
    現代にそぐわない章として、「ペンからタイプライターへ」の章があります。漢字が打てないタ...続きを読む
  • よくばりな毎日
    こんな日記がかけたらいいなーと思うような日記風エッセイです。
    絵が可愛く、ほっこりできます。

    この本は、2004年春から2006年春までの季節を通した日記風エッセイです。
    一つ一つの章が短く、短い時間で読めます。そして、半分以上のページが絵なので読むのに疲れません。
    そのため、通学通勤中...続きを読む
  • 妻がオッサンになりました―――泣いて笑って、やっぱり泣いて・・・ それでも幸せです。
    世の中の「夫」という生き物はこんなこと考えているんだというのがわかる本です。女性は結婚をして母になることにより娘→女性→母→姉→おじさんになるものなんですね。恋愛から家族に移り変わるということだと思います。家族というものはほのぼのするもの。そんなことが感じられます。とはいえ「ボンレスハム」は頂けない...続きを読む
  • グッド・オーメンズ 【上下 合本版】
    世紀末に起こると黙示録に予言されたハルマゲドンを実現するために、悪魔クロウリーが人間の子どもとすり替える手配をした「この世を滅亡させることになる子ども」は、すり替えから11年後に地獄の番犬が届けられるはずところを見に行ってみると何かがおかしい…もしかして、すり替えに失敗してないかコレ? 悪魔クロウリ...続きを読む