書店員レビュー一覧:小説・文芸

  • ここは退屈迎えに来て
    今自分が生きている場所と、そこからあまりにも遠い憧れの場所。
    何かの主人公として生きていくにはあまりにも平凡な女の子たちが、
    憧れとほど遠い現状を打破しようと、時に恋愛や性に走ろうとするものの、
    うまく夢中になりきれず、でもその中で
    もがいたりしながら生きていく連作短編集です。
    彼女たちに...続きを読む
  • 平成くん、さようなら
    毒舌炎上キャラの古市憲寿さんの芥川賞候補にもなっている作品ということで、彼の新たな一面が見ることができるのではないかと思い期待して読み進めてみた。文章は読みやすく、難解な表現もなく、老若男女問わず楽しめる作品だと思う。純文学というよりは社会派小説として良くできており、ブランド、ハイスペックな生活感な...続きを読む
  • 何者
    就職活動に奮闘する大学生の青春群像劇だと思ったら、最後ものすごいスピードで私の期待を裏切っていった作品(いい意味で)
    就活自体もリアルで重い感じなのに、より話のコアとなるモラトリアムや自我や自意識についての語りがとにかく心をえぐってくるので心当たりのある方はご注意ください。

    「俺は企業に入る...続きを読む
  • うつ病九段 プロ棋士が将棋を失くした一年間
    著者は「先ちゃん」の愛称で親しまれ、大ヒットマンガ『3月のライオン』の監修として、また洒脱なエッセイでも知られています。
    私は先ちゃんの、棋士の日常を鋭く見つめた文章が大好きでした。
    ライバルであり友人でもある同業者を書く時の、温かすぎず、でもクールすぎない視点は、棋士の中でも彼しか持ちえないの...続きを読む
  • ボクたちはみんな大人になれなかった(新潮文庫)
    名だたる著名人が絶賛しているWEB連載発、大人のラブストーリー!
    Facebookで元彼女に友達申請を送ってしまったところから始まる私小説。
    著者の燃え殻さんは私とは世代が違うものの、90年代の東京の雰囲気、空気、カルチャーなど自分があの時代・あの場所にいたかのように錯覚するほど、描写が自然で巧...続きを読む
  • ナナメの夕暮れ
    生き辛いと感じているあなたへの参考書。
    本書は自他共に認める本好きである、オードリー若林の自分探しエッセイ3作目(電子としては初)。テレビではMCとしても活躍の場を広げる一方、時に斜に構えた態度が気になり、ラジオではテレビでは見せないキレ芸をする、私にとってどうしても気になる男、若林の著作を初めて...続きを読む
  • マチネの終わりに
    2019年秋、福山雅治、石田ゆり子主演で映画化!大人のための恋愛小説。
    主人公のギタリスト蒔野と、ジャーナリストの洋子は、わずかの時間話しただけなのに一瞬で恋に落ちる。仕事や、人の嫉妬、戦争など複雑に絡み合い二人を引き裂こうとする。その後二人はそれぞれ別々に結婚して家庭を築き、でも忘れられない二人...続きを読む
  • 破天荒フェニックス オンデーズ再生物語
    倒産寸前のメガネ会社を買収して、会社再建を行う経営者の話。と聞いて私が最初に思い描くのは、凄腕の社長が経験と人脈をフル活用してあっという間に黒字化させるドラマ的な展開。

    でも実際は違いました。

    社長になったものの起死回生をかけた新店舗出店で失敗、私財を投げうってまで実施したM&Aも失敗し...続きを読む
  • パリ行ったことないの(フィガロブックス)
    「パリ」という街はもはやただの地名を超えて、色々な意味を持っていると思う。
    元祖・オシャレな憧れの街。
    けれど、実際に行ったことがある人はそう多くはない。
    だからこそ、イメージはどんどん膨らんでしまう。

    そんな理想のパリが、本当はただの海外の一都市だとみんなが微かに気づいている。
    オム...続きを読む
  • やがて哀しき外国語
    本書は、数多くの名作を生みだしたあるいは平成の文豪とも呼ぶべき作家、村上春樹によるエッセイです。
    著者は1991年から4年半の間アメリカに住んでおり、その体験を主として、90年代のアメリカ社会の情勢やアメリカに住む人々の暮らしなどが描かれています。

    ただし、内容は単なるエッセイに止まりません...続きを読む
  • デートクレンジング
    男に媚びない、というポリシーで活動してきた5人組女子アイドルグループ「デートクレンジング」。
    彼女たちが解散した後、その女性マネージャー・実花が婚活にチャレンジする様子を、親友の既婚者・佐知子の目線から描いたストーリー。

    結婚に対する社会的な風潮への疑問視が、きれいごとではなく自然な流れで描...続きを読む
  • 影裏
    本書は人の知覚表象、特に執着や陶酔といった心理が、自然の繊細な部分に焦点を当てることで描かれています。

    文章から読み取れる色づかいは非常に秀逸。輝く鱗、蛙が鳴く田舎町、横たわる大きな大木、等の自然をとても鮮やかに表現してあります。そして、何よりそこに投影される人の感情との結びつきが、ストーリー...続きを読む
  • 一行怪談
    「今まさに電車が迫る線路上に、物欲しげな目つきの人々が立っていたので、踏み切りに身を投げるのは止めにした。」題名は入らない、文章に句点は一つ、詩ではなく物語であり、物語の中でも怪談に近い。これらの条件に沿った一続きの文章を一行怪談とし、集めたのがこの小説集である。

    一行のなかにとびっきりの怖い...続きを読む
  • ハゲタカ2.5 ハーディ
    もはや経済小説を超えた!スパイ映画並みのシリアス感!
    主人公は『ハゲタカ』に登場した老舗ホテルのオーナー松平貴子。
    『ハゲタカⅡ』~『レッドゾーン』の間に起ったパリの一流ホテルの買収をめぐる内紛騒動を描いています。『ハゲタカ』の時と同様に、買収を目論む様々な輩(失礼)から中国当局まで!あらゆる陰...続きを読む
  • かがみの孤城
    あることが原因で学校へ行けなくなった主人公のこころは、光る鏡を潜り抜けた先のお城で、オオカミのお面をつけた「管理人」の少女と、こころと似た境遇の6人の子供たちに出会います。管理人は言います。「この城から鍵を見つけた1人の子供の願いを、なんでもかなえてあげる」と。
    鍵を探す話ではなく、そこに集った7...続きを読む
  • かくりよの宿飯
    アニメ化で話題。亡くなった祖父の借金のかたに、かくりよ(あやかしが棲む世界)にある宿「天神屋」へと連れてこられた主人公・葵。鬼神である大旦那様(美形)に嫁入りしろと言われるが、葵は得意の料理を武器に、宿で働いて借金を返そうとする。天涯孤独だけど明るい主人公と、ツンデレな大旦那様のやりとりが微笑ましい...続きを読む
  • 兎の眼
    「最近の若いのは」という言葉をよく耳にする。
    実際に使ったことがある人も、少なくないだろう。

    言葉こそ違えど同じニュアンスの文言は、明治の文豪たちの作品にも垣間見られる。
    つまり、この言葉は昔からずっと、時代毎の若者が浴びてきた罵倒の言葉である。
    では、現代に生きる若者は、明治に生きた若...続きを読む
  • 夫のちんぽが入らない
    ドラマ化決定で話題。これは著者が経験している本当の話。同じ大学に通う青年と交際を始めた主人公・こだま。だけど、何をどうやっても彼の性器が入らない。いつか入ることを夢見ながら、入らないまま二人の絆は深まっていく。18歳だった私は38歳になり、兄弟のように植物のように安心で清潔な暮らしを営むのもいいと思...続きを読む
  • 後宮の烏
    後宮の奥深くに住みながら夜伽をしない特別な妃、「烏妃」。彼女は不思議な術の使い手で、頼まれれば代償と引き換えに、呪殺、祈祷、失せ物探しと何でも引き受けてくれるという。そんな彼女のもとへ、あるとき皇帝がやってくるところから始まる、中華風ファンタジー兼ライトミステリー小説。コバルト文庫出身の作家というこ...続きを読む
  • 文鳥・夢十夜・永日小品
    みなさんは正夢を見たことがありますか?
    正夢は、自分の現実における記憶に基づいて、脳が錯覚を起こしている状態だそうです。

    みなさんの夢は白黒ですか?それともカラーですか?
    年配の方であればあるほど、夢は白黒と聞いたことがあります。
    現代の若者は特に、テレビ等も含めほぼすべての経験をカラー...続きを読む