小説・文芸 のおすすめレビュー
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ブックライブ書店員
説明いらずの国民的人気ドラマ「相棒」のTVシリーズをノベライズ。
ファンにはおなじみ、輿水泰弘さん、櫻井武晴さん、砂本量さんらの脚本をもとに、
デビュー作『中空』で第21回横溝正史ミステリ大賞優秀作を受賞し、
数々の作品がミステリランキングに輝く碇卯人先生が筆を執っています。
全12話を9話に再構成するなど、ドラマ版とは差があるものの、
作中の脳内再生率は抜群。
右京さんの「〜ですねえ」といった語尾や、
小説なのになぜか表情がはっきりと想像できてしまう亀山くんに
ついついニヤリとしてしまいます。
初代相棒の亀山(寺脇康文)はもちろん、ドラマ通りの流れで2代目の神戸尊(及川光博) 、3代目の甲斐享(成宮寛貴)、そして4代目の冠城亘(反町隆史)と、歴代相棒も大活躍。
また、鑑識の米沢やイヤミの多い伊丹、上層部のお偉いお歴々などもバッチリ登場しています。
もう一度復習したいという方、
未履修なのでこの機会にという方、
ドラマとは違う角度で世界観を味わいたい方、つまりはみなさんにオススメです。
2022年07月20日 -
ブックライブ書店員
「悪魔に魂を売り渡したくなったとき」「月曜の朝が憂鬱なとき」「自分がまぬけに思えるとき」
そんなときにはこの『文学効能事典』に相談してみましょう。きっとあなたに合った文学作品を処方してくれるはずです。「片思いのとき」「ストレスがあるとき」といった普遍的な悩みから、「性欲にさいなまれたとき」といった人には言えない悩みまで…! 多岐に渡る悩みに合わせて良作を紹介してくれています。「自分の本の好みがわからない」など、よくある読書の悩みに答えるコーナーも充実。紹介されている作品は海外文学が多いので、「海外文学を読んでみたいけど何を読めばいいのかわからない…」と感じている方にもおすすめです。
『文学効能事典』で新たな本との出会いを楽しんでみませんか?2022年07月20日 -
ブックライブ書店員
「女の愛を恐れよ。かの幸を、かの毒を恐れよ」
16歳のヴラジーミルが別荘で出会ったのは令嬢ジナイーダ。高飛車で魅惑的な彼女に一目で恋に落ちたヴラジーミルは、初恋に気も狂わんばかりの日々を送っていた。しかしある日、彼女の様子がおかしいことに気づいてしまう…。
海外文学で描かれる“魅力的な女の子”は、不安定で自由奔放、そして傲慢なことが多いように感じます。どこがいいのかと首を傾げてしまうこともしばしば。この作品のヒロイン、ジナイーダもそんな“魅力的な女の子”の一人。自由奔放で傲慢なジナイーダに呆れつつも、だんだんと惹かれていってしまいます。
16歳のヴラジーミルが年上のジナイーダに翻弄されてのめり込んでいく心の機微が美しく描写され、甘くて苦い初恋の儚さが痛いほど胸に刺さる作品です。2022年07月20日 -
ブックライブ書店員
最近人気のお仕事系小説。知らなかった職業の裏側を知ることが出来たり、働く主人公に社会人として共感したり。本作もそんな系譜に連なる作品です。
優秀な経理部員・森若沙名子が、経理部を訪れる社員や彼らが提出する領収書などを通して、社内の問題や社員同士のトラブルを「イーブン」にしていくという物語。この森若さんの仕事っぷり、全ての会社員が羨むほどきっちり完璧で、読んでいるだけで気持ちいい……。ドジな主人公が失敗しながら成長していくストーリーを読むと主人公のミスにイライラして耐えられない派のみなさん、森若さんは信頼できる主人公です。あくまで「イーブン」にしたいというのが森若さんの美学なので、正義感を振り回すことがないというところも、控えめに言ってかなり推せます。
出てくるキャラクターたちも、経費でぎりぎりグレーな私物を購入する広報課長、私費を使ってでも会社に貢献して正社員になりたい契約社員、レジミスを謝らないアルバイトなどなど、「うわーあるある!」というリアルさ。友達の会社のトラブルを聞いているかのように「え、ありえない!」「この人怪しすぎ〜」と、思わず心のなかで相槌を打ちまくってしまいます。そして、読み終わった頃にはもう、森若さんが同僚かのような気持ちに。
そんな信頼の森若さんですが、恋愛の方は不器用でこじらせ気味。営業部のムードメーカー、山田太陽から想いを寄せられているのですが、この2人のラブ、なかなか進まない……。しかし、仕事は早くて迷いのない森若さんが、一つ年下の太陽からの好意に戸惑い、自問自答しながら亀の如き歩みでゆっくりと距離を縮めていくモダモダ感も風流というもの。
お仕事エピソードをスカッと読ませて、恋愛エピソードでムズキュンさせてくれる、1冊で2度美味しい作品です!
2022年07月20日 -
ブックライブ書店員
☆高視聴率17.9%の反響を得た
就職氷河期世代の事実に迫ったNHKクローズアップ現代の電子書籍化☆
2007年北九州市で、39歳の男性が餓死により孤独死した。
誰にも相談せず「助けて」のメモを残して・・・。
男性は、社会から逸脱するような気質を特に持っていた訳ではなく、
むしろ誠実で健康的で努力家でした。
一体なぜ?
読み進めていくと
恐らく多くの方が「他人事じゃない」と感じ始めるでしょう。
私達を知らず知らずのうちに縛り、自信を失わせている理由、
それは今の日本社会で生きてきた私達に共通する「ある意識」が原因でした。
「勝ち組」「負け組」の言葉や、「受験・就活戦争」の中で形成された「こうあるべき生き方」に囚われた観念。
「自殺大国ニッポン」と言われていますが、解決策のヒントはここにある気がします。
コロナで失業者が増えると言われている今、この話は大きな糧となる筈。
間違いなく人生観の変わる一冊です。2022年07月20日 -
ブックライブ書店員
「けれど時間とは、生きるということ、そのものなのです。そして人のいのちは心を住みかとしているのです。人間が時間を節約すればするほど、生活はやせほそっていくのです。」
「時間がない」「忙しい」、口癖になっていませんか?
時短や効率にばかり気をとられ、大切なことをついつい忘れてしまう。本作は、そんな現代人に警鐘を鳴らしています。
児童書なのでとても読みやすくわかりやすいのですが、テーマ・内容共に深い作品となっており、子どもだけでなく、むしろ大人の方におすすめしたい一冊です。
すこし奇妙な格好をした、やせっぽち。
でもどこか不思議な魅力をもつ少女、モモ。
モモと一緒に時間を巡る冒険に出かけてみませんか?2022年07月20日 -
ブックライブ書店員
著者の佐々木常夫氏は、家族の病気を抱えながら限られた時間の中で仕事をして、東レという大企業の取締役までなった方です。様々な苦難を乗り越えてきた著者の経験談からの文章は説得力があります。内容的には老後の話が6割以上で、「常識」よりも「現実」を取る、というものです。参考になったのは「孤独とひとりは別もので、きちんとひとりを楽しむことが出来れば豊かに過ごせる」という記述です。一見冷たく感じられる「家族は情や愛で考えてはいけない」という考えも、思いやりから出てきたものだということがよくわかるように書かれていました。ゆったりとした気分で読める1冊です。
2022年07月20日 -
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「彼女を失ってなお生きていくのは、地獄も同然だ」
荒涼としたヨークシャーにそびえ立つ<嵐が丘>の屋敷。その主人に拾われた孤児ヒースクリフと屋敷の娘キャサリンの二家三代にもわたる愛憎物語。
これを愛と呼んでいいのかと躊躇うほどの執着。まるでモノクロ映画を観ているかのようなリアルな映像性で描かれる究極の愛の形にどん引きしつつも、この愛の行く先を見てみたいとついつい読み進めてしまいました。作品全体に流れる暗く不気味な空気が二人の狂った愛をより引き立てています。
徹底的に自己中心的な愛ゆえに、まるで獣のように求めあう二人に恐れを抱くほどですが、この執着も人間のひとつの愛の形なのかもしれないと考えさせられます。2022年07月20日 -
ブックライブ書店員
自分の力だけではどうにもできない「不条理」を目の前にしたとき、人間はどうするべきなのか。
1940年代、その感染症はアルジェリアのある一県を襲った。その猛威は止まるところを知らず、平等に人の命を奪っていく。行政の対応は後手後手に回り、病に対する対処法も見付からず、人々は混乱の中、死の恐怖に怯え続ける。医師リウーは、友人タルーや、老役人グランとともに、ペストと戦うことになるが、その試みのどれもが不発に終わる……。絶望的な状況の中で敗北を続けながらも、決して逃げないリウーたち。
作者カミュは、ペストと戦う街の人々を徹底的なまでに客観的に描きあげています。登場するのは、聖人君子でもヒーローでもない、ごくごく普通の人間。そうした人物が、誠実に自分の仕事をし続ける姿が、私たちに一つの問いを投げかけます。ーー私たちは不条理ひしめくこの世界で、どう生きるべきなのか。
「不条理」に抗う人間の姿を描いた、不滅の傑作『ペスト』。今こそぜひ、読んでみてください。2022年07月20日 -
ブックライブ書店員
元々X JAPANのファンではないのですが、バラエティでよく見るようになり、スイーツ好きのTOSHIさんという人物に興味を持ちました。「この人は何故10年以上も表舞台に出ず、宗教にどっぷり浸かってしまったんだろう」という疑問から読み進めていくと、狂気としか思えない新興宗教団体の洗脳術は本当に残酷な内容で、読んでいて苦しくなります。12年も耐えに耐え、この恐怖から脱出出来て本当に良かったと思います。罵声、脅し、暴力の恐怖と、書かれている内容は生き恥をさらすようなものなので、告白することは本当に勇気が必要だったはず。それでもTOSHIさんがこの本を書いた訳。それは、自分と同じような被害者を出さない為だと思います。今、悩みを抱え、抜け出せずにいる人にぜひ読んでほしい1冊です。どんな状況にあっても光は見える。そう感じさせてくれます。
2022年07月20日 -
ブックライブ書店員
悲劇も喜劇に変えてしまうような、切なくもおかしな日々を描く話題の自伝。
幼くして母親に捨てられた著者は、そのトラウマからか女性に振り回される人生を送ることになります。
憧れのマドンナから「君の笑った顔、虫の裏側に似てるよね」と言われて笑えなくなった高校時代。初体験は出会い系サイトに生きる車椅子の女性、初めての彼女は変な宗教家、唾を売って金を稼ぐうつ、不安障害、睡眠障害のDV気味の女の子、下品な会話が好きな喫茶店のおばちゃん店員。
一癖も二癖もある女性に振り回されながら、決して落胆することなく、むしろポジティブに笑顔を取り戻していきます。
自伝らしい生々しい描写がむしろ小気味よく、笑いながらラストまで一気に読める本作ですが、最終章「死にたい夜にかぎって」を読んで初めて気づかされます。
これは母を失った男が女性を知って、愛されて、自立するまでを描く成長物語なのだということに。万人にお勧めできる1冊です!
2020年2月 賀来賢人主演、連続ドラマ原作。2022年07月20日 -
ブックライブ書店員
入場者数の伸びが頭打ちになり、急激に落ち込む業績…。絶体絶命の危機に陥りながらも、独創的なアイデアを駆使し、限られた予算で大きなV時回復を遂げたUSJの凄腕マーケター、森岡毅が提唱する発想法をまとめた一冊です。
関西のテーマパークといえば誰しもが思い浮かべるユニバーサル・スタジオ・ジャパンですが、今の地位を築くまでの道のりはまさにドラマのようです。
“東京ディズニーランドとユニバーサル・スタジオ・ジャパンの間にある決定的な違いとは?”
“質の高いコンテンツを作り出す優秀なメンバーが、組織にとっての最大の敵である理由?”
大人気テーマパークの天才マーケターという視点で読み始めましたが、事例の一つ一つが身近に感じられることばかりで非常に参考になります。消費者の体験価値を意識したサービス設計についてはエンターテインメント業界のみならず、あらゆる場面で有効に活用できること間違いなし。明日から実践したくなるアイデアが盛り沢山です!2022年07月20日 -
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【世界一性格の悪い男】【プロレス王】と様々な異名を持つ鈴木みのる。
アントニオ猪木全盛期の新日本プロレスでキャリアをスタートし、今もなお、フリーのプロレスラーとして世界中のプロレス団体で人々を魅了し続ける、そんな彼のレスラーとしての信念を垣間見ることができる本作。
この本のすごいところは、プロレスに全く興味のない人が読んでも、一人の人間が自身の仕事に対するときの意識や信念を貫き通す意志の強さ、そのために努力を惜しまない姿になにかしら学ぶものがあるということだ。
もはやヒールレスラーというスタイルで彼を捉えることはできず、鈴木みのるという確固たるスタイルをリングの上で体現している彼の言葉は、説得力があり、読んでいる人にやる気をあたえる。
けれど勘違いしてはいけないのは、彼は決して答えを読者に与えているわけではない。
痛みと感情が観客に伝わる試合をする中で、「答えはテメーで考えろ」と彼がよく口にするように、我々が、この一冊から答えを考えていくことが重要である。
読了後には、「オレたち鈴木軍、1番」と人差し指を立てたくなるのではないだろうか。2022年07月20日 -
ブックライブ書店員
例えば、古事記のイザナミ、竹取物語のかぐや姫、堤中納言物語の虫愛づる姫君。昔話に出てくる女性たちは、激怒の末に毎日1000人ずつ殺すことにしたり、人死にが出るほどの無理難題を押し付けたり、世の中が好むことを好まずに好まないことを好んだり、なんだかみんな「ヤバい」。でもホントにそれだけかな…?と、テキストレーターのはらだ有彩さんが、日本の神話・民話・古典文学などに出てくるさまざまな女の子たちについて、独特なイラスト付きで語るエッセイ集です。
はらださんの平易かつ今どきの言葉で書かれたあらすじと切れ味鋭くユニークなエッセイ、そしていくつかのイラストでそれぞれの章ができていて、1つの章で1人の女性について語られていくのですが、まるで古典の授業の後、先生に教わった解釈からはズレているけど、自分ならこう読むね!と友達同士で盛り上がったときのような、そんな気持ちで読み進められます。「役割」とか「普通」とか「忖度」とか、そういうもの自体もイヤなんだけど、そういうものに振り回されている自分もイヤだと思っている人に、ぜひ読んでいただきたい作品です。昔は当たり前だったことも今なら「あり得ないよね」と言えるように、今は「おかしくない?」と思うだけのことが未来では「昔はそんなこともあったらしいね」と化石化する時代が来るのかも…と視野と空想がどんどん広がるかもしれません。2022年07月20日 -
ブックライブ書店員
2019年公開のアニメーション映画『天気の子』。この本は『天気の子』を手掛けた新海誠監督による自筆の原作小説です。これは、祈るだけで天気を晴れに変えてしまう少女”陽菜”と、島から東京に家出をしてきた少年”帆高”が出会い、今を必死に生きていく物語です。陽菜や帆高を初めとするこの物語に登場する人たちは、どこか”生きづらさ”というものを抱いているように感じられました。そんな人たちが本当に”大切なもの”とは何かに葛藤しながら、自分の生き方とかすべきことを決断していく姿に私はとても感動しました。また、物語の結末がちょっと意外なのですが、個人的にはすごく好きでした。ぜひ最後まで読んでみてください。
2022年07月20日 -
ブックライブ書店員
一言で言うと、「奇麗」な作品です。
作中で「奇麗」という言葉が何度か出てきますが、まさしく「奇麗」な作品でした。
女性刑事クロハの過ごす殺伐とした現実。そして、儚い雰囲気の美しい仮想空間。
冷凍コンテナから見つかった凍死体の真相を追うクロハの日常をメインとして、現実と仮想空間、2つの世界が交互に描かれます。
殺人現場の描写など、心が痛くなる場面もあります。そして、暗い雨の描写が示すように、終始どうしようもない閉塞感が感じられます。
しかし、ラストは一概に暗いわけではなく、どことなく前向きにさせてくれます。そして、奇麗だったな……という印象を残してくれます。
ちなみに、伏線も「奇麗」に回収されますので、ご安心を。2022年07月20日 -
ブックライブ書店員
情報と共に生きる上で必要な「知的生産の技術」が、この本には詰まっています。
1969年に出版された本のため、章によっては、現代にそぐわないものもあります。そのような章は、現在と比較して読むと非常に面白いです。
現代にそぐわない章として、「ペンからタイプライターへ」の章があります。漢字が打てないタイプライターでどうにか手紙を書こうとする努力が記されています。現在のWebやパソコンの普及した社会のありがたさが身に沁みました。
反対に、現代でもそのまま参考にできる章もあります。
特に、「読書」の章は非常に参考になりました。一度読んだ本を積んでおく「つん読法」など、知的生産をするための読書の技術が書かれています。
日々の暮らしのなかで情報と関わるすべての人に読んでもらいたい一冊です。2022年07月20日 -
ブックライブ書店員
こんな日記がかけたらいいなーと思うような日記風エッセイです。
絵が可愛く、ほっこりできます。
この本は、2004年春から2006年春までの季節を通した日記風エッセイです。
一つ一つの章が短く、短い時間で読めます。そして、半分以上のページが絵なので読むのに疲れません。
そのため、通学通勤中や寝る前など、リラックスしたいスキマ時間に読むのに、おすすめです。
なんか疲れたなぁというときも元気がもらえます。
試し読みで目次を見て、興味のあるタイトルがあったら、ぜひぜひ読んでみてください。
私のおすすめは「浴衣ナイト」と「思い立ったが温泉日和」です。
読んでみて、これは良いなー!!と思うことがあれば、実際に行ってみる、やってみるのもおすすめです。
最後に作中で紹介したお店のリストが掲載されています。
気になったお店があれば、ぜひ訪れてみてください。2022年07月20日 -
ブックライブ書店員
世の中の「夫」という生き物はこんなこと考えているんだというのがわかる本です。女性は結婚をして母になることにより娘→女性→母→姉→おじさんになるものなんですね。恋愛から家族に移り変わるということだと思います。家族というものはほのぼのするもの。そんなことが感じられます。とはいえ「ボンレスハム」は頂けない。体型には気をつけたほうがいいと私は思いました。
2022年07月20日 -
ブックライブ書店員
あなたは自分が持っている価値観こそ正しいと思い込んではいませんか?
そしてその価値観を他の誰かに押し付けてしまったことはありませんか?
この本には2作品収録されていて、どちらも他者との価値観の違いから、感情が揺さぶられ変化していく人間模様を描いています。
1作目の『レンタル世界』では、人間関係をレンタルすることを良しとしない主人公が、正反対の考えを持った女性に惹かれ、自分の考えと正面から向き合うことを余儀なくされるうちに、何年もの間気づかなかった衝撃の事実にたどり着きます。
2作目の『ままならないから私とあなた』では、親友との価値観の違いに気づいていたけれど、向き合おうとしてこなかった主人公の人生が、そのせいで思わぬ方向に大きく動きます。
相反する自分の価値観と相手の価値観。違うからこそ、人は他者に惹かれ、愛することができるのではないか。だけど、自分の存在をも脅かすほどのあまりにも大きな違いを受け入れることはそう簡単ではない。一緒に過ごした時間の長さと相手への理解は必ずしも比例しないという事実に、哀しくも気づかせてくれる一冊です。2022年07月20日
