【感想・ネタバレ】文庫 死にたい夜にかぎってのレビュー

あらすじ

ドラマ化決定の話題作がついに文庫化。
愛が欲しくて愛に振り回された男の実話小説。
忘れたくない失恋(かこ)がある。

「君の笑った顔、虫の裏側に似てるよね。カナブンとかの裏側みたい」――
憧れのクラスメイトに指摘された少年は、その日を境にうまく笑えなくなった。
“悲劇のようで喜劇な人生”を切なくもユーモア溢れる筆致で綴る作家・爪切男のデビュー作。
出会い系サイトに生きる車椅子の女、カルト宗教を信仰する女、新宿で唾を売る女etc.
幼くして母に捨てられた少年は、さまざまな女性たちとの出会いを通じ、少しずつ笑顔を取り戻 していく。

文庫には、アイナ・ジ・エンド(BiSH)による解説「死にたい夜を超えていく」を特別収録。 ドラマは2020年初春に放送予定。

<本文より>

私の笑顔は虫の裏側に似ている。
学校で一番可愛い女の子が言っていたのだから間違いない。
生まれてすぐに母親に捨てられ、母乳の出ない祖母のおっぱいを吸って育った。
初恋の女の子は自転車泥棒で、初体験の相手は車椅子の女性だった。
初めて出来た彼女は変な宗教を信仰しているヤリマンで、とにかくエロかった。
そして今、震度四強で揺れる大地の上で人生最愛の女にフラれている最中だ。
部屋の窓から鋭角に差し込む朝の光を浴びた彼女が、ヤジロベエのようにゆらゆらと揺れている 。

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悲劇も喜劇に変えてしまうような、切なくもおかしな日々を描く話題の自伝。

幼くして母親に捨てられた著者は、そのトラウマからか女性に振り回される人生を送ることになります。
憧れのマドンナから「君の笑った顔、虫の裏側に似てるよね」と言われて笑えなくなった高校時代。初体験は出会い系サイトに生きる車椅子の女性、初めての彼女は変な宗教家、唾を売って金を稼ぐうつ、不安障害、睡眠障害のDV気味の女の子、下品な会話が好きな喫茶店のおばちゃん店員。
一癖も二癖もある女性に振り回されながら、決して落胆することなく、むしろポジティブに笑顔を取り戻していきます。
自伝らしい生々しい描写がむしろ小気味よく、笑いながらラストまで一気に読める本作ですが、最終章「死にたい夜にかぎって」を読んで初めて気づかされます。
これは母を失った男が女性を知って、愛されて、自立するまでを描く成長物語なのだということに。万人にお勧めできる1冊です!
2020年2月 賀来賢人主演、連続ドラマ原作。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

めちゃめちゃに良かった。家庭環境から性生活までとにかく赤裸々に語っている。かなり重たい話をしているのに、爪さんの天才的なユーモアと、どうにか楽しく生き抜くぞという執念が、それらをエンタメに昇華させていた。ほどよく肩の力を抜いてくれる1冊。

・子供の頃、大人になれば充分な時間とお金が手に入って、何でも自分の思い通りにできるはずだと信じていた。いざ大人になってみると、ギャンブル、暴力、嘘などやってはいけないことばかりできるようになった。素直に甘えること、泣きたい時に泣くこと、約束を守ること、悪いことをしたら謝ること、子供の時なら簡単にできていたことのやり方を忘れてしまった。このうち一つでもできれば、全てがうまくいきそうなのに。大人ってのは難しい。

・人間は不完全だ。笑顔だって計算し尽くされた造形よりも、不完全な方が健全に見える。

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2024年12月10日

Posted by ブクログ

つらい、大変、しょうがないと思われるような出来事ばかりでも、爪切男さんが人生、関わってきた人たちへの愛を感じる。こんな人になりたい。こんな文章をかけるようになりたい。

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2024年08月03日

Posted by ブクログ

本当に愛してる。この世で1番好きな本です。
貴方が文学に触れてくれているから今私もこうして文学に触れていたいと思えています。
爪切男さんの描く文の一挙手一投足が好きでした。こうして本にして読み親しまれる人生、決して世間が思う"幸せ"ではなかったですが、爪切男さんの総てに魅せられたと感じています

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2024年07月21日

Posted by ブクログ

気になっている人が勧めてくれた本。アブノーマルすぎて笑ったが、そのおかげで本慣れしてない私も一瞬で読み終えた。今まで全くといっていいほど読書をしてこなかったが、本ってこんな面白い物もあるんだと知れた。

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2023年12月09日

Posted by ブクログ

主人公が出会う女性たちが、個性的で衝撃的でした。ただその中でもその人たちなりの考え方があって、色々な人と関わることは面白いことなんだなと思いました。爪切男さんの文章もユーモアに溢れていて、少しシリアスであるはずの場面も面白く読むことができました。

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2023年11月15日

Posted by ブクログ

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爪切男さんの独特な感性と物事の捉え方が最高に面白くて素敵。ヘビーな内容がユーモアと共に描かれているから、笑えない内容なのに笑えちゃう。そして、少し泣けちゃう。毎日死にたいを繰り返している私だけど、死ぬ前にこの作品が読めて良かった。

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2022年10月14日

Posted by ブクログ

みんなが読んでるから…読んでみようと思った。

はじめの方は、こんな話だったのか…。と正直ガッカリしたのだけど、読み進んでいくうちに、二人に引き込まれていった。
辛い状況、望まない状況…そんな時の「私」の逆転の発想がすごくいい。辛い時こその「まぁいいか。」は私に大きく欠けている所だ。
こんな緩い生き方もまたアリなんだなぁ。
爪切男さん、ありがとう。

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2022年04月22日

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タイトルからいいよね。
心が折れて死にたいって思う日ってあるよね、
でもこの作品の主人公は、どんなにつらい時でも、どうにか前向きに物事をとらえる。クレイジーな彼女が、メンタルの不調で見境なく首を絞めてきても、絞められた回数だけ自分用のポイントカードを作る前向きさ。
「幸せ」はなるものじゃなく、気づくものかもって(この言葉は本に出てくる言葉じゃないよ)、僕自身はそこまでポジティブ人間にはなれないけど、死にたい夜も、次の日の朝には何か希望があるかもしれない。
「希望のおオ〇ニー」の話も良かった。

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2022年01月15日

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自分が著者の立場なら悲しく苦しいだけのはずの体験…なのに、思わず笑ってしまう不思議。
読み始めたら一気読みしてしまう面白さでした。
自分はかなりのマイナス思考なので、そういう風に考えられたらと思うところも多々ありました。
にやにやしたり、吹き出してしまう文章が散りばめられているので、人がいるところで読むのは控えたほうがいいかもしれません。

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2021年11月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

カッコ悪く、むき出しで生きていたら、いろんな人と出会い別れて、いい人生っぽい。

虹が何色でもいいように乳首が何色でもいい

 アスカが私には目もくれずに駅弁を食べている。  新幹線のドアが閉まる。  アスカがシウマイ弁当を食べている。  発車のアナウンスが鳴り響く。  アスカがシウマイ弁当を食べている。  少しもこっちを見てくれない。  これが彼女の優しさだということはよくわかっていた。私の顔を見ないでいてくれることに感謝した。窓越しにもわかるぐらいにアスカの目は真っ赤になっていた。泣きながらご飯を食べていることがいとおしくなる。本当に行ってしまうのか。最後に見せてくれた顔が口をモグモグしている顔なのか。もっと一緒に美味しい物を食べに行けばよかったな。アスカの作った曲をちゃんと聴けばよかったな。もっと脇のにおいを嗅げばよかったな。もっとセックスすればよかったな。女が必死に涙をこらえているのだ。私だって男の意地で泣かない。目を真っ赤にしたままで笑う。新幹線のドアガラスに映っている自分の笑顔は虫の裏側に似ていない。似ていないことをアスカが教えてくれたから。  愛した女は、こちらを一度も振り向くことなく、ただ前だけを向いて時速300キロで去っていった。

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2021年10月27日

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最初は主人公を変なやつ、と思いながら読んでいたが徐々にこの人素晴らしいって感情に変わった。
何度もフフフと笑っていた。

楽観的とは違う、極度の前向き?何だろうこの人、と思っていたら流石アスカ、鈍感力か。苦しいことに鈍感。素晴らしい。解説にもあったが、発想の展開がユニークで面白い。

アサリの話がお気に入り。ポイントカードも。

苦しい時には「まぁいいか」使っていきたい。

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2021年10月25日

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250ページほどの本だが、お風呂の中で読み終えてしまった。大変な長風呂だ。確かな高揚感と、長風呂から来る気だるさに包まれ今夜はいい夢が見られるだろう。なんとなくはっきりそう思った。

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2021年09月10日

Rei

購入済み

すぐ読み終わっちゃった

最高でした。

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2020年08月23日

Posted by ブクログ

下品と感じられる描写はいくつもあったはずなのに、読み進めていくと気持ちがスッキリしていくのは何故だろう?人間って愚かで良いんだって思わせてくれます。絶望している人にこそ、読んで欲しい。

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2025年01月14日

Posted by ブクログ

1人の男性の恋愛遍歴の話。
めちゃおもろいし読みやすい。
見返してみると自分が印つけてるセリフけっこうあった。なんかいいなって思える表現が多い。

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2024年10月28日

Posted by ブクログ

声に出して笑ってしまうくらい面白かった。
こんな体験を家でソファに座りながらゆっくりと読めるなんてやっぱり読書は素敵だな、と。そして爪切男さんが文章を書くのを諦めないでくれて良かったな、と思った。
わたしもわりと面白い体験をして生きてるつもりだけど文章に載せて届けられないのがつらい。爪切男さんに全て話して聞かせて自分のことを書いてもらいたくなる、そんな一冊でした。

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2024年07月20日

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もう、すっごい好き!!
ほぼノンフィクションで
主人公が今まで出会ってきた女の子との思い出を綴ってるんだけど、どの子もみんな魅力的で、とても作者さんの女の子に対する捉え方が上手なんやろなと思ったり。
中でも最愛の人アスカちゃんのくだりは鬱になってしまって、寝てる事しか出来なかったり、情緒不安定になったり…それをただ辛く書くだけじゃなくて面白おかしく書く事で、ああまだ捨てたもんじゃないんだなと思えた。
結局2人は別れてしまうけど、それがリアルで美しくて良いと思えた。

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2024年04月25日

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通らなそうで通りそうな世界線。

ドラマ影響で原作を見ました。
ドラマでは書ききれない部分がたくさんあり、読み応えがありました。

僕の年代では共感出来たりすることが、また違った面ですがある気がします。

面白かったです。

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2024年01月29日

Posted by ブクログ

ネタバレ

読みやすいし面白い。
表題からは鬱々しいものを感じるけど、内容はその鬱々しさを面白さのベクトルに変えて執筆されていて、ある意味裏切られた。

最後まで読んでみて、爪切男さんから元気をもらえた気がするのでずっと読みたいなって思った。
他人が書く着飾らない文章が、こんなに身近に感じられて素敵なものとは知らなかった。

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2023年01月05日

Posted by ブクログ

他にはない人生経験
壮絶な女性遍歴
最後は全てを受け入れる人間としての強さ
そして随所に現れるプロレス愛

私も死にたい夜を越えて、生きたいと強く感じた

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2022年01月25日

Posted by ブクログ

表紙の雰囲気から全体的に陰鬱で暗めの話を想像していたが、それに反して笑える話が多くいい意味で裏切られた

不幸に見舞われた時に真正面から受け止めないでぬるっと変なところで受ける感じが良い
こんな思考法ができるなら人生楽しいと思えそう
参考にしたい

アスカと付き合い続けたのはすごい
欠陥だらけに見えるが付き合っている本人からしたら替えの利かない存在なのはすごくよくわかる

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2022年01月06日

Posted by ブクログ

自身の「当たり前」を軽く凌駕してくるような世界に生きている爪切男さんの表現に感嘆。

どんな苦境に対しても鈍感力で視点を変え、「辛い出来事」だけで終わらせない力をひしひしと感じた。

出来事はあくまでも相手の人とのことだが、そこにまつわる表現は作者の「らしさ」を感じられる良作。

辛いことがあった時にこの本を読んでから寝たくなります。

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2021年10月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

深い愛情のお話だと思った。
たくさんの過酷な問題が次々起きてるように思うのに、なんと軽やかなポジティブさで乗り切ることかと、感動した。
文章がスッキリとして読みやすいし、状況も想像しやすいし、そして面白い。自転車泥棒の話と、アサリをペットにした話は、つい声を出して笑っちゃった。

最後、アスカが戻ってくることを期待したけど、相手の幸せを心から祈るだなんて、カッコよすぎて、、、うーん、真似出来ないかも。。

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2021年08月10日

Posted by ブクログ

一個一個のエピソードが凄まじい!
そして、間違いなくそこには愛がある。

使ってる言葉が心地よい!
鷹の目の風俗嬢、『余計な韻を踏まずにリズムを大事にしろ』、世界で一番美しいテトリス棒、花言葉は浮気などなど本書を読んで実際に体感して欲しい!


作者の実話小説!

本筋は彼女のアスカとの同棲生活を軸に自分の性癖と人生を曝け出し、自分に関わってきた女性とのエピソードをハードでドラマチックでコミカルに描かれている。

下ネタと表現を嫌う人も居るだろうが、同じ時代を生きてきた私は本書の言葉一つ一つを支持していきたい!

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2021年06月20日

Posted by ブクログ

著者の自叙伝エッセイ…実話小説!
女性遍歴を題材に重苦しいお話もユーモアな執筆で笑いに変えてしまう1冊。面白かった!

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2021年06月01日

Posted by ブクログ

「クラスメイトの女子、全員好きでした」が好きで著者の他作品にも興味があり購入。衝撃的な一言で始まる実話恋愛小説。がむしゃらに欲望や感情をぶつけ合い...これは体がいくつあっても足りないよ(笑)究極の好きってこういうこと?と考えてしまった。

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2024年10月07日

Posted by ブクログ

ほぼ実話とのこと。
ドラマ先行で読んだので「私」は賀来賢人、アスカは山本舞香で脳内再生される。
それでも文章を読んでいても違和感はないので、お二人が熱演だったことがよくわかる。
だがそれよりも強烈だったのは車椅子のミキさんを演じた安達祐実だ(特別編なので多分地上波では放送されていない)。ミキさんの顔はプロレスラーの冬木弘道そっくりと明記されているので安達さんは全く似ていないのだが、匍匐前進のシーンの実写インパクトが強烈すぎて文章が頭に入ってこなかった。安達さんお疲れ様でした。
物語はペーソスとユーモアに溢れた語り口で非常に面白かったのだが、通して読むと、「このエピソードはいらないんじゃない」という箇所がいくつもあった。もともとは日刊SPA!に連載されていたエッセイとのことで「小説化するにあたって捨てられなかったんだなぁ」と感じた。コンパクトにまとめた方がスピード感が出て良かったと思うのだが少し残念。

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2024年05月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

6年の重み、、忘れられないよな〜。
人って、ネット上で言われているような理想の完璧な人を好きになるのではなくて、完璧ではないその人の悪いところを可愛いと思ったり、喧嘩したことも大切な思い出となったり、忘れられないよね。
相手の幸せを常に願える、そんな人と出会って、関係を築いていくことってなかなかできないから実話だと知った時に驚いた。「最高に楽しい無駄遣いだった時間」って最強で自分の糧になるなと感じた。

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2024年01月14日

Posted by ブクログ

ちゃんとカナブンの裏側みたいな笑顔になっているだろうか 私の初体験はエメラルド・フロウジョンからスタートした 最初に見た時は何とも言えない気持ちになった匍匐前進が、体を重ねた今はとても愛らしい動きに見えた。 唾売りおんな女の作る素敵な音楽が世間を賑わす この二〇〇九年のナポリタンを絶対に忘れない 遂に姿を現した『Come!(コメ!)』仲間に狂喜乱舞した 志村正彦の言葉で綴られた夕暮れ時の抒情的な心象模様が あの時一緒にサルビアの蜜を吸って笑い合えなかった自分を情け無くも思う 年の瀬かいうこともあって普段よりも歩く人が疎らだ 浅蜊達は塩水に浸された 『女は花で、男は花瓶である』

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2024年01月09日

Posted by ブクログ

クスッと笑えるエピソードの数々。

読み終わった後、少しばかりポジティブになれた反面、他人事なのに自分自身も失恋したようなせつない気持ちになってしまった。

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2021年11月23日

Posted by ブクログ

 小説なのだろうけれど、あまりにも飾らない言葉で淡々と書かれているので、エッセイを読んでいるような錯覚に陥る。ものの捉え方が独特で、読んでいて思わず笑ってしまう場面が多い。辛いことも笑いごとに昇華させてしまう、その発想力・腕力は正直羨ましい。だからこそ、こうした小説が出来上がるのかもしれない。
 愛することは戦うことのように思えてくる。

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2021年10月10日

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