【感想・ネタバレ】嵐が丘のレビュー

あらすじ

寒風吹きすさぶヨークシャーにそびえる〈嵐が丘〉の屋敷。その主人に拾われたヒースクリフは、屋敷の娘キャサリンに焦がれながら、若主人の虐待を耐え忍んできた。そんな彼にもたらされたキャサリンの結婚話。絶望に打ちひしがれて屋敷を去ったヒースクリフは、やがて莫大な富を得、復讐に燃えて戻ってきた……。一世紀半にわたって世界の女性を虜にした恋愛小説の“新世紀決定版”。

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「彼女を失ってなお生きていくのは、地獄も同然だ」
荒涼としたヨークシャーにそびえ立つ<嵐が丘>の屋敷。その主人に拾われた孤児ヒースクリフと屋敷の娘キャサリンの二家三代にもわたる愛憎物語。
これを愛と呼んでいいのかと躊躇うほどの執着。まるでモノクロ映画を観ているかのようなリアルな映像性で描かれる究極の愛の形にどん引きしつつも、この愛の行く先を見てみたいとついつい読み進めてしまいました。作品全体に流れる暗く不気味な空気が二人の狂った愛をより引き立てています。
徹底的に自己中心的な愛ゆえに、まるで獣のように求めあう二人に恐れを抱くほどですが、この執着も人間のひとつの愛の形なのかもしれないと考えさせられます。

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

ロマンス小説だと思って手に取ったが、ドロドロの愛憎劇だった。ヒースクリフの復讐がとにかく胸糞悪いが、それも含めて面白い。「嵐が丘」を読む前に「ジェーンエア」を読んだが、「嵐が丘」の方が壮大だった。たった2軒の屋敷が舞台で1人称小説だが、3世代分の人生は読み応えがある。再読したい。

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2025年10月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

以前から気になっていたけれど、モームの読書案内で取り上げられていたことに背中を押されて手に取りました。(三浦しをんの初期のエッセイでも紹介されていたような)

物語の舞台は200年以上前、重苦しい表紙をみて恐る恐る読み始めたけれど、作品の世界にどっぷり浸かってしまいました。

どの登場人物も安易に感情移入させない癖と強さを持ち、(こんなにたくさんの登場人物がいても好きと思える人がいない)ぎらぎらした感情表出やぶつかり合いに思わずひるんでしまう。
これは時代性なのか、国民性なのか、特異な気質なのか、とにかく馴染みがなくてしげしげと眺めてしまいます。
一方で、訳者の解説にもあるように、そこへユーモアの視点を入れて外すような、この人たち大真面目だけどちょっと面白いよね?という作者のシニカルな茶目っ気も感じます。

ヒースクリフは名家にとっての異物でありガンでもあるのだけど、結局は荒れ野原に勝手に芽が出るように、すべてを奪い尽くすことはできなかった。
最期は無力感の中で、キャサリンのいるどこか別の世界に移っていき、寂しさよりあるべきところに収まったような座りの良さを感じました。

そして作品を通じて、時代は移り変わっても、自然の中で過ごすことの強い喜びは現代も変わらないことを思いました。

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2025年09月01日

Posted by ブクログ

復讐心に凝り固まったヒースクリフが次にどんな酷い仕打ちをアーンショウ、リントン両家に仕向けるのか、そしてヒースクリフを待つ(おそらくは惨たらしい)最期はどんなものになるのか? そんな少しサディスティックな期待感からページを繰る手が止まらない。
激情の女性キャサリン・アーンショウが錯乱してゆく様は、若い作家の手によるものとはとても思えない鬼気迫るもので、エミリー・ブロンテの並々ならぬ才能を感じ取ることができる。

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2025年02月19日

Posted by ブクログ

解説をまだ読んでないので凡庸な感想かどうか分からないし、歴史的背景を調べてまで書こうとも思わない。だからいい加減で無責任である。

題名である嵐が丘と作者が名付けたのは、ヒースクリフの存在がアーンショウ家にとって大きな災厄をもたらす悪魔的存在の隠喩?(表現あってる?)からなのでだろうか。

私は本書をヒースクリフとキャサリンの悲劇的恋愛を主軸とした物語だとは思えなかった。それはヒースクリフに対して同情心を誘うような小説的技法が全くなかったからである。むしろ本書のメインテーマは悪魔的存在に囚われた一家数代の悲劇からその回復であると思えるのである。(異端的でも解釈は自由である)

ヒースクリフはキャサリンと結ばれることがなかったが、キャサリンは執拗にヒースクリフに思いこがれる。イザベラも同様である。これは悪魔からの誘惑であるとも解釈でき、リントン家の崩壊を招いた。そしてリントン・ヒースクリフの存在もキャサリン・リントンにとっては結局は不幸の種でしかなかった。

結局不幸極まりないキャサリン・リントンにとっての救済は従兄弟であるヘアトン・アーンショウによるものであった。同じく不幸極まりないヘアトンもキャサリン・リントンによってヒースクリフからの解放をもたらした。この二人の恋によってついにアーンショウ家は悪魔的存在に打ち勝つことが出来たのだ。そしてその恋の微笑ましさは、本書の今までの恋愛描写よりよっぽど共感できたのが私がこの解釈を強くした理由である。

ヒースクリフの肌が薄黒い(黒かな?)というのは示唆的である。私はこの辺のイギリスの歴史に無知なのでおおそれたことは言えないしいい加減な推察だが、インド系やアラブ系を連想でき、異教徒で許容できない存在であったり、悪魔のモチーフとして表現していたのかもしれない。当時のヨーロッパ圏の勢力争いを調べてみると面白い、より深い考察が出来るかもしれない。(肌による差別の意図はありません。当時の人種感覚を想像して考察してみました。また当時の人種感覚を作品の評価を下げる要因にはならないと思っています。読んだ方で詳しい人がいたら指摘して欲しいし、いつでも訂正できる所存です。)

踏み込んで言うと本書の舞台は古い慣習が支配する田園地帯であり、時代背景も考慮にいれると古い宗教的価値観に支配された一種の封建的世界である。その古い道徳観、法律理論はアーンショウ家が、ヒースクリフに支配される正当性を産みそれが悲劇の種になる。このような古い価値観からの解放を女性作者であるブロンテは望んでいたのだろうか?それも調べてみたいような気がした。

いずれにせよ様々な解釈が可能な古典は面白い。本書を読んだ別の読者から、面白い解釈があれば見てみたいと思わせるような、悪くいうと粗いとも言える作品ではないだろうか。

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2025年04月25日

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ネリーというえげつない語り手と、ロックウッドの閑話がとてもよかった
嵐が丘と鶫の辻
ヒースクリフとキャサリン、エドガー
リントンとキャシー、ヘアトン
恐ろしいほど緻密な対比の描写が引き込まれた

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2024年04月25日

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殺伐陰険とした暗い世界に一筋の眩い光が射したような、思わず目を細めてしまう痛烈な愛の物語で、何度読んでも溜め息がこぼれます。
また、200年近く前に遥か遠くの英国の地で生まれた物語が、今私の手の中にあることにも深いロマンスを感じてしまうのです。

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2023年06月12日

Posted by ブクログ

これは恋愛小説ではない。局所的には人間の醜さ、ーー身勝手、意地悪、嫉妬、強欲、怯弱ーーが随所に現れているが、それを繋ぎ合わせると何故か美しい、そんな奇妙な、迫力ある作品。

アーンショー家に引き取られた孤児ヒースクリフはその家の娘キャサリンと共に育つ。キャサリンの父亡き後、彼女の兄によって虐待され、下男に貶められたヒースクリフは、いつしか彼女と愛し合うようになる。しかし、キャサリンは現実的な理由から裕福な隣家のエドガー・リントンと婚約し、それを知ったヒースクリフは出奔する…

これだけ読むと、単にお嬢様と使用人の恋愛物なのだけれど、キャサリンが自由気ままで傍若無人で支配的な性格なので話が大変面白くなる(美人だから何をしても許される)。
ヒースクリフが自分からキャサリンを奪ったアーンショー家とリントン家の人間全てへの復讐を企てる中、彼女は娘キャシーを出産して亡くなり、そのキャシーをエドガー・リントンは大事に育て上げる。
そして、ヒースクリフは奇しくも(同棲させることで結果的に)キャシーとアーンショー家の後継ヘアトンとを結び合わせてしまう。仲睦まじくなったキャシーとヘアトンを目にして、自分は復讐をしている様で、結局は、キャサリンの子孫の繁栄のために使われた一つの駒に過ぎなかったということを悟ったのかもしれない。キャサリンが(恐らく無意識の内に)思い描いた、個々の人間を凌駕する度量を持った物語を、ヒースクリフが思わぬ形で完成させてしまったのである。そして彼は復讐への興味を失い、キャサリンの幻影に取り憑かれて死んでゆく。

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2023年01月17日

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「嵐が丘」はリア王と並んで、英国三大悲劇のうちのひとつ。
あまりに壮絶、あまりに苦々しい復讐劇
・ ・
【孤児であるヒースクリフは、身分違いの娘に焦がれながら、主人の虐待を忍んできた。
屋敷から逃げた後、莫大な富と知恵を得て、復讐に燃え戻ってくる。※一部引用】

初め彼の復讐心は全て醜悪からきているのかと思っていたけど、最後の最後の彼の告白から、全ては愛する人への想いと焦がれからきていると気付いた。
愛は盲目。愛することが、人を憎むエネルギーに代わってしまう。
そんな醜い主人公だけど、なぜか彼の言葉にロマンスを感じてしまうのです。

「俺の未来は言葉ふたつで云いきれる。死と地獄さー彼女を失ってなお生きていくのは、地獄も同然だ。」※引用

すらすら読めず、挫けそうになるけど、苦々しい後読感を語らずにはいられない一冊です。

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2022年05月21日

Posted by ブクログ

「一世紀半にわたって世界中の女性を虜にした恋愛小説」と背表紙にあるが、私は本作を恋愛小説として読むことはできなかった。大人と子供のズレを描いたジューブナイル小説である。
主人公の男女は揃って素直な気持ちを伝えられず、相手の言葉を額面通りに受け取れない性格で、互いに愛しているのに愛されていないもどかしさに苛まれる。相手の言葉の自分に都合の悪いところだけを切り取って悩み喚く様は中学生のようである。
そこに介入するのが所謂「大人な」人々である。女はその大人な男に憧れを抱くも、同じ子供である主人公の男に同情し、二人の板挟みになる。
大人な男と子供の男は相容れず、激しい応酬を繰り広げることになる。

主人公の男に対して多くの読者は批判し、侮蔑するだろうが、彼の子供の一面を意識して読むとまた違った景色が見えるかもしれない。私は彼のファンであるし、結末で彼が本当の幸せを掴んだことを願いたい。

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2021年11月10日

Posted by ブクログ

もっとも気に入っている作品の一つ。
ヒースクリフの復讐をテーマにしているが、悲恋の要素が強い。
ヒースクリフ、キャサリンと登場人物が勝手、モラルがなさ過ぎて、感情移入しにくいかもしれないが、そこが魅力。2人は良心など気にすることなく、欲望のままに生きている。

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2021年07月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ヒースクリフとキャサリンの悲恋。ヘアトンとキャサリン・Rの恋。第1世代は、身分・教養・性・(身体)の柵を乗り越える事ができなかった。「(略)1人の人間の中に二つの真実がある。第一の真実は二つ目の真実の圧力に耐えきれない-戦争は女の顔をしていない-スヴェトラーナ・アレクシェーヴィチ-」幸か不幸か、ヒースクリフの嵐のような復讐がありえたはずの身分の柵を完全に破壊し尽くした。そして、教養の柵をキャサリン・Rが乗り越え、ヘアトンが性の柵に無視を決め込んだことで、恋が成就する事になる。二人の恋の成就は、復讐の因果に囚われたヒースを救済した。現世の恋は悲恋で幕を下ろしたヒースとキャサリン。ヒースクリフの死後、彼らの魂もまた、最後の柵である身体を捨て結ばれたのかもしれない。自ら死に近づいて行ったかのようなヒースクリフの姿は、体を捨て薔薇の元へ帰った小さな王子の姿に重なる。

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2021年02月11日

aaa

訳者によってよみがえる名作

翻訳なんて誰がやってもだいたい同じ…と思っていましたが、鴻巣友季子さんの新訳は全然違う!
キャラクターはみずみずしく、ストーリーも臨場感に溢れ、風景もリアル。
大学の授業で他の訳との読み比べもしましたが、翻訳の力を最も感じさせてくれました。
有名だから題名だけは知っているしいつかは読もうと思っているけど…という人はぜひ鴻巣訳でどうぞ!

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2013年10月10日

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先頃鑑賞した映画「エマニュエル」に登場する人物が読んでいたこともあり、久々に「嵐が丘」へ目を通した。作者のエミリー・ブロンテは若くして亡くなったため生涯で著したのはこの長編(文庫本で700頁に及ぶ大作だ)ひとつだけだが、これが不朽の物語として時代を超えて人々に愛され続けるとはよもや彼女自身も想像していなかったのではなかろうか

本作の魅力としては恋愛、復讐、ゴシックホラーなど様々なジャンルがミックスされた展開になっているところが挙げられるが、なかでも特筆すべきはストーリーの中心を担うヒースクリフと云う異色キャラの存在だ。この男が純粋なロマンチストなのか、それとも只の悪鬼なのかは永遠の謎にして、それがまた読者を惹きつけて止まない理由のような気もする

フィルム版ではこれまでローレンス・オリヴィエやレイフ・ファインズ、松田優作らがヒースクリフに扮してきたが、エミリー・ブロンテの記述からイメージされるヒースクリフ像は個人的にはダニエル・デイ=ルイスの一択しかない。しかし今となってはもはや彼がヒースクリフを演じることは夢幻と終わり、それがとても残念に思う次第だ

来年にはマーゴット・ロビーの主演で新たな「嵐が丘」公開が予定されている。監督を務めるエメラルド・フェネルがどんなヒースクリフを描くのかに注目したい

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2025年09月28日

Posted by ブクログ

世代に渡る話でとにかく長い。
恋愛小説なのか、復讐劇なのか、喜劇なのか、なにを見させられているんだろうと思う。ヒースクリフについては徹底的に共感できない。最後までわからない。意外と人が人を想うってそういうものなのかもしれない、という話なのかもしれない。

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2025年07月10日

Posted by ブクログ

嵐が丘に住む不思議な住人達。互いにいがみ合いながら暮らしているのだが、その関係性がわからず、鶫の辻の間借人のロックウッドは使用人のネリーに話を聞きます。彼女の話がまぁ、面白い。ロックウッドじゃないですが、「早く続きを話してくださいよ」とせがみたくなります。

ネリーは自分が常識人みたいな感じで話していますが、彼女も偏見ありまくりの大概な人物で、彼女のせいで揉め事が大きくなっているまであります。そんなところを、突っ込みながら読む楽しみもあるのではないかと思います。

二人がもめていたら、普通はどちらかの肩を持ちたくなります。ですがこの作品の場合、どっちもどっちですので、高みの見物的な立ち位置でその騒動を眺めることになります。全く感情移入できない人たちのゴタゴタを見せられるのですが、ワイドショー的な興味で読める感じです。

そんなぐちゃぐちゃな話なのに、なぜか読後感は良かったです。それまでのテンションも終盤も終盤になると、徐々に憑き物が落ちたように下がっていき、ほっこりするようなエピソードが出てきます。

そして最後には、取ってつけたような結末があります。普通ならそういうものは、鼻についたり、納得できなかったりするのですが、この作品に関しては、それまでのゴタゴタがあまりにもすごすぎたので、「とりあえずどういう形にしろよかったね」と思えてしまいました。

なんだろう、今までになかった読書体験でしたね。特定の人物の幸せを願ったり喜んだりではなく、あまりにもぐちゃぐちゃな物語世界が回復してほっとする感覚でしょうか。あるいは神さまの気持ちなのかもしれない。あまりに愚かな人間たちが、少しだけまともになって喜んだみたいな。

とりあえず、背表紙にある「世界の女性を虜にした恋愛小説」では、決してない作品だと思いました。

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2024年01月15日

Posted by ブクログ

強烈のひとこと。
だれも心を寄せられる人物がいない(笑) でも、それでもしばしのあいだ心のなかに人物が住みつくあの感じが残るところが、やはり名作たるゆえんなのだろうな。読書会向きというか。人の感想も聞いてみたい~。
読みはじめ、二種類の訳をいったりきたりしたのだけど、鴻巣さん版は、語りの枠のあり方(誰が語っていて、その人がこの物語のなかでどんな位置づけなのか)が、台詞回しだけでも明確に描き出されていて、すんなり物語に入れた。
考えてみれば、いちばん最初に登場するのが、縁もゆかりもない下宿人て、導入としてはかなり難しくないですか? でも、第三者がいないと語る動機がないからこうせざるを得ないのか。

しかしヒースクリフというのもなかなか難儀な人物で、ひろって育ててもらったけど(よかった)、その養父が亡くなってから徹底的にいじめられ(気の毒)、家を出てどこで何をしたのかわからないけど教養身につけて財産を作り(すごい)、嵐が丘に戻ってきてひたすら自分のいじめた者たちへの復讐をはかり(わかるけど何もそう執着しなくても)、キャサリンを激しく愛し、憎み(激しすぎんよ)……。

ヒースクリフが死んだあとの嵐が丘の、窓が開け放たれて風が通り、キャサリン・リントンとヘアトンが仲よく口げんかしながら会話したり勉強したりしている、あのおだやかな空気が、どろどろの闇世界のあとでは、なにか異世界というか、ファンタジーのようにすら感じられた。E・ブロンテ/C・ブロンテとひとくくりにするけれど、『ジェーン・エア』とはまっったく毛色のちがう作品ですごかったです。

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2023年11月10日

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自分の中の海外女流文学ブーム来たる。
おどろおどろしく、でも生々しさはない恋愛、不思議だった。ヒースクリフの気持ちは推しはかることしかできないのね。

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2023年05月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

まず構成がすごい。複雑な構成の作品は苦手だが複雑なのに分かりやすくて、さらに息子娘たちが親の世代のコピーのようでよくできてるなと。
出てくる登場人物がみんなわがままで気が強くて正直前半は読むのに疲れるくらいだった。恋愛小説って書いてあるのに恋愛小説っぽくないし。復讐物は復讐する人に共感できる傾向があると思うがヒースクリフはくせものすぎて全然共感できず衝撃だった。
ただキャサリンとヘアトンが結ばれていく様子は美しいし、ヒースクリフも最後までずっとキャシーだけを一途に愛し続けていて、終盤は特に良かった。

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2023年05月11日

Posted by ブクログ

有志で開いている読書会がきっかけで、世界の名作小説の代表格であるエミリー・ブロンテの『嵐が丘』を数年振りに再読。何度読んでもこの小説の謎と魅力は色褪せないなと思います。今回で読むのが3、4回目だっとこともあり、語り手ネリーの「信頼できなさ」を以前より強く感じたのですが、同時にネリーの語りのうまさがこの小説全体の面白さを創り出していると思うし、彼女の語りが上手いからこそ読者は物語に引き込まれていくのだと思います。
鴻巣友季子訳版は初めて読みました。現代の読者がとっつきやすいよう工夫されている訳出はあまり古典文学に馴染みがない読者には親切である一方、この作品の世界観を損なっているように感じてしまう部分もありました。

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2023年03月12日

Posted by ブクログ

王道の恋愛小説……かと思いきや、良い意味で裏切られた。
約200年以上前にして、こんなに多面的であり技巧が凝らされている作品があるとは……

寡黙で非道な男、ヒースクリフの人物像がネリーによって語られることにより、様々な想像を巡らすことが出来る。
読者の想像に委ねる隙間があること、それこそが物語の醍醐味であると再認識できた。

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2023年02月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

※自分は角川昭和38年、大和資雄訳のものを読んだので少し感じ取り方が違う可能性があります



サイコパスとしか思えないヒースクリフに境界性人格障害くらい気性の荒い大キャサリン、それに狂わされる虐待経験をもつ子孫たち……という感じに読んだ。

人物名のややこしさが凄かった。愛称も多用される為これは苗字か名前か息子か娘か親かどれ?と思う事が多々あった。(勿論慣れるが)

この小説のいい部分はカタルシスにあると思う。

隣の家の少女のような陰鬱感を後半まで引き摺り、物語の聞き手のロックウッドがまた嵐が丘を訪れる1802年には急展開を迎えている。
この場面転換がとても自分には良く思えた。


キャラクターはぶっちゃけ誰にも好感をもてなかった。
暇な貴族というものは平安時代の日本でもそうだが恋愛にかまけるしか能が無くなるのではないかと思うくらい恋愛体質で、終始閉じた世界過ぎるという思いが消えなかった。(特にイザベラや小キャシー)
あとジョウゼフ こいつがいなかったらな〜と思うくらい憎たらしい。
ヒースクリフが私の天国に行くから他の天国はどうでもいいと言った部分は凄く良かった。

全然関係ないけど大キャサリンにしてもヒースクリフにしても子作りしとったんかい!と言いたくなった。


訳の話になるが60年前の訳なので、よござんすとかごわすとか現代では凡そ聞くことの出来ない口語で訳されていて見ていて面白かった。
ただ反語での表現、回りくどい怒り方の表現等わかりにくい点が多かったので新しい和訳でまた読みたいと思う。


ケイト・ブッシュの嵐が丘の曲も良かったので是非聞きながら読もう!

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2021年07月07日

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ネタバレ

ヒースクリフは毒、関わった人は澱んでいく。ネリー、余計なことばっかして!と思ってたら物語の触媒とのこと

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2021年05月15日

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ネタバレ

古典小説の感じ方が変わった。
古典小説はとっつきにくく、わかりにくい。

この小説は絶妙なバランスにあると感じた。

どこか登場人物の語り方、物語の重厚さはハリーポッターを思わせるところがあった。それはイギリスの作家というところもあるのだろうか。

世界観としては小さく、登場人物も多いわけではない。しかし、心揺さぶられるシーンがあり、惹き込まれた。

主人公は決してヒーローではない。そして、救いもないようにも感じた。人間離れしたものも感じるが、人間臭さも感じる。そこが絶妙なのか。

4にしたのは、感動はしたが、やはり自分の求める結末ではなかったから。胸えぐられる心かき乱される稀有な小説。

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2021年04月25日

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若い頃に読み損ねた「嵐が丘」。こんな悪意に満ちた話だとは恥ずかしながら知らなかった。歌や映画、芝居のポスターで勝手にモンテ・クリスト伯のような勧善懲悪の復讐劇、ロミオとジュリエットのような禁じられた恋の話とずっと思い込んでいたのだ。嵐が丘邸の主人に拾われてその息子たちに虐められたヒースクリフ少年がなぜか裕福になって帰ってきた。話の99%は歪んだヒースクリフの狂った悪意により滅亡していく2つ家の話なのだ。ヒースクリフの行動はシャイニングかサイコを観るようでかなり怖い。拉致監禁、言葉による追い詰め、サディスティックで陰湿な罠。キャシーへの異常な愛。そして最後の最後に彼に希望溢れる死が訪れそれによって2つの家に平和が戻る。様々な研究書が書かれているが読んでみたい。ホラー感覚で一気に読める!

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2022年06月24日

Posted by ブクログ

面白くなくはなかったけど、絶賛されてる意味はわかんなかった。。

毒親によって人生をめちゃめちゃにされる子供たちにはシンプルに心が痛んだので、ノットフォーミーだった気もしている。
無理矢理嵐が丘の家に連れて行かれたリントンくんが、最終的にあんなに性格がひん曲がってしまったことが悲しい。
根っこには性格の悪いところがあったとしても、穏やかな叔父の元で慈しまれながら育ったならあんなふうにはならなかったんじゃないか。
ヒースクリフが生涯を捧げた復讐も逆恨みすぎて全然共感できないし普通に嫌い。

でも登場人物一人一人にこうして心を痛めたり、嫌いになったりするってことは、まあ、ちゃんと面白くはあったんだろうなとは思う。

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2025年11月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

まず、自分に700ページあまりの小説を読めるのかと躊躇しました。さらに200年も前の海外文学を理解出来るはずがないとも思いましたが、理解したいと思ったのです。
初めのうちは名前と人間関係、物語の背景に慣れず、1日30ページにも満たない遅さで、かなり時間をかけて読み進めました。何度も巻頭の家系図を見返してこれまでになく丁寧に読みました。
女中視点の昔語りで話が進み、物語の最後には現在に追いつく箇所がきます。まるで「物語の中の人」にあえた感覚でした。
英国の田舎の閉鎖的で鬱屈とした逃げ場のない環境において、遂には破壊し尽くせないこと察して諦めて死して結ばれたあの御方。とうとう最期まで理解できませんでしたが、やたらすぐ物事に動機を求めてしまう自分には抜け落ちている感覚なのだと思う次第であります。
嵐が丘にうまれたヘアトンとキャサリンの間の新しい感情に救われた思いです。

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2025年09月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

リントンさんの一家がなんも悪くないのにめちゃくちゃにされてかわいそう。
ヒースクリフとキャサリンになんも共感できない。
真実の愛とは周りにとって残酷なものなのかな。
部外者にとったらたまったものじゃないな。

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2025年06月21日

Posted by ブクログ

登場人物たちの人生が悪い方へ悪い方へ転がっていったかと思うと、最終的にはなんか丸く収まったっぽい?私にはよく理解できませんでした。
情緒不安定なやつらだったなと思います。

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2024年09月18日

Posted by ブクログ

調べ物してて見つけて読んでみた。
時代のせいなのか、まったく登場人物の気持ちが理解できないのに、読みすすんじゃった。

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2022年04月05日

Posted by ブクログ

読者層が女性の恋愛小説と思っていたが、印象が違った。二名家におよぶリベンジや亡霊といったホラーの面もある。ヒースクリフの素性は謎のまま読者の想像に任せる。女中のネリーの話は自らも関わっているので主観的なものであり読者として無意識に真偽を迫られる、いや楽しめる仕掛けとなっている。2022.2.19

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2022年02月19日

Posted by ブクログ

おもしろかったのかもしれない。
ヴァージニア・ウルフの自分ひとりの部屋を読んで、それから気になっていたので手に取った。

人の忠告に耳を貸さない者と過去にネグレクトされた成人、復讐のため人を操り騙す者など、どの登場人物のことも全く好きになれないし、その言動に不快感は増すばかりなのに、どんどん読み進めてしまうのは、その表現力の力強さ、描写の細かさによるのだと思う。魅力的ではない描写をされている登場人物に対比して、自然の描写が美しかったのも印象的。

エミリー・ブロンテは閉じた人間関係の中でこの作品を描いたそうで、並外れた力を感じる。

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2021年04月21日

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