【感想・ネタバレ】嵐が丘のレビュー

「彼女を失ってなお生きていくのは、地獄も同然だ」
荒涼としたヨークシャーにそびえ立つ<嵐が丘>の屋敷。その主人に拾われた孤児ヒースクリフと屋敷の娘キャサリンの二家三代にもわたる愛憎物語。
これを愛と呼んでいいのかと躊躇うほどの執着。まるでモノクロ映画を観ているかのようなリアルな映像性で描かれる究極の愛の形にどん引きしつつも、この愛の行く先を見てみたいとついつい読み進めてしまいました。作品全体に流れる暗く不気味な空気が二人の狂った愛をより引き立てています。
徹底的に自己中心的な愛ゆえに、まるで獣のように求めあう二人に恐れを抱くほどですが、この執着も人間のひとつの愛の形なのかもしれないと考えさせられます。

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Posted by ブクログ 2023年06月12日

殺伐陰険とした暗い世界に一筋の眩い光が射したような、思わず目を細めてしまう痛烈な愛の物語で、何度読んでも溜め息がこぼれます。
また、200年近く前に遥か遠くの英国の地で生まれた物語が、今私の手の中にあることにも深いロマンスを感じてしまうのです。

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Posted by ブクログ 2023年01月15日

これは恋愛小説ではない。局所的には人間の醜さ、ーー身勝手、意地悪、嫉妬、強欲、怯弱ーーが随所に現れているが、それを繋ぎ合わせると何故か美しい、そんな奇妙な、迫力ある作品。

アーンショー家に引き取られた孤児ヒースクリフはその家の娘キャサリンと共に育つ。キャサリンの父亡き後、彼女の兄によって虐待され、...続きを読む下男に貶められたヒースクリフは、いつしか彼女と愛し合うようになる。しかし、キャサリンは現実的な理由から裕福な隣家のエドガー・リントンと婚約し、それを知ったヒースクリフは出奔する…

これだけ読むと、単にお嬢様と使用人の恋愛物なのだけれど、キャサリンが自由気ままで傍若無人で支配的な性格なので話が大変面白くなる(美人だから何をしても許される)。
ヒースクリフが自分からキャサリンを奪ったアーンショー家とリントン家の人間全てへの復讐を企てる中、彼女は娘キャシーを出産して亡くなり、そのキャシーをエドガー・リントンは大事に育て上げる。
そして、ヒースクリフは奇しくも(同棲させることで結果的に)キャシーとアーンショー家の後継ヘアトンとを結び合わせてしまう。仲睦まじくなったキャシーとヘアトンを目にして、自分は復讐をしている様で、結局は、キャサリンの子孫の繁栄のために使われた一つの駒に過ぎなかったということを悟ったのかもしれない。キャサリンが(恐らく無意識の内に)思い描いた、個々の人間を凌駕する度量を持った物語を、ヒースクリフが思わぬ形で完成させてしまったのである。そして彼は復讐への興味を失い、キャサリンの幻影に取り憑かれて死んでゆく。

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Posted by ブクログ 2022年05月21日


「嵐が丘」はリア王と並んで、英国三大悲劇のうちのひとつ。
あまりに壮絶、あまりに苦々しい復讐劇
・ ・
【孤児であるヒースクリフは、身分違いの娘に焦がれながら、主人の虐待を忍んできた。
屋敷から逃げた後、莫大な富と知恵を得て、復讐に燃え戻ってくる。※一部引用】

初め彼の復讐心は全て醜悪からきてい...続きを読むるのかと思っていたけど、最後の最後の彼の告白から、全ては愛する人への想いと焦がれからきていると気付いた。
愛は盲目。愛することが、人を憎むエネルギーに代わってしまう。
そんな醜い主人公だけど、なぜか彼の言葉にロマンスを感じてしまうのです。

「俺の未来は言葉ふたつで云いきれる。死と地獄さー彼女を失ってなお生きていくのは、地獄も同然だ。」※引用

すらすら読めず、挫けそうになるけど、苦々しい後読感を語らずにはいられない一冊です。

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Posted by ブクログ 2021年11月10日

「一世紀半にわたって世界中の女性を虜にした恋愛小説」と背表紙にあるが、私は本作を恋愛小説として読むことはできなかった。大人と子供のズレを描いたジューブナイル小説である。
主人公の男女は揃って素直な気持ちを伝えられず、相手の言葉を額面通りに受け取れない性格で、互いに愛しているのに愛されていないもどかし...続きを読むさに苛まれる。相手の言葉の自分に都合の悪いところだけを切り取って悩み喚く様は中学生のようである。
そこに介入するのが所謂「大人な」人々である。女はその大人な男に憧れを抱くも、同じ子供である主人公の男に同情し、二人の板挟みになる。
大人な男と子供の男は相容れず、激しい応酬を繰り広げることになる。

主人公の男に対して多くの読者は批判し、侮蔑するだろうが、彼の子供の一面を意識して読むとまた違った景色が見えるかもしれない。私は彼のファンであるし、結末で彼が本当の幸せを掴んだことを願いたい。

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Posted by ブクログ 2021年07月20日

もっとも気に入っている作品の一つ。
ヒースクリフの復讐をテーマにしているが、悲恋の要素が強い。
ヒースクリフ、キャサリンと登場人物が勝手、モラルがなさ過ぎて、感情移入しにくいかもしれないが、そこが魅力。2人は良心など気にすることなく、欲望のままに生きている。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2021年02月11日

ヒースクリフとキャサリンの悲恋。ヘアトンとキャサリン・Rの恋。第1世代は、身分・教養・性・(身体)の柵を乗り越える事ができなかった。「(略)1人の人間の中に二つの真実がある。第一の真実は二つ目の真実の圧力に耐えきれない-戦争は女の顔をしていない-スヴェトラーナ・アレクシェーヴィチ-」幸か不幸か、ヒー...続きを読むスクリフの嵐のような復讐がありえたはずの身分の柵を完全に破壊し尽くした。そして、教養の柵をキャサリン・Rが乗り越え、ヘアトンが性の柵に無視を決め込んだことで、恋が成就する事になる。二人の恋の成就は、復讐の因果に囚われたヒースを救済した。現世の恋は悲恋で幕を下ろしたヒースとキャサリン。ヒースクリフの死後、彼らの魂もまた、最後の柵である身体を捨て結ばれたのかもしれない。自ら死に近づいて行ったかのようなヒースクリフの姿は、体を捨て薔薇の元へ帰った小さな王子の姿に重なる。

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Posted by ブクログ 2021年02月03日

I remember learning about Emily Bronte when I took a class about English literature three years ago. And now I finished reading it at last!!! "Wh...続きを読むat were the use of my creation if I were entirely contained here? My great miseries in this world have been Heathcliff's miseries, and I watched and felt each from the beginning; my great thought in living is himself. If all else perished, and he remained, I should still continue to be; and if all else remained, and he were annihilated, the universe would turn to a mighty stranger. I should not seem a part of it. "

That's what Catherine said when she told Nelly how much she loved Heathcliff. I can't wait to visit Yorkshire, and to see the view in Haworth thinking of Bronte sisters someday.

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Posted by ブクログ 2020年09月03日

激しい愛の物語。
画家バルチュスは、こよなくこの小説を愛したといいます。確かにどこかが類似しているかもしれません。それは、暴力的な激しさに尽きると思います。
嵐のような愛の物語なのだと思いました。

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Posted by ブクログ 2020年07月14日

「愛」をここまで壮絶に描くとは
とても時間を要したし、読中は正直面白さをあまり感じられなかった。むしろ言うならば雑菌だらけの物語で鬱々と、ずっとどんよりした天候の中を彷徨って、読むのが苦しかった。だけど最後の最後に光が、この世で一番美しいとも思えるような光が雲の間から差し込...続きを読むんできた。これぞカタルシス

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Posted by ブクログ 2020年03月28日

轟々と燃える、愛憎と復讐の群像劇。

過激で口の悪すぎるネリーおばさんの弁舌に、終始エクストリーム・ロデオさせられる私。

何度も落馬しつつ読み進んだ荒野の最果て。そこで見た愛の結実と静謐には絶句しました。

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Posted by ブクログ 2019年03月10日

「キャシー!!お前のせいでオレはあああ!!」
「ヒースグリフ、あんたのせいよ!あんたが私を!!」
「キャシイイイイイイ!!!」
「ヒィーーーースグリフーーーー!!!」

嗚呼壮絶なる哉嵐が丘。
愛と復讐の嵐が荒野をかける。

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訳者によってよみがえる名作

aaa
2013年10月10日

翻訳なんて誰がやってもだいたい同じ…と思っていましたが、鴻巣友季子さんの新訳は全然違う!
キャラクターはみずみずしく、ストーリーも臨場感に溢れ、風景もリアル。
大学の授業で他の訳との読み比べもしましたが、翻訳の力を最も感じさせてくれました。
有名だから題名だけは知っているしいつかは読もうと思っ...続きを読むているけど…という人はぜひ鴻巣訳でどうぞ!

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Posted by ブクログ 2024年01月13日

嵐が丘に住む不思議な住人達。互いにいがみ合いながら暮らしているのだが、その関係性がわからず、鶫の辻の間借人のロックウッドは使用人のネリーに話を聞きます。彼女の話がまぁ、面白い。ロックウッドじゃないですが、「早く続きを話してくださいよ」とせがみたくなります。

ネリーは自分が常識人みたいな感じで話して...続きを読むいますが、彼女も偏見ありまくりの大概な人物で、彼女のせいで揉め事が大きくなっているまであります。そんなところを、突っ込みながら読む楽しみもあるのではないかと思います。

二人がもめていたら、普通はどちらかの肩を持ちたくなります。ですがこの作品の場合、どっちもどっちですので、高みの見物的な立ち位置でその騒動を眺めることになります。全く感情移入できない人たちのゴタゴタを見せられるのですが、ワイドショー的な興味で読める感じです。

そんなぐちゃぐちゃな話なのに、なぜか読後感は良かったです。それまでのテンションも終盤も終盤になると、徐々に憑き物が落ちたように下がっていき、ほっこりするようなエピソードが出てきます。

そして最後には、取ってつけたような結末があります。普通ならそういうものは、鼻についたり、納得できなかったりするのですが、この作品に関しては、それまでのゴタゴタがあまりにもすごすぎたので、「とりあえずどういう形にしろよかったね」と思えてしまいました。

なんだろう、今までになかった読書体験でしたね。特定の人物の幸せを願ったり喜んだりではなく、あまりにもぐちゃぐちゃな物語世界が回復してほっとする感覚でしょうか。あるいは神さまの気持ちなのかもしれない。あまりに愚かな人間たちが、少しだけまともになって喜んだみたいな。

とりあえず、背表紙にある「世界の女性を虜にした恋愛小説」では、決してない作品だと思いました。

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Posted by ブクログ 2023年11月10日

強烈のひとこと。
だれも心を寄せられる人物がいない(笑) でも、それでもしばしのあいだ心のなかに人物が住みつくあの感じが残るところが、やはり名作たるゆえんなのだろうな。読書会向きというか。人の感想も聞いてみたい~。
読みはじめ、二種類の訳をいったりきたりしたのだけど、鴻巣さん版は、語りの枠のあり方(...続きを読む誰が語っていて、その人がこの物語のなかでどんな位置づけなのか)が、台詞回しだけでも明確に描き出されていて、すんなり物語に入れた。
考えてみれば、いちばん最初に登場するのが、縁もゆかりもない下宿人て、導入としてはかなり難しくないですか? でも、第三者がいないと語る動機がないからこうせざるを得ないのか。

しかしヒースクリフというのもなかなか難儀な人物で、ひろって育ててもらったけど(よかった)、その養父が亡くなってから徹底的にいじめられ(気の毒)、家を出てどこで何をしたのかわからないけど教養身につけて財産を作り(すごい)、嵐が丘に戻ってきてひたすら自分のいじめた者たちへの復讐をはかり(わかるけど何もそう執着しなくても)、キャサリンを激しく愛し、憎み(激しすぎんよ)……。

ヒースクリフが死んだあとの嵐が丘の、窓が開け放たれて風が通り、キャサリン・リントンとヘアトンが仲よく口げんかしながら会話したり勉強したりしている、あのおだやかな空気が、どろどろの闇世界のあとでは、なにか異世界というか、ファンタジーのようにすら感じられた。E・ブロンテ/C・ブロンテとひとくくりにするけれど、『ジェーン・エア』とはまっったく毛色のちがう作品ですごかったです。

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Posted by ブクログ 2023年05月16日

自分の中の海外女流文学ブーム来たる。
おどろおどろしく、でも生々しさはない恋愛、不思議だった。ヒースクリフの気持ちは推しはかることしかできないのね。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2023年05月11日

まず構成がすごい。複雑な構成の作品は苦手だが複雑なのに分かりやすくて、さらに息子娘たちが親の世代のコピーのようでよくできてるなと。
出てくる登場人物がみんなわがままで気が強くて正直前半は読むのに疲れるくらいだった。恋愛小説って書いてあるのに恋愛小説っぽくないし。復讐物は復讐する人に共感できる傾向があ...続きを読むると思うがヒースクリフはくせものすぎて全然共感できず衝撃だった。
ただキャサリンとヘアトンが結ばれていく様子は美しいし、ヒースクリフも最後までずっとキャシーだけを一途に愛し続けていて、終盤は特に良かった。

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Posted by ブクログ 2023年03月12日

有志で開いている読書会がきっかけで、世界の名作小説の代表格であるエミリー・ブロンテの『嵐が丘』を数年振りに再読。何度読んでもこの小説の謎と魅力は色褪せないなと思います。今回で読むのが3、4回目だっとこともあり、語り手ネリーの「信頼できなさ」を以前より強く感じたのですが、同時にネリーの語りのうまさがこ...続きを読むの小説全体の面白さを創り出していると思うし、彼女の語りが上手いからこそ読者は物語に引き込まれていくのだと思います。
鴻巣友季子訳版は初めて読みました。現代の読者がとっつきやすいよう工夫されている訳出はあまり古典文学に馴染みがない読者には親切である一方、この作品の世界観を損なっているように感じてしまう部分もありました。

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Posted by ブクログ 2023年02月16日

王道の恋愛小説……かと思いきや、良い意味で裏切られた。
約200年以上前にして、こんなに多面的であり技巧が凝らされている作品があるとは……

寡黙で非道な男、ヒースクリフの人物像がネリーによって語られることにより、様々な想像を巡らすことが出来る。
読者の想像に委ねる隙間があること、それこそが物語の醍...続きを読む醐味であると再認識できた。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2021年07月07日

※自分は角川昭和38年、大和資雄訳のものを読んだので少し感じ取り方が違う可能性があります



サイコパスとしか思えないヒースクリフに境界性人格障害くらい気性の荒い大キャサリン、それに狂わされる虐待経験をもつ子孫たち……という感じに読んだ。

人物名のややこしさが凄かった。愛称も多用される為これは苗...続きを読む字か名前か息子か娘か親かどれ?と思う事が多々あった。(勿論慣れるが)

この小説のいい部分はカタルシスにあると思う。

隣の家の少女のような陰鬱感を後半まで引き摺り、物語の聞き手のロックウッドがまた嵐が丘を訪れる1802年には急展開を迎えている。
この場面転換がとても自分には良く思えた。


キャラクターはぶっちゃけ誰にも好感をもてなかった。
暇な貴族というものは平安時代の日本でもそうだが恋愛にかまけるしか能が無くなるのではないかと思うくらい恋愛体質で、終始閉じた世界過ぎるという思いが消えなかった。(特にイザベラや小キャシー)
あとジョウゼフ こいつがいなかったらな〜と思うくらい憎たらしい。
ヒースクリフが私の天国に行くから他の天国はどうでもいいと言った部分は凄く良かった。

全然関係ないけど大キャサリンにしてもヒースクリフにしても子作りしとったんかい!と言いたくなった。


訳の話になるが60年前の訳なので、よござんすとかごわすとか現代では凡そ聞くことの出来ない口語で訳されていて見ていて面白かった。
ただ反語での表現、回りくどい怒り方の表現等わかりにくい点が多かったので新しい和訳でまた読みたいと思う。


ケイト・ブッシュの嵐が丘の曲も良かったので是非聞きながら読もう!

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2021年05月15日

ヒースクリフは毒、関わった人は澱んでいく。ネリー、余計なことばっかして!と思ってたら物語の触媒とのこと

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2021年04月25日

古典小説の感じ方が変わった。
古典小説はとっつきにくく、わかりにくい。

この小説は絶妙なバランスにあると感じた。

どこか登場人物の語り方、物語の重厚さはハリーポッターを思わせるところがあった。それはイギリスの作家というところもあるのだろうか。

世界観としては小さく、登場人物も多いわけではない。...続きを読むしかし、心揺さぶられるシーンがあり、惹き込まれた。

主人公は決してヒーローではない。そして、救いもないようにも感じた。人間離れしたものも感じるが、人間臭さも感じる。そこが絶妙なのか。

4にしたのは、感動はしたが、やはり自分の求める結末ではなかったから。胸えぐられる心かき乱される稀有な小説。

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Posted by ブクログ 2021年01月21日

何年経っても不朽の名作
ドロドロした人間劇と美しい雰囲気のギャップが癖になる。
登場人物の名前と関係ややこしいけど、性格や行動がめちゃくちゃ鮮やかに描かれてるのすごいと思う。
長いけど読む価値あった

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Posted by ブクログ 2022年06月24日

若い頃に読み損ねた「嵐が丘」。こんな悪意に満ちた話だとは恥ずかしながら知らなかった。歌や映画、芝居のポスターで勝手にモンテ・クリスト伯のような勧善懲悪の復讐劇、ロミオとジュリエットのような禁じられた恋の話とずっと思い込んでいたのだ。嵐が丘邸の主人に拾われてその息子たちに虐められたヒースクリフ少年がな...続きを読むぜか裕福になって帰ってきた。話の99%は歪んだヒースクリフの狂った悪意により滅亡していく2つ家の話なのだ。ヒースクリフの行動はシャイニングかサイコを観るようでかなり怖い。拉致監禁、言葉による追い詰め、サディスティックで陰湿な罠。キャシーへの異常な愛。そして最後の最後に彼に希望溢れる死が訪れそれによって2つの家に平和が戻る。様々な研究書が書かれているが読んでみたい。ホラー感覚で一気に読める!

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Posted by ブクログ 2020年08月18日

最近は外国の物語でも一気に読める。風景描写が美しくて、登場人物が個性的、時間を惜しんで読んでしまった。復讐劇と恋物語が混ざった長編。それぞれの信念と弱さが入り混じって、読ませる本だった

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Posted by ブクログ 2019年09月12日

暴力的な描写もあるし、およそこの時代の女性が想像力だけで書ける話とはわたしには思えなかった。
キャシーの手紙なんかは古い埃の臭いを本当に感じるような表現力で、実家の屋根裏の大量に古典が積み重ねられた部屋を思い出す。
時間が経っても消えないものがあるという事実や、
死んでもニュースに取り上げられないよ...続きを読むうな人間でも、周囲には大きすぎるくらいに影響を与えているということ。
また、どれだけ執念を持っていようと、いつかは皆死んでしまうということ。
わかりやすい展開でありながら、心に残る印象は深くて哲学的。

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Posted by ブクログ 2019年06月18日


序盤は他の方々と同様、
登場人物の名前を覚えることに手一杯になります。

キャサリンは2人いるようだし、
嵐が丘の住民達は不可解な関係にある。

「なぜだろう?」
本を読み進める。

語り手はころころ変わります。
コメディ小説とも恋愛小説とも復讐劇ともとれます。

時には語り手が余計な事をして
...続きを読む況を悪化させてしまい読んでいる身としては
やきもきしてしまったり、

物語の主要人物、

ヒースクリフが何故そこまで
キャサリンに、あるいは嵐が丘に
執着してしまうのだろうかというほど
気が狂ってしまいます。

このまま悲劇で終わるかと思えば、
まるで少女小説かのような甘酸っぱい結末。

一度読んだだけでは、

嵐が丘の良さはまだまだ理解できていないと思うので
忘れた頃にまた読み返したい作品です。

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Posted by ブクログ 2022年04月05日

調べ物してて見つけて読んでみた。
時代のせいなのか、まったく登場人物の気持ちが理解できないのに、読みすすんじゃった。

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Posted by ブクログ 2022年02月19日

読者層が女性の恋愛小説と思っていたが、印象が違った。二名家におよぶリベンジや亡霊といったホラーの面もある。ヒースクリフの素性は謎のまま読者の想像に任せる。女中のネリーの話は自らも関わっているので主観的なものであり読者として無意識に真偽を迫られる、いや楽しめる仕掛けとなっている。2022.2.19

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Posted by ブクログ 2021年04月21日

おもしろかったのかもしれない。
ヴァージニア・ウルフの自分ひとりの部屋を読んで、それから気になっていたので手に取った。

人の忠告に耳を貸さない者と過去にネグレクトされた成人、復讐のため人を操り騙す者など、どの登場人物のことも全く好きになれないし、その言動に不快感は増すばかりなのに、どんどん読み進め...続きを読むてしまうのは、その表現力の力強さ、描写の細かさによるのだと思う。魅力的ではない描写をされている登場人物に対比して、自然の描写が美しかったのも印象的。

エミリー・ブロンテは閉じた人間関係の中でこの作品を描いたそうで、並外れた力を感じる。

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Posted by ブクログ 2020年04月13日

最高の恋愛小説、と聞いたけど、ひたすら怖い絶望のホラーだった。
金色夜叉に似ている。愛していたキャサリンがエドガーリントンに嫁ぐと知って姿を消したヒースクリフは、復讐のために帰ってくる。宮さんに復讐するのとは違い、ひたすらキャサリン以外の人を虐待していくところが余計怖い。ヒンドリーには元からいじめら...続きを読むれていた分を復讐しているんだろうけど、リントン家の人々に対しての復讐の仕方怖すぎ。ヒースクリフに関わった人はみんな悪くなっていく。かつ、もともとみんな性格悪すぎ。そんなヒースクリフとキャサリンが、単なる男女の愛を超えて愛で一体になってるあたりが、キャサリンが死んでもなおキャサリンの存在を近く感じ、キャサリンを思い続けるヒースクリフが、恋愛小説として良いってことなんだろうか。たしかにそこは論理とかを超えた深くて強い愛の力みたいなものは感じる。けれども。いや、エドガーと娘のキャサリンの親子愛にしか安心できない。最後がせめてハッピーエンド?でよかった。
ヒースクリフとキャサリンが墓の中で一体になって朽ちていくことに天国を見出したり、死体の静けさは魂の静けさだとネリーが語ったりしてるあたりから、死への憧れみたいなのも感じた。作者が若いからか、時代か?作中人物も若くしてどんどん死ぬのは、作者の若さも関係してるのかなあ。

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Posted by ブクログ 2019年10月23日

作品の内容は暗くて重いが、そのようなことがどんどん嵐のように過ぎていき、何事もなかったように終わる。
重要人物の誕生や死が人伝に聞く文章だからか、あっさり書かれている。そして、気になったのはよく泣く登場人物(特に女たち)と、一人よがりで自分勝手な登場人物と、病弱な人たち。今では空気を読まないといけな...続きを読むいなどと、とてもあり得ないが、当時はこんな感じだったのだろう。生死も病気も性格も暴力も、自然と同じでただそこにあり過ぎていくもの。それに対して、自分自身はどう考えてどうすれば良いかということだけが重要だった。当時1800年といえば、私たちから四世代以上も前の話。

物語はドラマのようでエンターテイメント性が強く面白かった。描写が上手く、情景は手に取るように見えて、家や丘や草花など情景が見えてくるようだった。

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