【感想・ネタバレ】嵐が丘のレビュー

「彼女を失ってなお生きていくのは、地獄も同然だ」
荒涼としたヨークシャーにそびえ立つ<嵐が丘>の屋敷。その主人に拾われた孤児ヒースクリフと屋敷の娘キャサリンの二家三代にもわたる愛憎物語。
これを愛と呼んでいいのかと躊躇うほどの執着。まるでモノクロ映画を観ているかのようなリアルな映像性で描かれる究極の愛の形にどん引きしつつも、この愛の行く先を見てみたいとついつい読み進めてしまいました。作品全体に流れる暗く不気味な空気が二人の狂った愛をより引き立てています。
徹底的に自己中心的な愛ゆえに、まるで獣のように求めあう二人に恐れを抱くほどですが、この執着も人間のひとつの愛の形なのかもしれないと考えさせられます。

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Posted by ブクログ 2021年02月11日

ヒースクリフとキャサリンの悲恋。ヘアトンとキャサリン・Rの恋。第1世代は、身分・教養・性・(身体)の柵を乗り越える事ができなかった。「(略)1人の人間の中に二つの真実がある。第一の真実は二つ目の真実の圧力に耐えきれない-戦争は女の顔をしていない-スヴェトラーナ・アレクシェーヴィチ-」幸か不幸か、ヒー...続きを読むスクリフの嵐のような復讐がありえたはずの身分の柵を完全に破壊し尽くした。そして、教養の柵をキャサリン・Rが乗り越え、ヘアトンが性の柵に無視を決め込んだことで、恋が成就する事になる。二人の恋の成就は、復讐の因果に囚われたヒースを救済した。現世の恋は悲恋で幕を下ろしたヒースとキャサリン。ヒースクリフの死後、彼らの魂もまた、最後の柵である身体を捨て結ばれたのかもしれない。自ら死に近づいて行ったかのようなヒースクリフの姿は、体を捨て薔薇の元へ帰った小さな王子の姿に重なる。

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Posted by ブクログ 2023年05月11日

まず構成がすごい。複雑な構成の作品は苦手だが複雑なのに分かりやすくて、さらに息子娘たちが親の世代のコピーのようでよくできてるなと。
出てくる登場人物がみんなわがままで気が強くて正直前半は読むのに疲れるくらいだった。恋愛小説って書いてあるのに恋愛小説っぽくないし。復讐物は復讐する人に共感できる傾向があ...続きを読むると思うがヒースクリフはくせものすぎて全然共感できず衝撃だった。
ただキャサリンとヘアトンが結ばれていく様子は美しいし、ヒースクリフも最後までずっとキャシーだけを一途に愛し続けていて、終盤は特に良かった。

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Posted by ブクログ 2021年07月07日

※自分は角川昭和38年、大和資雄訳のものを読んだので少し感じ取り方が違う可能性があります



サイコパスとしか思えないヒースクリフに境界性人格障害くらい気性の荒い大キャサリン、それに狂わされる虐待経験をもつ子孫たち……という感じに読んだ。

人物名のややこしさが凄かった。愛称も多用される為これは苗...続きを読む字か名前か息子か娘か親かどれ?と思う事が多々あった。(勿論慣れるが)

この小説のいい部分はカタルシスにあると思う。

隣の家の少女のような陰鬱感を後半まで引き摺り、物語の聞き手のロックウッドがまた嵐が丘を訪れる1802年には急展開を迎えている。
この場面転換がとても自分には良く思えた。


キャラクターはぶっちゃけ誰にも好感をもてなかった。
暇な貴族というものは平安時代の日本でもそうだが恋愛にかまけるしか能が無くなるのではないかと思うくらい恋愛体質で、終始閉じた世界過ぎるという思いが消えなかった。(特にイザベラや小キャシー)
あとジョウゼフ こいつがいなかったらな〜と思うくらい憎たらしい。
ヒースクリフが私の天国に行くから他の天国はどうでもいいと言った部分は凄く良かった。

全然関係ないけど大キャサリンにしてもヒースクリフにしても子作りしとったんかい!と言いたくなった。


訳の話になるが60年前の訳なので、よござんすとかごわすとか現代では凡そ聞くことの出来ない口語で訳されていて見ていて面白かった。
ただ反語での表現、回りくどい怒り方の表現等わかりにくい点が多かったので新しい和訳でまた読みたいと思う。


ケイト・ブッシュの嵐が丘の曲も良かったので是非聞きながら読もう!

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Posted by ブクログ 2021年05月15日

ヒースクリフは毒、関わった人は澱んでいく。ネリー、余計なことばっかして!と思ってたら物語の触媒とのこと

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Posted by ブクログ 2021年04月25日

古典小説の感じ方が変わった。
古典小説はとっつきにくく、わかりにくい。

この小説は絶妙なバランスにあると感じた。

どこか登場人物の語り方、物語の重厚さはハリーポッターを思わせるところがあった。それはイギリスの作家というところもあるのだろうか。

世界観としては小さく、登場人物も多いわけではない。...続きを読むしかし、心揺さぶられるシーンがあり、惹き込まれた。

主人公は決してヒーローではない。そして、救いもないようにも感じた。人間離れしたものも感じるが、人間臭さも感じる。そこが絶妙なのか。

4にしたのは、感動はしたが、やはり自分の求める結末ではなかったから。胸えぐられる心かき乱される稀有な小説。

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