あらすじ
寒風吹きすさぶヨークシャーにそびえる〈嵐が丘〉の屋敷。その主人に拾われたヒースクリフは、屋敷の娘キャサリンに焦がれながら、若主人の虐待を耐え忍んできた。そんな彼にもたらされたキャサリンの結婚話。絶望に打ちひしがれて屋敷を去ったヒースクリフは、やがて莫大な富を得、復讐に燃えて戻ってきた……。一世紀半にわたって世界の女性を虜にした恋愛小説の“新世紀決定版”。
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「彼女を失ってなお生きていくのは、地獄も同然だ」
荒涼としたヨークシャーにそびえ立つ<嵐が丘>の屋敷。その主人に拾われた孤児ヒースクリフと屋敷の娘キャサリンの二家三代にもわたる愛憎物語。
これを愛と呼んでいいのかと躊躇うほどの執着。まるでモノクロ映画を観ているかのようなリアルな映像性で描かれる究極の愛の形にどん引きしつつも、この愛の行く先を見てみたいとついつい読み進めてしまいました。作品全体に流れる暗く不気味な空気が二人の狂った愛をより引き立てています。
徹底的に自己中心的な愛ゆえに、まるで獣のように求めあう二人に恐れを抱くほどですが、この執着も人間のひとつの愛の形なのかもしれないと考えさせられます。
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Posted by ブクログ
エメラルド・フェネル監督の映画公開をきっかけに手に取りました。
めちゃ面白かった。何世代にも渡る、壮大な復讐劇であり、愛の物語であり、土地と権利の物語であり、憎しみと後悔の物語であり…。
また、ネリーの視点から語られる構造が、より物語に引き込まれる。彼女、彼の本当の姿は?謎に包まれたまま、物語は進み、世代が入れ替わっていく。
嵐が丘と鶫の辻という2つの一族の狭い世界、行動範囲も基本的には両家の行き来のみだし。でもこんなにスケールの大きい壮大な物語だとは。
古典好きな方にはオススメ!
Posted by ブクログ
以前から気になっていたけれど、モームの読書案内で取り上げられていたことに背中を押されて手に取りました。(三浦しをんの初期のエッセイでも紹介されていたような)
物語の舞台は200年以上前、重苦しい表紙をみて恐る恐る読み始めたけれど、作品の世界にどっぷり浸かってしまいました。
どの登場人物も安易に感情移入させない癖と強さを持ち、(こんなにたくさんの登場人物がいても好きと思える人がいない)ぎらぎらした感情表出やぶつかり合いに思わずひるんでしまう。
これは時代性なのか、国民性なのか、特異な気質なのか、とにかく馴染みがなくてしげしげと眺めてしまいます。
一方で、訳者の解説にもあるように、そこへユーモアの視点を入れて外すような、この人たち大真面目だけどちょっと面白いよね?という作者のシニカルな茶目っ気も感じます。
ヒースクリフは名家にとっての異物でありガンでもあるのだけど、結局は荒れ野原に勝手に芽が出るように、すべてを奪い尽くすことはできなかった。
最期は無力感の中で、キャサリンのいるどこか別の世界に移っていき、寂しさよりあるべきところに収まったような座りの良さを感じました。
そして作品を通じて、時代は移り変わっても、自然の中で過ごすことの強い喜びは現代も変わらないことを思いました。
Posted by ブクログ
ヒースクリフとキャサリンは激情型の性格で、言葉で確かめ合うことはなかったものの、互いに愛し合っていたと思う。ただし、キャサリンはヒースクリフを結婚という形で所有しようとは考えていなかった。一方ヒースクリフは、同じ気持ちであれば結婚に至るはずだと信じていたため、その選択に強い衝撃を受け、逃げ出してしまう。帰ってきた後のヒースクリフの生き方は、残酷な支配者だった。他人を支配し、痛めつけることを復讐と呼び、相手を突き放すような言葉を投げつけ続けた。キャサリン亡き後も、彼は復讐を生き甲斐としていたように見える。喪失を埋めるためには復讐を続けることしかできなかったのだろう。感情のままに言葉を投げつけ、その言葉で他人を縛り、傷つけ、最終的には自分自身をも追い詰めていく生き方は精神を病まさせる。そうした激しい感情の応酬による心労で、作中の登場人物たちは若くして亡くなったのだと思う。一方で、若く未来を持つ二代目キャサリンと、遅まきながらも学ぶことを選んだヘアトンは物語の中で次の時代を担う存在として描かれている。激情が渦巻いていた嵐が丘の空模様は凪いだように穏やかに変わっていく。
Posted by ブクログ
まず構成がすごい。複雑な構成の作品は苦手だが複雑なのに分かりやすくて、さらに息子娘たちが親の世代のコピーのようでよくできてるなと。
出てくる登場人物がみんなわがままで気が強くて正直前半は読むのに疲れるくらいだった。恋愛小説って書いてあるのに恋愛小説っぽくないし。復讐物は復讐する人に共感できる傾向があると思うがヒースクリフはくせものすぎて全然共感できず衝撃だった。
ただキャサリンとヘアトンが結ばれていく様子は美しいし、ヒースクリフも最後までずっとキャシーだけを一途に愛し続けていて、終盤は特に良かった。
Posted by ブクログ
まず、自分に700ページあまりの小説を読めるのかと躊躇しました。さらに200年も前の海外文学を理解出来るはずがないとも思いましたが、理解したいと思ったのです。
初めのうちは名前と人間関係、物語の背景に慣れず、1日30ページにも満たない遅さで、かなり時間をかけて読み進めました。何度も巻頭の家系図を見返してこれまでになく丁寧に読みました。
女中視点の昔語りで話が進み、物語の最後には現在に追いつく箇所がきます。まるで「物語の中の人」にあえた感覚でした。
英国の田舎の閉鎖的で鬱屈とした逃げ場のない環境において、遂には破壊し尽くせないこと察して諦めて死して結ばれたあの御方。とうとう最期まで理解できませんでしたが、やたらすぐ物事に動機を求めてしまう自分には抜け落ちている感覚なのだと思う次第であります。
嵐が丘にうまれたヘアトンとキャサリンの間の新しい感情に救われた思いです。