書店員のおすすめ
【世界一性格の悪い男】【プロレス王】と様々な異名を持つ鈴木みのる。
アントニオ猪木全盛期の新日本プロレスでキャリアをスタートし、今もなお、フリーのプロレスラーとして世界中のプロレス団体で人々を魅了し続ける、そんな彼のレスラーとしての信念を垣間見ることができる本作。
この本のすごいところは、プロレスに全く興味のない人が読んでも、一人の人間が自身の仕事に対するときの意識や信念を貫き通す意志の強さ、そのために努力を惜しまない姿になにかしら学ぶものがあるということだ。
もはやヒールレスラーというスタイルで彼を捉えることはできず、鈴木みのるという確固たるスタイルをリングの上で体現している彼の言葉は、説得力があり、読んでいる人にやる気をあたえる。
けれど勘違いしてはいけないのは、彼は決して答えを読者に与えているわけではない。
痛みと感情が観客に伝わる試合をする中で、「答えはテメーで考えろ」と彼がよく口にするように、我々が、この一冊から答えを考えていくことが重要である。
読了後には、「オレたち鈴木軍、1番」と人差し指を立てたくなるのではないだろうか。