小説・文芸 のおすすめレビュー
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ブックライブ書店員
壇蜜「私と菜々緒さんに共通しているのは、男性の目を惹いてのし上がってきた匂いはするけれど、そのあとで男を捨てているところだと思います。男の手から出されるごはんを食べている感じがしないから、女性にも嫌われない。」
林真理子と壇蜜が現代の男女の問題について語りつくすエッセイ。「結婚したい女たち」、「男と女の利害関係」、「女は『損』なのか?」、「人はなぜ不倫を許さないのか」、「女はどう育つのか」、「死ぬことと、生きること」の6章仕立て。
「結婚する、しない」をはじめ、個人の生き方が尊重される多様化した現代社会。多様化されるにつれて、個人の抱える悩みが増えているのではないだろうか。そんな「生き方の模範スタイルが消失しつつある現代社会」を林真理子と壇蜜はどう考え、どう生きているのかが本書で明らかに…。冒頭の文章に惹かれたあなたに是非読んでいただきたいです。
2022年07月20日 -
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「豊胸手術なんて今は簡単よ。あなたが世界大会を目ざしているなら、このキャンプが終わったらすぐにクリニックに行きなさい」。
日本からミス・ユニバースの優勝者を出すことが目標のエルザ。12人のファイナリストとともに2週間のビューティーキャンプを行う。キャンプ開始から、ミス・ユニバース日本代表が選出されるまで…。外見だけでなく内面も美しく成長していく彼女たちの密着ストーリー。
糖質制限でダイエット、プチ整形で二重まぶたに…。現代は、外見を美しくするための手段が片手で調べられる時代。しかし内面の美しさについて考える機会は少ない。本作では、道を歩けば周囲が二度見するレベルの美人が、「世界で通用する美しさ」と向き合っています。ミス・ユニバース日本代表に選ばれるため、彼女たちがビューティーキャンプで奮闘する姿に衝撃を受けること間違いなし!今よりも輝きたいと考えている方に、是非読んでいただきたいです。
2022年07月20日 -
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江戸川乱歩賞を受賞したこの作品は、薬丸岳さんのデビュー作となります。ミステリー作家の登竜門として有名な賞なのですが、毎回、受賞作のレベルの高さは折り紙つきです。その中でもこの作品は、東野圭吾さん、高野和明さんらの受賞作を凌駕する圧倒的な完成度で興奮と感動を与えてくれます。
少年犯罪の被害者家族が主人公という、非常につらい設定にもかかわらず、犯人を憎みながらも強く生きようとする心の揺れに共感し、感情移入していくことになります。
どう考えてもハッピーエンドになり得ない展開なのに、さわやかな読後感を与える終幕は、この作家の今後に大きな期待を持たせる力強さがありました。そして、現在の薬丸岳さんの活躍がそれを証明してくれています。2022年07月20日 -
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『四畳半神話大系』『有頂天家族』など、人気作品をポンポン世に放出する、森見登美彦先生のエッセイ集! 書くことを生業にするまでの森見先生の人生からご友人やご家族のお話、はたまた小説のネタ探しのコツまで、ファンにはたまらない贅沢な1冊です。先生の作品に心惹かれて、京都に足を運ぶファンが多いと思いますが(わたしも毎年京都に巡礼しに行きます)、東京にいたサラリーマン時代の話もあって、聖地巡礼の地が1つ増えました!
エッセイ自体は物語に比べてやや文章がお堅く見えますが、どうやら先生はエッセイがあまり得意ではないようで……。意外な先生のお姿も発見できるのも、本作の魅力です。 とはいえ、テンポよく繰り出される言葉遊びは健在! リズムに任せて軽やかに、ズンズン読めてしまうところは、さすがの森見先生だなぁと思います!
2022年07月20日 -
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男に媚びない、というポリシーで活動してきた5人組女子アイドルグループ「デートクレンジング」。
彼女たちが解散した後、その女性マネージャー・実花が婚活にチャレンジする様子を、親友の既婚者・佐知子の目線から描いたストーリー。
結婚に対する社会的な風潮への疑問視が、きれいごとではなく自然な流れで描かれていて安心しました。
特に、ジェンダー的な目線でアイドルを運営してたことを誇りに思っていた実花が、婚活市場では男ウケを狙わないといけないというジレンマに翻弄されていく場面は本当に胸が痛くなりました。
そして同じように、「独身の女性と、先に結婚してしまった女性の友情は本当に続くのか」というテーマも、身近に感じている悩みだったので、登場人物たちの一緒に悩むことができて、救われた気持ちになりました。
そして、作中に登場するアイドルたちのその後の人生も素敵です。
アイドルのファンである著者だからこそ描ける、祈りのような理想に、しみじみと感動しました。
何かを必死で応援したことがある、悩める女性たちに読んでほしい一冊です。2022年07月20日 -
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アイルランド人の父と日本人の母を持つ「ぼく」が過ごす、英国・ブライトンでの中学校生活の最初の1年半を綴りながら、母である著者が英国だけでなく世界にはびこる社会問題を問う作品。
人種差別的な発言を繰り返す友人とどう付き合っていくのか。今にも擦り切れそうな制服を着ている友人にどうしたら傷つけずに中古の制服を渡せるのか。
様々な出来事や難題を素直に受け止め、悩みながらも自分なりに考えて行動していく姿に感嘆すると同時に自分だったらどうするだろうかと、とても考えさせられた。
多様性とは?共感力とは?アイデンティティとは?
扱っている内容は社会科の教科書のようだが、非常に読みやすく、内容がすっと頭に入ってくるのも本書のよいところ。
グローバルな世の中を生き抜く現代人はぜひ一度読んでみてほしい1冊。
2022年07月20日 -
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著者は「先ちゃん」の愛称で親しまれ、大ヒットマンガ『3月のライオン』の監修として、また洒脱なエッセイでも知られています。
私は先ちゃんの、棋士の日常を鋭く見つめた文章が大好きでした。
ライバルであり友人でもある同業者を書く時の、温かすぎず、でもクールすぎない視点は、棋士の中でも彼しか持ちえないのでは、と思っていました。
そんな先ちゃんの、うつ病闘病記。
得体の知れない病魔に立ち向かい、我を忘れたであろう時のことを書いても、先ちゃんは自分自身のまなざしを失っていませんでした。
いつものエッセイの時の切れがない、という評もどこかで目にしましたが、ここまで分かりやすく、淡々とした文章でうつ病を描いた本を私は知りません。それはとてもすごいことだと思います。
脳の病気なのに心の病気だと思われてしまうなど、うつ病への間違ったイメージをどうにか払拭したい思いが行間からにじみ出ていて、胸を打ちます。
2022年07月20日 -
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かの有名な美脚の美魔女が歌う某曲と2文字しか違わないのに、こんなにも響きが変わるこのタイトルの秀逸さ…!
コラムニストのジェーン・スーさんが、今までに対談したことのある光浦靖子さん、山内マリコさん、中野信子さん、田中俊之さん、海野つなみさん、宇多丸さん、酒井順子さんとはもう一度話したい気持ちで、そして初対談の能町みね子さんとはじっくり話をしてみたい気持ちで、あえてテーマを設けずにされた対談がまとめられたこの本。ご本人が「ゲラを読んでいて、随所に蛍光ペンを引きたくなった」とまえがきに書いておられるとおり、読んでいる間じゅう、私も蛍光ペンを引きたくなる箇所がたくさんありましたし、ブンブンうなずいたり激しく膝を打ったり、非常にのめりこんで一気に読み終わりました。また、対談のお相手がいろいろなジャンルの方で、本当にいろいろな角度から「人生とは」「生きるとは」「加齢とは」などということを考えさせられます。
「四十にして惑わず」と言うけれど、45歳になってもいくつになっても、惑うし悩むし、でもいろいろ更新しながら生きていくのだなぁと、諸先輩方(一部は後輩)のお話を聞いて楽になった気がします。そして、男性性を求められることに息苦しさを感じている男性にも、ぜひ読んでいただきたい本です。2022年07月20日 -
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発売以来、日本中に愛されているエッセイの名作!
さくらももこ先生の日常の出来事を描いたエッセイ。みなさまお馴染みのあのキャラクターたちが登場します。
「『こんなもの買わなきゃよかった』という物をすべて返品したら、総額いくら返ってくるであろうか」。これは作中で最も好きな一文です。「フッ」と笑ってしまう台詞ですが、浪費癖のある私にとっては気になるテーマ。みなさまはどのくらいの金額が返ってくるか知りたくはないですか?
「日々の生活が何だかつまらない…」と感じている方に、是非読んでいただきたいです。
作品の世界観に魅了され、日常を愛おしく感じること間違いなしです!2022年07月20日 -
ブックライブ書店員
女同士の戦い?格差?この作品は、そんな言葉では表せません。
東京育ちで何不自由なく育てられた箱入り娘の華子と、富山から名門大学に入学し上京してきた美紀。世襲され固定された社会階層のなかで、幸一郎という1人の男性をめぐって彼女たちが自分の人生と向き合う、映画化もされた話題作です。
生まれや育ちに少なからず影響を受ける現代社会の私たち。異なる環境で育ってきた人と自分を比較して、何か違う…と感じたことはありますか?しかし、その「何か」を言葉にすることはできない。そんな、「誰も言葉にできないけれど目の前に確実にある普通」を作者は巧みに描いています。
1度読み始めたらページを捲る手が止まりませんので、ご注意くださいませ。
2022年07月20日 -
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すっかり人気が定着したジャンルの1つ、中華風後宮が舞台の(これもある種の異世界?)ファンタジーである本作。主人公である陶蓮珠は三十路手前になる相国の女官吏だが、例え上司であっても間違いは指摘する正義感が煙たがられ、さまざまな部署をたらい回しにされて、今では「遠慮がない・色気がない・可愛げがない」で知られている。ある日、業務で訪れた他部署で、隣国である威国人の絡んだ諍いを威国語を使って仲裁したところ、その様子を見ていたと思われる武官らしき人物から「威国語のできる未婚女性を探していた」「おまえを嫁にほしい」「準備はすべてこちらで」「それが済み次第、迎えをやる」と畳みかけられる。何かのネタかと思った蓮珠は受け流すが、後日やってきた丞相に連れていかれた先には例の武官がおり、なんとその武官は新しく帝位についた皇帝の双子の弟である郭翔央で、本当に自分の嫁になってほしいのだと言う。しかしそれは、雲隠れした皇帝とその妻である威国の公主を、2人で身代わりを務めながら秘密裏に探し出すという目的のためで、無事に皇帝夫妻が見つかった暁には離婚の上、上級職へ推挙し、出世に必要な殿試という試験を受けられるように取り計らってくれるとまで言われた蓮珠は、覚悟を決めて翔央の申し出どおり結婚して依頼を果たそうとするのだが、果たして皇帝夫妻は見つかるのか? そして蓮珠と翔央はどうなるのか?
女性が後宮の女官としてではなくしっかり官吏として仕事をしていたり、蓮珠があり得ないくらい無鉄砲にあちこちへ首を突っ込んだり、いろいろな意味でファンタジーな点もたくさんありますが、いつも明るくポジティブな蓮珠が持ち前の正義感と行動力でがんばる姿は、読んでいて元気をもらえる気がします。こちらも定番化している「身代わり結婚」「契約結婚」のお話としても非常におもしろく、まずは結婚から始まった2人の関係は早々に相思相愛っぽくなっていくものの、身分の差や周囲との関係はもちろん、蓮珠の身の上などの伏線が絡み合って、ハラハラドキドキが止まりません。中華風なエッセンスは軽めですが、読みやすいので中華風ファンタジーの入り口としてオススメ。コミカライズ版もありますので、こちらも是非。2022年07月20日 -
ブックライブ書店員
老い(加齢)が主題のエッセイでこんなに爆笑できるとは思いませんでした…!
JJ(=熟女)仲間の皆様が読めば「わかる!」と膝を打ちたくなる共感エピソードが盛りだくさん、いつかJJとなる若い女性の皆様へも様々な固定観念を打ち砕いてくれるパワーワードが満載です。
若い頃に「今が一番いい時だね」、「そういうの男ウケしないよ」等々の呪いの言葉をかけられた女性、多いのではないでしょうか。
そういった呪いを「無駄無駄…!」と吹き飛ばせる胆力があればいいのですが、なかなか難しいものですよね。
本書はそういった呪いをばっさり斬りつつ、JJ生活の楽しさ、悲哀についてリアルに語られています。
体力的な衰えも事実として受け止めつつ、だからこそ気張らず力を抜いていきましょう(気張ると死ぬので)、というスタンスのため、悲壮さは一切ありません。
全体的に文章の切れ味が鋭く、読んでいてスカッとするので、女性の皆様はストレス発散に。女性の本音が知りたい男性の皆様にもおすすめです。2022年07月20日 -
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時代を超えて色あせない魅力を放つ、ホラーサスペンスの金字塔!
主人公・クラリスは成績優秀なFBI訓練生。ある日、上司のクロフォードに呼び出されて、元精神科医にして凶悪犯のレクター博士に会うように命じられます。目的は、巷を騒がせている連続殺人犯"バッファロウ・ビル"のプロファイリング。
クラリスはレクター博士から、"バッファロウ・ビル"について聞き出そうとします。彼はクラリスに興味を持ち、ある条件を呑んだらプロファイリングを手伝うと申し出ます。
その条件とは、クラリスの少女時代のトラウマを教えることであり……。
本作の魅力はなんといっても、レクター博士の強烈なキャラクターです。
彼は人食い殺人で収監された危険人物でありながら、こちらが礼儀を失さないかぎりは理知的な紳士としてふるまうのです。間違いなく悪人なのに、嫌いになれない……このギャップこそ、彼の一番恐ろしいところなのかもしれません。
博士は底知れない狂気とカリスマ性で、多くの読者をとりこにしてきました。筆者もそのひとり。レクター博士が次に何を言い出すか戦々恐々としつつも、その言動に目が離せず、一晩で一気読みしてしまいました。
映画史に残る傑作『羊たちの沈黙』の原作にして、ベストセラー小説でもある本作。博士とクラリスの、命をかけたやりとりの緊迫感を、ぜひ味わってみてください。2022年07月20日 -
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「きょうとへむかって、いちごうせんを……にきろ、ばーすーてーい、じょーなんぐーの、べんちの、こしかけの、うら」
かつて日本を震撼させたある脅迫事件。
被害企業との接触に使われた録音テープの声は、幼いころの自分の声だった……。
知らないところで犯罪に関わっていたことを知り、真相を明らかにするため動き出した曽根(そね)。一方、新聞記者の阿久津(あくつ)もこの未解決事件を追い始め……。
衝撃の事件の「真実」を生々しいまでのリアルさで書き切った本作。
「週刊文春ミステリーベスト10」では第1位、第14回本屋大賞にもノミネートされています。
話が進むにつれ徐々に明らかになっていく真相に、ページをめくる手が止まりません。
自分のあずかり知らないところで犯罪に関わっていたかもしれない、と自らも追われる立場になることへの恐怖を抱く曽根。反対に、不明瞭な事件の真相に近づき、得も言われぬ興奮を覚える阿久津。異なる立場の2人の、細やかな心理描写にも注目です。2022年07月20日 -
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「苦悩こそ、まさしく自意識の第一原因にほかならないのだ。」
主人公の自意識ゆえの苦悩・思想が語られる前半と主人公が過去に経験した3つの出来事が明かされる後半という2部構成になっている本作は、社会と関係を絶ち、自ら地下に閉じこもった、小官吏である主人公の独白を通して、人間の本質に迫る。
「意地悪にも、お人好しにも、卑劣漢にも、正直者にも、英雄にも、虫けらにも。」
何者にもなれなかった主人公は、極端な自意識という地下室から出ることはできないのでしょう。もはや出ようともしないのかもしれません。ここまで緻密に、克明に、自意識に向き合った作品はないのではないでしょうか。
肥大化する自意識に苦しむ現代人にこそ読んでいただきたい、文豪ドストエフスキーの傑作です。2022年07月20日 -
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村西とおるの印象は学生の頃「パンツ一丁」でテレビに出てルー大柴と丁寧語をミックスしたようなしゃべり方をするをするよくわからない職業の人という印象である。後ほど職業を知って唖然としたのだが・・・読んでみての感想は狂気に満ちた毎日爆弾が落ちてくる人生でよく生きていられるなという印象。前科七犯でも懲りず借金50億作っても懲りず突き進む。生きているという実感のために狂気を発しながら生きるという印象です。そしてこの本を読んでもうひとつ気になったのがあの頃テレビにやたら出ていた黒木香嬢・・・当時インテリでお育ち良さそうな人がなんでこんなことをしているのだろうと思ったのをよく覚えてます。彼女が今も無事であることを願うばかりである。本の帯に「人生、死んでしまいたいときには、下を見ろ! おれがいる」とありますが少しでも悩みがある人におすすめの1冊です。「狂気」と「熱量」と「いかがわしさ」で少しは「ナイス」な気分になれます。
2022年07月20日 -
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「叩きつぶされることはあっても、負けやせん」
自らを慕う少年に見送られ、一人漁に出た不漁続きの老漁師。やがてその釣網にかかったのは、見たこともない巨大なカジキだった。老人とカジキは死闘を繰り広げるが・・・
カジキとの対決の際、老人からは何度も「あの子がいてくれりゃ」というセリフが出てきます。あの子とは自らを慕ってくれている少年のことでしょう。実際には少年はその場に存在せず、一人でカジキと戦わねばなりません。「人は人を望むが、結局は孤高に戦わねばならない」ということを暗に示しているかのようです。
自然の雄大さ、脅威。そして、それらと対峙する人間の、老いてもなお失うことのない尊厳。眩しいほどに力強い作品です。ぜひご一読ください!2022年07月20日 -
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「戦争は平和なり 自由は隷従なり 無知は力なり」
〈ビッグ・ブラザー〉率いる党が支配する近未来では、ありとあらゆることに統制が加えられる超全体主義的な社会が成立していた。真理省記録局で歴史の改竄に従事していた主人公・ウィンストン・スミスは、奔放な美女ジュリアとの出会いを契機に、反政府地下運動に惹かれるようになっていく…。
先の見えない不安な時代に売れると言われる本作品。トランプ大統領が就任した際、アメリカ国内での売上ランキングで1位となり話題になりました。また、ノルウェー・ブック・クラブの「世界最高の文学100冊」にも選ばれ、世界中で高い評価を得ています。こんな社会はありえないだろう…とページをめくっていくうちに、『一九八四年』的未来はSFにとどまらないのかもしれない…と考えはじめてしまうでしょう。現代を生きる我々に警鐘を鳴らす一冊です。2022年07月20日 -
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「人間とは、いったい何なのか」という問いを徹底的に突きつける、名作SFファンタジー!
舞台は、1000年後の遠未来・日本。人間は、呪力と呼ばれる念動力を持ち、バケネズミという異類に”神様”として崇められていた。主人公・渡辺早季(わたなべさき)は、自然豊かな神栖(かみす)66町でのびやかに育った少女。全人学級と呼ばれる学校で念動力を磨く彼女は、ある日、友達とともにこの世界に隠された「ある秘密」を知ってしまう。それは、先史文明(つまり過去の日本)が、1000年間のうちにたどった血塗られた歴史だった……。
誰にでも、空を飛べたら、と夢想したことがあるだろう。空を飛べるようになったら、歩かなくていいし、電車運賃を払わなくても遠くに行ける。でも、実際にそんな力を手にした「特別な人間」が生まれたとき、人間社会がどうなってしまうのか、ということまで考えた人はあまりいないのではないか。
病的に美しいディストピアとなった日本。ある日突然消えてしまう子供たち。謎に覆われた生まれ故郷。人間と異類……。その謎が解き明かされるとき、読者はいつのまにか最後まで読み進めてしまうだろう。2022年07月20日 -
ブックライブ書店員
表題作「白いメリーさん」のタイトルに惹かれ、読んでみました。メリーさんと言えば、40代以上の横浜市民にとっては知名度の高い人物かもしれません。私が初めてメリーさんを見たときの衝撃は忘れられません。小学生の頃「横浜高島屋」の入口の椅子に、全身白ずくめで白いドレスに白い靴、髪も真っ白のおばあさんが座っていました。顔も真っ白な歌舞伎役者のようなメイクで、陶器の人形かと思い、つい触ろうとしてしまいました。メリーさんの生業など知っている叔母から「近づいてはいけません」と言われたのをよく覚えています。それから20年くらい経ったある日、本当におばあさんになって、昔と変わらない格好をしたメリーさんを横浜駅で見かけました。変わらない存在感だったのを覚えています。多分それが最後だったと思います。「白いメリーさん」をはじめとしたそれぞれの作品は、とてもブラックでシュールで、そして恐さと笑いが入り交ざっているような短編集となっています。古さと新しさの両方を求めている方にぜひおすすめの1冊です。
2022年07月20日
