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4.1どうしたら普通に見えるんだろう。どうしたら普通に話せるんだろう――。いつもまわりから「変」と言われ続けてきた高校生の田井中は、自分を異星人のように感じていた。友だちが欲しいなんて贅沢なことは言わない。クラスのなかで普通に息さえできたなら。そのためならば、とむかしから好きでもない流行りの歌を覚え、「子供らしくない」と言われれば見よう見まねで「子供らしく」振舞ってもみた。でも、ダメだった。何をやっても浮き上がり、笑われてしまう。そんな田井中にとって唯一の希望は、担任の美術教師・二木の存在だった。生徒から好かれる人気教師の二木だったが、田井中はこの教師の重大な秘密を知っていたのだ。生きづらさに苦しむ田井中は二木に近づき、崖っぷちの「取引」を持ち掛ける――。社会から白眼視される「性質」をもった人間は、どう生きればよいのか。その倫理とは何か。現代の抜き差しならぬテーマと向き合いつつ予想外の結末へと突き抜けていく、驚愕のエンタテインメント。2019年ポプラ社小説新人賞受賞作。
ユーザーレビュー
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匿名
購入済み普通じゃない皆んなから変わってると言われる少年とごく平凡な教師に見えるけれど、とんでもない闇を抱えてる先生。すごく難しいテーマで、自分でも受け入れられるか何度も考えたけれど答えが出ない。
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Posted by ブクログ
ネタバレこの結末がベストだと思います。
広一に新人賞は恐らくまだ早いだろうから、嘘がバレることは無い。
二木先生もずっと黙っていたことを告白できて、丸く収まった訳では無いが、多少心に余裕はできたでしょう。
広一は子供ゆえに純粋過ぎた。
自分の存在を白黒ハッキリさせる必要なんてない。
ハッキリさせることで自分が傷つく、自分が自分でいられなくなるなら、グレーでいる事が1番平和だ。
グレーは決して悪いことではない、上手く生きていく武器である。
そして、この小説で私が一番「この人やばい…」と思ったのは二木先生でも広一でもなく、吉田だった。
いじめのシーンでとても腹が立ったが、その後二木先生との対峙で、彼は -
Posted by ブクログ
秘密を隠し普通を擬態する二木。そうありたいとその生き方を目指そうとするのか広一。
出だしは変態度マックスで始まる。二木の暮らし方、広一の創作、吉田の嗜虐と対決と盛り上がりが続く。
二木の嗜好と持論については分かる気がする、のか?自分でもわからなくなった。
誰にも迷惑はかけていない。その通り。その趣味の本も商業誌としてある。だが一般論、正論としてはおかしいし、近寄りがたいものだ。
誰でも人に言えない秘密なんてあるが、自分の中で完結していれば問題ない、のか?ガンガン問題提起される。
二人の関係性も不思議だ。ある種の友情らしきものも感じるが互いに欺いているようだ。でも何か奥底では繋がりがあったのだと -
Posted by ブクログ
ネタバレ素晴らしいと思う。
「普通」の枠からはみ出た田井中と二木。2人のなんと名付けたら良いのか分からない連帯。行き詰まる駆け引き。「普通」って平均値みたいに実体の無いもので、演技目標だなって思う。演技試験の及第点にいくかいかないかで選り分けられてしまう。擬態もままならなかった田井中が急に演技派になったので、一番いいところで笑いが出ちゃった私も「普通」からはみ出ちゃうのかしら。ひたすら性格悪い吉田も最後はなんだか切実さがあって良かったな。
作中作の田井中の小説はぜひスピンオフで読みたいくらい面白いと思った。
小児性愛を持っている人が子供に関する仕事をするのはあらゆる意味でリスキー過ぎるのでやめたほう