あらすじ
この社会は残酷で不愉快な真実に満ちている。「日本人の3人に1人は日本語が読めない」「日本人は世界一“自己家畜化”された民族」「学力、年収、老後の生活まで遺伝が影響する」「男は極端、女は平均を好む」「言語が乏しいと保守化する」「日本が華僑に侵されない真相」「東アジアにうつ病が多い理由」「現代で幸福を感じにくい訳」……人気作家がタブーを明かしたベストセラー『言ってはいけない』がパワーアップして帰還!
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医学部をはじめとする大学入試における性差別。あれってどうしてなのか?得点を調整することなしに試験を行えば募集人員に対する女性の比率が高くなるから。それはそうかもしれないけど、どうして?なんで?そこまで明確に答えているメディアは少ない。つまりは言ってはいけない、人によっては残酷で不愉快な不都合な真実だから。
本書はみんな思っていても口には出せない、タブーとされている事柄を100に近いエビデンスを元に解き明かしているベストセラー『言ってはいけない』の続編です。
前作にはない「ゲイ遺伝子」「自己家畜化が最も進んだ日本人」など、人によっては受け入れ難い理論はもちろんですが、全体的には前作を踏襲した内容になっており、この本だけでも十分な内容です。
また、著者の他作品を読んだことがある方ならわかると思いますが、本書はそんな不愉快な内容を書いて世間を驚かせてやろうというトンデモ本ではありません。「日本人とは何者で、どのような世界に生きているのか。」「残酷で不愉快な真実があるなら、どうやって生きていくべきか。」これをもう少し考えてみようという主旨であり、タイトルとは裏腹に勇気を貰える良書です。もちろん残酷な真実を受け入れる覚悟があるのなら、という前提ですが…。
日本人についてもっと知りたい方は『(日本人)』を、現代社会全般を知りたい方は著作を総まとめした『幸福の「資本」論』がおすすめです!
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Posted by ブクログ
・言ってはいけない残酷な真実。人種や進化論に触れ差別としてタブーとされてきた領域にたくさんの統計と根拠をもとに語られていく。
・現実を見ないようにするのではなく、現実を知ってその上で自分に何ができるかを考える方が有意義だと私は思ったので、とても勉強になった。
以下ネタバレ
・アイデンティティとして最適なのは自分は最初から持っていて、相手がそれを手に入れることが絶対に不可能なものだ。黒人は白い肌を持てないし、男であることはミソジニーを生み出した。
変更可能なアイデンティティもあるが、自分たちが本物で奴らは偽物という別の問題を引き出す。ISやキリスト教原理主義はそれの最たるもの。国籍も変えることができるが、だからこそ、在日認定や移民を毛嫌いする。こういう変更不可能なアイデンティティに固執する人は、それ以外に自分を表すアイデンティティを持っていない人が多い。
・統計的事実と定義は違う。定義はたった一つの例外です崩れるもの。統計的事実を経験的事実(外れ値)で否定することはできない。
・「氏が半分、育ちが半分」だが育ちは子育てと友だち関係に分けられる。子どもは遺伝的な違いをフックとして、友だち関係のなかで自分を最も目立たせるようなキャラを作っていく。
・同性愛は生産性がないというのは事実として間違っている。ゲイの家族を持つ女性は多産傾向がある。ゲイとは男にモテることであり、その遺伝子を持つ女性も当然男からモテやすく、結果的に多産になる。だから同性愛者は生産性がないと言うのは統計学的に見ても間違っている。
・言ってはいけないではなく、それを前提にどう改善していくかという視点。
・政治的にリベラルな人は保守的な人に比べて知能が高いことがわかっている。
・言語的知能が低いと世界を脅威として感じるようになる。なんらかのトラブルに巻き込まれた時に、自分の行動を相手にうまく説明できないからだ。子供の頃から繰り返していると、言語的知能の高い子供は見知らぬ他人との出会いを恐れなくなり口下手な子どもは親族や友人の狭い交友関係から出ようとしなくなる。
・自分の方がほんの少しできることにすべての可能性を賭けることで、その長所を最大化する。
・旧石器時代以降の人類社会のリーダーは、石槍の発明でジャイアントキリングな起きやすくなったため、仲間を平等に扱わなければあっさり殺されてしまう。現代の石槍はSNSか。
・日本人はセロトニン濃度が生得的に低い。セロトニンはハッピーケミカルと言われ気分の安定に重要な役割を果たす。つまり日本人は鬱になりやすく、合わせて自殺者が多い、国民の幸福度が低いなどに影響を与えていそう。
展開不安感の強い人間は将来を心配し、そのため現在の快楽を先延ばしにする。必死に勉強し、真面目に働いて倹約に勤しむことで経済的な成功を手にする。
・トランプ現象が明らかにしたのは、ほとんどの人は事実など求めていないということだ。右か左かにかかわらず、人々は読みたいものだけをネットで探し、自分たちを善、気に入らない相手に悪のレッテルを貼って、善悪二元論の物語を語る。
Posted by ブクログ
面白かった。世の中にあふれるきれいごと社会に深く切り込んでいる。人種と遺伝子というタブーを打ち破って根拠とともに日本人とは何かという問に答えている。コロナでもご活躍した道徳警察はまさに村社会で家畜化された日本人の性質を象徴している。正義を振りかざすときドラッグと同じ快感物質が脳内で分泌されることが明らかになった。そうやって日本人は効率の良い繁栄を遂げてきた。悲しいけど気持ちが良いくらい府に落ちてしまう。
Posted by ブクログ
「マイノリティの尊厳を大切にしたい人ほど能力の優劣を否定する」って確かにそうだよなあと思った。「みんな同じだから差別はだめ」ではなく、「みんな違うから差別はだめ」なのだろう。
ゲイの遺伝子が受け継がれる理由の考察が面白い。「男から見て魅力的」な特徴を持つ遺伝子が女性に受け継がれれば、その遺伝子を持った女性は男性から魅力的に見えるのではないかという考察。芸能人にゲイが多いのも、人目を引く特性をもともと持ってるのではないかという。
うつになりやすい人の見解も面白い。てっきり悲観的な感情を持ちやすくポジティブな感情が控えめかと思えば、ネガティブなものにもポジティブなものにも敏感なのがうつになりやすい人ということだそうだ。ネガティブな気持ちやポジティブな気持ちなど単一な感情に焦点を当てるのではなく、気持ちの浮き沈みが激しいかどうか、敏感かどうかが本来原因なんだなと納得もした。
Posted by ブクログ
新書大賞受賞の「言ってはいけない」の続編?で、こちらでは日本人が「自己家畜化」された民族であることを説明する。その過程で知能と遺伝の「もっと言ってはいけない」話、出るは出るは・・・衝撃的な内容の故に、著者のエビデンスに拘った姿勢が印象的。問題は「事実」を突きつけられた読者の方にあるでしょう。必読の書。以下、目次(ネタバレあり)。
<まえがき 日本人は世界でもっとも「自己家畜化」された特別な民族>
<プロローグ 日本語の読めない大人たち>
日本人の3分の1は日本語が読めない?
先進国の成人の半分はかんたんな文章が読めない
無意識は高い知能をもっている
知能とポピュリズム
知識社会に適応できるのは1割強
<1 「人種と知能」を語る前に述べておくべきいくつかのこと>
なぜ知能が問題になるのか?:善悪二元論の平板な世界しか理解できない人々の存在
→知識社会における経済格差=知能の格差
統計的事実とブラックスワン:統計的事実は外れ値で否定できない
差別とは合理的に説明できないこと
遺伝率と遺伝決定論
同性愛は生得的なものか?
「ゲイ遺伝子」の発見
同性愛はなぜ自然選択されたのか?:魅力を上げる遺伝子→子だくさん
リベラルな社会ほど遺伝率が上がる:環境因子が減少するため
<2 一般知能と人種差別>
白人と黒人のIQのちがい
レイシストは誰か?
捏造された知能のデータ
一般知能は「統計的実在」
IQの高い黒人の子どもたち
年齢とともに遺伝率は上がる
教育への投資効果は年率10%?
教育無償化は社会的弱者の子どもたちへ
お金を渡せば教育効果は高まるのか?
先進国の知能は低下しはじめている
極端な男の知能、平均的な女の知能
知能とは知能テストが測ったもの
<3 人種と大陸系統>
すべてのヨーロッパ人の祖先
私もあなたも「天皇家の遠縁」
犬種を論じるのはイヌ差別?
人種は社会的構築物
人類はかつて水生生活していた?
赤ちゃんはなぜ泳げるのか?
サピエンスの誕生は77万~55万年前
覆される通説
サピエンスはユーラシアで誕生した:一度アフリカに渡って再度「出アフリカ」
ネアンデルタール人になにが起こったか?
「出アフリカ」はわずか1000人?
ヒトの「進化」は加速している
遺伝と文化は「共進化」する
<4 国別知能指数の衝撃>
アボリジニのIQは高い
学力ランキングはよくてIQランキングは差別?
知能の基準はサン人
寒冷地への移住で知能が上がる
ヨーロッパはなぜ北にいくほどIQが高いのか?
宗教改革と知能
科挙が東アジア系の知能を上げた?
稲作というイノベーション
産業革命と勤勉革命
アメリカ黒人の知能は高い
ユダヤ人の知能は高くない?
パレスティナ人はイスラームに改宗したユダヤ人
キリスト教の誕生とユダヤ人の知能
差別から生まれた「高知能集団」
バラモンの知能
ヨーロッパ人とインド人は同祖集団
言語的知能が低いと保守的になる?
知能の高い国はリベラルになる?
制度決定論は「空白の石版」
<5 「自己家畜化」という革命>
成功した日本人移民
生き延びるために賭けるもの
日本にはなぜ華僑財閥がないのか?
「遺伝決定論」を否定したヒトラー
弥生人の“ジェノサイド”
「下戸遺伝子」でわかる弥生と縄文の遺伝分布
アメリカ社会でもっとも成功したアジア系移民
アファーマティブ・アクションで「差別」されるアジア系
アジア系は内向型人間
ペットになったキツネ
石槍という「大量破壊兵器」→クリストファー・ボームの「自己家畜化」論へ
道徳の起源は相互監視;娯楽快楽としての「正義」
農耕という第二の「自己家畜化」:攻撃的人間の排除
チワワとドーベルマン:家畜と野生→優劣の問題では無く適応の問題
<6 「置かれた場所」で咲く不幸――ひ弱なラン>
高い所得をもたらす性格とは?:真面目で明るく、落ち着いている
内向的な脳と外向的な脳:扁桃体の感度の違い
セロトニンとうつ病:セロトニン・トランスポーターの遺伝子型との関与
楽観的な脳・悲観的な脳
敏感と鈍感の進化論
日本のリベラルは睾丸が小さい?
なぜ日本人は子どもとまちがえられるのか?:ネオテニーとの関連
日本人は「ひ弱なラン」
咲ける場所に移りなさい
<あとがき>
筆者の立場が「リベラル」と知って一安心。
Posted by ブクログ
遺伝について取りあげ、前作よりも特に人種について深掘りして書かれていました。
社会に適応していくため、私たちが進化してきたことを世界史を交えて話されていました。
日本人にうつ病になりやすいのも稲作を集団で行うムラ社会に適応するため、変化や刺激に敏感になるよう進化したということには驚きました。
Posted by ブクログ
もっと言ってはいけない 橘玲 新潮社
身体的遺伝は70%前後で
心に関する遺伝は90%に近いと言う確率で証明されているらしいが
日本の社会では禁句のようだ
つまり中学以上の成績は遺伝によることが多くやればできると言う考えは残酷だと言う
行動遺伝学によればIQの遺伝率が77%だと言うから猛勉強で何とかなるわけがない
人種による認知能力に違いがあるのも地域による遺伝率の差によるのであるらしい
Posted by ブクログ
「自己家畜化」というパワーワード
・農耕社会では、温厚な気性が選択的に優遇された
・工業社会や知識社会では、農業を経験した人種の方が適応度が高かった
科学とテクノロジーの進化に、ヒトの遺伝子が適応できていない。
絶賛進化中なんだが、そして進化の速度は早まってはいるのだが、
一度プログラムされたものを上書きするには、それなりの年月を要する。
今世紀中、もしかしたら30世紀になっても、私たちはこの不愉快な世界で
いきていかなばならないだろう………あとがきの要約です。
分断、格差、相互監視、SNS依存などがもたらす不愉快な世界。
あるものを、ありのままに受け入れることができない、型落ちしつつある脳。
一読後、暗澹としてしまうにこでした。
「言ってはいけない」ことに抗う勇気を持てればいいんかな。
Posted by ブクログ
非常に衝撃的な内容だった。アンジェラダックワース博士のGRIT理論とかスタンフォード大学のキャロルドウェック博士の成功理論は一体どうなるんだ??という疑問は残ったままだが、世界で地域によって知能の違いが若干あるわけの考察や、ゲイの考察、性格の遺伝率の話はとても興味深かった。全体的には身もふたもない話で、教育についてはうーん、と考え込んでしまったが、では、この先私達はどこに行くのだろう?知能は全体的に上がっていくのか、二極化が進むのか?それともAIによって退化していくのだろうか?疑問はつきない。
Posted by ブクログ
遺伝子がどれだけ人間の性質を定めているのかを侮ってはいけない。よって、自分がどのような遺伝的性質をもつのかを冷静に把握しなければならない。その性質をある種の自分の"トリセツ"と考えて生きていくという割り切りも必要だ。参考としてビッグファイブ診断を受けたが、3回受けても全て信頼性がC(S~Cの4段階でCの場合は再回答推奨)だったので呆れてしまった。ちっとも性質が客観視されなかったが、経験則による主観的判断に任せることにした。
人種による知能や性格の話は興味深く、世界の情勢を根本的な要因から観察することができる良い知見だった。
冷静になって自分や社会を見つめようとする際に再び開きたい書籍。
Posted by ブクログ
こういう説がある、くらいに留めておくのが正しい本ではあるけれど、やっぱり面白い。
理想と現実は違う。遺伝には差がある。しかし、その遺伝が有利か不利かは社会によるのだろう。
Posted by ブクログ
世界史とか遺伝子工学とかごっちゃになった本。ネイティブ・アメリカンの呼称が原住民にどう思われているか。という話が面白かった。しかし難しい本。オスはジェノサイドされてメスは交雑される世界観は恐ろしい。分断と統治。東アジア系は不安感が強く目先の利益よりも…という結論は刺さる。我々は睾丸が小さい。
Posted by ブクログ
進化心理学
知能の遺伝率
“幼児期には環境要因の影響が大きいが、成長につれて基本遺伝率に回帰していく。お受験は親の努力(環境要因)だが、思春期の高校受験、大学受験の時期には遺伝の影響度が大きい。
●発達行動遺伝学
「知能に対する遺伝の影響は成長とともに高まり、幼児教育の効果は思春期になるとほぼ消失する」
Posted by ブクログ
前作との重複、仮説が多くてやや残念。
メモ■他人の道徳的な悪を罰すると快楽物質のドーパミンが放出される。正義は最大の娯楽の一つ。■東アは早くから農耕文明→村社会に適応するため言外の意味やニュアンスを大事にする高コンテクストなコミュ←セロトニン運搬遺伝子が短いS型で悲観的な脳(反対はアフリカに多いL型) ■東アの成人の外見が子どもなのは村社会で脅威とならぬ個体が残った為。■悲観的な脳はポジティブな事柄にも敏感に反応。故に置かれた場所によっては美しく咲けるひ弱なラン。楽観的な脳はどちらにも鈍感なだけのタンポポ。
Posted by ブクログ
敏感なのは、不安や抑うつだけじゃなく、幸福にも敏感。環境や相手に影響を受けやすいランのようなもの。高コンテクストなコミュニケーションのなかで育った敏感な性質とうまく付き合って、そして、それを長所として活かせるように、咲ける場所を探して行きたいと思った。
Posted by ブクログ
1,2,5章は興味深かった。3,4章は本書のテーマである「タブー」とはまたちょっと離れた、単なる人類学の話のような気がして退屈な印象。前作の方が面白かったが、かと言って何も得るものがなかったわけでもないので、星3という評価。
Posted by ブクログ
・4章くらいまでは前作の繰り返し的な内容が多く退屈に感じた。それ以降はまあまあ。
・差別的言論とは、相手が不快に思うかという情緒的な判断ではなく、アカウンタビリティ(証拠によって合理的に説明できる)で判断するのが原則。
・日本人の三分の一は読解力がない(日本語が読めない)、三分の一以上は小学4年程度の数的思考力しかない。でも先進国の中でもこれでもマシな方。→そりゃあフェイクニュースを信じる人が多いし、論理的思考できる人は少ない、ポピュリズムが台頭する
・すべてのヨーロッパ人の共通祖先は600年辿れば1人の男か女にたどり着く。すべての地球人の共通祖先は3400年前という説→人類みな遠縁は遺伝子的に正しい
・ヨーロッパ人は産業革命で資本集約型になったことに対し、日本は勤勉革命で労働集約型になった。日本は平地の少ない国土で稲作型村社会で人口を養う必要があり、多くの人手に仕事を回して共存しないと秩序が壊れるため。農業に家畜を使わないことからも人手を意図して重視している。遊牧民は秩序が壊れたら移住すればいいし、ヨーロッパの小麦作型は土地が広くて村社会度は低い。
・日本に華僑財閥がない理由は、東アジア人は知能が同じくらいので優位性がないから。
・同じ中国人でも北部と南部は遺伝子的に違う。南部の人が漢字と儒教を受け入れて中国人になった。実際に広東語や上海語と北京語は全く違う。南部の人が弥生人として日本にやってきた。下戸遺伝子は南部に多く、度数の低い紹興酒が好まれる。北部は少なく白酒が好まれる。下戸遺伝子保有率は北部15%,南部23%、日本は24%。日本はエリアでも差があり近畿を中心とした本州中部に下戸が多く、東北、九州四国などは少ない。これは酒文化にも表れている。
・ヒトは旧石器時代に暴力性が抑制されたという説がある。石槍が発明され、身体の大きなボスもいつ殺されるかわからなくなった。ボスは集団を平等に扱い不満がでないようにする必要性がでた。また、徒党を組んだり政治的知能や言語能力が必要になった。社会が平等主義になると極端な自己中や暴力的なやつは殺されたりハブられたりして遺伝子的にも薄まっていった。
・集団の秩序を保つには自分勝手な行為を取り締まる必要がある。これに効果的な方法が、不道徳な行為に怒りを感じ、罰することが気持ちいい本能をもつこと。これが道徳の起源なのではないか。この本能をみんなが持ち、みんなが道徳警察として相互監視をすれば秩序維持のコストは下がる。実際に道徳的悪を罰するとドーパミンがでる。ヒトにとって正義は娯楽なのだ。→不倫炎上や正義マンの発生する理由はここから始まってる
・農耕の誕生も大きな淘汰圧となった。狩猟生活で必要だった荒々しさは、農耕村社会では不用となった。
・経済学者のジェームズ・ヘックマンは、認知能力は11歳ごろまでに基盤が固まると唱えた。裏返せばそれ以降は無駄だから認知教育に税金を使うのは無駄ということ。むしろ性格スキルなどの非認知能力養成の重要性を説いた。非認知能力は10代以降でも伸ばせるから。なぜなら性格の遺伝率50%は知能の遺伝子80%より低く、環境の影響をうけやすいから。
・心理学では人格のビッグファイブを開放性(好奇心)、真面目さ、外向性(社交性・明るさ)、協調性、精神的安定性としている。業績との関係を見ると、最も影響があるのが真面目さ、次いで外向性、精神的安定性となる。要は真面目で明るく、落ち着いている人はどんな職場でも必要とされる。
・協調性は日米で違う。所得との関係はアメリカは負の相関、日本は正の相関。アメリカな個性的なほうが所得が高い、日本は逆ということ。
・東アジア人は知能が高く真面目で内向型だから、外向社会のアメリカではリーダーにはなれないかもしれなにが、賃金の高い専門職には向いている。
・内向型・外向型は扁桃体に違いがあると言われる。扁桃体は感情スイッチの役割があり、外界の新しいものや脅威を素早く察知し、闘争or逃走の引き金をひく。扁桃体が高反応だと成長すると初対面の人間に用心深く接するようになる。低反応だと動じなくなる。人間嫌いか否かではなく、刺激に敏感か否かということ。
・言葉に表現された情報のみでのコミュニケーションを低コンテクスト、言外の情報やニュアンスを重視するコミュニケーションを高コンテクストという。前者の典型がドイツ語、後者は日本語。高反応は刺激に敏感であり、高コンテクスト社会に向いている。
・セロトニンはハッピーケミカルと言われており、気分の安定に重要。うまく働かないと不安症や抑うつになる。日本人にうつが多いのはセロトニン運搬遺伝子で説明できる。この遺伝子はS型とL型があり、組み合わせでSS,LL,SLがある。Lは運搬能力が高く、Sは低い。つまりLLが1番セロトニンがでる。この遺伝子は人種によって大きく異なる、アフリカ人、白人、アジアの順でLLは少なくなる。特に日本人はLLは4%しかいなく、SLが30,SSが65である。中韓も近い。セロトニン量がうつに影響。
・ただし、SSはただ単にうつになりやすいだけでなく、いいことが起きた時にもLLより敏感に反応する。ストレスに強く楽観的に見えたLLは鈍感なだけで、敏感鈍感と違いだった。SSで内向的なのは人嫌いではなく、相手の反応を読みすぎて疲れるから。→HSPとかいう言葉が流行るのもわかる
・アフリカ人のLLからSSに変化したのも、狩猟生活から農耕村社会への人間関係への適応といえる
・人種間で睾丸の大きさが違う。黒人50グラム、白人40,アジア20という説。これは睾丸で作られる男性ホルモンのテストステロンが影響していると考えられる。高テストステロンの荒々しい男は排除された結果。
・LLとSSはたんぽぽとランに例えられる。たんぽぽはストレス環境でもたくましく育つが花は小さく目立たない。ランはストレスですぐ枯れるが最適な環境では大きな花が咲く。遺伝子はこの二種類を残すことでどんな環境でも人類が残るようにした。
・日本人は知能は高く敏感であるため、相手の顔色を読んで応答できる高コンテクスト能力が優位性となる。一方で生来の敏感さは、変化やリスクを嫌い、お互いを気にする高コンテクスト社会を作る。日本人は遺伝子的にストレスに弱いが高ストレス環境を作ってしまっている。ただ、ひ弱なランは環境次第で大きな花を咲かせる。どんな人生を選ぶかは自分次第だ。
・限界効用(ビールの美味しさを効用、一口目から二口目の効用の変化を限界効用という)逓減の法則とは、ほとんどの効用に慣れてしまう人間の本性。
・知能も限界効用がある。IQ100と120では社会的・経済的成功に大きな違いがあるが、120と140では差は小さくなる。極端に高い知能は自閉症スペクトラムとの相関があるし、社会のマイノリティの苦しさなどがあるかもしれない。
Posted by ブクログ
一冊目が良かったので2冊目も購入。
一冊目からの流れにより、人種によってもIQレベルに傾向がみられ、東アジア地域については押しなべてIQが高い傾向になる。
IQの向上には遺伝によるものと本人の努力によるもの。その努力が報われる時期は比較的早い時期にピークを迎えるようだ。
よって、高等教育を無償化する効果については限定的である可能性がありしっかり見極める必要がある。ただ、正論で議論すること自体無理だろう。
二冊目は著者のエビデンスの乏しい政治的スタンスの偏りの部分がどうしても目についてしまい敢えて星の数は減らさせていただいた。
Posted by ブクログ
初回の”言ってはいけない”に、自分の興味を引くことばかり書かれていたせいか、こっちはあまり興味が湧かず。
読めば学ぶものになると思うが自分には合わず。
気になるところを少しずつ読んだ感じですぐ終読。
しかし、遺伝と教育と環境要因の分野に興味がある人からすると大変興味深い本だと思う。
大きな声では言ってはいけないことを、はっきりと書かれている本である。
Posted by ブクログ
あまり興味のない分野の記述が多かったので、第1巻と比べて読みにくかった。日本人はうつになりやすい遺伝子を持っているのではなく、ポジネガどちらの刺激に対しても強い感受性を持っているとのこと。環境が安定していさえすれば、大きな幸福感を得ることができるらしいが、その環境を安定させることが非常に難しい。その解決策にまで踏み込むのは著者のテリトリーを超えているのかもしれないが、解決法にまで言及して欲しかった。タイトルの取ってつけた感が残念。
匿名
「言ってはいけない」の補完
「言ってはいけない」の続編のような形でより深い内容を期待していましたが、本編と少し内容が被っている部分もあります。
詳細を求めない人は本編だけでもいいかもです。
Posted by ブクログ
海外のメンバーと一緒に仕事をしているが、考え方やパーソナリティに関する事は、少なからず遺伝も影響があると言う事が理解出来た。良く優れた点を比較しがちであるが、裏を返せば弱点でもあるのであまり気にしないで自分の道や、己のやり方を見つけていきたいと思った。
Posted by ブクログ
人種や性別による差異が中心的な話題になっている。
知能検査の人種的な差異については、知能の測定方法そのものに公平性が無さそうなことがわかった。
地域的な差は、その地で生きていくための生存戦略と淘汰の結果だと思えば合点がいく内容だった。またセロトニンの分泌遺伝子の型の違いによって、民族的な外交的か内向的の差が生じていそうなことが興味深い。
日本人は民族的にセロトニン分泌が少なくて悲観的気質といえそうなのだな。
Posted by ブクログ
自己家畜化 P.212
P.30 社会に適応できない国民→ポピュリズム→社会混乱
知識社会の経済格差=知能の格差
共有環境と非共有環境
ゲイ遺伝子
同性愛者男性の母方の親族だけに多産の傾向
統計的実在
遺伝学的なアフリカ系統とユーラシア系統の二分化
人種は存在しない
宗教改革
阿部謹也「居酒屋学習」
速水融「勤勉革命」
東アジアの稲作型ムラ社会→複雑な人間関係が強い淘汰圧→対処できるコミュ力が選好
アシュナージ系ユダヤ人
P.174
日本に華僑財閥はなぜないのか?
P.236
Posted by ブクログ
再読。
DNA(遺伝子)解析の成果をポリティカル・コレクトネスの配慮無しに著者なりに整理した本。「もしそれが不愉快に感じられたなら、知識社会そのものが不愉快で残酷なのだ」
人種とは、ある母集団内でしか交配してこなかった結果、他の集団と区別できる遺伝的傾向を持った集団。歴史的に、偶然や環境要因から「交雑」が多い集団と少ない集団があって、少ない集団ほど特徴的な傾向が際立つ。ふむふむ。
歴史的には、戦争(侵略)が「交雑」を進めてきたんだろう。グローバル化も「交雑」を促進する機会だとすれば、人種をよりどころにしてる国家や集団は反対するよね。それに反発して民族浄化のようなことをロシアが今やってるんだろうか。
著者が言う真実を知ったうえで社会制度や政策を議論しようよって態度は、理系としては首肯できる。でも、文脈を高度に読む人種だから、雰囲気・感情に流されるから難しいんだろうなあ。
あと、遺伝的に変えられない事実も多々あるけど、逆に変えられる余地も少しはあるよねって事実もあるわけだから、0か100かじゃなくて自分をあきらめずに頑張ろうかなと思う。
Posted by ブクログ
前作と比較すると、エビデンスが十分ではないが、ここのように著者としてはこのように考えるという、推論を述べる部分が多い。
大胆に思える推論も多く、エピソードの面白さは前作を上回る。
最後には、遺伝学に考察した日本人と日本社会のあり方が展開され、それを踏まえた生き方について、著者なりのエール、助言が与えられる。著名人と自死と思われる報道を耳にした直後に読破したため、この部分が、特に印象に残りました。
Posted by ブクログ
どうにもならないことを知りたい人に娯楽本としておすすめ。
【概要】
●前作「言ってはいけない」のパワーアップ版
●著者が不愉快と思っている現実
●世の中のどうにもならないであろう事実
【感想】
●前作と同じく雑談のネタになりそうな話が多い。読み物としては面白い。
●「どんなに努力してもどうしようもないことがある」という現実を理解した。信じるか否かは別。
●と言いつつも、生き方の参考になる箇所もある。
もっと言ってはいけないについて
1冊目の「言ってはいけない」の続編。
1冊目同様、
書かれている事を、そのまま鵜呑みにしてしまうのは間違いではなくとも、危険な可能性があると思われる。
その為、星3つです。
これから読もうと思われる方には、
自分で検証する必要がある事、検証不可能な内容も含まれる事をお伝えしておきたい。