【感想・ネタバレ】一行怪談のレビュー

あらすじ

穂村弘氏、推薦! たった一行なのに、怖い。想像力が喚起され、不思議な怖さが込み上げてくる怪談を二百近く収録。じわじわと想像力を刺激される、まったく新しい怪談集。 【一行怪談凡例】●題名は入らない。 ●文章に句点は一つ。 ●詩ではなく物語である。 ●物語の中でも怪談に近い。 以上を踏まえた一続きの文章。 ◎内容例 今まさに電車が迫る線路上に、物欲しげな目つきの人々が立っていたので、踏み切りに身を投げるのは止めにした。/寝る時に必ず、洗濯機を回し続けることだけは忘れないよう願いますが、それさえ守ればたいへんお得な物件だと思いますよ。/世界中あらゆる料理を食べても、いまだ思い出の味に辿りつけない彼には、産まれなかった双子の片割れがいるそうだ。

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「今まさに電車が迫る線路上に、物欲しげな目つきの人々が立っていたので、踏み切りに身を投げるのは止めにした。」題名は入らない、文章に句点は一つ、詩ではなく物語であり、物語の中でも怪談に近い。これらの条件に沿った一続きの文章を一行怪談とし、集めたのがこの小説集である。

一行のなかにとびっきりの怖い話が盛り込まれた、まさしく一行怪談です。怪談ではありますが、とんでもない化け物が現れたり、呪いで人が殺されたりとかではありません。日常的な出来事が、一つの読点を挟んで180度変わります。少しだけ開いたカーテンの隙間だとか、夕暮れの誰もいない教室だとか、やけにノイズがひどい市内スピーカーの放送だとか…そういうものがこの一行怪談によって、怖いもの・理解できないものに変貌するのがとても面白いです。
読んだ人の想像力によってそれぞれの物語の受け取り方が変わるのもとても面白く、魅力的な一冊です。

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

一行というか一文怪談。短い文章でどきっとする現象を著すのは面白い。ぞっとする話、ぷっと笑ってしまいそうなブラックユーモアなど。そのなかでP108「飲みほした…」は、どういうことだろうと私のなかで色々想像が膨らんだ。

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2019年12月20日

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サクッと読めてゾワっと来る。
ネットで読むようなスナック感覚のホラーとはまた違った軽さと余韻で、書いてある外側を想像して怖くなれる。

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2018年08月24日

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タイトル通り、一行……というより一文で記された怪談集。たった一文なので多くが語られない分、どんどん想像力と妄想力が膨らみます。ここからどういう物語に発展するのか、いろいろ考えてみるのも実に楽しい一冊。ちなみに、奥付にまで行きついてもその先まできっちりと読み進みましょう。そうするとさらなる恐怖が……?
一番お気に入りは「このあいだ山奥に捨てた知り合いが、五箱の宅配便で届いた。」。すっごくさりげない一文でこの嫌さ。いったい誰が送ってきたんだ。しかも五箱に分けて。すごく怖い。

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2017年09月07日

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タイトル通り……より正確には「一行」ではなく、一文と言うべきではあろうが……の短い怪談を集めたもの。私はうつを患って以降読むスピードが落ち苦労しているのだが、本書は1冊を30分以内に読み終えることが出来たので常人であれば尚更早く読めるであろう。軽い読み物として、隙間時間の読書·暇つぶしにも良さそうな1冊である。
内容としては「意味がわかると怖い話」の類のものが多く解説がないとわかりにくいものも少なくなく、一文でオチをつけることはやはり難しいと思わされるが、その制約の中でも面白いものもあり興味深い。

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2025年10月17日

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1ページに1文だからとても読みやすい。しかし、普通のことは書いてないから、咀嚼するのに時間が要るやつもある。私が好きなのは「夕方にあの坂道に近づかない方がいいのは、いつも午後5時のサイレンとともに、〜」のやつだな。

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2025年04月07日

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怪談が趣味という方なら一度は会長のお話を聞いたことがあるのではないでしょうか。
昔から会長の怪談が好きなのですが、一行怪談は初めて手に取りました。あれだけ短い文章でこうもゾワゾワさせられるとは……口の中に渋柿の味がずっとこびり付いているような不快感が消えません。流石です。
私は特に140ページが不気味でした。ガッツリホラーが苦手な方でも読める内容だと思いますので、気になる方は是非。

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2025年03月13日

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一行だけの怪談集

一行怪談凡例
・題名は入らない。
・文章に句点は一つ。
・詩ではなく物語である。
・物語の中でも怪談に近い
・以上を踏まえた一続きの文章。


異様な状況を表した一行だけの文章
「怪談」と銘打ってあるので、その背景を想像すると怖いものがある

しかし怪談ではなく、SF、ギャグ、ファンタジーとして想像できるものも多数
あと、風刺の効いたものもある

「世にも奇妙な物語」系の話を一行で表現したというのが一番近い気がする



個人的に「怪談じゃないかも?」と思ったもの

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夕方にあの坂道に近づかない方がいいのは、いつも午後5時のサイレンとともに、汗だくのオバさんが自転車のペダルを必死にこぎながら、急坂をゆっくり下っていくのに出くわすからだ。
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考えようによっては、日常の謎じゃね?


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つい携帯電話を盗み見たばかりに、恋人が「の」という人物を「の」の字だけでやりとりしている、何十通ものメールの意味に悩まなければならなくなった。
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モールス信号とか、暗号化してたんじゃね?


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ひょんなことから「肉」と呼ばれるものの本当の正体を知り、慌てて皆に教えてまわるも、そんなことすら知らなかったのかと呆れられてしまう。
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SFで植物性の疑似肉という可能性もある


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転校先で渡された生徒手帳にある「渡辺について話すことを禁ずる」という校則について尋ねても、みんな苦笑いするだけで何も話してくれない。
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「脳みそぷるん」という不条理ギャグマンガで、「山田」系のネタで似たようなものが多数
芸人さんがこんなネタをやるのもありえそう


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ある朝目覚めると、全ての家具に噛み跡がついていた。
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子供とかペットとかの仕業では?


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無限の解像度をもつ一枚の風景写真を、どこまでも拡大し続ける仕事に任命された。
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フラクタル構造のGIFを見るようなもの?



読む人によって、どれが刺さるかは違うと思う
物語のパターンを知っている人や、背景を色々と想像できる人ならかなり面白いのではなかろうか?

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2022年06月15日

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全ページごとに1行、多くて3行程度なのでさくさく読める。し、全部しっかり怖い!おもろい!

何度も読んでぞっとする系、不気味系、人間怖い系…
いろいろな味のホラーが楽しめる欲張り本。

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2022年05月01日

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想像力を掻き立てる作品。
一行からなる物語なので、その前後に何があったのか、自分で補填するのも面白い。

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2020年05月23日

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ネタバレ

怪談とあるが、怪談の枠を超えたシュールな世界観もあり、一行一行が悪夢の夢日記のように続いていく。
なかなか引き込まれる内容で、この一行の書き出しで始まる物語の続きを読みたいと思っても物語はそこで完結してしまう、という感じだった。
一行でどれだけ不気味に、ゾッとできるかという大喜利みたく、また読み返すかもしれない内容で何とも言えない余韻がある。

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2020年03月23日

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怪談サークル『とうもろこしの会』の吉田悠軌会長が、『とうもろこしの会』から2012年と2016年に同人誌として販売したものを、2017年PHP研究所から一般流通したもの。

タイトルは『一行怪談』ですが、読んでみると「一行」ではなくて「一文」でしたね。
1ページ毎の中央に、一文が置かれていて、まるで自己啓発的な名言集のような体裁です。
内容は、怪談らしい怪談もあり、読む人が怪談だと思えば怪談なのもあり、怪談じゃなくてポエムじゃないかというものもあり、という感じ。
ポエムではないものは、長い怪談の始まりの一文のようでもあるし、長い怪談の一番盛り上がる直前の一文のようでもあり、という感じがしました。それって、読む人が想像出来る一番いいところ、ですよね。
一ページに一文は、余白が多いこともあり、自分の場合、正確に時間を計ってはいないですけど、一文毎に1分くらいの間、想像を膨らませて楽しみました。

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2020年01月17日

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怪談ゆえぞっとする話が多いのだけれど、SFやブラックユーモアの類も相当に含まれている。
曖昧な想像による怖さと具体的な表現による怖さが適度にあらわれ、心地よかった。

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2019年11月12日

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たしかにゾクっとさせられる話がある。
それ以上に、幻想的な世界、奇妙な世界、
それとパロディ、ユーモア作のような
クスリとさせられる話がある。
それらが凄いのは、たった一言、一瞬で
その世界、オチに突き落とされるスピード感、瞬発力。
大喜利、ipponグランプリに通じるような。

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2018年07月31日

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ネタバレ

ダ・ヴィンチを読んで気になり購入。

確かに、ゾッとするような。俳句?詩集のような趣が。
一瞬だけど、絵柄が頭の中に浮かぶとイヤだよね~。

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2017年07月17日

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ひたすら一行だけ、不気味な文章が書いてある。ただそれだけ。そこに意味があるかもしれないし意味はないかもしれない。ただ読み進める手は止まらない。
これ適当に考えただろって文章もある(笑)これを怪談と呼ぶのかはちょっと謎だな…。

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2025年05月10日

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1ページにつき一行というより、一文の怪談集。
ふと思い出して怖くなってしまいそうな話し、読んだ瞬間に不安になったり不気味に感じる話しや、少し考えて「なるほど...」となる話など色々あり、一文で終わる話の短さや、前後にも話のつながりはなくとても新鮮な感覚で読めました。

想像力が豊かであればあるほど、怖くなる本だなと感じました。

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2025年05月04日

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ホラー。短編集。ショート・ショート。
一行というか一文。句読点が一つだけの作品たち。タイトルも無し。
短編小説でもたまに思うことだが、短い作品は逆に足りない情報を自分で想像するのが面白い。
その点では、この本の作品はどこかに違和感があって不気味で、どういう意味か考える余地があって面白い。
142ページの、思い出の味の一文が好み。
新鮮な読書体験でした。

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2025年04月14日

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タイトル通り1行の怪談を淡々と読む。ブルっと怖くなる。完全にフィクション!といいきれず、ありそう…。と思うラインの絶妙な感じなのでずっと不穏な空気が漂っててとてもいい。
活字苦手だけど怖いのが好きなそこの君!読みな!

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2024年07月30日

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1ページ1文の掌編集。
怪談というよりも奇妙な気分になるフックのような感じだし、物語というよりも詩集に近い。

一行怪談のルールとして詞ではなく物語であり、その中でも怪談である。一続きの文章。とあるけれど、文章が上手いので引っかからずに読めるのがいい。二つに分けるとかえってつっかえそうになり、そうなると想像しにくくなる。
自発的に想像するよりも、ふっと湧き上がるものの方がかえって怖い?

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2023年06月04日

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1ページに1つ、一文だけで構成される怪談小説集。

タイトルにも書いている通り1話1行程度ですので、ものすごく怖い……! というものではないですが、不思議で不気味な雰囲気が魅力。たった1文に、とても想像力を刺激されます。

さらっと読めてしまうのですが、1ページ毎にもう少しこの世界を感じたいと思えるような1冊です。

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2022年10月20日

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怪談だから怖いと思ってたけど不思議な話が一行で書かれている感じ(もちろんゾッとするのもある)
恋をした日に家の猫が死んでいた話と、飼い猫が妻に愛を語る話と、恋文兼遺書を燃やしてくれと言った話が好き

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2022年09月17日

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1ページごと綴られた文章たち。 うたた寝の時に見たような悪夢のような、しかしどこかで経験したことがあるような気持ちにさせるそれら……。一息で吐き出された文字たちが読んだ者をたちまちのうちに不気味な世界へと誘う。

***

こちらは、とある事情を抱えた人物が体験した悪夢を一行で書き綴ると言うものの。 書かれた文章たちは確かに現実離れしており、不確かで、悪夢じみている。しかし、ふとした果たしてこれは本当に夢の出来事なのだろうか?と思う瞬間がやってくる。自分が知らないだけで、もしかしたらこういうこともあるのかしらん、という風に錯覚する。 一行怪談というタイトルの通り、表現として許されるのは文法的に正しく句点を打つまでの一行。非常にごくわずかな情報しかないそれが、ページを開いた瞬間に突然と読者に投げ掛けられる。それが逆に想像力を掻き立てられ、ゾッとしたり、不気味な思いをしたりして面白い。たった一行、されど一行。実に味わい深い一冊でとてもおもしろかった。途中途中に差し込まれるイラストもその一役をかっていた。

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2021年12月02日

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???ってゆーのもあったけど
サクサク楽しめた。

オカルト好きな友達と一緒に読みながらあーだこーだ言い合うのにちょうどいいかも

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2020年10月27日

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ネタバレ

一行のみで綴られた怪談を揃えた短々編集。具体的な幽霊や妖怪が出るものより、何か不可解なこと、不気味なことが起こってその理由が分からない、という作品が多い。
ふたつみっつ、背筋がぞっとするような作品もあったが、全体的には幻想小説のような雰囲気。

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2018年06月13日

Posted by ブクログ

意味の分からない怖さがある本。
解説を読んで納得な話も

最初の子供2人、行方不明になってしまったのね・・

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2021年12月30日

Posted by ブクログ

一ページにたった一行、奇怪な言葉が書かれています。不気味だったり滑稽でニヤリと笑ってしまったり、一つ一つはさほど怖く感じないのに、纏めて読んだ後に部屋の空気が微妙に不穏になっているような作品集です。でもこういうこと、子どもの頃考えていたなあ。日常の中でふと想像してしまう、あり得ない世界。そんな曖昧な物に恐怖していた記憶があるから、この作品の一文一文に背筋が凍る追体験をするのでしょう。りんたろうの『ラビリンス・ラビリントス』を連想する世界観でした。面白かった。

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2017年10月19日

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