「今まさに電車が迫る線路上に、物欲しげな目つきの人々が立っていたので、踏み切りに身を投げるのは止めにした。」題名は入らない、文章に句点は一つ、詩ではなく物語であり、物語の中でも怪談に近い。これらの条件に沿った一続きの文章を一行怪談とし、集めたのがこの小説集である。
一行のなかにとびっきりの怖い話が盛り込まれた、まさしく一行怪談です。怪談ではありますが、とんでもない化け物が現れたり、呪いで人が殺されたりとかではありません。日常的な出来事が、一つの読点を挟んで180度変わります。少しだけ開いたカーテンの隙間だとか、夕暮れの誰もいない教室だとか、やけにノイズがひどい市内スピーカーの放送だとか…そういうものがこの一行怪談によって、怖いもの・理解できないものに変貌するのがとても面白いです。
読んだ人の想像力によってそれぞれの物語の受け取り方が変わるのもとても面白く、魅力的な一冊です。
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Posted by ブクログ 2020年03月23日
怪談とあるが、怪談の枠を超えたシュールな世界観もあり、一行一行が悪夢の夢日記のように続いていく。
なかなか引き込まれる内容で、この一行の書き出しで始まる物語の続きを読みたいと思っても物語はそこで完結してしまう、という感じだった。
一行でどれだけ不気味に、ゾッとできるかという大喜利みたく、また読み返す...続きを読むかもしれない内容で何とも言えない余韻がある。
Posted by ブクログ 2017年07月17日
ダ・ヴィンチを読んで気になり購入。
確かに、ゾッとするような。俳句?詩集のような趣が。
一瞬だけど、絵柄が頭の中に浮かぶとイヤだよね~。