潮谷験のレビュー一覧
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タイトル『それはそれはよく燃えた』の1文から始まるショートショート集。
ネットの炎上、恋心、火事など、こんなものまで「燃える」のかと思える作家25人の25作を1冊の本で読めるのはとても贅沢。
でも後味は25作25様で、ほっこり甘いものもあれば苦々しいもの、ざらっと心地悪いものなど本当にさまざま。
クイズノックのファンなので河村拓哉さん目当てでこのシリーズを読み始めたが、矢樹純さん、三津田信三さんなど、このシリーズは毎回新しい作家さんと出会えて、読書の幅が広がって嬉しい
私は総じてホラーが好きなので、今回の『それはそれはよく燃えた』はぞくっとする話が多くて、とても好み。不穏で悲しくて残酷。年末年始たっぷり楽しめた
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Posted by ブクログ
ネタバレかなり面白かった
「新しい法律ができた」と言う話を軸に
・AIに絡んだ近未来
・全く関係ない未来
・過去から法律ができたことにより、現代になる
・新しくできた法律の内容が分からない
といった様々な進め方を楽しめた
舞台装置としてのAIの便利さ(我々に身近だが未知のもの)と、法律はルールの為それによって話の土台を作れる万能さに驚いた
〜特にお気に入り〜
矢野帰子先生→おとなも英語を学ばせる話。「英語介護」という考え方が面白かった
潮谷験先生→人々は、作品を楽しむときに作品の裏にいる作者と交流している。AIが作った作品だとその交流ができなくて孤独を感じる。新しい視点だな。オチも良かった。
大沼紀子先生→一番好きだった。人を殺したらokな国(=SFちっく)が、人を殺しちゃ駄目になる(=現代)という逆転の流れ。斬新な視点から、現代を揶揄してて面白すぎた。
五十嵐律人先生→過去から現代に。当たり前だけど憲法も作られたときがあったんだよなぁと。
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Posted by ブクログ
滋賀県大津市にある水倉地区で、小学生が麻薬を摂取するという事件が起こった。他のベッドタウンに比べれば決して犯罪件数も多くない素朴な田舎町で起こったLSDの過剰摂取による被害者が増えていく中で、有名俳優だった師道一正が水倉地区の薬物犯罪撲滅キャンペーンに参加してくれることになった。やがて師道と刑事の義永は事件の真相に辿り着く。それから長い月日が経ち、政治家になった師道は、水倉地区の象徴のような存在になっていた。この事件とこの事件で相棒を果たした刑事の死が、彼を政治の世界にのめりこませる重要な出来事になったことは、有名な話だが、そんな彼に疑いの目を向ける人間もいて――。
ということで本書は、小学生が麻薬を過剰摂取するショッキングなシーンで幕を開け、物語の後半は、倫理的な問題に深く踏み込み、やがて『心』の問題に行き着く忘れがたい余韻を残す作品になっています。とはいえ題材自体は軽くなくても、重さでページを進める手が鈍ってしまうタイプの作品ではなく、読み味は軽快で心地良く、先が気になって仕方なくなるタイプの作品と思います。ゲーム性を組み込んだ誘拐ミステリとしてもユニークで、終わってからがはじまり、と言わんばかりに二転三転する展開がとても魅力的でした。様々な真相が明かされるたびに、そんなところにも仕掛けが、と驚きっぱなしの一冊でした。 -
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25編のショートショート集で、ちょっとした時間にも読み進める事ができて楽しかったです。
全て『だから捨ててと言ったのに』の一言から始まり、そのあとは作者さんによって推理物になったり、ホラーになったり、感動物になったりと、ショートショート集なのにとても読みごたえがありました。
知っている作家さんの作品には作家さんらしさが出ていて楽しめました。初めての作家さんの作品もあったので好みの作風の作家さんの他の話も読んでみたくなりました。
このショートショート集をきっかけに読書の幅が広がりそうです。
今回は第四弾目とのことで、前作も読んでみたくなりました。 -
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ネタバレショート・ショートなので、一編が8ページくらい。その短い中で背景をぼかしつつも確信に迫る書き方してたりするものもあり、うまく咀嚼できないまま終わったものもあり、でも面白い短編集だった。
始まりが不穏なので、大体不穏な話が多い中、最初から最後までハッピーに終わる「切れたミサンガ」が好き。
人でも殺したんかと思いつつ、同じ格好ときたのでSFかと思ったら 笑
安定のホラーの「こわくてキモくてかわいい、それ」も好き。
それが不気味だけど、主人公が見下されてることに気付きながらも知らないふりして難を逃れてて、性格悪い私はざまみろと思ってしまった。
「久闊を叙す」も良い。
こんな形で、我が友李徴子を読むとは。新鮮な感覚だった。 -
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積読チャンネルで紹介されていて手に取った一冊です。
ショートショート集なので、少しずつ細切れに読めるのがよかったです。どの作品もそれぞれ面白かったのですが、なかでも米澤穂信さんの「燃えろ恋心」が圧倒的に好きでした。
リズムもテンポもよく、一気に駆け抜けていくように読めて、最後のオチまできれいに決まっています。これはできれば、内容を何も知らずに読んでほしい作品です。
特によかったのが、青春時代の「大人は自分たちのことをわかってくれない」「なんとなくこちらの味方ではない」という感覚の描き方でした。
ラブレターを買ってから、実際に書くまでの過程もいいです。誰かに恋をしているというより、恋をしている自分ごと、恋そのものに精一杯恋をしているような書きぶりがとても素敵な文章でした。 -
Posted by ブクログ
フランス革命後、ヨーロッパの小国で奇怪な事件が起きた。複数の目撃者がいたが犯人は特定できず、容疑者は同じ顔を持つ三つ子の兄弟だった。
DNA鑑定も指紋鑑定もない時代、探偵は純粋な論理のみで真相に迫れるか。
科学鑑定が発展する以前、フランス革命後のヨーロッパの小国を舞台としたミステリ小説。このミスや本格ミステリ・ベスト10などにもランクインした話題作です。
多数の目撃者の前での殺人事件、顔を見られているのに一体誰が犯人だかわからないという事件の真相を暴くロジックはもちろんのこと、少年たちの邂逅からはじまり、徐々に変わっていく立場と社会情勢。登場人物誰もが皆、時代と生まれに翻弄されているようで、そんなところも美しくて切ないです。
時間の流れに伴い、探偵役が変わっていくのも面白い。
そしてまた、登場人物のキャラが良い。
それぞれ個性的な三つ子の兄弟に、物語の語り手である政務書記のクロ、官能小説家を志すリコイ子爵夫人などそれぞれ魅力的ですが、個人的に一番好きだったのは、クロの上司でもあるD伯爵。優しく人間味があって、行動力があって誠実(推理力はあまりない)。めちゃくちゃ素敵な人です。