潮谷験のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
何コレ?! 怪物とゆるふわキャラが大暴れする荒唐無稽SF×政治社会派ミステリー #ミノタウロス現象
■あらすじ
世界各国で怪奇現象が発生、各所で突然に牛の怪物が出現するようになってしまった。舞台が変わり日本の眉原市では、最年少女性市長である利根川翼が市政の様々な問題に苦慮していた。ある日、翼と議員たちが市議会議場で話し合いを進めていると…
■きっと読みたくなるレビュー
なんじゃこれ、もうこんなミステリーを書けるのは潮谷先生しかいないよ。天才的発想力、この緩さとシビアさの絶妙なバランス感覚、これは凡人には絶対書けない。しかも今回はエンタメ要素もしっかりありますし、唯一無二の作品ですね。
本作でイチ推しなのは、怪物が出現するという設定と、それに対する人間たちの行動が面白過ぎる点。何なんでしょうか、この「ゆるーいゴジラ」は。
人類の危機かもしれないにも関わらず、予算が少なかったり、YouTuberが調子に乗ったり、学者が変人だったりと、まさに現代の世知辛さと他人事な感じがリアルに描写され、とにかく馬鹿馬鹿しい。それなのに、戦闘時の緊迫感や綿密な考察もあって、作品のえぐ味が凄まじいんですよ。
特に後半の怪物に関する研究結果や考察については、何ソレ感が満載なんですが、なかなかどうして納得性も高い。人類未踏の地を切り開くためには、常にリスクを追っていては遅々として進まず、時には破天荒な行動力が必要かもと考えされられました。
また本作は、政治の在り方についても、ゆるふわな感じで綴られています。ただ現実に政治の世界で話し合いがなされていることも、あながち間違っていないでしょう。結局は金や人集めが得意な人だけが暗躍する世界、そんな政治で誰もが幸せな人生を送れるような世の中が作れるんでしょうか。
謎解きとしてもオチがあるし、意味不明な背景やドタバタ劇の中にも手がかりが忍ばせてあるのは流石です。でもわかんねー、常人には理解が追い付かないところが素敵。ミステリーとしてエンタメ爆発してところがいいですね。
■ぜっさん推しポイント
読書は作者と読み手で作り上げられると言いますが、結局私は何を読まされたのか…
例えば人間の成長や悪を憎む正義感のような主張など、まるで感じない。荒唐無稽さと不条理な感覚が押し寄せてくるだけ。もちろんそれが魅力ではあります。
ただ、本作は「変化」というものに対する意思を感じることができました。コロナ禍では世界中で大混乱を招きましたが、この問題に対する各国や人々の対応には特徴がありました。世の中に変化があったとき、実は原因なんてどうでもいいのかもしれない。ひとりひとりが他人事にならないことが重要だし、思いやりって大切だなと胸に刺さりました。 -
購入済み
サンプルとしてとても良い試み
今まで読んだことのない作家の作風、特に文体を知るのには、とても良い試みである。サンプルなのでミステリーに必須の伏線関係、特にオチの部分のどんでん返し は当然入っていないので評価できないが、文章そのものが読みやすいか文体が気に入るか の評価はできる。三津田信三 さんが苦手だ と言うのはよくわかった。
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Posted by ブクログ
何度も何度も6月1日が繰り返す。タイムリープ中に発生した殺人、時間の狭間に隠れた犯人は? #時空犯
■きっと読みたくなるレビュー
もうね、天才的発想。
時間を行き来するミステリーはいくつかあれど、こんなにも鋭角なプロットを放り込んでくるミステリーは他にないよ。突拍子もなくリアリズムに欠ける部分もありますが、逆に良くぞこの設定で本格ミステリーを成立させましたね。すごいよ。
時間遡行の原理や説明シーンなんかの書きっぷりは、まさに鬼才のなせる技。はじめて森博嗣先生や西尾維新先生を読んだ時の感覚に近く、あまりにも先鋭的な内容で、未来を感じさせてもらいました。
誰が時空犯なのか、犯行方法の解法がロジカルに整理できていて、とってもわかりやすい。動機やまつわるエピソードも、めっちゃ痺れましたよ。壮大な時間ミステリーの果て待ち受ける真相はこういうことですか…
潮谷先生はやたら高次元なテーマのお話が多いのですが、キャラクターや関係性が妙にカジュアルなんですよね。先生の優しさや人柄が伺えて、読んでて癒してくれるところも大好きでした。
■推しポイント
本作に登場している情報工学博士のような、いわゆる天才の価値観が理解できないんですよ。
今まで私は、自分の考えを突き詰めたり、誰振りかまわず意見を主張したりしたことがありません。そのほうが皆にとって楽しいし、苦労もないし、合理的だと思うからです。
でもそれはきっと凡人だからそう思うだけで、本当に頭の良い人は価値観や発想が全く違うんでしょうね。
彼らは、たった一人で真っ暗な道を歩き続けている。
失敗も成功も、賞賛も批難も、希望も絶望も何も関係ない。ただ自分が歩きたいから歩くだけ。孤独な闘いを続けている天才の脳みその中を垣間見たような気がしました。 -
Posted by ブクログ
珍しい凶器を集めた「奇妙な凶器博物館」の館長の千手は見た目はチャラいけれど推理力はピカイチです。警察とも業務提携している施設ということで、事件に使われた珍しい凶器を事件後貰い受けるという条件で難事件を解決します。
潮谷さんって、毎回違ったミステリ作品を書かれるのが本当にすごい!今作は、投石器・ブラジャーなど…へんな凶器ばかりが登場します。わざわざその凶器を使う理由が推理のポイントなのですが、意外な理由すぎて全く予想できませんでした。
また、凶器博物館の隣に喫茶店が併設されていて、館長の千手は喫茶店の店長も兼任しています。その喫茶店で提供されているホワイトシチューがとても美味しいのだそう。メニュー名は「殺人者のホワイトシチュー」。とある大量殺人犯の夫婦が作ったホワイトシチューを再現したものです。この殺人犯の夫婦にまつわるクイズが博物館のホームページで出され、正解者にはこのホワイトシチューのレシピを教えて貰えるというのですが、これもまた意外な凶器にまつわる話でした。そんなに美味しいホワイトシチューのレシピ気になる!はたして、正解賞品のレシピ通りに作れば美味しいホワイトシチューが作れるのかというと…それは読んでのお楽しみなのですが、最後の1文には笑ってしまいました。