潮谷験のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレかつて大叔母が在校生探偵として名声を馳せた私立雷辺女学園。
主人公、時夜翔(ときや しょう)の家庭は父の営む探偵事務所の閉所に端を発し、高校進学すら危ぶまれる状況だったが、かつての大叔母の学園への貢献にあやかり無償での学園生活の切符を得ることができた。
だが、入学後に待ち受けていたのは大叔母の親族という宿命。
何かにつけて手に余る相談事を持ち寄られ、手枷足枷になるかと思いきや、持って生まれたその場を取り繕う能力をここぞとばかりに発揮し、満更でもない日々を送る。。。
惜しいな。
もうひと声、もうひと捻り、もうひと角度違う切り込みがあれば星5。
『探偵小石は恋しない』に続いてゆるめな探偵ものを読んだが、あっちが良すぎただけにどうしてもやや上っ面な物足りなさを感じてしまう。
ただ、この主人公のキャラはありそうでない、たぶん自分はこれまで出会ったことなかったタイプなので面白かった。
純粋にデキる、健気に頑張る、表面上ちゃらいけど実は能力高い、のほほんの中に煌めきを潜めている、男性社会への反骨的なものも含めてか、世には色んなパターンの女性主人公がいるけれど、言っては悪いがいわゆる「くず」パターンできたかと。
「身の丈を超えた尊敬や賞賛を浴びるのが、とっても気持ちいい」という発言に「清々しいまでの俗物」と評され、美術部員にスケッチを描いて貰えば、それを観た先輩からは「小賢しい感じがよく出てる」と皮肉られる。
自身のスタイルや矜持を尋ねられても、「その場しのぎて嘘を重ね、他人に頼るのが私のスタイルなんですけど」、「プライドってなんでしょうね」。
ここまで素直にさらけ出されると一周回ってかっこいい!
まぁさらけ出しているのは、自身の評判に影響を与えない者や読者にだけで、基本は良いカッコしぃでやってるわけだが。。。
謎解きだったり、二重底の部分は可もなく不可もなくといったところだろうか。 -
Posted by ブクログ
麻薬撲滅キャンペーンで成功した水倉地区。その立役者の一人であり、元俳優で現職の国会議員・師道一正には、違法薬物の売買に関わっているという噂が流れていました。元子役で今は契約社員として鳴かず飛ばずの日々を送るの彼方は、殉職した刑事を父に持つ真理子と組み、師道の疑惑を突き止めるべく位置情報アプリを作成します。そんななか真理子が誘拐されてしまいます。
小学生が引き起こした薬物事件や師道の推理、薬物撲滅キャンペーンの中心人物だった真理子の父の死。ショッキングな導入から一気に引き込まれグイグイ読み進めました。アプリ開発のSNSグループの会話も面白かったです。AIの「詩人」の存在が後に事件の突破口になるだろうとは思いましたが、勝手に想像していたのとは違った展開でした。もうひと捻りある意外な展開でした。でもちょっとあっけなかったかな。師道が自殺したのもなんか違うなあーと思ってしまいました。面白かったけど期待値が高すぎたかも。 -
Posted by ブクログ
潮谷先生の「伯爵と三つの棺」が面白かったので他の作品も読みたいと思って、こちらを手に取りました。
「伯爵と…」は中世ヨーロッパの話でこちらは現代日本でタイムリープがテーマと全然毛色が異なりますが、面白かったです。
科学者や天才少年が出てきて科学理論の話をしたり、センミウアートなる科学者の論文が出てきたり(こちらは架空のものみたいですね)と科学の素養がないと難しいのかな…と不安になりましたが杞憂でした。潮谷先生がそんな読者を置いてきぼりにするようなことをするはずなかったです。失礼しました。
殺人犯を探すのに使うのはごく普通の論理ロジックで、絶対に無理な人を除外していくというオーソドックスなものです。ものですが私はいつもの如くよく分からないまま先に進んでしまいました。でも面白いです。他の方も書かれてますがオバチャン最高です。
最後がちょっともどかしい感じで終わります。あと10ページ書いて〜と思いましたが、これはこれで余韻を残した感じで良いのかもです。文体も読みやすくサクっと読めます。オススメします。 -
Posted by ブクログ
展開が二転三転、こんな誘拐ミステリーは初めて! 位置情報アプリを使った誘拐の謎を追え #誘拐劇場
■あらすじ
滋賀県大津市の水倉地区で小学生が麻薬を摂取するという事件が起きた。自治体は薬物をなくすため、イメージキャラクターとして俳優の師道に依頼。さらに彼は地元の刑事と連携して、麻薬事件の真相を突き止めることに成功したのだ。
その後師道は政治家となるも、後ろ暗いうわさがあった。彼の素顔に迫ろうとする真理子と彼方は、仲間たちと水倉地区を調べ始める。しかし真理子が誘拐されてしまい…
■きっと読みたくなるレビュー
本作は誘拐をテーマにしたミステリー、またもや潮谷験先生がやってくれましたね。先生はどんな題材でもエンタメにしちゃうし、しっかり謎解きミステリ―になってるし、しかもTVドラマ見てるような感じで読めちゃうんすよねー。そういった意味では、今後は脚本にも挑戦して欲しいと思いました。
さて本作は誘拐がテーマにはなっているのですが、これまで読んできたような誘拐ミステリーではありません。金銭や怨恨といった単純な目的ではないのです。本作のメイン題材は麻薬、使われるツールはITやAI、語られるのは善悪の価値観です。かなり密度の濃いミステリーに仕上がっています。
まず推したいのはプロットですね、よく組み立てました、素晴らしい! まず一行目から惹きつけるし、序盤なんてあっという間に読めちゃいます。前半でもう展開が二転三転するんですから、全く目が離せない。
面白いのがストーリーに取り込んだツールですよね。位置情報アプリ、チャット、AIなど現代的。個人的には位置情報アプリを誘拐ミステリーに使ったのが興味深く、謎解きにも絡んでくるし、さすがだと思いました。
そして謎解きですよ。最初っから怪しすぎの師道一正がどう事件に関わっているのか、いないのか。特に動機や背景がよくわからずで、終始煙に巻かれちゃうんですよね。もちろん誘拐犯やその背景もぶ厚く解きごたえあり、位置情報アプリとの関連が唸りましたね~。
また本作は薬物についてよく描けています、恐ろしさが伝わってくるんですよ。薬物に手を出してしまう人のリアルが描かれていて、読んでるとしんどくなってくる。なんか小学生が被害者になってしまうなんてのも不気味、現実では絶対やめてほしい。
この物語では力がある者とない者の運命が露骨に出てる感じがしますね。何が正義で、何が善なのでしょうか。
■ぜっさん推しポイント
仲間っていいもんですよね。私も長らく今の会社で仕事をしてますが、チームメンバーには本当にお世話になっています。チャットのやり取りログを見てると、いつもの自分みたいでニヤニヤしちゃいました。
本作でも同じ志をもった仲間たちのやりとりが微笑ましくて好きですね~、でも中身はアツくて力強い。励まし合える仲間がいるってのは、幸せなんだろうなと思いました。