潮谷験のレビュー一覧

  • 時空犯

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    1000回近く繰り返される6月1日。
    タイムループを認識し研究する博士とそれに巻き込まれた8人。その中に巻き戻しを操作し、殺人を起こしている時空犯が...。

    タイムループもの(映画も含めて)は結構好きなので楽しく読めました。SFチックで哲学的なループの仕組みもオバチャンのおかげでとてもわかりやすかったです。
    犯人を特定していくロジックがとても秀逸で、探偵さんすごいと思いました。
    それがそうなってなるほど!という感じ。
    犯人と犯人の動機、そして終わり方もとても好きです。おもしろかったです。

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    2025年07月13日
  • これが最後の仕事になる

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    同じ書き出しで始める短編集。ストーリーそのものがおもしろいというよりは、作家の個性を楽しんだり、「同じ書き出しでもこれほどバリエーションがあるなんて」とアイディアそのものもを楽しんだりできる1冊だと思った。

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    2025年07月13日
  • 伯爵と三つの棺

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    ネタバレ

    フランス革命期、フーダニット小説にして歴史に翻弄されたどんでん返し小説。

    <良かった点>
    ・伯爵がかっこいい!!!!
    美男で洞察力があってチャーミングで壁走りで助けに来てくれるとか、ちょっと盛りすぎじゃと思うくらいかっこいい。つまみ食いの仕草までエレガントとか反則!!!
    この人にだったからこそ、最後の最後に墓までもってくはずの秘密を聞いてほしくなったんだろうなあと思ったりした。

    ・歴史を絡めて二転三転する筋がよかった
    「あれ、解決したのにまだ続きがある??」が続いて振り回された。っていうか「お前もだったんかい!!」が一番びっくりしたかも。
    あと最初「フランス革命の話」じゃなくて「フランス革

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    2025年07月12日
  • 新しい法律ができた

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    ネタバレ

     同じ書き出しで、25人の作家さんが25通りの物語を紡ぐ。1編が6ページほどのショートショートだからサクサク気軽に読めるし、様々なジャンルの物語を1冊で楽しめるためお得感がすごい読書時間を過ごした。

     現実の法から奇想天外な架空の法まで、ジャンルもミステリやディストピアものなど、物語の舞台も現代から近未来、果ては明治時代やアメリカの西部開拓時代まで、多種多様な設定の中でその法律が齎す思わぬ影響や人間模様が繰り広げられる。短いながらどの作品もとてつもない読み応えだった。

     法律というテーマ故か、ディストピアものとの相性が特に良かったように感じる。
     ハッとしたのは、今私たちの生きている世界は

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    2025年06月28日
  • 名探偵再び

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    やられた。
    見事なまでにこちらの先入観を弄ばれた。古典ミステリのオマージュ要素も、俗物極まりない主人公のキャラクター設定も、すべてトリックを成立させるピースになっていた。読者を誤導する腕前をぜひ堪能してほしい。
    いやはや、参りました。

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    2025年06月23日
  • 伯爵と三つの棺

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    フランス革命の時期、とあるヨーロッパの王国で起きた「三つ子事件」。
    吟遊詩人が訪れた「四つ首城」で何者かに射殺された。
    容疑者は城主であり、城の改修を任されていた三つ子の兄弟。
    事件捜査の科学技術が未発達な中世の時代にいかにして犯人と事件の真相を突き止めたのか、その経緯を三兄弟の友人が記録した手記で辿るミステリー。

    事件が起きるまでが長く感じられ、自分は世界史にも疎いのでしばらくは読みにくさがあった。
    読み進めていくと展開は二転三転しその度に展開のスピードも増していって、まだひっくり返されるんだというワクワクを最後まで感じながら読み終えた。
    事件の背景には革命時期のヨーロッパの社会情勢や制度

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    2025年06月21日
  • 新しい法律ができた

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    ショートショートというものを初めて読んだ。
    なので、他シリーズは未読。

    「新しい法律ができた」
    最初の1行は全員一緒。
    なんだそれ、面白い!!!
    同じ一行から始まるのに、話の内容も展開も全く違う。面白い。

    1つ目のお話(金子玲介、ルパちゃん)が重くて、苦しくて、
    え!?これ読めるか!?と思ってしまった。
    が、作家によって内容は十人十色。
    様々なバリエーションがあるのが面白かった。
    しかし、法律が主題なので、内容が難しいものも多かった。

    塩屋験さんは(AIが小説を書くようになるが、作者は人の名前にし、人間かAIが書いているか分からなくするという話)、最後、え!?となって驚かされた

    シリア

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    2025年06月17日
  • 名探偵再び

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    30年前に私立雷辺女学園で名探偵として名を馳せたが、宿敵のMとともに滝に落ちて亡くなった名探偵の時夜遊。その姪孫である時夜翔は同じく雷辺女学園に入学し、いまだに伝説として君臨する大叔母の威光を満喫していたが、難事件の解決を依頼され困惑する。ピンチを切り抜けるべく苦悩する彼女の前に現れたのは、30年前の亡霊だった。
    ライトな読み心地の学園ミステリのようですが、謎解きはなかなかにライトじゃありません。時夜翔のキャラが曲者で良いなあ。決して馬鹿ではないけれど名探偵と言われるほどの知力がないのを自覚していて、しかし虚勢を張りたいし目的のためには手段を選ばないところもある。でもどうにもならない状態では腹

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    2025年06月14日
  • 本格王2025

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    ネタバレ

    それ目的で買い、彼の短編と解説部しか読んでいないため、白井智之の「誰も読めない」だけのレビューです

    作品自体は先行して
    「もの語る一手」講談社刊 アンソロジー
    に掲載済みだが、購入を迷っていたところだったので安価なこちらは有難い

    ストーリーは
    プロ棋士が対局中に拉致され、ある男に冤罪を証明して欲しいと頼まれる
    彼の正体は、弟子を取らないポリシーがかつて一度だけ揺らいだ、将棋イベントで出会ったことのある家庭環境の思わしくない少年だった

    現在と過去の対局シーンや駒の動きが本気めで描写されているし、ミステリー要素にもゆるく絡んでくるので将棋が全くわからないという方には読みにくいかも

    有名な戦

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    2025年06月13日
  • スイッチ 悪意の実験

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    スマホ上のスイッチを押すと幸せな家庭が崩壊してしまう…
    そんな非現実的なアルバイトを始めた女子大生小雪達6人。
    小雪や仕掛人の過去も交錯しながら事態はまさかの展開に…。

    まずスイッチの設定がおもしろかったです。
    人間にそんなに悪意ってあるの?って思いながら読んでいたのですが、殺人まで起きて、思わぬ方向に。
    宗教が絡んでくると難解なイメージがありますが、割と読みやすかったです。「力」については謎しかないですw
    「鉄鼠の檻」を読んでから仏教に少し親近感が湧いていることも再認識しました。

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    2025年06月12日
  • 名探偵再び

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    いや〜やられた。そっちかぁ。
    名探偵『時夜遊』の後継者として周りから注目を浴びている『時夜翔』は、滝の下で骨に触れた事で、ここで亡くなった幽霊と話せるようになった。幽霊に事件のピースを話す事で推理してもらい事件を解決してきた。最後の展開には、びっくりしたが伏線は確かにあった。新聞部の水間先輩のキャラもいい感じ(笑)

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    2025年06月12日
  • 時空犯

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    SFモノは苦手イメージでしたが、割とすんなり読むことができました。超次元的な話はそれとして、ミステリの部分はちゃんとルールに則ってて面白かった。

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    2025年06月08日
  • 名探偵再び

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    設定がホームズとモリアーティ。ホームズを女子高生に、モリアーティを…
    師匠の正体が分かったときは、ハッとした。
    潮谷さんの小説は会話が面白い。
    序盤の「ガッツのある変態」で、もう夢中。

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    2025年06月01日
  • だから捨ててと言ったのに

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    短編なのでサクサク読めた。
    今回の書き出しテーマは『だから捨ててと言ったのに』…だいたい恋愛絡みか、夫婦関係こじらせ系が多かったように思う。
    誰に対して言っているかで、作者ごとに思い付く話が違い、個性があって面白い。
    アンソロジーは、知らない作家さんを知って、見つける機会にもなる。
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    ↓読んだ中で印象に残ったもの。

    ●良い話
    砥上裕將『母の箪笥』
    金子玲介『恋文』

    ●じわじわ来る系
    潮谷験『無理解』
    五十嵐律人『累犯家族』
    背筋『こわくてキモくてかわいい、それ』

    ●設定の世界観が独特
    黒澤いずみ『捨てる神と拾う神』
    舞城王太郎『食パンと右肘』
    多崎礼『海に還

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    2025年05月31日
  • だから捨ててと言ったのに

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    「だから捨ててと言ったのに」という1文から始まるショートストーリー集。このシリーズは全て読んでいるが、毎回色んな作家さんの作品が読めるので楽しみ。今回のもバラエティに富んでいて面白かった。
    「パルス、またたき、脳挫傷」岡崎隼人
    「海に還る」多崎礼
    「探偵ですから」麻耶雄嵩
    この3編が特に意外性があって良かった。

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    2025年05月19日
  • 名探偵再び

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    設定とキャラと会話のギャグセンスが飛びぬけてる傑作!本格謎解きも楽しい学園ミステリー #名探偵再び

    ■あらすじ
    女学園に入学した時夜翔、かつてこの学園では大叔母の時夜遊が名探偵として活躍していた。遊はいくつもの難事件を解決していたが、悪事を働いていた理事長Mと対決し、ともに滝に落ちて亡くなっていたのだ。

    そんな有名人の親族である翔に、様々な事件の依頼がやってくる。探偵には興味がない翔だったが…

    ■きっと読みたくなるレビュー
    またもやってくれました潮谷先生。作品ごとに違う素材、舞台、アプローチで本格ミステリーを読ませてくれるんすよね。しかも捻り具合が独特で天才的発想なんすよ、毎度読み逃せな

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    2025年05月17日
  • スイッチ 悪意の実験

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    スイッチを押すのかい?押さないのかい?どっちなんだい?押〜す!、というお話(?)。

    押さずともよいスイッチが押されてしまう。誰が何故?という謎からさらに事件は展開。純粋なる悪、宗教的な考え、仏教、それぞれの過去、コイントス、など。

    読み進めていきつつ、自分もS(犯人)を推理してみたけれど、まったく検討はずれ。

    原因→結果、物事の道理、順番、そこにはちゃんとした理由があるもので、スイッチが押されたワケになるほどねぇ、となりました。

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    2025年05月06日
  • スイッチ 悪意の実験

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    純粋な悪に私は多分出会ったことがない。そう言う人は息を吸うように人を害することができるんだろう。でも、純粋な悪の素質はみんな持っていると思う。根拠もなく、自分を貶めがちな自分もそう言う意味では悪である。読んだ後に本当に少しだけ救われたかも、と思うのは、題材に宗教が絡んでるからなのかもしれません。とりあえず香川さんが推しです!

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    2025年04月29日
  • 伯爵と三つの棺

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    フランス革命時代のヨーロッパの小国で起こった殺人事件の犯人が三つ子で……という心踊る展開。探偵が制度として確立してる世界観も好き。時代ミステリで時代を活かしてるの、やっぱり良いよね。

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    2025年04月29日
  • 伯爵と三つの棺

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    最近ミステリに苦手意識を持ってしまっているけど、この作品はミステリと知らずに読み始め、世界観と登場人物が好きで最後まで楽しく読むことができた。
    フランス革命と同時代、中欧で起きた事件。平民、中流階級、上流階級と厳格な身分格差があり、その中での生き方の葛藤も描かれている。
    寛大でおちゃめなD伯爵。崖の場面に胸が熱くなる。

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    2025年04月26日