潮谷験のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレおもしろかった!ファンタジー×ミステリーみたいな感じかなと思って読み進めてたけど途中から政治頭脳バトルっぽくなってきて新しさを感じた。「怪物」の見た目や強さ、大昔とのつながりなど、設定が魅力的で、ただ怖いだけでなく正体が気になるような設定にしてあるところが良かった。政治絡みだけどポップな表現が多くて全然難しくないし、キャラも個性的だし、すごく読みやすくて政治がテーマとは思えないほど。さすが潮谷さん!だけど永倉博士は好きになれなかったなあ。研究への好奇心で動く人だから、純粋な悪意よりもたちが悪い上に、一連の流れを金のため、自分の娯楽のためにもてあそんでいたところが気にくわない。関わりたくないタイプ。起こってる事はどれも重みのあるものだけどなぜか軽く感じるのは、主人公のキャラ性が関係しているのかもしれない。さっぱりとした性格だし、自由奔放にベースを演奏したら聞いていた者全てが顔を歪ませるという悪魔的な能力の持ち主でこの人の存在がなんか現実味がなくてファンタジーなんだよね。リアルっぽさは薄れるけど作品全体をよりおもしろくしてるいい設定だなと思う。あと、絶対にありえない現象だけど、私には、なんだか似たような体験をした感覚があって、読んでて面白かった。その体験とはズバリ「コロナ禍」。「怪物」が世界中で出没し、大騒ぎされてるシーンを読んで、コロナによって日常がひっくり返って世界中が大混乱したあのころを思い出して、不思議な感じがした。もうあんなこと二度と起こらないってずっと思ってたけど、もしかしたらある日突然怪物が目の前に現れるのかもしれない。そう考えるとやっぱり怖いけど、何が起こるか分からない、っておもしろいな、とも思う。
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Posted by ブクログ
大学で同じサークルだった5人が、同窓会の名目で山の上のコテージに集められます。そこで、皆を招待した沼田という男が妹の白骨死体を頂上付近で発見したことと犯人はこのサークルメンバーの中にいると明かします。
前半はサークルメンバーの手記、後半は山岳救助隊視点の小説で、その合間に犯人の独白が挟まるという構造。
コテージに残された2人分の手記がそれぞれ違う犯人を指していたところで、一体どういうこと…?とググッと物語に引き込まれる。
後半の山岳救助隊員たちのパートもとても面白い。正直最初は、山岳救助隊員の心情とか興味ないから早く真相が知りたい…と思っていたのですが、気づけば山岳救助隊の活動や隊員たちの想いに共感して夢中で読んでいました。潮谷さんに山岳救助隊員を主人公とした純粋な山岳小説を書いてほしいくらい、この後半部分が前半に負けず劣らず面白い。
と、ここまではすごく面白かったのですが、犯人を推理する解決パートでちょっと失速かな…。
犯人を断定する根拠があまりにも単純すぎるんじゃ…。なんかもうちょっと捻った証拠があるのかと思っていたので、ちょっと拍子抜け感が。
とはいえ、読んでるときはドキドキハラハラして楽しめました。潮谷さんの小説ってとても読みやすいというか、話の論理がすごくしっかりしていて読んでいて心地良くて、ミステリ要素がなかったとしても小説として面白い。 -
Posted by ブクログ
山上のコテージで死体が見つかるも、他の参加者は行方不明に… 山岳救助と殺人事件の捜査をスピーディに描く本格ミステリー
■あらすじ
学生時代の同窓会のため、皐月山のコテージに集まったメンバーたち。主催者の沼田には、ある思惑があった。かつて妹が事故に見せかけて殺害された事実を知っており、その犯人を同窓会で捜そうとしていたのだ。しかしメンバーに問い詰めても、犯人からの告白はなかった…
その後コテージで沼田の死体が発見される、しかしコテージには誰もいない。山岳救助隊は彼らの捜索と共に、殺人事件の解決をしなければならず…
■きっと読みたくなるレビュー
こりゃまた凝ったミステリーですな~、さすが潮谷験先生。どんな題材でも謎解きミステリーと上手にブレンドしつつ、独特のプロット、変わった角度のアプローチで物語を綴ってくれる。
本作でも天才的な創作は健在で、山岳救助と殺人事件の捜査と解決を急いでやらなければならないという、スピード感のあるスリリングな展開。
さらには肝心の現場では何があったのか? という物語のメインどころは、二人の手記という形で語られるのです。合間合間に挟まれる「罪人の独白」も効果的で、先がどうなるのか、どんどん読まされてしまう。
しかも本作は250ページほどと短め、無駄を削ぎ落されている。切れ味が鋭い高速カーブのようなミステリーですね。
あと興味深かったのは低体温症についてですね。そもそも低体温症の恐ろしさなど知らなかったので勉強になったのと、これを謎解きのメインどころに仕掛けてくるのも面白い。もちろん他にも策略があるんだけど、ヤラレタ感があったなー
そして物語が終盤に近づくと、人命救助の行方と事件の解決、真相が一気に語られる。決して長くはないお話なんだけど、実はいろんな人間の思惑や策略が背後に渦巻いているということがわかる。やっぱりこの鋭さがこの作品の強みでしょうね、凄かった。
■ぜっさん推しポイント
これまで山間部の警察や山岳救助隊の大変さ、現実なんて知ることがありませんでした。時間との戦いだし、人員もなかなか確保もできない。そして命を救うことがいかに難しくて大変なことか…
山岳救助隊から吐き出される台詞に、生々しさを感じました。山に入るときは油断せず、決して軽装で登山をしないようにしなきゃと思いました。 -
Posted by ブクログ
サクッと読めて面白かった。
それぞれの事件そのものも、そんなに重たくない(でも私には推理できない...)ので、スルスルと読める。
主人公の時夜翔のどこか冷めていて現実的で、でも単なる自己中ではないというキャラクターが個人的に大好きでした。
自分が生まれるはるか前に亡くなった大叔母なんて、ハッキリ言えば他人と一緒だと思うし、大叔母を知っている人たちの勝手な期待って鬱陶しいだろうなーなんて思いました。
だからそれを綱渡りだし望んでやってるわけじゃないとはいえ、自分の承認欲求に使うのはアッパレだなとも。
謎の断片はチラホラわかったものの、最後の最後でそうきたか!と。続編あったらぜひ読みたい -
Posted by ブクログ
ネタバレ読み始めてからは最後まで一気に進んだ。
一見無関係に見えた登場人物たちが様々な事情で次第に繋がっていくのが楽しかった。とはいえ、私としてはミステリー要素より、主人公の変化が非常に印象的だった。
個人的に色々あってからしばらくしての読書体験だったのだが、主人公の内面の変化やその後の思考と行動が、迷っていた時期の自分のそれとかなり似ていて共感しながら読んでいた。見過ごしていた怒りがちゃんと湧いてくるところや、感情をなんとかしようと変な行動をするところがまんま自分だったし、温かい気持ちで見ていた。そして、その変化が事件に終止符を打ったことが、私の変化が悪くはないものだと肯定されたようで嬉しかった。
「理由もなく人を傷付けるのが一番恐ろしい悪だって。だったら」「その反対も、同じだよ。根拠もないのに自分を傷付けるのだって、きっと、同じくらい罪深いことなんだ」 頁257
「自分が激怒していると自覚すらできなかった。ただただ雪崩のように襲ってくる感情から逃れたくて、自分の価値を小さく縮めてしまったんだ。」 頁269
「あの人は、寄りかかり続けるしかできない人だった。」「もたれかかりしがみついて、自分をすり減らしていることにも気付かず生きている人だった。あの接見で、君は断ち切ったんだよ。そういう甘えをね。」 頁464 -
Posted by ブクログ
30日間、日当1万円の言う条件下で1ヶ月の間、インストールされたアプリのスイッチを押す権利が与えられ、その間毎日1万円が振り込まれる。
しかも、30日後にはボーナス100万円が振り込まれると言う奇妙なバイトに参加することになった大学生他6名。
主催者は「最大の悪」とは何かを「実験」土称して私財を投じて行う心理コンサルタント。
このスイッチを押すと、説明会中に寄りランチをいただいた家族操業の「ホワイト・ドワーフ」と言うベーカリーの資金援助が中止となる。
援助により何とか経営していけるベーカリーにとっては死活問題であり、路頭に迷うことになるのは時間の問題。
押しても押さなくても1ヶ月後には100万円手にすることが出来るなら、誰もスイッチを押さないだろうと6人は答えるが、「純粋な悪」が存在したなら・・・と意味ありげに語る。
そんな中、最終日に自分のスマホが盗まれスイッチを押されてしまった!!
犯人は?コンサルタントの思惑は?ベーカリーの不思議な家族関係は?動機は?幼少期のトラウマ?新興宗教?心のコイン?
分厚い1冊にギュッと詰め込まれ、発想や先の展開が読めなくて、予想できない終わり方でした。
登場人物の其々の考え方が軽かったり、重かったり、優しかったり、突き放したりと中々面白い1冊でした。