あらすじ
近畿地方のベッドタウン・水倉地区で起きた薬物事件。バニッシュと呼ばれるペーパーアシッド、最初の被害者は小学生だった。
県では薬物撲滅キャンペーンが展開され、イメージキャラクターとして俳優・師道一正が選ばれた。クリーンなイメージで俳優としても超一流、人を魅了することに長けた彼は、探偵としての能力も発揮。県警の義永誠刑事に協力して、事件の恐るべき真相を看破した。
事件解決の名声も手伝って師道は国会議員となり、水倉を地元として帰ってくる。そして囁かれはじめる黒い噂。
事件解決の熱狂の最中にも師道に違和感を持っていた支倉彼方と義永刑事の娘・真理子は、師道の真実に迫ろうと仲間を集め、位置情報アプリ「MK2」を使って水倉丘陵に隠されているはずの秘密を調べ始める。
そして誘拐事件は起こった。
二転三転する物語と手に汗握る知的攻防。善とは悪とは? 『スイッチ 悪意の実験』『伯爵と三つの棺』の潮谷験が贈る、傑作ジェットコースターミステリー!
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
滋賀県大津市にある水倉地区で、小学生が麻薬を摂取するという事件が起こった。他のベッドタウンに比べれば決して犯罪件数も多くない素朴な田舎町で起こったLSDの過剰摂取による被害者が増えていく中で、有名俳優だった師道一正が水倉地区の薬物犯罪撲滅キャンペーンに参加してくれることになった。やがて師道と刑事の義永は事件の真相に辿り着く。それから長い月日が経ち、政治家になった師道は、水倉地区の象徴のような存在になっていた。この事件とこの事件で相棒を果たした刑事の死が、彼を政治の世界にのめりこませる重要な出来事になったことは、有名な話だが、そんな彼に疑いの目を向ける人間もいて――。
ということで本書は、小学生が麻薬を過剰摂取するショッキングなシーンで幕を開け、物語の後半は、倫理的な問題に深く踏み込み、やがて『心』の問題に行き着く忘れがたい余韻を残す作品になっています。とはいえ題材自体は軽くなくても、重さでページを進める手が鈍ってしまうタイプの作品ではなく、読み味は軽快で心地良く、先が気になって仕方なくなるタイプの作品と思います。ゲーム性を組み込んだ誘拐ミステリとしてもユニークで、終わってからがはじまり、と言わんばかりに二転三転する展開がとても魅力的でした。様々な真相が明かされるたびに、そんなところにも仕掛けが、と驚きっぱなしの一冊でした。
Posted by ブクログ
麻薬撲滅キャンペーンで成功した水倉地区。その立役者の一人であり、元俳優で現職の国会議員・師道一正には、違法薬物の売買に関わっているという噂が流れていました。元子役で今は契約社員として鳴かず飛ばずの日々を送るの彼方は、殉職した刑事を父に持つ真理子と組み、師道の疑惑を突き止めるべく位置情報アプリを作成します。そんななか真理子が誘拐されてしまいます。
小学生が引き起こした薬物事件や師道の推理、薬物撲滅キャンペーンの中心人物だった真理子の父の死。ショッキングな導入から一気に引き込まれグイグイ読み進めました。アプリ開発のSNSグループの会話も面白かったです。AIの「詩人」の存在が後に事件の突破口になるだろうとは思いましたが、勝手に想像していたのとは違った展開でした。もうひと捻りある意外な展開でした。でもちょっとあっけなかったかな。師道が自殺したのもなんか違うなあーと思ってしまいました。面白かったけど期待値が高すぎたかも。
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潮谷さんの小説はセリフが面白い。
詩人の「風の中、立ち尽くすだけ」は、間がよく、彼の正体を思い浮かべるとほっこりする。
位置情報を収集するアプリや若年層のドラック使用など、今どきの要素が盛りだくさん。
最後まで暗い空気にならずに面白いのは、軽妙な会話あって、なのだと思う。
映画ネタがちょくちょく出てくるのも好き。マドンソク!
Posted by ブクログ
小学生。麻薬。LSD。バニッシュ。水倉地区。師道。俳優。政治家。義永。父親。真理子。
彼方。アプリ。MK2。位置情報。誘拐ゲーム。刑部。ゲームマスター。詩人。AI。
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いきなり小学館が麻薬を摂取する所から始まるなんて衝撃的だなぁと思いました。それも健康薬のように見せかけ道端に置いてあったとの証言に驚き、薬物をなくすためのイメージキャラクターとして俳優の師道がやり後に政治家になってしまう。誘拐をテーマにしたミステリーAIやチャット、位置情報アプリまで出てくる近代的なミステリーし仕上がっています。二転三転ラストの衝撃的な結末に拍手喝采、あなたも誘拐ミステリーを読んで堪能して下さい。
Posted by ブクログ
展開が二転三転、こんな誘拐ミステリーは初めて! 位置情報アプリを使った誘拐の謎を追え #誘拐劇場
■あらすじ
滋賀県大津市の水倉地区で小学生が麻薬を摂取するという事件が起きた。自治体は薬物をなくすため、イメージキャラクターとして俳優の師道に依頼。さらに彼は地元の刑事と連携して、麻薬事件の真相を突き止めることに成功したのだ。
その後師道は政治家となるも、後ろ暗いうわさがあった。彼の素顔に迫ろうとする真理子と彼方は、仲間たちと水倉地区を調べ始める。しかし真理子が誘拐されてしまい…
■きっと読みたくなるレビュー
本作は誘拐をテーマにしたミステリー、またもや潮谷験先生がやってくれましたね。先生はどんな題材でもエンタメにしちゃうし、しっかり謎解きミステリ―になってるし、しかもTVドラマ見てるような感じで読めちゃうんすよねー。そういった意味では、今後は脚本にも挑戦して欲しいと思いました。
さて本作は誘拐がテーマにはなっているのですが、これまで読んできたような誘拐ミステリーではありません。金銭や怨恨といった単純な目的ではないのです。本作のメイン題材は麻薬、使われるツールはITやAI、語られるのは善悪の価値観です。かなり密度の濃いミステリーに仕上がっています。
まず推したいのはプロットですね、よく組み立てました、素晴らしい! まず一行目から惹きつけるし、序盤なんてあっという間に読めちゃいます。前半でもう展開が二転三転するんですから、全く目が離せない。
面白いのがストーリーに取り込んだツールですよね。位置情報アプリ、チャット、AIなど現代的。個人的には位置情報アプリを誘拐ミステリーに使ったのが興味深く、謎解きにも絡んでくるし、さすがだと思いました。
そして謎解きですよ。最初っから怪しすぎの師道一正がどう事件に関わっているのか、いないのか。特に動機や背景がよくわからずで、終始煙に巻かれちゃうんですよね。もちろん誘拐犯やその背景もぶ厚く解きごたえあり、位置情報アプリとの関連が唸りましたね~。
また本作は薬物についてよく描けています、恐ろしさが伝わってくるんですよ。薬物に手を出してしまう人のリアルが描かれていて、読んでるとしんどくなってくる。なんか小学生が被害者になってしまうなんてのも不気味、現実では絶対やめてほしい。
この物語では力がある者とない者の運命が露骨に出てる感じがしますね。何が正義で、何が善なのでしょうか。
■ぜっさん推しポイント
仲間っていいもんですよね。私も長らく今の会社で仕事をしてますが、チームメンバーには本当にお世話になっています。チャットのやり取りログを見てると、いつもの自分みたいでニヤニヤしちゃいました。
本作でも同じ志をもった仲間たちのやりとりが微笑ましくて好きですね~、でも中身はアツくて力強い。励まし合える仲間がいるってのは、幸せなんだろうなと思いました。
Posted by ブクログ
序章が面白さのピークで、物語の全体像はありきたり。しかし、AIが良い味を出していた。軽いエンタメを読みたいときにちょうど良い。
AIを出すと5年くらいで作品の賞味期限が切れそうだけど、これはAIの使いどころがおかしいから、割と長く楽しめそう。
Posted by ブクログ
過去に薬物事件を解決した元俳優の政治家・師道一正に主人公が疑念を持つところから始まり、彼への調査が始まってから起きる誘拐事件と人質解放のゲームが融合した誘拐ミステリーで、メインの謎である『師道一正とは何者なのか?』の推理が徹頭徹尾描写されていて真相が早く知りたくて頁を捲る手が止まらなかった。
Posted by ブクログ
師道一正とは一体何者なのだろう。何を考えているのだろう。何を成し遂げたいのだろう。彼方たちとともに、その答えを探し求めていた。
最後の最後まで、楽しめる作品だった。
MK2を作り上げた仲間たちがそれぞれ個性的でとても心惹かれた。
Posted by ブクログ
小学生を巻き込む麻薬の横行に地元の刑事が捜査を始める。かつてその町でロケをして有名になった俳優が麻薬撲滅キャンペーンを申し出て刑事の相棒の様な存在になる、という所から始まるミステリー。誘拐事件あり、アプリでの大会ありと盛り沢山な内容。何となく大掛かりな劇場物を観た様な気がする。
Posted by ブクログ
師道は善か悪か。
薬物依存に対する問題提起がなされている。
師道の理念を肯定しそうになるけれど、それもどこまでが真実か。
うまくドラマ化してくれないか。
Posted by ブクログ
滋賀県大津市にある小学校でのこと…5年生の教室内で起きた不可解な出来事は、LSDの略称で知られる悪名高い幻覚剤を4人の小学生が摂取するという…
この地でばら撒かれているLSDが「バニッシュ」と名づけられ被害児童が小学生だったことに驚いたのだが、刑事が動き出した頃に薬物撲滅キャンペーンのイメージキャラクターに選ばれた俳優の師道が協力し、事件の真相に辿り着く。
それが始まりであり、そこから数年経って動きだしたのは俳優だった師道が国会議員にのしあがったことで、彼に不審を抱くのは刑事の娘と元子役の支倉だった。
二人が仲間を集って調査を始めた矢先に誘拐事件が起き…。
展開が多くて何度も振り返りながら読み進めるという、苦戦しながらの読書だったが一番読めなかったのは師道の行動であり、彼の性格であった。
もと俳優というのもあるのか、常に本心を見せないのがわかりにくくさせていたのかもしれない。
Posted by ブクログ
タイトルと表紙のシュールさに惹かれて読み始めたが、、、。
例え、フィクションと言えども話の設定が強引すぎる。結果ありきで無理やりキャラクターを作った感じ。最後までハマらなかった
Posted by ブクログ
小学生が薬物を摂取していたという衝撃の事件から物語は始まる
俳優の師道一正が事件を解決するが、数年後彼に疑いを持つ若者が現れ…
師道は善人なのか?悪人なのか?全てが謎のまま二転三転していくストーリー
キャラクターが魅力的な作品