潮谷験のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
新年1発目にふさわしいサービス精神あふれる作品でした。
事件とは直接関係ないところですが、「未来があるからこそ、それに備えて勉強させてもらえるんだ」という趣旨の言葉があり、確かにその日をやり過ごすだけの一生では何か勉強する・させる動機は生まれないよな、じゃあ大人としてこれからの学びとは……と少し立ち止まって考えました。
その点も年始に読めて良かったなと思います。
フランス革命期ヨーロッパが舞台とはいえ、文体は堅苦しくなく素直に読めました。
ただ、若干ですが言い回しに現代日本寄り(「生暖かい視線」など)の部分があり、一瞬雰囲気が崩れるのが惜しいです。 -
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Posted by ブクログ
時は18世紀末フランス革命の頃、欧州の小国で貴族として育ったクロは、三つ子の兄弟と出会い友人となる。やがてクロは官僚となりD伯爵の政務書紀を務め、三兄弟もクロの伝手でD伯爵の所有する荒れ城「四つ首城」の改修に携わることとなった。やがて「四つ首城」で殺人事件が起きる。殺されたのは三つ子の父親•アダロ。目撃状況と父親とのただならぬ関係性から、三つ子の兄弟が容疑者として疑われるが…
淡々と殺人事件が起きて、「公偵」と呼ばれる探偵によって淡々と捜査が進み、物語の中盤過ぎたあたりで早々と事件の真相が明らかになる展開。えっ!いくらなんでも時期早尚では?と思いきや…からのひねりツイストうっちゃり劇は予測不 -
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Posted by ブクログ
ネタバレこれが最後の仕事になる。
全ての物語がこの一文から始まる短編集。この形式のは前も読んだけど、いろんな作家さんの作品が読めるのがいいね。
気に入った作品
『半分では足りない』呉 勝浩
『事故をつくる男』白井 智之
『最後の告知』真下 みこと
『声』岸田 奈美
『あの人は誰』麻見 和史
気に入った作品の感想
『半分では足りない』は仲の良くない兄弟の話。普通に読み終えたら、まさかの逆読み!!すごいよく出来ててびっくりした。
『事故をつくる男』は高級マンションを安く手に入れるためにその物件を事故物件にするために動いていた男の話。
『最後の告知』はとにかく読みやすい。真下さんはいつも読みやす -
Posted by ブクログ
オーストラリアの牧場に突然現れた半人半獣、牛頭の怪物。その後、日本を含め世界各地で目撃されるようになった。そんな怪物が京都府眉原市議会の会場に出現した。史上最年少の女性市長・利根川翼は逃げ遅れた子供を探しに戻り、2匹目の怪物に遭遇した。怪物は倒されたものの、2匹目は着ぐるみで中からは行方不明だった市議会議員の姿が。市議会議員を殺したのは誰なのか…。
現代社会に怪物が現れるという斬新な設定。怪物はどこから現れるのか、法則性があるのか、怪物の秘密が明かされていく。けれど、この話のメインは誰が市議会議員を殺したのか。政治ものっぽい雰囲気もあって、結構色んな要素が詰まっている感じ。 -
Posted by ブクログ
難病、「オスロ昏睡病」が快復した患者の身体には、後遺症として薔薇の形の腫瘍ができる。
治療方法を確立した医師の殺害を皮切りに、元患者、通称「薔薇持ち」たちが次々と殺害めぐるされる事件が発生。自身も「薔薇持ち」である京都府警の八嶋は、病とその治療方法の闇に切り込んでゆく。
メフィスト賞作家塩谷験さんによる、架空の病気をめぐる特殊設定ミステリです。
どちらかと言えば主題は犯人やその動機よりも、病気やその治療法の真実、そして自己とは、意識とは何なのかという哲学的な問いに感じます。
白昼夢や身体に薔薇の浮かぶ病など、小説ながら視覚的な美しさに幻惑されるような描写が多く、夢見るような気分になりまし