検索結果

  • 水曜日が消えた 【電子特典付き】
    3.6
    僕は1週間のうち、火曜日しか生きていない。 他の曜日は、まったく違う人格の僕が生きている。 でも火曜日は図書館も閉まっているし、飲食店も休みだし、ちょっと退屈だ。 そんなある日、目覚めたらそこは水曜日だった。 火曜日の僕は、水曜日に生きている。つまり、水曜日が消えた。 自分自身とは何なのか。人を愛するとはどういうことか。 中村倫也主演の衝撃作、感動のノベライズ。 ※電子書籍には特典として、映画の設定資料を収録。
  • 百年の記憶 哀しみを刻む石
    3.2
    神隠し伝説が残る田舎町の高校に転校してきた久守徹は、天狗と呼ばれ人に遠巻きにされる孤高の少年・野見大地に誘われ廃部寸前の地学部に入部する。風のようにあらわれ石と戯れる大地に徹は惹かれるが、大地にはまだ誰にも明かせない秘密があった。それは人の記憶を内にとどめ後世に伝える「決壊石」の不思議だ。大地は初めてその秘密を徹に打ち明ける……。
  • 殿さまの日
    3.8
    ああ、殿さまなんかにはなりたくない。誤解によって義賊になった。泣く子も黙る隠密様のお通りだい。どんなかたきの首でも調達します。お犬さまが吠えればお金が儲かる。医は仁術、毒とハサミは使いよう。時は江戸、そして世界にたぐいなき封建制度。定められた階級の中で生きた殿さまから庶民までの、命を賭けた生活の知恵の数々。――新鮮な眼で綴る、異色時代小説12編を収録。※文庫版に掲載の挿画は、電子版には収録しておりません。
  • シトロン坂を登ったら
    3.8
    わたしは花見堂小春、横濱女子仏語塾の3年生。うちの学校はちょっと変わっていて、実は魔女学校なの。創立者のマダム・デルジュモンが魔女で、おかげでわたしたち女学生はマダムの母国語フランス語だけでなく、薬草学や占い、ダンス(箒で空を飛ぶことを、そう呼ぶ)も学んでいる。本当はもうひとつ大きな秘密があるんだけど、それはおいおい話すとして。そんなわたしのもとに、新聞記者の甥っ子が奇妙な噂話を持ち込んできた。横濱に巨大な化け猫が出没しているんですって。しかも学校の近くに……。大正時代を舞台にした魔女学校3部作開幕!
  • 王朝懶夢譚
    3.7
    イケメンの貴公子と恋をしたい! ドラマティック恋を求めて突き進む月冴姫とやんちゃな妖怪たちの王朝ファンタジー。 内大臣の美しい姫君・月冴姫は東宮の妃として入内を待つ身。 ある夜、屋敷の者が寝静まった頃、ひとり舞っていた月冴姫だが、ひとしきり舞い、休んでいると涙があふれて止まらない。 そこへ童子の姿をした天狗・外道丸が現れた。 入内する予定だった東宮が急死し、第二皇子が立太子されたが、御年まだ3歳。 入内まで10年あまり、恋もできず尼のような生活を送らなければならないので、毎日気分が滅入って仕方がない。 それが月冴姫の涙の理由だった。 「イケメンの貴公子と恋をしたい」と強く願う月冴姫の前に、妖怪たちが現れる。 化けるのが得意な狐の紫々、河童の猩々、鮫と人との間に生まれた人魚のような姿の鮫児……。 彼らの助けを借りながら、運命の恋に突き進んでいくヒロインの平安ファンタジー。 解説・木原敏江
  • 総門谷R 白骨篇
    4.0
    失魂の仲間と殺し合う超伝奇シリーズ哀切の新展開。無残に踏み殺された聆雲(りょううん)の仇を討つべく、総門谷のある早池峰山(はやちねさん)に向かった和気諒(わけのあきら)たち。そこで出会ったのは、冥界の王によって肉体のみを甦らせられた聆雲だった。魂を失い魔童児となった仲間が、白骨女となった怨魔シバとともに諒たちを襲う。ベストセラー作家が放つ伝奇SFの傑作シリーズ、哀切の第4幕。(講談社文庫)
  • あがり
    3.4
    舞台は、〈北の街〉にある蛸足型の古い総合大学。語り手の女子学生と同じ生命科学研究所に所属する幼馴染みの男子学生が、ある日、一心不乱に奇妙な実験を始めた。亡くなった心の師を追悼するためだ、と彼はいうのだが……。夏休みの閑散とした研究室で密かに行われた、世界を左右する実験の顛末とは? 少しだけ浮世離れした、しかしあくまでも日常的な空間――研究室を舞台に起こるSF事件。第1回創元SF短編賞を受賞した表題作に始まる、理系女子ならではの大胆にして繊細なアイデアSF連作全6編。

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  • 刻謎宮(1) 彷徨篇
    3.8
    ミケーネ遺跡の王墓を発掘中にシュリーマンが目にしたもの――それは十二年前に幕末の横浜で、自らが勝海舟に贈った金時計だった。歴史を歪めた“犯人”を探るため、“管理センター”は新選組の沖田総司を蘇生させ、古代ギリシァに向かわせた。ギリシァ神話と明治維新、奇跡のコラボレーション・ファンタジー。
  • 地縛霊側のご事情を さざなみ不動産は祓いません【電子特典付き】
    NEW
    -
     大阪生まれ、負けん気が強くてドS。そんなあおいの勤務先は、曰くつき不動産会社。 彼女は、物件に棲みつく幽霊を恐喝――じゃなくて除霊を「しない」で、対話をして解決に導く除霊師なのだ。 イケメンの腐れ縁バディ・神代はあおいとは対照的で、いつでもマイペース。霊に気配りをしすぎてあおいを逆撫でさせることもしばしばだ。 そんな折、女子高生の霊・カノンを除霊する依頼が舞い込む。精一杯の抵抗を見せるカノンだが、その背景には未解決の殺人事件が絡んでいて……? 富士見ノベル大賞受賞作!! 霊に寄り添うオカルト事件簿! ※電子特典として、巻末に書き下ろしショートストーリーを収録!
  • 跳躍の彼方 特別編
    -
    こちらは既にkindleから出版している『跳躍の彼方』の一巻から二巻までを一冊にまとめ、少しお求め安くしたものになっています。 主人公である柊勝は、大学で並行世界の研究を行っている。そんなある日、勝は自分の意思とは無関係に、別の場所に瞬間移動してしまうという不可解な現象に見舞われる。最初はパニックに陥り、自分の身に何が起こっているのか分からず混乱してしまう勝だったが、しかし、同僚である一条恵の助けを借りて、徐々に勝は自分の瞬間移動能力を受け入れ、制御できるようになっていく。と、そんなとき、勝のもとに謎の男が現れる。彼も勝同様瞬間移動ができるようであり、更に他にも様々な力―――一見すると、超能力のようにも見える力が行使できるようだった。彼は勝たちが暮らす世界とは全くべつの並行世界から勝たちの世界へやってきたと語り、自分たちの組織のために協力しろと勝たちに迫るのだったが―――。 果たして男の目的は何なのか!? そして何故勝は急に不可思議な力が使えるようになったのか!? 『跳躍の彼方』特別編、第一弾!!
  • マルドゥック・アノニマス 1
    4.1
    『マルドゥック・スクランブル』から2年――自らの人生を取り戻したバロットは勉学の道に進み、ウフコックは新たなパートナーのロックらと事件解決の日々を送っていた。そんなイースターズ・オフィスに、馴染みの弁護士サムから企業の内部告発者ケネス・C・Oの保護依頼が持ち込まれた。調査に向かったウフコックとロックは都市の新勢力〈クインテット〉と遭遇する。それは悪徳と死者をめぐる最後の遍歴の始まりだった。『スクランブル』から数年後、ウフコックはいかにして死んだのか――街の新たな勢力と正義を求める良心の最後の戦いが始まる。
  • 英国骨董店がらくた偽装結婚
    4.0
     華族令嬢の一之宮 菊華は両親を喪い、強欲な叔父夫婦に育てられた。淑やかに躾けられた美しい人形のような菊華は、年頃を迎え、老人の後妻として売られそうになる。  たまらず家を飛び出しはや五年――。  貿易船にもぐりこんだ菊華はイギリスに停泊する船でしっかり者で目端の利く下働き(男)に成長していた。愛する骨董品に携わる仕事で、将来は自分の骨董店を持つのが夢だ。  そんな折、貿易商会の会頭である東堂政宗が船を訪れる。  彼と因縁のあった菊華は女性だと暴露され、なぜか彼と結婚することに……!?  豪華絢爛なアンティークジュエリーと陰謀うずまく社交界をめぐる、恋と謎の物語。
  • 千華宮のモブ妃 崖っぷち漫画家、転生先で新作を描く
    -
     真っ白な原稿を手に、千華宮の賢妃・桃華は決意していた。 実は彼女の正体は、鳴かず飛ばずのアラサー漫画家・由里。事故に巻き込まれ、漫画の中のモブ妃に転生してしまったのだ。 おかげで物語が変わり正義のヒロインが不在。代わりに悪事を暴くのは――。 「三コマしか出ないモブ妃がやるの?」 皇后の告発をしないと自分の命も危うい。 漫画を描くことだけが取り柄の由里は、神技アシの謎の美青年・月舟と出逢い、同人誌での告発に望みを託すが……!?  目指せ重版出来! 転生修羅場を漫画で乗り切る後宮布教物語!
  • 龍の子、育てます。
    3.0
    祖父が死んだ――二億の遺産と、一人の少女を遺して。 高校生の詩音(しおん)は高圧的な父に反抗し、孤独に生きてきた。 しかし祖父の遺言で五歳の少女・龍音(りと)の面倒を見ることに。 隠し子と噂される龍音は、遺言では《龍の子》とされていた。 他人に頑なな詩音と感情に乏しい龍音。ぎこちない共同生活の中、二人は次第に歩み寄っていく。 だが龍音が人ならざる力を使う場面に遭遇し、詩音は戸惑う。 《龍の子》とは……真実を求め紐解いた祖父の手記には、龍音の使命が記されていた。 不思議な少女と、世界の秘密に出会う、ひと夏の物語。
  • 殿の幽便配達 幻想郵便局短編集
    3.3
    あの世とこの世の橋渡しを担う登天郵便局には死者が残して行く手紙や、 生者の書いた届けられない手紙がたどり着く。 そして亡くなった人も。 幽便配達の登天さんは、郵便局を訪ねてきた「殿」と配達に出かけることに。 ウイルスや熊から平安貴族まで転生をくり返している「殿」の意外な正体は? 〈文庫書下ろし〉
  • 異世界探索 特別編
    -
    こちらは既にkindleで出版している『異世界探索』の一巻から二巻を一冊にまとめ、少しお求めやすくしたものになっています。 東京都の荻窪で便利屋をやっている俺と久美子のもとにある日奇妙な依頼が舞い込んできた。それは異世界に迷い込んでしまったと思われる妹を現実世界に連れ帰って欲しいというものであった。主人公である俺は、あまりにも現実離れした依頼内容に最初依頼を断ろうとするのだが、しかし、依頼者の提示した報酬に目の眩んだ妹の久美子が、勝手に仕事を引き受けてしまう。 ほとんどなし崩し的に、依頼者の妹を探すはめになった俺だったが、その過程で様々なあり得ない体験をしていくことになる。そしてそんな俺の前に、遂に異世界の入り口がその扉を開くのだったが―――。
  • 狩人たち
    -
    暴走族「狩人」の頭をしている妹尾樹林は、無菌の町タヒチで生まれた。塵も細菌もウイルスも漂っていない、病気も犯罪もない町。二万数千人が暮らしているこの実験都市は、ドーム型のエアウォールで覆われており、生活のすべてがコンピュータに管理されている。タヒチでは、誰がいまどこにいるか、何をどこでいくつ買ったかを中央機構が把握し、たとえばもし屋外で強い臭いのするものを飲食すれば直ちに環境局が飛んできて、罰金か、さもなければ拉致されてしまう。だが、この実験都市が生まれた本当の理由を誰も知らない。ドームは明らかに人為的なものだ。誰が、何のために? 完全無菌の世界から解放されて「外」へ出てみたい……。ある日、B25地区に幽霊が出るという噂が立った。ブルーの服を着た髪の長い幽霊だという。その正体を暴いてやろうと、樹林はワープと呼ばれる二輪駆動機に跨がった……。  近未来ディストピア社会を描いたSF長篇小説。 ●薄井ゆうじ(うすい・ゆうじ) 1949年茨城県生まれ。イラストレーター、デザイン編集会社経営を経て作家へ。1988年『残像少年』で第51回小説現代新人賞を受賞。1991年に初の長篇『天使猫のいる部屋』を発表。1994年『樹の上の草魚』で第15回吉川栄治文学新人賞を受賞。映画化・舞台化・ドラマ化された作品も多い。
  • 帝都の鶴 優しき婚約者と薔薇屋敷の謎
    4.0
    ◆魔法のiらんど大賞2021小説大賞恋愛ファンタジー部門特別賞受賞作◆  父は娘を【呪い】と呼んだ――。  没落貴族の女学生・鶴は、父に結婚を命じられる。売られるように決められた婚約者は、顔も知らない実業家の青年・秋人だった。  秋人が一人で住む洋館で暮らすことになった鶴は、初めて出会った彼から「自分は呪われている」と告げられ、その言葉に戸惑う。  暮らしの中で秋人が【呪い】と呼ぶ怪奇現象と苦悩する彼の姿を知っていく鶴。政略結婚にも関わらず、鶴を守ろうとする秋人の優しさにも触れ、 次第に彼の力になりたいと感じ――。  呪われし婚姻のその先で、少女は恋をはじめる。 ※巻末には、本編のその後の二人を描いた書き下ろし短編「訪れた平穏、続く非凡なる日々」を収録しています。 ◆登場人物紹介◆ ・鶴(つる)…没落貴族の一人娘。女学生。とある事情で生家に居場所を見いだせずに育った孤独な少女。 ・秋人(あきと)…実業家の青年。天涯孤独。【呪い】のせいで周囲の人々から距離を置いて暮らしている。
  • DOMINO
    -
    原子レベルで物質を再構成するナノテクノロジーを確立し、不死に近い肉体や半永久的な社会システムを獲得した人類。しかし21世紀の半ば、突如その技術が暴走し地球は壊滅状態へと至る。『大転換』と呼ばれるこの出来事が起きた時から幾星霜、地球には刹那都市と呼ばれる漂流都市が出現。その都市で人々は、かつて世界を消滅させたナノテクノロジーを利用し人類の再生を図ろうとする。が、その都市も決して安住の地ではなかった。名前の如く次々と都市自体が消失してしまうのだ。その状況で生き続ける、ヤポンの魂族・ギンガは、哀しげな緑色の瞳を持つ少女と出会う。それがギンガが「殺戮王」と対峙する始まりとなった……。  ナノテクノロジーに翻弄され滅亡に瀕した人類を運命を描く、SFファンタジー長篇。電子版あとがきを追加収録。 ●六道 慧(りくどう・けい) 東京の下町・本所生まれ。今も長兄が実家で小さな小さな町工場を営んでいる。1988年、朝日ソノラマから『大神伝(1) ムーの大神』でデビュー。以来、ライトノベル、時代物、そして警察小説とジャンルを変えながら挑戦してきた。「継続は力なり」が信条。
  • 下町九十九心縁帖
    -
     大学生の春人には後悔していることがある。それは謝れないまま祖父が亡くなったこと。以来祖父が愛したような古い品物も、人と深く関わることも、苦手になった。  しかし事故で古伊万里の壺を割った直後から、動物の姿をした付喪神が見えるようになる。割れた壺の付喪神・イマリに迫られ、彼の力を取り戻すため、春人は付喪神たちの願いを叶えて「神心」を集めることに。元の持ち主に会いたい、一度だけでも人の役に立ちたい、亡き持ち主の娘から本当の思いを聞きたい。奮闘するうちに、願いが春人の周りに縁を紡ぎ――。 ==登場人物== 春人 人と関わるのが苦手な大学生。 イマリには下僕と見なされている。 イマリ 元・古伊万里の壺の付喪神、現・春人のスマホの付喪神。 甘いものに目がない。 桜 春人が働くこととなった「古道具みやび堂」の孫娘。 しっかり者の高校1年生。 洋蔵 「古道具みやび堂」の店主で、桜の祖父。 初対面のはずの春人について、何かを知っているようで……。
  • 生贄妃は天命を占う 黒猫と後宮の仙花
    4.0
    「どうしたもんかなぁ」新米占い師・月麗は困っていた。占いが権力者の逆鱗に触れて強制連行。生贄にされるはずが、人違いで神様の妃になるはめに陥ったのだ。 早速皇帝・洪封から命じられ、恋愛運を占ってみるが、結果は「妻に見えず」。偽妃だから当然だ。 それに生贄だとバレたら、月麗は喰われてしまう――。 怯える姿を尻目に、皇帝は月麗を喰べるつもりもなく、たっぷり溺愛しようと後宮専属の占筮者へと任命した。 だけれど後宮は一癖も二癖もある妃達ばかり。慌てる月麗の前に、モフモフの黒猫が現れて……?
  • 深い穴に落ちてしまった
    3.3
    深い森のまん中にある、深い深い穴の底。兄弟は空を見上げ、脱出の方法を思案している。土壁に階段をつくる。弟を肩にかつぎ上げる。どれほど見込みがなくとも、ふたりは生きなければならない。虫や木の根を食べ、泥水を飲む日々が綴られるなか、やがて物語は不可思議な幻覚と、めくるめく謎で満たされていく――。なぜ章番号は素数だけなのか。幻覚に隠された暗号とはなにか。そもそも兄弟はなぜ穴に落ちたのか。ふたりが辿りつく結末は、驚愕とともに力強い感動をもたらす。現代版『星の王子さま』であり、“深い穴”で生きるあなたに捧げる寓話。/解説=西崎憲
  • 天涯の楽土
    3.7
    弥生時代後期、紀元前一世紀の日本。 久慈島(くじのしま)と呼ばれていた九州の、 北部の里で平和に暮らしていた少年隼人は、 他邦の急襲により里を燃やされ、 家族と引き離される。 奴隷にされた彼は、敵方の戦奴の少年で、 鬼のように強い剣の腕を持つ鷹士に命を救われる。 次第に距離を縮める中、 久慈の十二神宝を巡る諸邦の争いに巻き込まれ、 島の平和を取り戻すため、 彼らは失われた神宝の探索へ……。 運命の2人の、壮大な和製古代ファンタジー!
  • 永遠(とこしえ)の護り
    -
    大河シィル・シイラ流域は、血と死の予感に震えていた。不死大帝を戴くオルギア帝国の魔手が迫るなか、ディルムーンの若き《護りの君》エル=シオンは、謎の黒い怪物の襲撃を受けて、〈聖弓〉を引くべき右腕を失ってしまった。ディルムーンを護るため、不死大帝を倒す力を得るため、シオンは不思義な力を与えてくれるという伝説の〈流族〉のもとへ旅立つ……。  長篇ファンタジー小説。電子書籍化にともない、「電子版あとがき」および作家・菊地秀行による解説文を追加収録。 ●神月摩由璃(こうづき・まゆり) 宮崎県生まれ。明治学院大学文学部フランス文学科卒業。大学在学中に日本版ウォーロック創刊号でブックレビューの連載を始め、それをまとめた『SF&ファンタジー・ガイド 摩由璃の本棚』で1989年にデビュー。創作神話・異世界ファンタジーの先鋭として活躍し、小説『永遠の護り』等で絶賛を浴びる。大病による長いブランクを経て執筆を再開した。
  • 千吉と双子、修業をする
    3.9
    千吉は大好きな兄、弥助を守るための力がほしいと、共に育った半妖の双子と一緒に妖怪奉行所西の天宮の奉行、朔ノ宮に弟子入りした。ところが仕事は雑用ばかりで一向に術らしい術を教えてくれない。ようやくひとつだけ教えてくれた術もなんの役に立つのかわからぬ始末。楽しそうな双子とは対照的に、千吉の苛立ちはつのるばかり。そんなある日、弥助に子妖を預けた化け獺が、期日を過ぎても迎えにこない。兄との時間を邪魔されて腹が立った千吉は、双子を巻き込んで化け獺を捜す決心をした。大人気の〈妖怪の子、育てます〉シリーズ第2弾!
  • フェミニズムの帝国
    5.0
    西暦2198年。社会のあらゆる実権は女が握っていた。女はたくましく、男はおしとやかに。男は結婚して家庭に入り、家族に尽くすのが義務とされる。そして25歳をすぎても結婚しない男は「ハズレ者」と呼ばれて世間からつまはじきにされ、まともな職にはつけず、水商売などに従事して生きるしかない……。22世紀末、女尊男卑の世界で激しく燃え上がった“男性解放運動”の結末を描く。長篇SF小説。電子版あとがきを追加収録。 ●村田基(むらた・もとい) 1950年、京都市生まれ。名古屋大学文学部中退。出版社勤務ののち、1986年に「SFマガジン」に短編「山の家」を発表して作家デビュー。主にホラー、SFを執筆。
  • リサイクル・ブレイン
    -
    万能(iPS)細胞の発見は時代の転換期だった。あれからときが過ぎ――。 生命体(ドラゴン)のオーダーメイドすら可能になった人類は、 過剰なバイオテクノロジーがもたらす破滅の闇を知らない。 著者の工学博士が描く、最新科学に基づくリアルSFストーリー。 山野ハヤテはオーダーメイドされたドラゴンやペガサスなど、空想生命体と呼ぶ生命たちと思念を交わせる、ちょっと不思議な「テーマパーク」のガイドだ。親しき大型空想生命体のヴィーネと今日もまた、ガイドとしてパフォーマンスを続けていた。 ところが賓客が訪れたとき、自然界の理へ信奉し、生命と物質の二重性を説くカルト集団の奇襲を受ける。生命は唯一無二であって不可侵な存在だと。 しかしこれら対立の激化は、暗躍する者たちにとって予定調和だった。 ときが満ちたと断じられ、娯楽施設に偽装中だったテーマパークは、人智未踏な超再生テクノロジーの不安定な機密実験を進め始める。山野ハヤテは実験メンバーへ昇格されたが、それはハヤテ自身の素性こそが倫理観を見失おうとも破滅へ進もうとも、人類がすぐさま解かねばならない命題を持つ、稀有で究極の存在そのものであるがゆえだった。 自然界へ回答するタイムリミットは迫り、混沌の渦に文明全体が呑まれていく。ハヤテといつも一緒の空想生命体、ヴィーネは共通する秘匿情報を露わにされ、いよいよ避けられない現代文明への決断をくだした。それは――。
  • 地底世界 特別編
    -
    こちらは既にKindleから出版している『地底世界』の1巻から2巻までを一冊にまとめ、少しお求めやすくしたものになっています。 主人公である僕と大輔と美穂の三人は、 ふとした会話の流れから、 ドライブがてら、 深夜の山まで車で行こうという話になる。 その山には昔から鬼が出るという伝説や、 地底世界へ通じる秘密のドアが存在する といった噂があり、三人は冗談半分に その噂を確かめてみることにしたのだ。 しかし、その一方で、その付近の山では、近年、 近くに住む大学生がキャンプへ出かけたまま、 行方不明になってしまうという 不可解な事件も発生していた。 やがて目的の山へと辿り着いた三人は、車から降りると、 懐中電灯を片手に周囲の山林を散策してみることにするのだが、 しかし、そのとき、信じられないことが起こって……。 主人公の前に姿を現した鬼に似た生物。 そして行方不明になってしまう、主人公の友人ふたり。 果たして主人公はその山で何を目撃したのか!? 更に、主人公の友人ふたりはどこへ姿を消してしまったのか!?
  • 妖怪の子、育てます
    4.0
    江戸の片隅で妖怪の子預かり屋を営む一人の若者がいた。その名は弥助。妖怪に育てられたのだが、ある事件で育ての親を失い、かわりに授かった赤ん坊千吉を、今度は懸命に育てている。顔なじみの妖怪達は遊びにくるし、入れ替わり立ち替わり子供を預けに来る妖怪もいるしで、騒ぎの絶えない毎日だ。そんなある日、弥助の大家、久蔵の双子の娘が、不気味な黒い影にさらわれた。だがさらったのは妖怪ではないらしい。双子の捜索は、妖怪奉行所西の天宮の奉行で、犬神の長、朔ノ宮の手に託されることに……。大人気〈妖怪の子預かります〉第2部開幕。
  • エチュード春一番 第一曲 小犬のプレリュード
    3.5
    父親のイギリス転勤で家族が日本を離れるのと大学合格のタイミングが重なり、美綾は自宅に一人残ることを選ぶが、それでよかったのかどうかもやもやしていた。そんな春の日、家に一匹の小型犬(パピヨン)が迷い込んできた。毛並みがよく人なつっこい小犬に、近所で飼い主を探してみるが見つからない。仕方なく自宅で世話をしていると、突然「おぬし気にするな。わしは八百万の神だ」犬がしゃべった? 幻聴? 信じられない美綾に、小犬は自分は日本古来の神で人間になるために転生してきたと語る。 大学では小学校で一緒だった有吉智佳や澤谷光秋と再会するが、バイク事故で死んだかつての同級生の思い出話から幽霊絡みの不穏な事件が起きて……。「モノクロ」と名付けられた「神様」と女子大生の奇妙な共同生活が始まる! 荻原規子の「エチュード春一番」シリーズが再始動! 完結編まで見逃せない!
  • 火星の笛吹き
    -
    SFからファンタジー、ミステリ、怪奇、幻想小説まで、ジャンルにとらわれない幅広い活躍で知られるブラッドベリ。その初期のスペース・ファンタジー20編を収録するユニークな短編集。時間を止める能力を持つ青年のひき起こした悲劇「ホラーボッケンのジレンマ」は、これまで紹介されなかった幻の処女作だ。編者推奨の佳編は「よみがえるラザルス」「地球のはぐれ者」である。
  • モザイクI 少年たちの震える荒野
    -
    【ご購入の前に】本電子書籍には、紙版収録のイラストが収録されておりません。 あらかじめご了承ください。 学校なんか、家族なんか、世界なんか、壊れてしまえばいいって思ったこと、あるだろう? ぼくは、壊してしまったんだ、実際に―。 廃墟も同然に崩壊した地区。しかし国道をはさんだ反対側には、もとのままの街が無傷で残る。 頻発する謎の地震―M震でモザイク状に崩壊した東京をさまよい歩く少年、リュウ。 野球帽とサングラスで素顔を隠したリュウはやがて、M震で家族を亡くした少年たちのグループに合流する。 生き残るための戦いと逃亡の日々の中、リュウの奇妙な告白に、グループのリーダー大輔は…。
  • 遺響の門-サイレント・ゲート-
    -
    【ご購入の前に】本電子書籍には、紙版収録のイラストが収録されておりません。 あらかじめご了承ください。 なにかを理解すること、理解してもらうことなんて本当にできるんだろうか―。 惑星グレイストームで暮らす高校生・遙は、街で出会った少女ヴィオレッタとともに、原住種族ウルボアイの村近くにある巨大な「門」を訪れた。 その場所は、ウルボアイと奇妙な交流をもつ謎の種族クランガの領域であった。 クランガの抜け殻が、人類と星間戦争を続ける異星種族キラーバグの姿に酷似していることに気がついた遙。 〈門〉で得た宇宙創世のヴィジョンは、遙の心に新しい意志を芽吹かせた。 驚きに満ちた本格SF長篇。
  • 堕とされしもの(上)
    -
    フィオレンツァの職人ヴェロッキオの工房で働く少年アンジェロは、共和国政府の依頼を受けた親方たちとともに、水の都ヴェネツィアへとやってきた。そして彼は可憐な少女エウジェニアと出会い、恋をする。しかしそれは、自らと同じ存在……地上に生まれ出た天使・ケルヴィーノの策略であった。悪魔のような儀式をとりおこない、神をも恐れぬ実験で生命を弄ぶ。あまつさえアンジェロを手に入れようとしている彼の真の目的とは? 中世イタリアを舞台に描かれる華麗で残酷なゴシック・ファンタジー。『天使の血脈』の続編。  大幅に加筆修正された文庫を底本に、ノベルスの表紙・挿絵を収録した豪華版。 ●篠田真由美(しのだ・まゆみ) 1953年、東京生まれ。1977年、早稲田大学第二文学部卒業。1992年、第2回鮎川哲也賞の最終候補に残った『琥珀の城の殺人』(東京創元社)でデビュー。1994年に『ドラキュラ公 ヴラド・ツェペシュの肖像』『未明の家 建築探偵桜井京介の事件簿』(講談社)を発表。以後、ミステリ、幻想、伝奇ジャンルで執筆。
  • 天使の血脈(上)
    -
    「アンジェロ」迷いこんだ路地でかけられた声は、確かに母のものだった。しかしその姿は一瞬にしておぞましい異形のものに変貌した……。メディチ家のもと、繁栄をほこるルネッサンス期のフィオレンツァ。しかしそれは幾人もの生贄を礎にして出来あがったものであった。消え去る子供。闇の底を徘徊する禍々しき《影》。異界とつながる《扉》と交わされた誓約が崩れそうになった時、少年アンジェロに秘められた運命の血が脈動をはじめる……。聖と魔の交錯する伝奇ファンタジー。  大幅に加筆修正された文庫を底本に、ノベルスの表紙・挿絵を収録した豪華版。 ●篠田真由美(しのだ・まゆみ) 1953年、東京生まれ。1977年、早稲田大学第二文学部卒業。1992年、第2回鮎川哲也賞の最終候補に残った『琥珀の城の殺人』(東京創元社)でデビュー。1994年に『ドラキュラ公 ヴラド・ツェペシュの肖像』『未明の家 建築探偵桜井京介の事件簿』(講談社)を発表。以後、ミステリ、幻想、伝奇ジャンルで執筆。
  • その世界と彼等が創られた理由
    -
    これは我々が住む世界から見て遥か遠く昔に分岐したパラレルワールドの物語になる。この世界には、我々の世界とは違い、人間の意志に反応して作用する力が存在し、この力のことを、この世界に住む人々は魔法と呼んで使用していた。しかし、実際にはこの魔法と呼ばれる力の正体は、かつてこの世界に存在していた超文明が科学の力を結集させて作り出したものであった。しかし、この世界に住む人々はそうした事実を過去に起こった最終戦争によって完全に忘れ去っていた。ところで、この世界には魔法ーーー人間の意志に反応して作用する力の副産物して、魔物と呼ばれる、人間を襲う非常に獰猛な生物が存在した。そして人々はこれらの生物に対抗するための機関として、魔法騎士と呼ばれる、魔法に特化した兵士を作り出したのであったがーーー。 こちらはKindleから既に出版されている『その世界と彼等が創られた理由』の1巻〜2巻までを一冊にまとめ、少しお求めやすくしたものになっています。
  • 空き家課まぼろし譚
    3.6
    空き家に残された写真と少女の不思議な能力が消えかけている時間と幸せな記憶を呼び覚ます! 古い写真に秘められた記憶をめぐる物語――かつて貿易港として栄えた水上都市「海市(かいし)」。街の景観を守るために作られた海市協会には、古い空き家を保存・管理し新しい住人を探し出す「空き家課」という部署があった。ここで働く間宮明(まみや・あきら)はある日、上司の娘・5年生の三上汀(みかみ・みぎわ)とともに、空き家を訪れる。その汀は、場所に刻まれた思い出を蘇らせる、不思議な力を持っていた。そのころ、薔薇屋敷の調査へ、湾岸地区再開発を狙う大企業の妨害が。汀は明を強引に説得し、その理由を探ろうとするのだが……。切ないノスタルジック・ファンタジー。建物に残された<写真>が呼び起こすのは、忘れてはならない大切なもの……。
  • イシュタルの子
    -
    バビロンの最高神マルドゥクよりも崇拝を集める豊饒の女神イシュタル。いかなる地上の快楽よりも勝るというイシュタルの秘儀、聖なる獣との交わりを求め夜毎神殿を訪れる信徒たち。人と獣との交わりで生み落とされたという半人半獣の仔マヤとムー。紀元前5世紀の新バビロニア王国の首都バビロンで繰り広げられる、王宮、五国の守護神マルドゥク、女神イシュタルとの闘いを描く長篇伝奇小説。 ●篠田真由美(しのだ・まゆみ) 1953年、東京生まれ。1977年、早稲田大学第二文学部卒業。1992年、第2回鮎川哲也賞の最終候補に残った『琥珀の城の殺人』(東京創元社)でデビュー。1994年に『ドラキュラ公 ヴラド・ツェペシュの肖像』『未明の家 建築探偵桜井京介の事件簿』(講談社)を発表。以後、ミステリ、幻想、伝奇ジャンルで執筆。
  • シガレット・ヴァルキリー
    4.0
    あたしの名前はシモーヌ。 依頼があれば、どんな危険な仕事だって断りはしない職業的犯罪者。 人は死神、ヴァルキリーとも呼ぶけれど、子供だけは殺さないのが信条。 そんなあたしが、逃走することになるなんて―。 凶刃を振るい、無敵を誇る殺人者ギイとの戦闘が、 地中海に浮かぶ人工島“パサージュ・ド・リラダン”で繰り広げられる! SF新人賞受賞の新鋭がおくる、 書き下ろし最新作。
  • 俺に撃たせろ!〈新装版〉
    3.7
    真夏のプールにサンタクロースの死体!? 自殺? 他殺? それよりこいつは誰なんだ! だが天下の忘れんぼう―かつては名探偵を呼ばれた男、アルツ・ハマーは即断即決。 「こいつは殺しだ。犯人の目星もついている」と宣言した。 大丈夫かハマー、また何か忘れていないか!? 著者幻のハードボイルド・コメディが加筆修正、さらに書き下ろし後日譚まで加えて、 文庫オリジナルでここに登場。 ※本作品は、「俺に撃たせろ!」を加筆修正した新装版です。
  • 大神亮平奇象観測ファイル 忌神
    -
    「また、か…」 まるで匙ですくい取られたかのように、今朝の出来事が脳から抜け落ちていた。 瀬戸内海に浮かぶ孤島、宿島。 母が校長を務める小学校に勤務する青年・繁久は、幼い頃のトラブルが原因となり、“記憶抜け”症状に悩まされていた。 島を訪れた民俗学を専攻するサングラスの男― 大神亮平との出会いをきっかけにして、自らの過去を探しはじめた繁久。 そして彼は知った。自らの戸籍に記された両親が、まったく聞いたこともない人物であることを…。 好評の伝奇ロマン・シリーズ。
  • 死に急ぐ奴らの街
    4.0
    けだるさと悪徳の都、メガロポリス。 この腐った街では、誰もが死ととなりあわせだ。 暴力組織によるクローン臓器の密売、超能力者の起こす通り魔事件…。 高度に発達したテクノロジーは、次々とあらたな兇悪犯罪を産みおとしてゆく。 しかしそんなゴミ溜めみたいな街にも、まだ熱く優しい魂をもつ奴らが残っていたのだ! 銃を手に裏通りを疾駆するタフな男たちが!! あの火浦功のもうひとつの顔―クールな感性を全開にして挑む、 “スーパーシリアス”ハードボイルドSFの傑作。
  • 大神亮平奇象観測ファイル 憑融
    -
    少年は悲しげに二、三度頭を振ると、水に向かって静かに足を踏み出した―。 行方不明になった麻木灘は、意識喪失の状態で発見された。 兄・嶺の心配をよそに、順調に回復していった灘。 しかしその様子は、どこかおかしかった。 まるでなにかに取り憑かれたかのように、水ばかりをがぶ飲みする弟。 嶺は、生物の非常勤講師である大神亮平に、その違和感を打ち明けた。 大神は、かつて親友が同様の状態に陥り、やがて不慮の死をとげたことを思い出す…。 日本SF新人賞出身の新鋭が描く、青春伝奇ロマン。
  • ボーイソプラノ〈新装版〉
    3.8
    その日、探偵ヴィッキーを訪ねてきた依頼人はふたり― ひとりは聖歌歌手の少年。そして、もうひとりは血の匂いをほのかに漂わせた謎の男。 依頼は同じ、ある失踪した神父を捜しだすこと。 調査をはじめた彼の目前で、事件は起きた。 異形の猿人がおこなった狂気の犯行。頭部をねじ切られ、指を食いちぎられた無惨な死体。 この街があるかぎり、わたしは不死であり、無敵であり、この街を呪い続けるだろう― “クトゥルフの呼び声”と名乗り、探偵の元に届けられた警告の手紙。 それは、快楽の街に君臨する大いなる犯罪者パパ・フラノへの挑戦なのか? 第2回日本SF新人賞受賞作「ペロー・ザ・キャット全仕事」と同様、 近未来フランスを舞台としたネオ・エンタテインメント。 ※本作品は、「ボーイソプラノ」を加筆修正した新装版です。
  • 弥勒の森
    4.0
    弁護士志望の久能彩絵は、病床のまま失踪した兄・康彦を追って、 かつての恋人・大神亮平とともに、青森県の冠野という地を訪ねることになった。 村の若き当主・加子母篤は彩絵らを出迎え、 康彦が自分の姉・綸と結婚し、現在は入院中であると告げた…。 この地にはかつて飢饉の際、旅の僧侶が手から甘露のしずくを出し、 村人たちの飢えを救った、という伝説が存在し、今日でも奇妙な因習が残っている。 彩絵と大神は、康彦の監禁を疑い、調査を開始する…。
  • イミューン ぼくたちの敵
    -
    桜の花びらが舞い散る四月。 高校に入ったばかりの小南佑は、鳶色頭の少年・堺不動と出会った。 中学時代にいじめの標的となっていた佑は、フユルギの行動力に惹かれ、いつしか親友と呼べる関係になってゆく。 そして五月―佑に訪れた悲劇。 “汚染”され、異様な姿となって死んだ母。 人間に寄生して増殖する“敵”の存在を知ったふたりは、 それに呼応するように、“敵”を消滅させる不思議な力を身につける。 戦いのなか、いつしか少年たちの心にとまどいが芽生える―。 第1回日本SF新人賞、佳作入選作品。
  • KI.DO.U
    -
    「パパは深優姫にプレゼントを贈ろうと考えた。モバイルと呼ばれるヒューマン型コンピュータだ」 死んだはずの父・周人から授けられた一体の人間型コンピュータ“モバイル”。 碧い髪に緋い瞳、ナルシスのような美貌の彼は、その外見からは想像できないような凶暴さの持ち主だった! 彼の存在の秘密とはなんなのか。突如、襲いかかってきた武装集団の目的は? 『封印』がひとつひとつ解かれるたび、深優姫の目前に、閉ざされていた過去の真実が浮かびあがる…。 第1回日本SF新人賞、佳作入選作品。
  • シンギュラリティ・コンクェスト 女神の誓約
    3.6
    二〇三〇年代、宇宙と地球の夜空は濃青から紫へと変貌を遂げた。 その事象は「全天紫外可視光輻射現象」と呼ばれ、人々は不安と狂騒にかられていく。 研究の結果、脅威が明確になり、各国協力の下、地球軌道上にある基地「エデン」で人工知能を開発し、対応させることに決定した。 そこに突然やってきた戦闘機。防衛網をくぐり抜け、基地に乗り込んできた美少女の正体は…。 第11回日本SF新人賞受賞作。
  • 樹環惑星―ダイビング・オパリア―〈新装版〉
    3.5
    その森は、自らが産み出す多様な化学物質で、会話をしている。 有毒な雲をいただく森からなる広大な低地帯と、断崖で隔てられた高地、それが惑星オパリア。 この星で起こる異常は必ず森に原因がある。 そんなオパリアで新型の森林熱症候群が発生し、患者が激増。 生態学者シギーラは原因究明のため、二十年ぶりにこの樹環の惑星に降り立った。 第11回日本SF新人賞を受賞した、冒険SFの傑作。 ※本作品は、「樹環惑星―ダイビング・オパリア―」を加筆修正した新装版です。
  • 歩兵型戦闘車両〇〇(ダブルオー)
    4.3
    全高23メートル、重量78.5トン。 巨大合体ロボ「ダブルオー」は、国民の血税でつくられている! 会社をリストラされた雨月らは、環境庁所管の合体ロボットのパイロットに、何故かスカウトされた。 自衛隊の戦車も攻撃ヘリも通用しないナメクジ怪物と戦う羽目になり…。 第3回日本SF新人賞佳作入選作。
  • マーブル騒動記〈新装版〉
    -
    突如、牛たちが人間並みの知性を獲得した。 TVプロデューサー御手洗は、「我々を食べるな」と訴える牛を担当番組に出演させる。 世論は動き、やがて「牛権法」が制定されるが…。 第3回日本SF新人賞受賞作。 ※本作品は、「マーブル騒動記」を加筆修正した新装版です。
  • ペロー・ザ・キャット全仕事〈新装版〉
    3.7
    大いなる犯罪者パパ・フラノが支配する欺瞞と安寧の街「パレ・フラノ」。 その夜の裏側をすり抜け、暗闇の中のすべてを観察する一匹の猫がいた-。 近未来フランスが舞台の新感覚SFノワール。 第2回日本SF新人賞受賞作。 ※本作品は、「ペロー・ザ・キャット全仕事」を加筆修正した新装版です。
  • 夢見る猫は、宇宙に眠る<新装版>
    4.4
    突然の火星緑化をもたらしたのは一人の女性の無意識だった…。地球・火星をめぐる近未来恋愛SF作品。第5回日本SF新人賞受賞作。 「俺、クローンだよ」「キョウイチも?」「も?」「うん。わたしもクローン」…。医療ナノマシン機器メーカーに勤務するキョウイチは、仕事のために訪れたカウンセリング施設で、研修生のユンとその恋人マークに出会った。キョウイチは、天衣無縫なユンに次第に惹かれていく自分に気づく。そしてこの懊悩は、お互い共に、“オリジナル”ではないことを知り頂点を迎える。やがてユンは、臨床心理エンジニアとして赴任するマークと一緒に、火星へと旅だった。その半年後、火星は突如として緑の星に変貌し、独立運動を背景とする反乱が勃発する。キョウイチは連絡の途絶えたユンたちを探すため、軍に同行し、火星へと赴く。そこは、思念が現実化する、異様な世界であった…。第5回日本SF新人賞受賞作。
  • 終末の海 Mysterious Ark<新装版>
    3.4
    一人、また一人、消えてゆく・・・・・・。この船は、いったい・・・・・・何なのか? 少年少女たちの活躍を瑞々しく描いて選考委員を唸らせた、SFミステリーの傑作! 第5回日本SF新人賞佳作入選作。 核戦争による現代社会の崩壊後、少年・圭太は、父やその仲間とともに大型漁船で日本を脱出し、南太平洋に浮かぶ海上基地フロート・ナインを目指していた。だが船は嵐に遭い、座礁してしまう。そんな彼らの前に現れた、巨大な豪華客船―。救世主のように思われたその船は、調査に訪れた大人たちを載せたまま、忽然と姿を消してしまう。それから二年、謎の「箱船」は、何度か圭太たちの前に姿を現すが、大人たちは誰一人帰ってこなかった…。意を決して「箱船」に乗り込んだ子供たちは、なんと、船が完全に無人であることを知る。「この船は、いったい…何なのか?」全篇に漂う切実な寂寥感の中、少年少女の活躍を瑞々しく描いて選考委員を唸らせた、SFミステリーの傑作!第5回日本SF新人賞佳作入選作品。
  • 宇宙細胞<新装版>
    3.0
    その粘体(アメーバ)は吸収と成長を続け、東京を、日本を、世界を壊滅させた。そして・・・・・・。奇想SFの極北! 第9回日本SF新人賞受賞作。 動物を食らい、人を食らう。皮だけ残し、その内側を満たす。あらゆる場所に棲息できる。増殖性を合わせ考えると、種としての「粘体」は、不老不死だ。全滅させられず、一粒でも残れば、そいつが食せる獲物があれば、増殖していく。いくら退治しようとしても、できるものではない。粘体と人間のどちらが勝者となるか、わかりきった茶番劇だ。最初は見るもおぞましい形に変貌した犬の発見から始まった。当初は南極にだけ存在していた、猛烈な食性を持つ粘体細胞の、暴走。極地研究所雪氷部員として南極に派遣されていた伊吹舞華は、ジャーナリスト目黒丈二とともに、絶望的なサバイバルに身を投じるが…。第9回日本SF新人賞を受賞した、奇想SFの極北。
  • ルナ Orphan’s Trouble<新装版>
    3.0
    日本近海を取り囲んだ謎の物質「悪環」。壊滅状態に陥った日本で「孤児」たちはいかに戦い、生き抜いていくのか? 第4回日本SF新人賞受賞作。 海岸線を襲う、見えざる電離性放射線、その名も「デヴィルレイズ」。列島をぐるりと取り囲んだ謎の海面物質「悪環」が放散するウィルスによって、日本は壊滅的な打撃を被った。食料不足、エネルギー枯渇、円の大暴落、自殺者の増加、果てには国家非常事態宣言。実質的な「鎖国」状態に陥ったこの日本で、天間ルナ、有働仁ら“孤児”たちは如何に戦い、如何に生き抜いていくのか!?破滅後の世界を描く圧倒的な筆力と、魅力的な登場人物達の存在感。選考委員長・筒井康隆氏をして、「作品が孕んでいる熱気はただごとではない」と言わしめた、第4回日本SF新人賞受賞作、堂々刊行。
  • ルドルフ・カイヨワの憂鬱<新装版>
    3.0
    この物語のもっとも悲劇的な側面。それは、被害者が、胎児であることーーーーーー。謎のウィルスに冒された合衆国。弁護士カイヨウの調査は、巨大な陰謀につきあたる・・・・・・。近未来ハードボイルドの傑作! 第5回日本SF新人賞佳作入選作。 新生児に先天的な脳障害を引き起こす「ゲノム・ウイルス」。この新種ウイルスによって甚大な被害を被ったアメリカ合衆国では、自然出産を禁止し、体外受精や胎児のDNAスクリーニングが義務化されようとしていた。そんな中、遺伝子関連問題を専門に扱う弁護士ルドルフ・カイヨワは、ある病院の不正卵採取疑惑を調査するうちに、大きな陰謀に突き当たることとなった。彼は友人の私立探偵オタや、依頼人の美女ローラらとともに謎に迫るが、やがて自らの出生にまつわる秘密にもかかわることとなっていく…。選考委員各氏から、群を抜くリーダビリティーと、エンターテインメントとしての完成度を高く評価された、近未来ハードボイルドの傑作。03年、第5回日本SF新人賞の佳作に入選。
  • マーダー・アイアン絶対鋼鉄<新装版>
    -
    Trick or Treat----‼ ハロウィンに響き渡る、死と破滅の叫び。上っ調子な世界の横っ面をひっぱたく、破天荒なHEROES、登場‼ 第7回SF新人賞受賞作。 前世紀末のバブル景気をいっそう発展させ、歪な経済大国としての繁栄を続ける日本。しかし、先進国としては唯一、自前のサイボーグ部隊を持たないため様々な局面において外交上の不利を忍び続けていた。そんな中、米軍サイボーグ部隊「UNDEAD HEROES」に対し、日本のハイテク公安「封鎖技研」の長、臀壮一の暗殺指令が下された。ハロウィンを間近に首都・新東京への潜入を果たした彼らの前に、臀は、戦闘アンドロイド「タケル01」を伴って現れる。すべては、「UNDEAD HEROES」を新東京におびき寄せ、「タケル01」の圧倒的な戦闘力によりサイボーグの時代に終焉を告げるための策略——臀による、諜報世界の常識に対する挑戦だったのだ!!そしてここに、今まで誰も見たことがないサイボーグvsアンドロイドの壮絶な戦闘がはじまる! Trick or Treat----‼ ハロウィンに響き渡る、死と破滅の叫び。上っ調子な世界の横っ面をひっぱたく、破天荒なHEROES、登場‼
  • ジャン=ジャックの自意識の場合<新装版>
    -
    一九六八年、日本人青年医師に、ルソーの魂が降臨した。彼は『エミール』の理想を実現すべく、理想の子供を育てることを決意し、孤児院を創設する。集められた子供たちは、“世界の救い主”を作り出すための、実験体であった…。天使が舞い、混沌が支配し、血と精液にまみれた溟い幻想が憩う、濃密な作品世界。全く新しい才能の誕生! 第8回日本SF新人賞受賞作品。 人々は、今あるこの世界が、根底から作り変えられることを望んでいるんだ。いつの時代もそうだった。しかし、それは容易なことではない。だから、必要とされるのは、現状との闘いから変化が勝ち取られることではなく、現状を作り出した源にまで遡って作り変えられることだ。地下の王国が、父たちの歴史を飲み込んでしまう、そんな矛盾した革命だ。気づかぬうちに起源を置き換えてしまう。闘い自体が無力化されることを望んでいるのだ。それができるのは、ただ一人の子供だけだ。その子は子にして親なんだ。天使が巨人を産み、巨人が世界を産んだように。子孫にして父祖、結果にして原因、その両者を結ぶものだ。その子は、やがて《世界の救い主》になるだろう。
  • ゴーディサンディー<新装版>
    -
    騒がしい(ゴーディー)日曜日(サンディー)に、事件は起こる・・・・・・。第6回日本SF新人賞受賞作。表紙カバーのイラストは安倍吉俊。 監視システム「千手観音」によって、統合的な治安維持が進んだ日本で発達した新型のテロル。それは、生きている人体に仕込んだ爆弾―擬態内臓による、自爆攻撃であった。警察の機動隊爆発物対策班に所属する心経初は、擬態内臓を除去することを任務としている。すなわち、「対象」の人物を捕捉して、生きたまま「解体手術」を施すという仕事。成功イコール「対象」の死を意味するこの仕事を、機械的に淡々と進める心経であったが…。オリジナリティ溢れる独特のセンスが選考会で高く評価され、22歳という史上最年少の受賞者が誕生した。鮮烈のデビューに読書界の衝撃必至。第6回日本SF新人賞受賞。
  • 千弥の秋、弥助の冬
    4.2
    千弥の様子がおかしい。もともと弥助に対しては過保護だったが、最近度が過ぎるのだ。ぼうっとすることも多く、物忘れも激しい。心配する弥助に対し、千弥は何でもないの一点張り。互いを思いやる心がすれ違い、ふたりは初めて大喧嘩をしてしまう。以前千弥は月夜公に執着する紅珠の魔手から弥助を守りきるために、妖怪の誓いを破って力の源である目玉を取り戻したことがあった。ほんの一時のことだったが、誓いを破ったことに変わりはない、その報いは確実に千弥を蝕んでいた。そしてついに……。大人気妖怪シリーズ、第一部クライマックス。
  • ローダンNEO1 スターダスト
    4.2
    〔ローダンNEO1〕2036年、スターダスト号で月基地に向かったペリー・ローダン達は異星人の船に遭遇する。それは人類にとって宇宙時代の幕開けだった……。宇宙英雄ローダンシリーズ刊行50周年記念としてスタートしたリブート・シリーズがtoi8のイラストで遂に日本でも刊行開始! *本作には解説(嶋田洋一)も収録しています。
  • 悪霊の女王
    5.0
    ブリザードが空虚な街々に荒れ狂っていた。まだ十月に入って間もないのだ。異常な寒波の襲来などという月並みな表現がたわごとじみていた。極地の酷寒の冬が、そっくりそのまま東京に移動してきたというのが実感だった。 「私の名は、アニマ……」  新井亜古に憑依した別人格“アニマ”は、酷寒の異常気象をもたらし、全世界を破滅に導く悪霊なのか? 「だれか助けて! この力をあたしから取り除いてちょうだい!」  少女・亜古の運命は?! 本書『悪霊の女王』の未発表の続編『新悪霊の女王』52枚(未完)を、電子書籍版特典として初収録! 〈目次〉 ブリザードの女 魔女の誕生 狂戦士 精霊の夜 悪霊世界の侵入者 あとがき 解説 永井 豪 〔特別付録〕新悪霊の女王 イラストレーション:生頼範義 〔1976年発表〕
  • ザ・ジャグル 汝と共に平和のあらんことを(1)
    -
    地球国家群間の大戦終結後、復興と平和のシンボルとして建設された永久平和都市オフィール。軌道国家群から軌道エレベーターで入都した報道士キャロルと記録士シオリは、都市の取材を通じその表層的な“平和”に疑念を抱く。やがてテロや大規模犯罪を密かに闇に葬り去る特殊部隊〈手品師(ザ・ジャグル)〉の噂を耳にした二人は、この都市の真の過酷に絶句する……。  戦争という狂気の本質に迫る、本格アクションSFシリーズ、第1弾。電子版のために書き下ろされた短篇&あとがきを追加収録! ●榊一郎(さかき・いちろう) 1997年、第九回富士見ファンタジア長編小説大賞で準入選、翌年デビュー作『ドラゴンズ・ウィル』を刊行。自称・小説屋/軽小説屋であるが、ゲームシナリオ、アニメシナリオ等も手掛ける。速筆で著作多数。代表作に『スクラップド・プリンセス』『棺姫のチャイカ』『アウトブレイク・カンパニー』『まじしゃんず・あかでみぃ』『神曲奏界ポリフォニカ』『ストレイトジャケット』等がある。ガンマニアで観賞魚マニア。
  • 黄泉坂案内人 愛しき約束
    3.5
    この世とあの世の狭間にある入日村。 クラシックカー・デューセンバーグとして、死者の魂を送る「黄泉坂」を行き来する元タクシー運転手の速人と、150年生きて(?)いる少女・彩葉。 妖たちとともに、死者の未練を彼らなりに紐解いていく日々だ。 新型エンジンを開発していた自動車メーカーの研究者、あるお客を待っていた石巻の小料理店の板前、詐欺ビジネスを行っていた若者。 死者にはそれぞれ物語がある。 そして、速人には妻と娘がいた。娘の雪音は、父の帰りを待っていた……。 大切なことを話せないまま姿を消した人が、そこにいる。 今日もまた、誰かの魂が坂の下で足を止めるだろう。 その心残りに寄り添い、坂を上る手助けをする、速人たち「黄泉坂案内人」。 『僕僕先生』の著者が贈る感動ファンタジー!
  • 時果つるところ
    -
    「超原爆」の副作用によってミドルタウンは未来へ吹き飛ばされ、数百万年先の寒冷化した地球に取り残された。人類はすでに地球を捨てて銀河系に広がり、恒星連盟を作り上げていたが、その連盟からの宇宙船が到着し、市民たちを「適切な惑星」に移住させようとする。が、ミドルタウンの市民たちはこれに抵抗する。彼らは連盟の方針に対抗して「特殊な核反応により惑星を内部から暖め直す」方法によって地球を再び居住可能な場所として復活させる。ハミルトンのシリアスものの代表作。
  • オズの魔法使い
    3.9
    大竜巻に家ごと吹き上げられた少女ドロシーは、愛犬トトとともにふしぎな国へおりたつ。かかしやブリキのきこり、おくびょうなライオンが加わって、冒険の旅が始まる。アメリカファンタジーの古典。

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  • 京の花嫁 嵐山あやかし料亭の若女将
    3.5
    京都旅行で亡き祖母ゆかりの老舗料亭を訪れた明梨。そこで、突然番頭に「大旦那様の遺言で、あなたが料亭の跡継ぎです」と言われる。料亭の三兄弟から婿を選べと迫られ断るけれど、なりゆきで若女将をすることに!?
  • 仮想現実世界 特別編
    -
    主人公である井口直人は、過去に体験した、あることを切っ掛けとして、この世界に対して漠然とした疑問を抱くようになっていた。それは、この世界はもしかすると、仮想現実なのではないか、という疑問であった。そんな日々のなか、井口直人の目の前で、あまりにも信じられない現象が起こるのだったが……。一方、西暦二千年型世界と呼ばれる、仮想現実世界の管理者であるリュウ・ノガミは、 コンピューターホログラム内で暮らす人々は、果たして自我というものを持っているのかどうか、ずっと気になっていた。そこでリュウは、彼等が自我を持っているかどうかの実験を行うことにする。本来、こうした実験をすることは、リュウが管理している西暦二千年型世界に深刻なエラーを発生させかねなかったので、やってはならないことであったのだが、しかし、仮想現実世界に害を及ぼさない程度の、些細な現実改変なら行っても構わないだろうと考え、リュウは実験を実行に移す。すると、この結果、リュウは興味深い結果を得ることができた。というのは、実験の結果、コンピューターホログラムに過ぎないはずの人間に、ちゃんとした自我が備わっているらしいことがわかったのである。この結果に興奮するリュウだったが、しかし、そのとき、リュウが管理しているコンピューターホログラム内で信じられない現象が起こりはじめる……。こちらは既にkindleで出版している『仮想現実世界』の一巻から二巻までを一冊にまとめたものとなっており、一冊ずつ購入していくよりもお得となっています。
  • 異世界戦艦大和
    -
    平成“三十二”年、八月。呉海軍造船所の第四ドックに“戦艦”が巨体を横たえていた。太平洋戦争の戦勝殊勲艦としてモスボール状態で保存されていた戦艦大和が、再び実戦に赴くべく近代化改装が進められているのである。滑空砲、コンポジット素材装甲、八連装対艦ミサイル発射機、対空ミサイル発射機、OTHレーダー、対潜水艦ソナー、スーパーコンピュータ、対サブマリンロケット……そして、この大和には驚くべきテクノロジーが搭載されていた。「時空転移装置」である。大和はこの転移装置で、別の時間線の、別の戦場に単艦で送り込まれ、実戦テストにさらされるのだ……。  完全書き下ろしの電子オリジナル作品。 ●青山智樹(あおやま・ともき) 1960年、東京都武蔵野市生まれ。学生の頃より同人誌『宇宙塵』に参加。東海大学理学部物理学科卒業後、高等学校に理科教師として勤務。1992年、長編SF『赤き戦火の惑星』(勁文社)で商業デビュー。『合体戦艦「富士山」出撃!』(有楽出版社)、『蒼穹の海鷲』(アスキー)等、シミュレーション戦記を中心に執筆する。その他にも『零戦の操縦』(アスペクト)、『自分でつくるうまい!海軍めし』(経済界)、『世界一わかりやすい放射能の本当の話』(宝島社)等、ミリタリー関連書籍など著書・共著多数。
  • オッド・ジョン
    -
    発育不全児といえるジョンは、高等幾何学を解し、一般相対性原理を論ずる、おそるべき神童で、オッド(奇矯)とよばれた。それも不思議ではない。ジョンは、テレパシー、催眠術などの超能力をもつミュータント〈超人類〉だったのだ! 人間を劣等種属とみなす彼は、遠大な計画のもとに、仲間を結集して、独自の世界を建設しようと試みる。新しい人類によって地球を引き継ぐために! だが……ステープルドンの〈超人類〉テーマの傑作。
  • 検査室
    -
    ふと、脇腹に痛みを感じた。おかしな姿勢でうたた寝をして、特殊な筋肉を使ったのか、鈍痛がある。やはりまぶしさを感じた瞬間に意識を戻したのだと、「気づいた」。いや「思った」。「気づいた」のだろうか「思った」のだろうか? ふっと、その少し前にも痛みを感じていたと「思った」。どういう自分なりの必然からか、それは次第に確信に近づいた。(「†」より)  調書、私信、寓話など実験的な手法で書かれた短編・掌編を収録。電子オリジナル作品集。 *カミラ蜂との七十三日 *王様はどのようにして不幸になっていったのか? *今年の夏は雨の日が多くて *私の中の東京、東京の中の私 *(失踪中の王妃からの手紙) *† *ショールーム ●石黒達昌(いしぐろ・たつあき) 作家、医師。1961年北海道生まれ。東京大学医学部卒業。「最終上映」で第8回海燕新人文学賞を受賞してデビュー。純文学誌を中心に数多くの中短篇を発表する。「平成3年5月2日,後天性免疫不全症候群にて急逝された明寺伸彦博士,並びに,」「真夜中の方へ」「目を閉じるまでの短かい間」で三度の芥川龍之介賞候補になる。また、「人喰い病」「希望ホヤ」で星雲賞日本短篇部門参考候補になるなど、SFファンからの支持も厚い。
  • 診察室
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    いつまで生きることが出来るのか。もし剛造がそのことを和夫に聞いていたのだとしたら、和夫は今すぐにその答えを剛造に教えてやりたかった。でも、それは和夫にも分からないことだった。それを和夫が正確に知るのは剛造の死の間際だろう。そして、もうその時にはそんなことは剛造には何の意味もなくなっているに違いない。結局、和夫が知っていることは剛造にはまるで役立たないことばかりだった。(「鬼ごっこ」より)  医療と人間との関係を描いた純文学、医療ミステリなどの中短篇を収録。電子オリジナル作品集。 *鬼ごっこ *或る一日 *ハバナの夜 *その話、本当なのか *足 *真夜中の方へ ●石黒達昌(いしぐろ・たつあき) 作家、医師。1961年北海道生まれ。東京大学医学部卒業。「最終上映」で第8回海燕新人文学賞を受賞してデビュー。純文学誌を中心に数多くの中短篇を発表する。「平成3年5月2日,後天性免疫不全症候群にて急逝された明寺伸彦博士,並びに,」「真夜中の方へ」「目を閉じるまでの短かい間」で三度の芥川龍之介賞候補になる。また、「人喰い病」「希望ホヤ」で星雲賞日本短篇部門参考候補になるなど、SFファンからの支持も厚い。
  • 平成3年5月2日,後天性免疫不全症候群にて急逝された明寺伸彦博士,並びに,【完全版】
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    ハネネズミを殺したのは誰なんだ。石狩川上流の渓谷、神居古潭に長年繁殖してきたが、遂に絶滅したハネネズミ。その最後の種の生存と死のドラマを観察した二人の医学者の記録と論文が残された……。人類の滅亡のメタファーを幻の小動物に託した卓抜な発想を、科学論文形式の中に透明な叙情性のある文体で表現したSFミステリ。  第110回芥川龍之介賞候補、第16回野間文芸新人賞候補となった「平成3年5月2日,後天性免疫不全症候群にて急逝された明寺伸彦博士,並びに,」(本来は無題作品)、その続編「新化」のオリジナル版(単行本版)、後年になって大幅の修正が施された「新化 Part1/Part2」(文庫版)の全バージョンを併録。さらに、電子版あとがきを収録した完全版。  ※本書は著者の意向により本文横書きで制作されています。 *平成3年5月2日,後天性免疫不全症候群にて急逝された明寺伸彦博士,並びに, *新化 *新化 Part1 *新化 Part2 ●石黒達昌(いしぐろ・たつあき) 作家、医師。1961年北海道生まれ。東京大学医学部卒業。「最終上映」で第8回海燕新人文学賞を受賞してデビュー。純文学誌を中心に数多くの中短篇を発表する。「平成3年5月2日,後天性免疫不全症候群にて急逝された明寺伸彦博士,並びに,」「真夜中の方へ」「目を閉じるまでの短かい間」で三度の芥川龍之介賞候補になる。また、「人喰い病」「希望ホヤ」で星雲賞日本短篇部門参考候補になるなど、SFファンからの支持も厚い。
  • 機巧のイヴ(新潮文庫)
    4.3
    天府城に拠り国を支配する強大な幕府、女人にだけ帝位継承が許された天帝家。二つの巨大な勢力の狭間で揺れる都市・天府の片隅には、人知を超えた技術(オーバーテクノロジー)の結晶、美しき女の姿をした〈伊武(イヴ)〉が存在していた! 天帝家を揺るがす秘密と、伊武誕生の謎。二つの歯車が回り始め、物語は未曾有の結末へと走りだす――。驚異的な想像力で築き上げられたSF伝奇小説の新たな歴史的傑作、ここに開幕!
  • 新装版 クリスマス・キャロル
    -
    思わず心があたたまる、クリスマスをテーマにした永遠の名作  他人に興味を払わず、思いやりのかけらもない。かたくなな心を持った老人に今年も訪れたクリスマス。いつもと同じように、なにも祝わず独りきりで過ごすはずでした。しかし今年のクリスマスはいつもとは違ったのです。 「なぜ自分は思いやる心を失ってしまったのか?」「いつからクリスマスを祝うことなく終えるようになったのか?」自分の心が知らぬ間に、冷たい石のようになってしまったことを後悔し始める老人。じょじょに裕福な経済状態と裏腹に自分が失っていたものに気づき、生き方を変えたいと願うようになります。  読めばきっと心が温かくなる、身近な大切な人にやさしくしたくなる……そんな気持ちに誰もがさせられる、永遠の名作です。 新装版では、描きおろしの新たな表紙で「クリスマス・キャロル」の世界感をお楽しみください。 【目次】 まえがき 序文 クリスマス・キャロル原文 クリスマス・キャロル対訳  第一節 マーレイの幽霊  第二節 一番目の幽霊  第三節 二番目の幽霊  第四節 最後の幽霊  第五節 おしまいに
  • アリスマ王の愛した魔物
    3.8
    弱小なディメ王国の醜悪な第六王子アリスマは、その類まれなる計算能力によって頭角を現していくが――森羅万象を計算し尽くす夢に取り憑かれた王を描き、星雲賞を受賞した表題作、なぜか自律運転車に乗せられる人型ロボット、アサカさんを通して、AIの権利を考察する書き下ろし「リグ・ライト――機械が愛する権利について」ほか全五篇。
  • 野心あらためず~日高見国伝~
    -
    8世紀後半、東北地方には蝦夷とよばれる先住民が独自の文化で生活を続けており、そこへ豊かな資源を求めて大和朝廷が侵略を始めていた。東北地方で滅ぼされたアビ一族の生き残りにして鮫狩りの少年アビは、鮫狩りの師匠オンガとともに想い人宇伽の影を求めて故郷へ。そこでアビが見たものは――。戦後児童文学を作り上げてきた著者が遺した感動の大作。
  • ひと夜の月
    -
    えっ! 妻に逢える? 亡き妻の面影を手繰り、霊界を彷徨して行く瀬島。 辿る先々で眼にする信じられない光景……。
  • エミリーの記憶
    4.0
    ジョイン・カクテルとは、記憶や感覚を共有しながらのセックスが可能になる飲み物だ。エミリーという少女とプレイし、彼女の記憶をのぞいてしまった男の心情を描いた表題作、敵の心を読むことのできる特殊技能兵が、戦場でサイコティックな恐怖を体験する「逝きし者」、戦闘訓練シミュレータに入っていた警官の不可解な死の謎にせまる「過去を殺した男」など、人間の記憶と意識のありようを鋭く描き出した物語、全14篇。
  • 古の女神と宝石の射手 (角川ebook)
    -
    神々の王ゼウスは、すべての神の上に立つ存在。しかしある日、ゼウス神軍の有力な将たちが突如反旗を翻した。彼女たちを扇動するのは時の神クロノス。クロノスらはティターン神軍と名乗り、一夜にして巨大な対抗勢力となる。世界を混乱に導くクロノスの真の目的とは――。ティターン戦争の火蓋が切られる!! ※本書は、2016年7月2日に配信を開始した単行本「古の女神と宝石の射手」をレーベル変更した作品です。(内容に変更はありませんのでご注意ください)
  • かたづの!
    3.9
    遠野の羚羊の片角には霊妙な伝説がある。慶長五年、根城南部氏当主直政の妻・祢々は片角の羚羊と出会う。直政と幼い嫡男・久松が立て続けに不審な死を遂げた直後から、叔父の三戸南部氏・利直の謀略が見え隠れしはじめた。次次とやってくる困難に祢々は機転と知恵だけで立ち向かう。「戦でいちばんたいせつなことは、やらないこと」を信条に波瀾万丈の一生を送った江戸時代唯一の女大名の一代記。河合隼雄物語賞(第三回)、歴史時代作家クラブ賞作品賞(第四回)、柴田錬三郎賞(第二十八回)、王様のブランチブックアワード2014大賞受賞作!!
  • 月の森に、カミよ眠れ
    4.2
    九州の祖母山に伝わる、蛇神と娘の婚姻伝説「多弥太伝説」をもとにした、日本古代を舞台にした壮大なファンタジー。1992年、上橋菜穂子が日本児童文学者協会新人賞を受賞した記念すべき作品。
  • ドロップディメンジョン(2017) #9
    -
    人間サイズ人間型時空潮汐力宇宙戦艦シファはその存在について国会の承認を受けたものの、やはり隠密任務が課せられるのだが、次第にエアショーでの展示飛行なども行うようになり、また同時に建造されていた妹である2番艦ミスフィのあと途絶えていた同級艦3・4番艦が進空、そして5番艦の進空式にも出席することとなった。そのなか、時計は容赦なく進んでいく。超時空探査機UG-SAT「おおたか」の消息が途絶えた。超時空空間の謎についてこだわるテイ教授。その真意は、同じ超時空の秘密を持つシファたちのこれまでだけでなく、これからにも関わっているからだった。
  • GONE ゴーン III 虚言 上
    3.0
    シリーズ累計400万部超えのSF巨編!大人が消えた町に、預言者が現れた。怪しげな教えを妄信しはじめる子供たち――少女の言葉は、嘘か真実か!? 15歳以上の人間が忽然と消えてしまい、子供たちだけとなった町。不気味なバリアに周囲を覆われ、食料不足に加えて電気まで絶たれた今、さらなる絶望が子供たちの間に広がっていく。そんななか突如現れたのが“預言者”を名乗る少女――少女はバリアの外の世界と交信できると言いだし、真夜中の浜辺で怪しげな集会を開くように。一人、また一人と少女を崇める子供がそこへ集まりだし……。
  • 大江山異聞 鬼童子(きどうじ)
    -
    平安時代、一条天皇の御世。京の都に鬼が出没し、貴族の娘たちが攫われる騒ぎが頻発していた。源頼光から解決の命を受けたのは、剛勇名高い坂田公時だった。公時は、次に攫われるのは藤原為時の娘・紫式部と目星をつける。美貌の才女は、自らが囮となって鬼に対峙するのだが――。公時と酒呑童子、さらに陰陽師・安倍晴明も加わった凄絶な闘いの行方やいかに!?
  • GONE ゴーン II 飢餓 上
    -
    残された子供、331名。食料わずか1週間分。 15歳以上の人間が消えた町を、飢えの恐怖が襲う――。 15歳以上の人間が忽然と消えて3カ月。 リーダーのサムのもと役割分担を決め、どうにか状況に順応しようとする子供たちに、今度は“飢え”という恐怖が襲いかかる。気づけば肉も野菜も底をつき、残る食料、わずか1週間分。サムは仲間とともにキャベツ畑に赴き、食料の確保を試みるが、そこで目を覆いたくなるような惨劇が待ち受けていた――!  20カ国が熱狂する、話題騒然SFスリラー。
  • ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン 上
    3.9
    第二次大戦で日独の枢軸側が勝利し、アメリカ西海岸は日本の統治下にある世界。巨大ロボット兵器「メカ」が闊歩するこの日本合衆国で、帝国陸軍の検閲局勤務の石村大尉は特別高等警察の槻野課員の訪問をうける。槻野は石村のかつての上官、六浦賀将軍を捜していた。将軍は軍事ゲーム開発の第一人者だったが、アメリカ人抵抗組織に協力しているというのだ――21世紀版『高い城の男』と呼び声の高い話題沸騰の改変歴史SF。
  • 暗黒の城(ダーク・キャッスル)
    -
    「死の恐怖」からの解放は人間のDNAが求める最終到達地点なのか  バーチャルリアリティを使ったホラーゲーム「ダークキャッスル3」制作中に、主要スタッフが相次いで変死する。一人は激突死、もう一人はロシアンルーレットでという、あたかも死を望んでいたかのような死に方で…。さらに、スタッフの一員である早川優作は、同僚で恋人でもある佐藤美咲までが死を恐れない自傷行為をとるのを見て愕然とする。「ダークキャッスル3」と一連の事態との間になんらかのつながりを感じた優作は、大学時代の女友達で今は雑誌記者の鷹石茜とともに事件の真相を追いはじめた。だが、二人の前に現れたのは、ある狂信的な医学研究と、恐るべき過去のカルト宗教団体事件の全貌であった…。第5回小松左京賞受賞作品。 ●有村とおる(ありむら・とおる) 1945年生まれ。早稲田大学卒業。IT・ネットワーク・ソフトウエア企業で30年以上の経験を有する。企業間エレクトロニック・コマース(B2B・EC)のパイオニア。2004年、死すべき人間に死の恐怖が埋め込まれた不条理をテーマにした『暗黒の城(ダーク・キャッスル)』が第5回小松左京賞を受賞。2011年、文鳥への愛情と財務省の不正な二重課税を描いた『ほらピーちゃんが飛んでいる』を電子書籍で上梓。日本SF作家クラブ会員。
  • 地を継ぐ子供たち
    -
    謎の疫病〈えぶ〉と軍事警察に怯えて暮らす子供たちが目指す場所とは 〈えぶ〉と呼ばれる謎の疫病が人類を襲い、世界人口は最盛期に比べて十分の一以下になった。荒廃後の日本列島では〈東国〉と〈西国〉に分裂した人々が、チュウブ無人地帯を間に挟んだまま、にらみ合いを続けていた。軍事国家〈東国〉に住む「まひる」たち四人の少年は、町の人々の間で「スフィンクスやピラミッドより大きい」と伝説になっている人工の遺跡〈石棺〉を探検しよう、と進入禁止区域に足を踏み入れる。  鳥が次々と空から落ちて死んでいく。再び〈えぶ〉が発生した。人間の滅亡を意味する〈えぶ〉とは何か? なぜ大人たちは〈石棺〉の正体をひた隠しにするのか? そして、人類が生き残るすべはあるのか? すべての謎を解く鍵は、旧世界の科学者が記した〈ゆまノート〉に隠されている…。電子オリジナルの長篇SF小説。 ●有村とおる(ありむら・とおる) 1945年生まれ。早稲田大学卒業。IT・ネットワーク・ソフトウエア企業で30年以上の経験を有する。企業間エレクトロニック・コマース(B2B・EC)のパイオニア。2004年、死すべき人間に死の恐怖が埋め込まれた不条理をテーマにした『暗黒の城(ダーク・キャッスル)』が第5回小松左京賞を受賞。2011年、文鳥への愛情と財務省の不正な二重課税を描いた『ほらピーちゃんが飛んでいる』を電子書籍で上梓。日本SF作家クラブ会員。
  • 宇宙の深淵より
    -
    宇宙の高等生物と地球人類の接触をさまざまな視点から描いたユニークな傑作短篇集! 金星の密林を徘徊する、内気で迷信深い緑色人の話(『内気な虎』)、テレパシー能力を持つ高慢な火星人の物語(『人間やろう』)、美しい緑の惑星に罠を張って、人類を窮地におとしいれる小妖精の話(『虹の彼方』)、人類の絶滅し果てた地球に単身帰還した宇宙飛行士の感動的なドラマ『第二創世紀』など、傑作SF8編を収録!
  • GONE ゴーン 上
    3.6
    15歳以上、全員消滅。ある日、町から大人が消えた――スティーヴン・キング絶賛のSFスリラー解禁。 授業中、教室から先生が消えた。忽然と。サムたち生徒は騒然となるが、やがて、消えたのは町じゅうの大人――15歳以上の人間全員だとわかる。両親の姿も見えず、携帯電話もテレビも繋がらず、途方に暮れる少年少女たち。異様な混乱の中、サムは親友のクインらとともに、町のはずれまで行ってみることに。そこで彼らが見たものは……。巨匠スティーヴン・キング絶賛のSFスリラー、ついに日本上陸。
  • 緑の時代
    -
    現実を超現実(幻想)の世界に解放していくのがファンタジー  緑色の苔におおわれ、人も建物も風化していく新宿……その緑の世界を闊歩するヒッピーたちの姿を通して、自由な魂を謳いあげる表題作ほか、子供の姿をした作者が内側から子供たちの世界を描き、おとなたちの失われた故郷をかたる「子供の情景」、見すてられた草原となった東京の街にSLを走らせるため生命をかけるひとりの老人と少年たちを描いた「機関車、草原に」など、独自のファンタジーを追い求める著者が、内部に結晶するイメージを、ひとつひとつつまみあげ、小さく繊細な、しかしじゅうぶんに堅固な宇宙を創造していく傑作SF短篇集。 ●河野典生(こうの・てんせい) 1935年1月高知県生まれ。詩作、劇作のかたわら1960年『陽光の下、若者は死ぬ』でデビュー。1964年『殺意という名の家畜』で推理作家協会賞を受賞。日本のハードボイルド小説の先駆者となる。幻想派SF小説、ジャズ小説など、多彩な執筆分野とジャズのフィーリングを持つ作家として特異な存在。
  • 偶然世界
    3.6
    九惑星系の最高権力者ヴェリックは、公共的偶然発生装置のランダムな動きにより失脚した。かわって権力の座についた無級者カートライトも、ボトルのくじ引きにより六十億の人々のなかから選ばれる。だが、数時間後、指名大会で選出された刺客がカートライトの命をねらっていた……著者の第一長篇。
  • ヤマユリワラシ―遠野供養絵異聞―
    4.7
    嘉永三年(一八五〇)南部藩――遠野。城下に住まう軽輩の外川市五郎は、出世や武道よりも絵を描くことを好む、風変わりで孤独な青年。ふと見かけた深紅の山百合との再会を求めて迷い込んだ山村で、彼は座敷童のような少女・桂香と邂逅する。二人の交流が、死者を祝ぎ葬送する板絵――供養絵額を生み出していく。
  • ムーン・プール
    -
    白い光に包まれて忽然と船上から消え失せた友人フロックの残した地図を頼りに、グッドウィン博士が到達した異世界は、百花が咲きみだれ、樹陰に荘大なパヴィリオンが建ち、貝殻のような奇妙な乗物が行き交い、緑の小人たちが闊歩する楽園にちかい地底の世界だった。だがそこは、南太平洋の先史遺跡、ナン・タウアッチの地底世界だった! そこは楽園とは程遠い暗黒の世界、光を駆使して築かれた世界であり、消えたスロックは、この世界を支配する絶対神「輝くもの」の生贄に供されたのだった。博士一行のひとり、オキーフがみめ麗わしい地底の美女に恋したとき、彼らには恐るべき危機が迫っていた。SF黎明期に君臨した幻想冒険作家の最大傑作とうたわれるファンタジー巨編!
  • コロンビア・ゼロ──新・航空宇宙軍史
    3.9
    地球を中心とする航空宇宙軍と外惑星連合が戦った第一次外惑星動乱から四十年。タイタン、ガニメデ、木星大気圏など太陽系各地では、新たな戦乱の予兆が胎動していた。第二次外惑星動乱の開戦までを描く七篇を収録。著者のライフワーク、二十二年ぶりの最新巻
  • 超生命ヴァイトン
    -
    スウェーデンの科学者ビヨルンセン教授が急死した。急性の心臓病と診断された。ついで、イギリスのガスリー博士が、舗道で友人と話している最中に倒れて死んだ。やはり心臓病だった。二つの怪死は謎だったが、カメラ会社の工場が大爆発を起こし、同工場のビーチ教授が写した、正体不明の奇怪な光球生物が浮かび上がることによって、これらすべては地球外生命による襲撃と判定された! 超生命ヴァイトンの挑戦に、人類は絶滅の危機にさらされる! エリック・フランク・ラッセルの代表傑作。
  • スウィッチ
    2.0
    米国にて電子書籍として出版されるや、 瞬く間にミリオンセラー作家となったアマンダ・ホッキング。 シンデレラ作家として伝説となった彼女の大ヒットデビュー作にして 『トワイライト』を越える作品との呼び声も高い『スウィッチ』が、 ついに、日本の電子出版界に上陸!! ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 「私はいったい何者?」 6歳の誕生日に母親に殺されそうになって以来、 親の愛を知らずに生きてきた17歳の少女ウェンディ。 彼女は、ハイスクールでも周りと馴染めず、いつも問題を起こしては 「ここは自分の居場所ではない」という思いを抱えながら生きてきた。 そんな彼女の前にあらわれた美少年フィン。 彼はウェンディに衝撃の事実を告げる。 本当は、ウェンディは別世界の王女の娘(プリンセス)で、 赤ん坊のときに取り替えられた“チェンジリング”なのだと!? 美しくも恐ろしい未知なるマジカルワールドへ旅立とうとするウェンディ。 彼女を待ち受ける衝撃の運命、そして「本当の自分」とは……。 【著者紹介】 1984年7月生まれ。アメリカ人のヤングアダルト・ファンタジー作家。アシスタントとして企業で働くかたわら、空いた時間に小説を書き2010年までに17本の小説を書き上げる。それらのいくつかを出版社に送るが、ことごとく断られる。そこで2010年4月にアマゾンのe-booksで自主出版する。作品は自主出版としては近年稀に見る大成功をおさめ、9つの作品でミリオンセラーを記録し、200万ドル以上の売り上げを記録する。ついに2011年3月、大手出版社St.Martin's Pressによる200万ドルでの破格のオファーを受けメジャーデビューを果たす。
  • et cetera quest
    -
    ――もう僕の本編は終わっている。この旅は、世界を救う旅でもないし、あるいは誰か大切な一人の人を助ける旅でもない――淡い夢の色彩を帯びた世界を、最後に添える花のために巡る、暗く低温なファンタジー。(「葉男と葉乙女」メリーゴーランド童話塾2008年発表作品・「空気口」「鼬の城」六本木詩人会発表作品に未公開の終章「世界の終わりへ続くパレード」を収録)

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