国内小説 - 講談社文庫作品一覧

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  • ヴァイブレータ 新装版
    4.0
    ヴァイブレータ――振動するもの。あたしの中身は震えつづけている。アルコールと食べ吐きで辛うじて自分を支えているライターのあたしは、コンビニで知り合った男のトラックに乗りこみ、航路の道連れとなる。肌の温もりとセックス、重ね合う言葉。四日間の「旅」を描く、痛いほどに切実な、再生の物語。『東京プリズン』で母と娘の物語を完成させた赤坂真理の代表作。映画も多くの賞を受賞。(講談社文庫)
  • 寝ずの番
    3.9
    希代の咄家・橋鶴が最期までオチをつけてオッチンだ。今宵は弟子たちが集まる通夜だけに艶っぽい逸話(エピソード)も飛び出す無礼講。笑って死ぬか、死ぬまで笑うか、どっちもどっち? 粋でホロリとさせる咄家模様を描く『寝ずの番』3部作ほか、読み出したら止まらない、Hで笑撃的な“らもテイスト”満喫の短編集。
  • 東京DOLL
    3.5
    マスター・オブ・ゲーム=MGと呼ばれる天才ゲームソフト制作者・相良は、新作のモデルに翼のタトゥを背負った少女・ヨリを選ぶ。映像モデルとして完璧な「人形」ぶりを発揮するヨリに、MGの孤独は癒されていく。だが、彼女には愛する男の不幸が見えるという異能があった。東京の今を描いた長編恋愛小説。
  • 風の旅団
    4.0
    中国奥地への学術調査隊に加わった青年・早見大介が、不審な死を遂げた隊長の「密命」を受けた。早見は任務を遂行すべく、バイクを駆って、雄大な天山山脈、タクラマカン砂漠、さらに秘境の地へ……。彼を襲う謎の男たちとの闘いののちに、彼が探りあてた未踏の地の秘密とは何か? 清新、熱血のバイク冒険小説。
  • 土佐日記
    -
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 1986年に重文指定の「為家自筆本」を底本にした、最も新しい「土佐日記」。男もすなる日記という物を、女もしてみんとてするなり……紀貫之が土佐守を解かれ、京へ帰る船旅の模様を、女の筆に仮託し仮名で綴った日記。諧謔性にとむ文体と劇的構成で、仮名文学の先駆的作品。定家自筆本との校異を付した決定版。
  • 蜻蛉日記(上)
    -
    1~3巻550円 (税込)
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 その美貌と、歌才で謳われた藤原道綱の母。受領の娘に生まれ、世を時めく藤原兼家の妻となり、当代の女性として稀にみる強烈なエゴと、豊かな感受性をもって成立した、現代になお新しい告白的自叙伝。従来の、契沖本に依拠し過ぎた研究に対し、それを批判的に摂取しつつも、新規点に立った、50年余の結実。川瀬一馬の校注・現代語訳でお贈りします。<上中下3巻 上巻>
  • 春来る鬼
    -
    三陸を舞台に民衆の哀しみを物語る短編集。風も雲も海も、まだ神の属性を失っていなかった遥か遠い昔……黒潮と親潮がぶつかりあう三陸の岬の浜に流れついた、駈け落ちの若い男女が、数々のためしをうけて村の一員となった頃、村に悪疫が蔓延し始める。それは南の海を渡ってくる鬼のたたりだという、三陸の漁村に伝わる伝説と――という「春来る鬼」(第一回吉川英治賞)ほか「三陸津波」「南部牛方節」「山の伝説」を収録する短編集。表題作は、小林旭・監督、三船敏郎・主演で映画化された名作!
  • 階級
    -
    現代社会の〈辺境〉とも言える廃鉱に遺棄され、痛憤の生存を強いられる人々の、熾烈をきわめる階級的憎悪の情念。内面までも風化解体に瀕した人間破壊の状況は、読者に異様な衝撃と戦慄を与える。〈辺境〉の外で惰眠する人間の、精神の荒廃を烈しく指弾した傑作。他に、炭鉱離職者をテーマにした「せむしたちの冬」を収録。
  • 花散里
    -
    舞踏家・鹿野艶子、近代的未亡人・朝吹頼子、俳人・立川喜和……おんなの夕映えともいうべき年齢の3女性が、日常生活を律する倫理を超えた、性の神秘を経験していく過程を通じて、艶やかに人生の無常をうたう名作。
  • 象を撃つ
    -
    腐った貝を食べ、辺境に置き去りにされた老人たちが、妊婦を輪姦する――自らを「想像力の技術師」と信じこむ入院患者の描く、悪夢のような虚構の世界=小説。いっぽう、その彼が看護婦を妊娠させたという噂が、彼の抗弁をはねつけ、病院内に拡まる。想像力を超える非難と指弾という現実の荒廃を描出し、「小説とは何か」を追求した意欲作。
  • 小屋
    -
    自殺した知人の遺品を遺族に届けた19歳の青年は、その村に居ついて、村人や遺族の異様な光景に出会う。戦争にいって廃人同様になった父親。そして、その妻のモノローグを通じて、戦後25年経ったいまも、戦争の傷を癒せぬ、夫婦の戦慄的生活が現われる。暗い時代の深暗部を照し出した力作。他に「小泊海岸の犯罪」と「雪」を収録。
  • 一揆論 情念の叛乱と回路
    -
    鮮烈な詩魂と曇りない批評精神で、独自の創造世界を築く、異才・松永伍一が、一揆を題材として、民衆の情念の暗部を探った好著。いわゆる一揆の研究書ではなく、詩人の鋭い直観で、新たに発掘された史料に新たな角度から光を当て、叛逆を志向する日本人の心的構造と土俗的エネルギーの原質を解明。人間の反逆の心の回路をさぐり、その肉声をみごとに捉えた、意欲の論考全4章――鋭い直観力で、新たに発掘された史料の裏面を照射し、民衆の情念の暗部と、日本人の土俗的エネルギーの核心・原点を浮き彫りにした、問題の書!
  • にぎやかな家
    -
    かつて家庭は小さいながらも、それぞれがひとつのノアのはこぶねであった。夫婦と子供たち、庭にはさまざまな木々や花々、小さな動物たち、ときには思いがけない来客もある。……ちょっと変な造りのこの〈にぎやかな家〉がかもしだす芳醇な世界は、極上ワインの味であり、失われゆくものへのひそやかな挽歌でもある。数々の名作を生み出し、多くの文学賞を受賞した児童文学者にして、元帝塚山学院大学学長の名作。
  • ヨハネの剣
    3.5
    世界最前衛赤軍の組織者の一人で、自らを「天草四郎の再来」と信じる男が組織の金を奪い、情熱の闘牛の国スペインへと逃走した。やっとのことで彼を見つけた追跡者の私に、彼は、「ぼくは救世主の到来を告げる預言者ヨハネの役にすぎなかった」と言う……。神に肉迫する研ぎ澄まされた超常能力に挑戦する表題作ほか、8編を収録。冒険、悪夢、スーパーヒーローなどなど、鬼才の「神の眼」が見た様々な世界!
  • 枇杷の季節
    -
    「異郷人」の自覚は、すでに彼には親しいものだった。父の転勤のたびに繰り返した転校、いつも身近にあった戦争の翳、渾沌としたそれらの日々に訪れた、人生への早い目覚めがうながしたものは……。原点としての幼少年時代とその心の領域の移りゆきを、よく醒めた文体で感銘ふかく描きつくす好短篇集。5篇を収録。
  • 大地の冬のなかまたち
    -
    クラス委員でありながら、遅刻常習犯のサブ。ある日学校へつくと、サブの席に炭鉱からきた和男がすわっていた。なまいきでひねくれた和男と競い合いながら、サブはやがて和男に興味をもっていく。『天使で大地はいっぱいだ』に引き続き北海道の大自然を舞台に、たくましく成長していく子どもたちの姿を描いた長編力作。野間児童文芸推奨作品賞受賞。
  • 渓流
    -
    夫と離別し、一家の要として肉親の愛憎や葛藤を一身に引きうけるいっぽう、共産党の運動方針や除名問題というさまざまな体験や苦労を味わいながらも、党や文学団体との関わりの中に、自らの生き方を求める安川友江。内憂外患の情勢下で、思想的にも人間的にも誠実に生きようとする一女流作家の真摯な生を描く。
  • 天使で大地はいっぱいだ
    -
    北海道・石狩平野に住む森谷三郎(サブ)一家。サブたちの担任・キリコ先生を中心に、けんかあり友情あり、たくましく成長する子どもたち。また、彼らの悩みを真剣に受けとめ、ともに考えるおとなたち。厳しく、またやさしい自然の中での人々の出会いと別れ……。貧しくともおおらかに生きる子ども群像をえがく、長編力作。
  • 重き流れに(上)
    -
    1~2巻550円 (税込)
    大陸の植民地に夢と野望を賭ける青年に嫁ぎ、夫と大陸に渡った16歳の幼な妻。夫を愛し、夫だけを頼りにして暮らす外地の生活は、新鮮であり、幸福に満ちていた。だが、夫から見知らぬ女に宛てた一通の手紙が、夫婦に翳りをもたらした。自己の全存在を夫への愛に賭けて、歴史の激流を生きぬいた、女の一生を描く。
  • 花と果実
    -
    見知らぬ大学生をホテルに誘った、美貌の中年女性。自分の行為に自信を喪失し、彼女に激励される大学生。彼の自信を回復させた、恋人の女子学生。三者の手記を通じて、開放的な若者のセックス、同性愛、近親相姦などに、大胆な照明をあて、性の思想を探った、石坂文学の真髄を示す異色大作。
  • 小説円投機
    4.0
    外国為替相場で脚光を浴びたYENは、たちまち壮烈な売買戦の対象となった。そうしたなかで、それぞれ一流バンカーとして苛酷な人生を歩む同期入社の3人組。そのうち古海は、海外融資こげつきの責めを負って退社し、一匹狼のマネーハンターとして自立するが……。世界経済の支配者・ロスチャイルドとロックフェラーの死闘を日本側からなまなましく描いた、出色の傑作長編。
  • 山椒魚・本日休診
    -
    処女作「山椒魚」から「鯉」「屋根の上のサワン」「丹下氏邸」など初期短編をはじめ、「遙拝隊長」「本日休診」など戦前、戦後の中短編の名作9編を収録。鋭い人間観察と洒脱な表現で、庶民生活の哀歓を描く、井伏文学の精粋集。
  • 黄金の侏儒宮
    -
    見る者の血を妖しく煽り、燦然と輝く黄金の侏儒宮。その所有者・津降家は、一代前にのしあがった大富豪だ。だが、その莫大な富の背景は、ベールに隠れたままである。津降家の娘・渚との愛の破局を迎えた江木が、北海道で出合った油絵をヒントにたどりついた、その謎の答えは? 夢はらむ侏儒と黄金伝説を、著者一流の筆で現代化した、傑作2編。男の魂を駆りたてる、夢と冒険のロマン!
  • 石切り山の人びと
    -
    石切りの親方のむすこの権六は、いねむりの常習犯で、教室をずらかるのも得意だ。そんな彼が、東京から帰郷した予備役軍人の老大佐と孫娘みよの感化で、勉強し、働くようになる……。熊本の町近くの石切り山を舞台に、太平洋戦争下の人々の生活と子供たちの姿を、感動深く描いた名作。日本児童文学者協会賞・サンケイ児童出版文化賞・小学館文学賞受賞作。
  • 春の岬
    -
    こんなにも美しく幸福で、こんなにも確かで堅固なものにも、終りが来るというのだろうか? 出生を秘した瞽女の娘と名門跡見財閥の御曹子で作家志望の青年が、つちかい育んだ愛の巣。いくたびか襲いかかる波濤をのりこえ、悲しみを歳月に刻みつけてたどった愛の旅路――夫婦の深奥を限りなく哀切に綴った、感動の長篇!
  • 娘の中の娘
    -
    父親を裏切り、男と失踪した長女に、複雑な気持を抱いている父親は、次女の桂子にすべての夢をかける。だが、その桂子も父親の意見をきかずに、OLになってしまう。未知の世界は、桂子に新たな目を開かせるのだが……。愛と友情に悩む乙女心と、父親の哀歓を鮮かに描いた傑作長編。
  • 母を拭く夜
    -
    街角まで歩いてきて、急にひょいとコートでも脱ぎすてるように、いのちを脱ぎすててゆく、それが死ぬということ……。腰をすえて生き死ぬことの重みをまじまじと見つめ、ときにそのいとしさを青空のようにのぞかせて、読むものの胸に痛いほどの共感を呼びおこす。そんな表題作と「かにやまびこ」「雁の運ぶ木」「冬のヤイカテカラ」「花」ほか一編収録。
  • 髪の環
    -
    切られた髪、竹の花、熟れすぎた果実。絶妙の小道具たちが、男女の陰影深い感情の震えに、鮮かな輪郭を与え、そのとき、みずみずしい生命感をたたえた日常の中に、ふと非日常と幽冥の露頭が現出する。異空間へ踏み出そうとする情念の快い緊張、不安、期待……。強い美意識に貫かれた、珠玉の9短篇。毎日出版文化賞受賞。
  • あの日この日(一)
    -
    1~4巻550円 (税込)
    常に偽らざる自己を語って、変遷めまぐるしい今世紀を生きてきた、一私小説作家の文学私史的自伝。現代文学を側面から解き明す手掛りと発見にみちた書として、評価も高い。野間文芸賞受賞作・全4巻。本巻では、志賀直哉作品との運命的な出会い、早稲田高等学院時代、大震災前後、「主潮」創刊のころ、幼少年期の回想などが綴られる。
  • 颱風とざくろ(上)
    -
    葬儀屋の娘・英子と産婦人科病院長の息子・一雄は、家族ぐるみの交際をもち、家族同士で、男女関係について赤裸々な意見を交換しあうほどの、幸福な日々を送っていた。ところが、一雄が冬山の雪崩で遭難するという突然の不幸が、英子の身にふりかかった……。健康なエロティシズムとユーモアにより、新鮮な人間像を描いた巨匠の傑作長編。〈上巻〉
  • 終焉の姉妹(上)
    -
    1~2巻550円 (税込)
    生の重みと戦争責任のありかを問う、衝撃のノンフィクション・ドラマ。ルソン島の戦場で餓死1人、満州で生死不明1人、長崎に投下された原爆で被曝したために、つぎつぎと死亡した5人――9人中、7人のきょうだいを戦争で失い、米兵に犯されて私生児を生まされた姉妹がたどった、長く悲しい道のりを描く。
  • 絶唱
    -
    山陰の大地主の跡取りとして、何ひとつ不足のない青春を過す園田順吉が、初めて知った真実の恋。相手は小作人の娘・小雪だった。身分差ゆえ周囲の反対は激しい。ふたりは松江に逃げ、順吉の友人の庇護でささやかな新世帯をもつ。だが、戦争の激化が再び彼らの純愛を搖さぶり始めた! 愛の高貴を描く不朽の青春文学。三原順子・広岡瞬の主演でドラマ化され、好評を得た青春純愛物語。
  • 幽霊達の復活祭
    -
    波の静かな月の美しい夜、粗末な礼拝堂の一室で復活祭を祝うパーティが開かれた。出席者は社会的存在感の薄い、さまざまな国の"幽霊"たちばかり。会話は機智にとみ諷刺にみちて、不思議な幻想の世界をかもしだす――みずみずしい感覚と大胆な手法から成った初期短篇集。ほかに、「火草」「桟橋にて」「首のない鹿」「あいびき」の4篇を収録。
  • ふなくい虫
    -
    ふなくい虫。流木に喰いつき、ひとり、隣の虫にぶつかりそうになると、慌てて折れまがり、暗い木のなかを、ばり、ばり、と喰いすすむだけの一生。相手の顔も見ず、尻っぽの先をひらひら泳がせ、孤独に受精するという。孤独のホテルのけだるい倦怠に身を任せる5人の男女は、人類断絶の時代の開始を告げるのか。錯綜する愛欲関係に精神の孤絶感を刻み、現代の予感する終末の世界を、詩的に、残酷に謳いあげた、荒地のものがたり。
  • FL無宿の叛逆
    -
    外国(Foreign)の言語(Language)または文学(Literature)を専攻した大学中退者が集まって考え出した、奇妙な商売の数々。主観的には魂の放浪者であり、客観的にはヒッピーである彼らの行動は、アイディアの優秀さとうらはらに、いつも現実からしっぺ返しを喰らう――。ユニークに若者の一面をとらえた、出世作。
  • 夜の鶴
    5.0
    二十数年間いつくしみ育ててきた娘の結婚を前にして、寂しさにたえ、限りなき親の愛を寄せて、未来の伴侶に理解ある忠告を贈る父親の姿――。「焼野の雉子夜の鶴」にも比すべき父性愛あふるる書。
  • 私ひとりの私
    4.0
    人間は孤独の中に生き、孤独の中で死んでいく……。石川文学の底を流れる〈人間の孤独感〉は、母親の死を契機に、他人の飯を喰う境遇につきおとされた主人公の幼い心に早くも芽生える……。自我に目覚めはじめる少年期の多感な心の軌跡を、透徹した眼でつづった長編小説文芸春秋読者賞受賞。
  • 誰の為の女
    -
    夫に裏切られ、恋人に捨てられ、そしてまた「過去ある女」の烙印ゆえに無残にも崩れ去った女の夢‥‥。男に翻弄され傷つき、その絶望の淵から凝視した男のエゴイズム。情欲をひきずりながらも、仮借なきまでに男の偽善の仮面を引きはがすに至った、ある女の熾烈で哀切な、男たちへの訣別の書簡。女の新生を描いた名作。
  • 自宅の妾宅
    -
    妻公認の妾を敷地内のアパートに囲った男には、既に3人の愛人が……。さらに新たにもう一人と、夢のような日々のはずが……。女の執念と男の妄想を描く表題作をはじめとして、現実より実感のある不思議な夢に取りこまれ、夢の世界を生き始める男。現実と夢の狭間に入りこんだ男たちの姿を描く異色短篇集!
  • 雨の中に消えて
    -
    高校時代の親友だった北国の乙女たちが上京して共同生活を営む。一人は大学生、一人は洋裁学校生、そしてもう一人は雑誌記者となる。三人はそれぞれの相手と自由に、恋愛や結婚や性の問題について論じあい、都会の激しい渦の中で成長していくのだが……。若い娘たちの青春の情熱と夢を、みずみずしく描いた巨匠の長篇小説。
  • メトロ・クルージング
    -
    今日もメトロは、さまざまな恋人たちを乗せて、東京の地下を走る――。かき消されそうな小さなハート、デパートでデイト、わがままカップル・コンテスト、すれ違いの待ち合わせ、反対側のプラットホーム……など、26組の恋人たちが繰り広げる、ささやかで、ひめやかでちょっと過激なラブ・ストーリー。『恋人たちのデジャ・ヴュ』改題
  • 喜劇役者たち
    4.0
    トリオ同士の笑いの喰い合いに血を流す男たち。天才コンビに隠された哀しくも皮肉な秘密。芸以外に芸人の大切なものを盗んで掟を破った男の末路。浅草ストリップ界を舞台に、笑わすことに命を賭けたが故に自らの人生に泣く喜劇役者たちを、抱腹絶倒のうちにペーソス溢れるタッチで描いた名品六編――。
  • 幽霊時代
    5.0
    「生きている心地がしないんです」と患者は精神科医に訴えた。生きながら幽霊と化す奇病「幽霊症候群」はまたたく間に全国に蔓延し……。表題作をはじめ、透明なポエジーにみちた「ケンタウロスの子守唄」、パロディSFの傑作「エンゼル・ゴーホーム」等、著者のみずみずしいSFへの初心が結晶した短編集。
  • プラネタリウムのあとで
    3.5
    友人の眞姫に誘われて、美香萌(みかも)は同級生の川田歩と眞姫の兄の4人で鉱物採集にいく。心の中で小石を作ってしまう秘密の体質を持っている美香萌は、石に詳しい川田のことが少しずつ気になっていく。ある時、眞姫から川田が好きだと聞かされて――(「笑う石姫」)。他にも別世界へ誘う3作品を収録した、美しくも切ない珠玉の短編集。
  • プラネタリウム
    3.9
    恋をしたことがないのに恋多き女と誤解されている中学生の美野里。付き合ったつもりのない相手から新学期早々に別れ話を切り出されてしまう。その時、美野里のもとに青いカケラが落ちてくる。それは後輩の恋心が結晶してできたフレークだった(「あおぞらフレーク」)。東京の"世界谷"を舞台に描かれた4つの不思議な物語。
  • 窓辺の猫
    -
    長い人生を彩った愛しきものたちへの挽歌。30年余の歳月を北国の風土の中で共に暮らした犬や猫たち……デベソのシャム、花火の音が苦手のコリ-、ボケで長生したチロ……彼らへの愛情を自分史に重ね描く長編。
  • モッキンポット師の後始末
    4.0
    1~2巻550~660円 (税込)
    食うために突飛なアイディアをひねり出しては珍バイトを始めるが、必ず一騒動起すカトリック学生寮の"不良"学生3人組。いつもその尻ぬぐいをさせられ、苦りきる指導神父モッキンポット師──ドジで間抜けな人間に愛着する著者が、お人好し神父と悪ヂエ学生の行状を軽快に描く笑いとユーモア溢れる快作。
  • わたしは椿姫
    -
    赤い椿、白い椿の香りを秘めて、パリの社交界にときめく謎の美女。男たちを翻弄する日本的愛の技巧の裏面をさぐった、画学生の運命は? 世界各地に羽を伸ばす日本の女性。華麗に、したたかに、人生を謳歌し、異国に生きる彼女ら7人を描く"当世国際女気質"。
  • 青の回帰(上)
    -
    1~2巻550円 (税込)
    トルコの広大な高原地帯の僻村で、駐在商社員三田村五郎は、日本の大女優石河永子を知り、激しく惹かれていく。永子は、この国に浸って動かない夫、高名な画家権藤浩太郎に会いに来たのであった。丁度、先妻との娘小野笙子も又父に会いに来ていて、運命は不思議な糸で、人々を複雑に結んでいく……。
  • 結婚の四季
    4.0
    白無垢の花嫁衣裳、ハワイのハネムーン、夢のような蜜月が過ぎてしまったあとに残るものはなに? 家風の違い、嫁と姑、果ては夫の浮気……和子は様々な事件に傷つきながらもひたむきな愛情で立ち向かっていく。新婚1年の和子の愛と惑いの日々を、独特の温もりある筆致で描き爽やかな感動を呼ぶ傑作長編。
  • 自分を好きになる方法
    3.5
    16歳のランチ、28歳のプロポーズ前夜、34歳の結婚記念日、47歳のクリスマス、3歳のお昼寝タイム、63歳の何もない一日。リンデは「お互い心から一緒にいたいと思える相手」を求め続ける。密やかな孤独と後悔、それでも残るほのかな期待を丁寧に描いて、女性たちの圧倒的な共感を呼んだ第27回三島由紀夫賞受賞作。『異類婚姻譚』で2016年度芥川賞を受賞した人気作家による長編。
  • 1973年のピンボール
    3.8
    「電灯のスイッチを切って扉を後ろ手に閉めるまでの長い時間、僕は後ろを振り向かなかった。一度も振り向かなかった」東京で友人と小さな翻訳事務所を経営する〈僕〉と、大学をやめ故郷の街で長い時間を過ごす〈鼠〉。二人は痛みを抱えながらも、それぞれの儀式で青春に別れを告げる。『風の歌を聴け』から3年後、ひとつの季節の終焉と始まりの予感。「初期三部作」第二作。
  • 新装版 海と毒薬
    3.8
    生きたままの人間を解剖する――戦争末期、九州大学附属病院で実際に起こった米軍捕虜に対する残虐行為に参加したのは、医学部助手の小心な青年だった。彼に人間としての良心はなかったのか? 神を持たない日本人にとっての<罪の意識><倫理>とはなにかを根源的に問いかける不朽の長編。
  • レモン・ドロップス
    3.7
    大好きな友達や家族との日常を、「あたしなりの決意」をもって生きている、15歳の美希。恋の予感を遠くに見つけて、三日月形のレモンドロップをなめるたびに、10代だけの特別な時間が結晶に変わっていく――。大人になった"女の子"にこそまっすぐに届く、甘酸っぱいキラキラがたくさんちりばめられた、せつない物語。
  • 愛人
    -
    代議士秘書と5万円で愛人契約をした予備校生ミカコ。近所不倫のスリルにのめり込んだ加代子。建設会社社長に3億円の家をもらったエミ。57歳のオジさんが初体験の相手で今は4人のパトロンと愛人契約している亜理沙。「愛人」という生き方を選んだ22人の女たちが求めたセックス・金・愛情を赤裸々に描く。
  • 薄荷草の恋
    3.7
    遠距離恋愛のひかると田口は、なかなか一緒に過ごせない。ひかるがハードな仕事の合間を縫って、久々に4日間休みが取れたと思ったら、すれ違い。会いたさが不満になって、「仕事、やめっ言うんじゃ! 」「何よっ! 」と喧嘩になるが……。表題作はじめ、男女の本質と恋愛の妙を温かく描いた8篇の恋愛小説集。
  • 人肌ショコラリキュール
    3.8
    今の彼の将吾は元カレと違って自分勝手ではないし、セックスも優しくて、料理が上手。でも将吾と付き合ったのは、元カレと顔が似ているから……(「あなたモドキ」)/四年間セックスなし。いまやヴァイブレータが友達の私、浩未、33歳……。(「ヴォルフガング」)など、リアルな女の性と心を描いてきた著者による、「わかるわかる」満載、ドキドキ満載、美しくリアルなエロチカ短編集。甘くて苦い大人の恋。
  • 草のかんむり
    3.0
    カエルにされてしまった僕の哀しい愛の物語。曽祖父のうらみでカエルに変身してしまった僕は、やさしい麦子に助けられた。でもグリム童話みたいに素敵な王子様になれるだろうか? 群像新人文学賞受賞作品。
  • ビッグボーイの生涯
    3.9
    昇ほど「休戦の価値」「休戦の美学」を知った男は少なかったのではないでしょうか。彼は人生に四期ありとしましたが、大いに休んだおかげで、人生を四倍に生きたともいえます。そこには、「人生四倍、休戦の哲学」とでも呼ぶべきものがあったと思います(「あとがき」より)。 大きく休み、大きく生きた男の人生評伝。(講談社文庫)
  • 対馬丸事件 沖縄の悲劇
    -
    太平洋戦争末期、学童・教師・父兄・病人等1600余名を乗せて、沖縄を逃れ、本土へ向かった学童疎開船・対馬丸は、トカラ列島の一つ、悪石島沖で米潜水艦の魚雷を受けて沈没した。この事実は、長い間、軍の命令で隠されていたが著者は、たくましい想像力によって、船と運命を共にした学童たちと沖縄の悲劇を描く。(講談社文庫)
  • 敗れざる教師
    -
    校内暴力を内側から描く衝撃の人間ドラマ! アフロヘアーの頭に深く剃りを入れた、暴力中学生の群れ。何が彼らを暴力に駆りたてるのか。それは愛なき教師への反逆なのか。綿密な取材をもとに描く長編力作。
  • 土地に向って突進せよ
    -
    土地小説の決定版長編!徒手空拳、ただ天性の利殖の才だけを武器に、大都市近郊の土地取引に身を投じた主人公の運命の変転を描く。不動産業者にして直木賞作家の著者ならではの長編力作。
  • 土地相続人
    -
    悪質不動産屋の手口、欠陥住宅の内情、大手商社の土地転がし。空前の土地ブ-ムを背景に、一億総不動産屋といわれた土地投機の実態を描く。
  • 虚名
    3.0
    本名・北野弓子、芸名は長山レナ・風見圭子・簗瀬ルミと変わって十年ぶりに会った女は昔とちっとも変わらぬ美貌を誇っていた。かつてひょんなことから同棲した女が急に売れ出したとき、二人の仲は破局に向かった。再会した男と女の胸中に流れる甘く苦いノスタルジー。虚構の世界に生きる男女を描く連作集。(講談社文庫)
  • ケープタウンから来た手紙
    -
    昔、学生運動の闘士だった友人が中退し、能登の近海で漁師になった。さらにインド洋のマグロ漁船に乗換えた。友人の手紙を見た男は昔の恋人だった彼の妻を訪ねた。(講談社文庫)
  • 明日の朝、観覧車で
    4.0
    夜明けまで、まだ100km。私が変わるまで、あと30時間。歩き続ける、青春小説!夜通しかけて100kmを歩く催しに、一人で参加した高校生のみちる。完歩の自信もなく、早々にリタイアしようとした時、謎かけのような言葉で自分を励ます初老の男性と出会う。その人と歩くうち、脳裏に浮かんできたのは、ある事故をきっかけに変わってしまった家族のこと。『100km!』改題。
  • ダイアモンドは傷つかない
    -
    弓子は予備校教師の三村に激しく魅かれる自分を感じた。彼には妻のほかにも女がいたが、すべてを知ったうえで、弓子は三村との交際の深まることを期待する。(講談社文庫)
  • 日曜日たち
    3.8
    ありふれた「日曜日」。だが、5人の若者にとっては、特別な日曜日だった。都会の喧騒と鬱屈した毎日のなかで、疲れながら、もがきながらも生きていく男女の姿を描いた5つのストーリー。そしてそれぞれの過去をつなぐ不思議な小学生の兄弟。ふたりに秘められた真実とは。絡みあい交錯しあう、連作短編集の傑作。(講談社文庫)
  • 老人のための残酷童話
    3.3
    昔話の裏側にある摩訶不思議な世界。鬼に変貌していく老婆を捨てた息子と、その嫁の意外な末路とは……。「姥捨山(うばすてやま)」や、織女(おりひめ)と牽牛(けんぎゅう)の「天の川」といった、有名な昔話をベースにしながらも、独特の解釈で綴られた10の物語。大ベストセラー『大人のための残酷童話』の著者が、性欲や物欲、羞恥心といった、人間の奥底にひそむ感情を見事に描きだす。
  • 神々の午睡(上)
    4.5
    1~2巻550円 (税込)
    はまったら抜けられない? 清水&宗教の世界! “開祖たち”は、詐欺師、怒りっぽい族長、世間知らずのおぼっちゃまだった? 小説より奇なる事実よりさらに奇なるもの“宗教”をテーマに、パスティーシュの天才が築きあげた大スペクタクル。世界に誇る3大宗教(アルカマ教、サライ教、ジブ教)はいかにして生まれたか。開祖が現われ、教典が編まれ、正統と異端が生まれる。嵌まったら抜けられない清水ワールド。(講談社文庫)
  • 星からの1通話
    3.0
    ショートショートの奇才が贈る75回の電話遠い星にも大人と子どもがいて、樹や石があってみんな苦労しているのだろうか。身の回りのほんのささいな、けれどもせつなくなるような世界を卓抜な筆致で描出。(講談社文庫)
  • 禁じられた土地 見果てぬ夢1
    -
    1~5巻550円 (税込)
    ソウルの空港に降りた趙南植を待っていたのは北のスパイ容疑だった――革命の光をもとめ、近代化の夢を追って青春を生きぬこうとする人々を描く大河小説、全5巻。(講談社文庫)
  • 「名探偵」に名前はいらない
    4.0
    依頼人は美女、老人、ヤクザ! 内容も夫の浮気からポルトガルまで遺産渡しへ行く国際的活動まで様々。皮肉な寂しい中年探偵は金もなく愛を求めながら今日も街を歩く。(講談社文庫)
  • サラリーマン裏新撰組
    -
    史上最強のセールス軍団の猛営業が始まった関西地区では弱いポポロビールが一大セールスをかけることになった。サバイバルゲームのようなオーディションを勝残った108人が何でもありの猛セールスを開始。(講談社文庫)
  • 無明の蝶
    4.0
    古書店を舞台に、不思議な人生模様を描く。蔵書を金額で値踏みし、故人の人生の裏まで見すかす古書店主の回りには、棟方志功の肉筆やら暇つぶしの猫、ホモと奇妙な人ばかり。直木賞作家の書き下ろし小説集。(講談社文庫)
  • ヨコハマ幽霊ホテル
    -
    両親をなくしたみづきは、祖母から横浜の古いホテルを引き継いだ。幽霊が出ると噂される建物、いわくありげな客たち、みづきへの殺人予告・・・。戦慄の傑作長編。(講談社文庫)
  • 傷口にはウオッカ
    3.6
    40歳の永遠子は、もう晩年期じゃないかと思いつつ、生への執着はなまじっかじゃない。恋人の寿一郎を手放せばあとがないけれど、恋愛が終わるとわかっていればそれでいい。しかし恋愛は思いがけずしてしまうもの――。自らの体で感じる痛みを確かめながら生きる永遠子の愛のかたち。ドゥマゴ文学賞受賞作。(講談社文庫)
  • ひさしぶりにさようなら
    3.0
    世にもだらしない家庭で育った都。そこから脱出しようと結婚するが、夫も彼女同様に怠け者。身に染み付いた怠惰さは直ることなく、なんとなく出産し、子育てするが……。そんな男と女の結婚生活を描いた表題作に加え「いも・たこ・なんきん」の2作品を収録。ちょっと奇妙な日常を淡々と綴る、異色の家族小説。(講談社文庫)
  • 泣きぼくろ
    -
    ちんぴらヤクザの生態をリアルに描く連作。元暴走族の水田順公は駆け出しのヤクザ。鉄砲玉に使われて服役へ。年季の入ったヤクザの水田順一伯父が救い出そうと大活躍するおなじみの塀の中ストーリー! 水田がせっかく密告までして救ってやっても刑務所行き。男の生き方を貫くヤクザの哀歓。(講談社文庫)
  • ジェット・ストリーム
    -
    国際線パーサーの松島は国際犯罪結社の一員だった。日本と海外とで稼いだ額は二百万ドル。最後の強奪はヤクザ相手にヘリを使った秘密作戦。痛快アクション長編! (講談社文庫)
  • ともだち刑
    4.1
    中学のバレー部に、顧問教師の勧誘で入部してきた「あなた」に私は憧れ、一緒に帰宅できるともだちになれたことが嬉しかった。が、注目を浴びるほどにミスばかりを繰り返す私は、「笑ってんじゃねえよ! 」というあなたの言葉に凍りつく。痛みという実体を伴った怒りの向かう先を凝視する、渾身の長編小説。(講談社文庫)
  • チェルシー
    3.4
    死へと向かっていく少女たちの心の闇を描くネット掲示板「メビウスゼロ」に書き込みをする“チェルシー”と名乗る少女。その掲示板では集団自殺旅行が計画されていた。チェルシーによる、死の旅の結末は? (講談社文庫)
  • 闇に咲く花
    -
    昭和庶民伝第二部。笑いと涙の、傑作戯曲。敗戦後、復員してきたプロ野球選手を巡って神田の愛敬稲荷神社で起こる珍騒動。戦争と神道という重いテ-マを野球で明るく解き明かす名作。(講談社文庫)
  • 私小説
    3.5
    男に会うためだけに海を越える私のいじらしい性欲。南国ホーチミンのレストランで口説いたボーイと、酷寒の宵に出会ったソウルのホテルマン。高校時代の翌(あす)なき春から、痛ましい夏を経て終焉の春へ、20年にわたる恋愛遍歴。魂の放浪記はここから始まった。静かで熱く、どこまでも赤裸々に描いた自伝的恋愛小説。(講談社文庫)
  • 深海の迷路
    3.0
    一人歩きの女性を狙う通り魔に、老舗和菓子屋強殺放火犯。それぞれの事件で愛する者を喪(うしな)った2人の若者が邂逅(かいこう)したとき、凍結していた事件が動きだす。深海の迷路のように錯綜する現代を映し、複合犯罪の糸はもつれにもつれ、ついに浮かび上がる予期せぬ犯人像。その残酷な真相に、あなたは耐えられるか?(講談社文庫)
  • 『深い河』創作日記
    4.0
    「この小説のために文字通り骨身をけずり、今日の痛みをしのがねばならなかったのか」。作者最後の長編小説であり、純文学の奇跡と今もなお絶賛される『深い河(ディープ・リバー)』は、壮絶で苛酷な闘病生活のなかから生み出された。1990年8月26日から1993年5月25日まで、小説と死を見つめ続けた感動の軌跡。(講談社文庫)
  • さらば、夏の光よ
    3.8
    背が低くて鈍いと女を愛する資格もないのか。心は優しいが女性にモテない野呂は悩む。明るく行動的な親友の南条は、野呂が密かに恋する同級生の戸田京子の心を掴んだ。微妙に翳る友情。そして8年が過ぎる。歳月は彼らの人生をどう変えたか。愛と哀しみの十字架を背負った3人の運命を描いた青春ロマン。(講談社文庫)
  • 風の絵本
    -
    色のあわい日常生活を、風のように流されていく郁子。ふと郁子は日常をぬけ出して旅に出る。いわば<風の絵本>のヒロインである。彼女の目の前に次々とあらわれるのは、時間のひだにかくされていたいくつかの思い出――。知的女性のゆれる心理を、実験的な手法と新鮮な矜情とで描いた秀作。その他二編収録。
  • ディプロトドンティア・マクロプス
    3.4
    京都で探偵事務所を開設したばかりの私に依頼人が2名。「失踪した父を探してほしい」という大学教授の娘と、「カンガルーのマチルダさんを見つけて!」とわけのわからないことを叫ぶ美少女だった。捜査を始めた途端、私は暴漢に襲われる。すでに巨大な陰謀の渦中にいたのだ。先の読めない我孫子流ハードボイルド。(講談社文庫)
  • 我が父たち
    -
    血のつながりのやり切れなさを、鋭敏な感性でつづり、独自の文学世界をひらく。不思議な物語の魅力あふれる力作中篇集。(講談社文庫)
  • なにもしてない
    5.0
    “ナニモシテナイ”幸福な私を脅かすのは?生きていることのリアリティを希求して、現実と幻想の世界を往還するモノロ-グの世界を描いた野間文芸新人賞受賞の表題作を含む2編を収録する第一小説集。(講談社文庫)
  • 恋の休日
    3.7
    放校された女子高生と、男に夫をとられた漫画家。ふしぎな青春小説。肩を“ポンと叩いただけ”で教師が階段から落ち、女子高生のフィンは高校を退学になった。父は体調を崩し、愛人に看病されている。大学生の彼氏とは大喧嘩の末別れたばかり。今どきの若者の風俗や生態を淡々としたタッチで描きながら、心の奥底でふるえる悲しみをとらえた真摯で切なく、心やさしい作品集。(講談社文庫)
  • おしゃべり怪談
    3.0
    納会帰りに雀荘へ寄った4人のOLが、おしゃべりな男に包丁を突きつけられながら、延々と麻雀をする羽目に陥る表題作ほか、コミカルで、繊細で、温かく、ちょっぴり怖い4篇を収録した作品集。若者の日常に潜むいつもは見えない不安や心のほころび、性の揺れを優しくリリカルに描いた野間文芸新人賞受賞作。(講談社文庫)
  • 彼女の部屋
    3.2
    ささやかなハプニング、仄(ほの)かな心のざわめき。何度か顔を合わせた程度の女友達から強引に部屋に誘われた恭子。しょうがなく訪れた彼女のマンションで見たものは……。表題作ほか「ハローウィーン」「アメリカを連れて」など6作品を収録。何気ない日常を淡々と描きながら、気にも留めずにやり過ごしている“心のざわめき”を繊細に浮かび上がらせる掌編集。(講談社文庫)
  • ドーン
    値引きあり
    4.0
    人類初の火星探査に成功し、一躍英雄(ヒーロー)となった宇宙飛行士・佐野明日人(さのあすと)。しかし、闇に葬られたはずの火星での“出来事”がアメリカ大統領選挙を揺るがすスキャンダルに。さまざまな矛盾をかかえて突き進む世界に「分人(デイヴイジユアル)」という概念を提唱し、人間の真の希望を問う感動長編。Bunkamuraドゥマゴ文学賞受賞。(講談社文庫)
  • 世界は密室でできている。
    3.8
    15歳の僕と14歳にして名探偵のルンババは、家も隣の親友同士。中三の修学旅行で東京へ行った僕らは、風変わりな姉妹と知り合った。僕らの冒険はそこから始まる。地元の高校に進学し大学受験――そんな10代の折々に待ち受ける密室殺人事件の数々に、ルンババと僕は立ち向かう。鮮烈!新青春エンタ!! (講談社文庫)
  • Piss
    3.3
    あたしはボーイフレンドの伸ちゃんと一緒に小料理屋を持ちたい。もし夢が叶ったら嬉しい……そんな想いを胸に秘めて、見知らぬ男たちに性を売り、おしっこまで飲ませるみゆきの心が、次第に壊れていく――。リアルな表現で発表時に話題を呼んだ表題作など、狂気を孕んだ「愛」と「性」を描いた6つの作品集。
  • 運転士
    3.3
    時刻ヨーシ、方向切替ヨーシ、発車。電車はスピードを急速に上げ、間もなく軌道が緩やかに下り始め、徐々に傾斜がきつくなっていく。傾斜角1000分の35。都市と都市生活者の様々な貌(かお)をトンネルの闇と駅の輝きが妖しく繋ぐ。カミソリのように光る二本のレールの上に現代を官能的に描く。第107回芥川賞受賞。
  • にぎやかな悪霊たち
    -
    新婚夫婦のベッドで、夫の背越しに妻の表情をのぞく幽霊、入浴中の女子大生を凝視してる幽霊、水洗トイレで女性の髪を引っぱる幽霊等々。出雲オカルト研究所に持ち込まれたこれら幽霊騒動を、出雲と助手の鶴来とが次々に工夫、解決してみせる。奇抜な設定と素材で軽快に描くスラップスティック風のお化け物語。
  • 十四歳のエンゲージ
    3.7
    たった一人のともだちだったルー。優しかったルーが妊娠して傷ついて死んだ。日の輝く晩、三角山の頂きに集うシュウや冴子さん、カツヤたちで静かに雪の中、ルーの埋葬が始まった。愛情に満ちあふれた家庭を捨てきれず、不良仲間にも入り切れない少女の14歳の心のふるえをみずみずしく描いた青春小説。

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